泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。
2017年08月08日

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2017年08月06日

エイズと梅毒だけ医者に「全数報告」義務

2017年7月28日(金)に発刊されました日刊スポーツに私のクリニックの
記事が掲載されましたので報告いたします。


早期発見、早期治療
性感染症に気をつけろ②

エイズと梅毒だけ医者に「全数報告」義務

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梅毒は、戦後間もない日本では患者数が20万人を超えてまん延していた。
治療薬の普及で激減。
一時的な増加はあったが、さらに減り、1997年にはわずか500人を切るまでに。
しかし、2011年からは明らかな増加傾向となり、昨年には患者数は4518人に達した。

行政への報告は、大きく2つに分けられる。
1つめは決められた内容に基づき、医師が保健所へ1週間以内に届け出ることが義務づけられている「全数報告」。
それと、全国の指定された約1000の医療機関から報告される「定点報告」だ。


東京・西新宿にオープンした性感染症専門治療機関「プライベートケアクリニック東
京」名誉院長の尾上泰彦医師はこう話す。
「全数報告では、どの医師であっても、それを診断した場合にすべて届け出なければならないのです。対象になっているのは、後天性免疫不全症候群(エイズ)と梅毒の2つのみ。
定点報告は、産婦人科、皮膚科、泌尿器科、性病かの医師からの報告で、
淋病(りんびょう)、性器クラミジア、性器ヘルペス、尖圭(せんけい)コンジ
ローマの4つです」

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梅毒の報告数は、男女とも「早期顕症1期と「2期」が急増している。
「顕症」とは、梅毒が皮膚や内臓に症状として現われる時期を指す。症状がない「無
症候」もあり、そちらも急増した。

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尾上医師が続ける。
「2014年以降はパンデミック状態(感染症の大きな流行)にあると言ってもいい。」

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専門医らによる「日本性感染症学会」では、性感染症診断治療ガイドラインの中で、
「17」の疾患を性感染症に多く取り上げられている。

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梅毒、淋菌(りんきん)感染症(淋病)、性器クラミジア感染、性器性器ヘルペス、
尖圭コンジローマ、性器伝染性軟属腫、腟(ちつ)トリコモナス症、細菌性腟症、ケジラミ症、性器カンジダ症、非クラミジア非淋菌性尿道炎、軟性下疳(なんせいげかん)、HIV感染症とエイズ、肝炎(A型、B型、C型)、赤痢アメーバ症だ。
なじみの薄いものもある。

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2017年08月05日

梅毒 急増‼

2017年7月27日(木)発行の日刊スポーツに私のクリニックの記事が

掲載されましたので報告いたします。

 早期発見、早期治療

性感染症に気をつけろ①
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毎年、夏に患者数が増える性感染症。

特に「梅毒」は近年増加の一途をたどり、

昨年は42年ぶりに全国で4000人を超えました。

今年はさらにそれを上回るペースで、

「昔の病気」というイメージは変わってきています。

社会面では本日から、さまざまな性感染症の現状、対処法などを紹介していきます。

 

■昔の病気じゃない

梅雨が明け、夏も本番。

暮らしと密接する「性感染症」は、

誰もが注意すべき病である。

過去最悪のペースと言われる「梅毒」をはじめ、

淋病(りんびょう)、性器クラミジア、そしてエイズまで、

この数年間で大きく変わったもの、あるいは、そうではないが要注意なものと、

病気を正しく知り、安心できる毎日を送ろう。

 

今年5月、東京の西新宿に、

性感染症の治療を専門とする「プライベートケアクリニック東京」がオープンした。

クリニック名誉院長の尾上泰彦医師はこう話す。

「この時期になると、毎年増えてくるのが性感染症です。

多くの人が気持ちも身体も開放的になるからでしょう」。

 

尾上医師は、早くから性感染症に取り組んできたこの分野のエキスパート。

豊かな臨床経験と診断技術で、医師の間からの信頼も厚い。

患者の負担をより軽くー。

そんな尾上医師が今、最も懸念している病気が「梅毒」である。
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尾上医師がこう警告する。

「この数年の大きな変化は、何と言っても梅毒の急増です。

梅毒は昔の病気だと思われていますが、そうではない。

梅毒は今、再興感染症として注目すべきでしょう」。

 

昨年1年間、全国の患者数は4518人に上った。

患者数が4000人を超えたのは、1974年依頼と実に42年ぶり。

97年には500人以下にまで減少した病気が、

再び脅威になろうとしている。

急増ぶりが明らかになったのは2011年だが、

その後も一貫して右肩上がりという状況が続く。

直近をみても、1671人(14年)→2660人(15年)→4518人(16年)というのが実態だ。
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医療現場では、梅毒をみたことがないという医師や、

忙しさに追われ、正確な数が報告されていないといった指摘がある。

 

「こうした数字は氷山の一角です」と心配する尾上医師。

実は、昨年をさらに上回る勢いが今年、続いている。

国立感染研究所の速報データでは、昨年の同時期2202人(28週)から678人増え、

今年は2880人(同)に。

いよいよ“危険水域”に近づいたか!? 2017080504.jpg

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2017年07月16日

第44回 東京泌尿器科医会学術集会

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第44回 東京泌尿器科医会学術集会で梅毒の講演をいたしました。
 

その抄録が東京泌尿器科医会ニュース No.57に
 

掲載されましたので報告いたします。

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日時:2017年2月25日(土)

場所:京王プラザホテル 本館 4階「花」

特別講演:

『泌尿器科医のためのアトラスで見る これが梅毒だ』            
 

宮本町中央診療所 院長 尾上 泰彦

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  「梅毒」という病名の由来は第2期の赤い丘疹が楊梅(ヤマモモ)の果実に似ているので

楊梅瘡(ようばいそう)と呼ばれていた。いつの間にか「楊」の字が取れて、

次第に梅瘡⇒黴毒⇒梅毒と変化したと言われている。

また、梅毒はクリストファー・コロンブス一行が1492年、新大陸の発見と共に

❝原住民の風土病❞をヨーロッパに持ち帰ったとされ、「悪魔のお土産」といわれた。

その後、爆発的に全世界に拡がり、日本への伝来は永正九年(1512年)で、

約20年足らずで日本にやってきた。恐るべし、セックスのパワー。

梅毒のヨーロッパ伝播の通説である。

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本講演では、私が経験した梅毒症例を中心に臨床写真を提示しながら

視診技術のポイントについて述べる。

ご存知の通り「今や、梅毒はパンデミック状態」であり、 大きな社会問題になっている。

忘れられていた梅毒。昔の病気と思われていた梅毒。若い医師が見たことがない梅毒。

そういう意味では再興感染症でもある。

臨床医は忙しい。多くの医師は届けない。届け出は氷山の一角。

梅毒は全数報告で、どんな医師でも「梅毒」と診断したら

都道府県知事に7日以内に届け出る義務がある。

それでも梅毒は2011年以降、大都市を中心に徐々に増加し、現在、

アウトブレイクしている。

それでは何故、梅毒が増加しているのか?

何故、この5年間で梅毒が急増したのか?

しかも、なぜ、若い女性に急増しているのか。

確かに、先天梅毒児も毎年増加傾向を示し、胎児感染で重い障害の恐れもあり、

社会的に危惧されている。

疫学調査によると、年齢群別報告数の男性のピークは 20~40歳代である。

それに比して、何故か、女性のピークは20代前半の20~24歳にある。

その原因、理由はわからない。 しかも、この謎に迫る疫学的調査は、

内容があまりにもプライベートでプライバシーにかかわるため調査の仕様がない。

日本人の性行動様式が急に変わることは考え難い。

しかし、若い20代前半の女性に急増している。

急増の原因は、内的因子では考え難く、外的因子も考えなければならない。

一説に、2016年外国人旅行者が、初めて2400万人を超えた。

中国などアジア地域の旅行者が大幅に増加した。これが原因の一因なのか。

日本政府観光局の報告によると来日する中国人は、2008年に初めて

100万人を突破し、徐々に増加し、2016年には637万人以上と急伸している。

この外的要因が原因とは、根拠がないためはっきりとは言えないが、

一因の可能性もある。

中国衛生部が発表した「全国法定伝染病疫情状況」によると、

2013年度の梅毒感染者数は406,772人で、

これは15年前の10倍以上とのことである。

また、中国国家衛生・計画出産委員会HPによると、

2015年のみの中国の梅毒患者数は433,974人

(参考:2015年の日本の患者数は2,698人)である。

つまり、中国における梅毒患者数は日本をはるかに上回る増加をみせている。

中国の総人口は日本の11倍以上あるが、梅毒患者数は日本の160倍超というから、

梅毒の急伸状態には驚きである。

こうした経路で日本の若い女性に梅毒患者が増え、

日本での感染が増えたという可能性は考えられる。

梅毒に国境はないともいえる。

 梅毒の病因、分類、臨床症状

(第1期:初期硬結、硬性下疳、鼠径部リンパ節無痛性腫脹)、(図1.図2.)

第2期(バラ疹、梅毒性乾癬、脱毛、扁平コンジローマ、口腔咽頭粘膜斑など)

第3期、第4期の臨床像、悪性梅毒。

HIV感染症との関係。

眼科領域の梅毒。輸入感染症である軟性下疳の臨床像。

梅毒の診断・検査、治療、臨床医の落とし穴。

そして梅毒の感染予防の基本。

これらの臨床現場のアトラスを提示しながら紹介・概説した。


図1.初期硬結

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図2.硬性下疳

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情報交換会にての写真

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情報交換会にて

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情報交換会にて

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2017年06月29日

パートナーと一緒に検査

6月22日(木) 讀賣新聞 医療ルネサンス 「性感染症のいま」

5回シリーズの5回目に私の記事が掲載されましたので報告いたします。

■パートナーと一緒に検査

Q&A

性感染症の特徴や治療について、

東京都新宿区のプライベートケアクリニック東京名誉院長の尾上泰彦さんに聞いた。

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-性感染症の中でも梅毒の患者が増えてきています。

「最近まで男性の同性カップルが中心でした。

昨年1,000人以下で推移していましたが、

2011年頃から増え始め、15年には異性カップルの感染者数が

同性カップルの数を追い越し、昨年は4,500人を超えました。

20歳代前半の女性が多いです」

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-梅毒の特徴を教えてください。

「口腔性交でも移ります。感染3週間で菌の侵入部位に

潰瘍などができ、3か月で体にバラ疹と呼ばれる発疹などが出ます。

時期がずれたり症状が出なかったりすることも多く、

症状が出ても数週間で消えます。

数年で神経が侵され、失明や知能低下などを招きます。

また、梅毒に感染した妊婦から生まれた先天性梅毒の子供も最近は報告が増えています。

死産や流産となったり、肝臓や脾臓が腫れて生まれたりします」

-治療法と増加の背景を教えてください。

「戦後は多くの感染者がいましたが、以前は抗菌薬のペニシリン注射で治療でき、

減っていきました。しかし、アレルギーによるショックで死者が出てから、飲み薬の抗菌薬に変わり、今は一定期間飲んでもらいます。

症状が消えると薬をやめてしまう人がいることが問題です」

「増加の背景ははっきりしません。

中国といった外国でも流行しているので、性風俗店などを介して入ってきた可能性もあります。

スマートフォンの普及で、誰とでも簡単につながれることも原因かもしれません。

梅毒に詳しくない医師が症状を見落とし、感染を拡大させてしまっていることも課題となっています」

-梅毒以外に注意すべき性感染症はありますか。

「感染者数が一番多いのがクラミジアで、口腔性交でも感染します。

特に女性は性器に症状が出にくく、気付かず進行して不妊症の原因となることもあります。また淋菌も不妊症に結びつく感染症の一つ。抗菌薬に耐性を持つ菌が出ていて、

効く薬が少なくなっているのが喫緊の課題です。

性器ヘルペスやB型・C型肝炎など、日本性感染症学会の指針には

17種類の性感染症が記載されています」

-性感染症の予防はどうしたらいいですか。

「不特定多数との性行為は避けましょう。

また、全ての感染症を防げるさけではありませんが、

コンドームを正しく使用することは基本です」

「そして、定期的に検査を受けましょう。

私がみてきた中では、感染者の3割はパートナーも感染していました。

結婚する時や新しいパートナーができた時など、

一緒に検査を受けることをおすすめします」

【参考】性感染症の予防

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