泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。
2017年06月18日

讀賣新聞 掲載 : 梅毒「まさか自分が」

6月16日 讀賣新聞 朝刊 医療ルネサンス 「性感染症のいま」 5回シリーズの1回目に私のクリニックの梅毒に関する記事が掲載されましたので報告いたします。

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■梅毒「まさか自分が」

「偽装の達人」と呼ばれる性感染症がある。

最近、感染者数の急増が指摘されている梅毒のことだ。

これまで年間1,000人に満たなかった感染者数が、2011年頃から増加し、昨年は4,500人を超えた。

「感染するような性行為は思い当たらないのですが」

40歳代の会社員の男性が、医師に手を差し出す。男性の手や体に突然、赤い発疹が現れたのは6月初め。東京都新宿区のクリニックを初めて訪れた時、医師は皮膚を見るなり、梅毒と言い当てた。

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発疹は梅毒の症状の一つでバラの花のように見える「バラ疹」だった。

血液検査の結果はやはり、陽性だった。初診時に処方された抗菌薬を飲むと、バラ疹は一週間できれいに消えた。

それでもまだ感染を示す数値は高く、性行為で相手に感染するリスクがある。
症状の進行度合いにもよるが、この男性の場合は4~8週間、薬を飲み続ける必要がある。

医師は「決められた量の薬を飲み終わるまで、ちゃんと治療に来てください」と、継続して薬を処方した。

 感染している人と1回の性行為でも、梅毒は比較的感染が起きやすい。
性器からではなく、口からも感染は起きる。

 一般的に、感染から約3週間で性器など病原体が入った部分に潰瘍などができる。
次に血中で病原体が増殖して全身に広がり、約3か月で体にバラ疹などが出る。

無治療なら数年で意識障害や知能低下、失明などにいたると言われている。
しかし、潰瘍などの初期症状は出なかったり、

発症時期がずれたりすることも多い。症状の出方も様々。

 潰瘍は唇や喉にできることもある。バラ疹が出る部位も一定ではない。
痛みやかゆみをほとんど伴わず、放っておくと数週間で表面的な症状は消えてしまう。
多様な症状を伴いながら、何事もないかのように潜伏する様子は、まさに「偽装の達人」。

梅毒をよく理解する医師でなければ、見逃してしまう可能性がある。

【参考症例】梅毒 第2期 バラ疹 20代の女性

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 実際に現場の医師からは、皮膚科でバラ疹を別の皮膚疾患と

診断されていたケースや、産婦人科で性器のしこりを見落とされ、多くのパートナーと性行為を持った後にバラ疹が出た例などが報告されている。

パートナーを次々に代える人や不特定多数と性行為を持つ人の間では、本人も気付かないうちに梅毒に感染したり、拡大させたりしているかもしれないのだ。

クリニックを訪れた会社員の男性も、バラ疹が出るまで体の異変に気付かなかった。
梅毒の名前は知っていたものの、「まさか自分が」という驚きは今も隠せない。
「しっかり治るまでは不安。他の人にうつしていなければいいのですがー」

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2017年06月04日

梅毒、尾上泰彦医師に聞く

時事メディカルにインタビュー取材されましたので報告いたします。

インタビュー  2017/5/31

梅毒、尾上泰彦医師に聞く(上)=患者急増、4000症例突破

梅毒患者が急増している。国立感染症研究所の報告によると、2016年第1~47週(1月4日~11月27日)に梅毒と報告された症例数は4077例で昨年同時期(2328例)の1.8倍。一時減少傾向にあったが10年以降増加傾向に転じた。男性では40~44歳、女性では20~24歳の報告例が最も多い。梅毒が流行している背景などについて、性感染症に詳しいプライベートケアクリニック東京(東京都新宿区)の名誉院長、尾上泰彦氏に聞いた。

◇過去の病気、一転再燃

―梅毒はいつから始まった病気か。

①   梅毒患者の症例数の推移

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尾上 梅毒は、梅毒トレポネーマという病原菌がセックスなどの性的な接触によってうつる感染症。1492年に「新大陸」を発見したコロンブスが、欧州に持ち帰ったため全世界に広まったという説があり、日本でも20年後の1512年に病気についての記録がある。国内では1940年代に報告数が20万例を超えた。死を招くこともある病気として知られたが、抗菌薬であるペニシリンが戦後広く普及。小流行はあったものの、2010年には621例で過去の病気となりつつあった。ところが同年以降は増加傾向が続き、昨年1年間で4518例(速報値)と1974年以来42年ぶりに4000例を超えた。

―梅毒の再燃には、どのような理由が考えられるのか。

尾上 感染経路の大半は性的接触。口腔(こうくう)内に感染していたらキスでもうつる。インターネットやSNSの普及で交遊関係が広がり、性行為を目的として不特定多数と出会うケースが大幅に増えたことが背景にあるとされる。しかし、それなら梅毒以外の性感染症も同じように増えているはず。けれども、そのような結果は報告されていない。プライベートなことだけに調査には限界があり、原因ははっきりと分かっていない。

梅毒、尾上泰彦医師に聞く(上)=患者急増、4000症例突破

◇無症状でも強い感染力

―感染したらすぐに分かるのか。

尾上 梅毒は症状によって第1期から第4期まで四つのステージに分類される。初期である第1期は接触してから3週間後、3割の人に陰部、口腔内、口唇部などに硬いしこりができる。

②   第1期顕症梅毒 硬性下疳

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人によっては股の付け根のリンパ節が腫れることもある。それまでは何の症状も表れない。痛みもかゆみもなく、自然に症状がなくなる。残りの7割の人は無症状なので気付かないことが多い。この時期は感染力が強く、他の人に感染する可能性が高い。知らないうちにパートナーに感染させているケースも多く、これが感染拡大につながっている。さらに妊娠中のパートナーに感染すると、胎盤を通して胎児に感染する。これは「先天梅毒」といって区別され、死産、早産、奇形など、胎児や新生児にさまざまな影響が及ぶ。

―それ以降はどういう経過をたどるのか。

尾上 さらに3カ月放置すると病原体が体中に回り、第2期の症状として体全体や手のひら、足の裏に赤い発疹が出る、あるいは肛門にいぼができる。ほとんどの人はこの段階で異常に気付き、皮膚科で梅毒の診断を受けることが多い。この時点であれば、数週間の抗菌薬の服用で完治する。ただ、かゆみも痛みもないのが特徴で、治療しなくても数日から数週間で発疹は消えるため、ここでも放置されることがある。

③   第2期顕症梅毒 手掌・足底(梅毒性乾癬)

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第3期の症状が表れるのは、その数年後。皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生することがある。皮膚が溶けだし、外見的にもすぐ分かる症状が表れるが、かゆみも痛みもない。また、心臓、血管、脳などの体全体の臓器にさまざまな影響を及ぼし、第4期になると、死の危険性もある重篤な状態となる。現在は、治療のための抗菌薬が普及し、比較的早期から治療を開始する例が多い。第3期、第4期の晩期の梅毒に進行する人はほとんど見られなくなった。(ソーシャライズ社提供)

梅毒、尾上泰彦医師に聞く(下)=感染拡大どう対処する?

梅毒は主に同性愛者の間で流行していたが、最近は異性間での感染も多くなっている。知らないうちに多くの人にうつしてしまうだけでなく、パートナーが妊娠していたら母子感染の可能性もあり、小さな命にも影響する。梅毒は適切な治療で確実に治る病気。まずは一人一人ができることから始めることで感染拡大を抑えたい。治療、予防方法について、プライベートケアクリニック東京(東京都新宿区)の名誉院長、尾上泰彦氏に聞いた。

◇検査キットも、陽性なら受診を

④   尾上泰彦医師

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―どのような検査をすれば、梅毒感染の有無が分かるのか。

尾上 梅毒の抗体を見つける「梅毒血清反応検査」で調べる。「脂質抗原検査(STS法)」と「TP抗原に対する検査(TP法)」の2種類がある。

⑤   梅毒血清反応検査の種類

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STS法は感染してから4週間程度で陽性反応が出るが、TP法はさらに2週間程度の時間を要する。一方、STS法は10~20%の確率で偽陽性(BFP)が出るともいわれる。感染の疑いがある場合、両方の検査を組み合わせて行う。
検査はどの医療機関でも行っており、保健所などは原則無料で検査してくれる。病院に行くことに抵抗があれば、自分で検査できるキットがある。少しでも心配な場合は検査を受けることをお勧めする。

―陽性反応が出た場合、どの医療機関にかかればよいのか。

尾上 検査結果が陽性と出たら、専門の医療機関を速やかに受診する。梅毒は症状に苦痛を伴わないことが多いため、放置したり見逃したりすることも少なくない。早期に発見し治療を開始すれば、治療がスムーズに終わり、体への負担も少ない。一度感染しても再感染する可能性もあるので、パートナーと一緒に受診するとよい。
通常は泌尿器科、婦人科、皮膚科にかかる。ただ梅毒は過去のような大流行はなく、最近まで減少傾向が続いたため、若い医師にとってはなじみが薄い。症状があっても視診では他の疾患と間違え、梅毒の疑いを持たずに血液検査まで進まないこともある。感染の不安を持った場合には性行為から3週間を過ぎた後、検査を依頼しよう。性感染症に詳しい医師であれば安心だ。

梅毒、尾上泰彦医師に聞く(下)=感染拡大どう対処する?

◇完治後も抗体はできず

―治療はどのように行われるか。

尾上 症状や病期によっても違うが、抗菌薬の内服治療が一般的。第2期までであれば、4週間の内服で病原菌はほぼ死滅する。その後も医師の指示に従い、完全に死滅するまで内服を続ける。治療薬は耐性の報告がないペニシリン系抗生物質が第1選択。アモキシシリンが使用されることが多い。

⑥   梅毒の治療 日本性感染症学会 治療ガイドライン2016

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欧米では飲み忘れの心配がない1回の注射で終わる治療が行われているが、日本はアレルギー反応で死亡するリスクを考慮し、現時点では未承認だ。死亡のリスクが100万人に1人という低リスクなことから、将来的には承認されるだろう。

⑦アメリカCDC 2015年 ガイドライン

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―一度治療すれば、再発しないか。

尾上 梅毒は強い抗体ができるわけではなく、完治しても、また接触すれば感染する可能性はある。けれども、抗菌薬を飲んで治療すれば確実に治る病気だ。今のところ、抗菌薬に対抗する耐性菌の報告もない。一度感染すると体内には抗体が残るため、数値は高いままになっていることが多い。「治りきってない」「また感染した」と心配になる人もいるが、適切な治療を行えば、数値は高くても病原菌自体は死滅して完治している。数字に惑わされる必要はない。

―感染を予防するにはどうすればいいか。

尾上 100%とはいえないが、性交の際にコンドームを使用することでの有効性は確認されている。梅毒の感染予防の基本は▽不特定多数の人とセックスをしない▽性行為では最後までコンドームを使う▽オーラルセックスは安全とはいえない▽性行為では、この人は大丈夫と思い込まない▽不安な場合は時機をみて検査を受ける▽感染が分かれば徹底治療をする―などが重要だ。(ソーシャライズ社提供)

⑧梅毒の感染予防の基本

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2017年06月01日

注目すべき梅毒の高濃度アモキシシリン治療法など

日本における梅毒感染報告数は爆発的に伸びており社会問題になっております。

今回はその梅毒の治療について勉強したいと思います。


"1950年代、日本ではペニシリンの筋注による「ペニシリン・ショック」で多くの方が死亡し、マスコミで大きく報道され社会問題となりました。

従って、日本では、ペニシリン系抗菌薬の筋肉注射が行えない状況から外国の標準的治療とは異なった独自の治療法となっています。

●日本における梅毒の治療

梅毒の治療には多くの症例で、梅毒トレポネーマの細胞壁合成を阻害し、殺菌的に働き耐性の報告が無いペニシリン系抗生物質が使用されています。


①梅毒の治療薬(参考)

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梅毒の治療は日本性感染症学会の梅毒治療ガイドライン2016によりますと下記のごとくです。

●第1期

バイシリンG:1日120万単位/分3(現在、品不足)

アモキシシリン(サワシリンなど)1日1,500mg/分3

アミノベンジルペニシリン1日1,500mg/分3

2~4週間内服投与する。

●第2期

バイシリンG:1日120万単位/分3(現在、品不足)

アモキシシリン(サワシリンなど)1日1,500mg/分3

アミノベンジルペニシリン1日1,500mg/分3

4~8週間内服投与します。

●第3期以降では8~12週間投与します。

②梅毒の治療 日本性感染症学会ガイドライン

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③日本ではアモキシシリンが最も使用されている

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●ペニシリン・アレルギーの場合は

塩酸ミノサイクリン 1日 100mg×2回を服用します。

あるいは

ドキシサイクリン 1日 100mg×2回を服用します。

投与期間は第1期では2~4週間です。

第2期では4~8週間です。

●妊婦の場合は

アセチルスピラマイシン 1日 200mg×6回を服用します。

④ペニシリン・アレルギー&妊婦の場合

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●世界的にはCDCの治療指針が採択されています。

米国CDCの2015年のガイドラインを見ますと

●ペニシリンGの筋注が推奨されています。

●妊婦に対してはペニシリンGの筋注のみが推奨されています。

⑤米国CDC 2015年のガイドライン

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世界の標準はベンザチンペニシリン 240万単位 1回 筋注です。しかし世界的にこの薬剤が不足しています。

しかも、日本ではベンザチンペニシリンが発売されておらず、現状では多くの国で行われている標準的な治療を行うことができません。



⑥梅毒の世界的標準治療

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海外における標準治療のベンザチンペニシリン 240万単位 筋肉注射(早期:単回投与、後期:週1回3週間)の治療効果は、80~100%と報告されています。

 
⑦梅毒の世界的標準治療

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日本性感染症学会 診断・治療ガイドライン2016では、アモキシシリン1500mg/日の内服を推奨していますが、臨床的な効果を示したエビデンスは乏しく、あまり報告がありません。

 
⑧アモキシシリンの臨床的効果のエビデンスが乏しい

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一方、英国の梅毒ガイドラインでは、ベンザチンペニシリンG(BPG)の代替薬としてアモキシシリン(AMPC)とプロベネシドの併用を推奨しています。
 

⑨英国の梅毒ガイドライン

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日本でもアモキシシリン(AMPC)3000mg/日とプロベネシドによる治療成功率が95.5%という報告があります。内服薬の1日量が2倍になりますが、投与期間が短縮され治療成績も良好です。

 
⑩アモキシシシリン+プロベネシドの治療成功率

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●神経梅毒の治療

ベンジルペニシリンカリウム(結晶ペニシリンGカリウム)を1日200~400万単位×6回

(すなわち1日1,200~2,400万単位を投与)を

点滴静注で10日~14日間投与します。

●先天梅毒の治療

ベンジルペニシリンカリウム(結晶ペニシリンGカリウム)の点滴静注を行います。

⑪梅毒の治療 神経梅毒&先天梅毒

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●HIV患者の梅毒治療については

世界的にはベンザチンペニシリン筋肉注射が標準的治療薬となっています。

●単回投与で感染性の高い第1期、第2期梅毒の治療が完了できます。

●日本では現在、長期間の内服が必要なため、内服コンプライアンスを保つ努力が必要となります。

●HIV患者の梅毒の治療におけるアモキシリン+プロベネシド内服投与の治療効果を検討した結果、

2015年に内服アモキシシリンにプロベネシドを加えた治療がHIV感染者の梅毒合併例に対して高い治癒率を示すとの報告がされています。HIV感染を合併した梅毒症例では、HIVを合併していない梅毒症例よりも治療効果が低いため、この研究成績は梅毒の治療に貢献できる可能性があります。

⑫HIV患者の梅毒治療

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梅毒治療として国際的標準治療薬はベンザシンペニシリンGの筋肉注射ですが、日本では発売されていません。
そこで、日本でも梅毒をきちんと治療できないか、ということで考え出されたのがアモキシシリン+プロベネシドの併用療法です。

 ペニシリンは腎臓から尿中に排泄される抗生物質です。また、プロベネシドは抗生物質であるペニシリンの排泄を抑制するために開発された薬とも言われています。

プロベネシドは高尿酸血症の治療薬ですが、アモキシシリンの尿排泄を抑制するという薬物相互作用があり、併用によりアモキシシリンの血中濃度を高く維持することが可能です。

 プロベネシドを使用することでペニシリンが排泄されにくくなるため、病原菌に対抗しやすくなります。
 
●薬剤の適応や日本性感染症学会のガイドラインにはない投与方法ですから担当医個々の判断が求められますが、1日3gなどの高用量のアモキシシリンを1日750mgなどのプロベネシドと併用して早期顕症梅毒や早期無症候梅毒には2週間、晩期もしくは罹患時期の分からない無症候梅毒には4週間の投与を推奨する報告もあり、このアモキシシリンにプロベネシド併用する医療機関が増加傾向にあります。

ここで、高用量アモキシシリン+プロベネシドの駆梅療法を紹介いたします。

●早期顕症梅毒・早期無症候梅毒では1日3gの高用量アモキシシリンと1日750mgのプロベネシドの併用療法を行います。2週間内服投与します。

●晩期無症候梅毒・罹患時不明の無症候梅毒では1日3gの高用量アモキシシリンと1日750mgのプロベネシドの併用療法を行います。4週間内服投与します。

⑬高用量アモキシシリン+プロベネシド 駆梅療法

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確かに"現在、日本ではベンザチンペニシリンが発売されておらず、世界的に行われている標準的な治療を行うことができません"

しかしながら、最近の梅毒患者の急増によりペニシリン系の筋肉注射を見直す気運が高まっています。

●2017年1月23日に「エイズ・性感染症に関する小委員会」が開催されました。〝梅毒に対するペニシリンGの筋注“について、国内でも使えるようにしてはどうかという提案がありました。

●現在、厚労省は、梅毒の感染拡大に対処するため、1回の筋肉注射で済むペニシリンGの必要性を性感染症の予防指針に盛り込む方向で調整中です。

●しかしながらまだまだ「(ペニシリンGも含めた)国際標準で使用されている薬剤が国内でも使えるようにすることが重要だという認識を共有した」というレベルであることがわかりました。

⑭梅毒治療にペニシリンG(筋注)

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以上。

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2017年05月16日

‟プライベートケアクリニック東京”オープン!

私は、約40年近く川崎市川崎区の ‟宮本町中央診療所”で
「性感染症」を中心に診療に取り組んでまいりました。
 
しかしながら2年前に体調を崩して、断腸の思いで診療所を閉院いたしました。
 
多少の月日は流れましたが、皆さまの暖かいサポートにより体調は回復し、
2年ぶりに「臨床の現場」に復帰できることになりました。
 
皆さまに深く感謝を申し上げます。
 
また微力ながら「性感染症の現場」を通じて地域医療に寄与する所存でございます。
 
今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。
 
リカバリーする「臨床の現場」は何と、新宿地区です。
 
世界でも類を見ない大都市の一つ東京。
 
その中でも特殊な町、「新宿」です。
 
世界でも類を見ない繁華街、若者の町。
 
性産業が隆盛を極めている町「新宿」。
 
性感染症専門の医師として私の出番がありそうな町です。
 
そのJR新宿駅の西口から徒歩で5分足らずの場所に
 
いよいよ性感染症専門クリニックのオープンです。
 
クリニックの名称は❝プライベートケアクリニック東京❞です。
 
①「プライベートケアクリニック東京」オープン!

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『プライベートケアクリニック東京』は、5月15日(月)にオープンいたしました。
 
患者さま、そして私の復帰を待ち望んでいただいた皆さまにお会いできる
ことを楽しみにしています。
 
また、診療を通じて患者さまからパワーをいただき、少しでも患者さまに
パワーを与えることができればと思っております。
 
クリニックはJR新宿駅西口より徒歩3分位です。
 
東京メトロ丸ノ内線の新宿駅 A18番出口より徒歩で3分足らずの地にオープンいたしました。
 
クリニックのビルは幹線道路の青梅街道に面している加賀谷ビルの3階です。
 
②開業祝いのお花!

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診療時間は 午前中は11:00~13:00 午後は14:30~20:00 です。
 
担当医師は名誉院長:尾上泰彦と院長:永田明久です。
 
院長の永田明久先生は感染症の専門家で大変頼もしい先生です。

休診日は日曜・祝日です。そして火曜日も休診となります。
 
③ドクター尾上は休暇中も学会活動は行っていました。

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診療面におきましては、HIV・梅毒・クラミジア・淋菌・咽頭感染をはじめ
  性器ヘルペス・尖圭コンジローマ・性器伝染性軟属腫(水いぼ)・腟トリコモナス症・
  細菌性腟症・ケジラミ症・性器カンジダ症・ウレアプラズマ・マイコプラズマ・アデノイド・
  A型肝炎・B型肝炎・C型肝炎・赤痢アメーバ症・EBウイルス感染症など
  性感染症全般について取り組んでまいります。
 
また相談しにくいお悩みにも私を初め、
プロフェッショナルな医師が適切な診断・治療を行います。
 
専門医とスタッフが皆さまの心のケアも行います。
 
そして少しでも、皆さまの「性の健康」にお役に立てれば幸いです。
 
安心しておいでください。


④ドクター尾上は休暇中も講演活動は行っていました。

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所在地: 〒160-0023 東京都新宿区 西新宿 7-10-7 加賀谷ビル3階
電話: 03-5337-6611

 「プライベートケアクリニック東京」
URLhttps://privatecare-clinic.jp
 
一度、是非ホームページをご覧ください。
 
⑤「プライベートケアクリニック東京」オープン!

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クリニックは1階に「カフェベローチェ」がある加賀谷ビルの3階です。
 
幹線道路の青梅街道に面しています。
 
お時間の許す時に是非一度、クリニックをご覧においでくださっても構いません。
 
ウエルカムです。 お待ちしております。
 
名誉院長:尾上泰彦
院長:永田明久
 
⑥ クリニック顧問 東京大学名誉教授 北村唯一先生

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2017年05月07日

経口避妊薬の歴史と課題

『性の健康  2017年3月』(発行:公益財団法人  性の健康医学財団)の
「こらむ」   “経口避妊薬の歴史と課題”
日本大学医学部   早川 智教授執筆です。

ピルに関する興味ある内容でしたので報告いたします。

①「性の健康 春号」  2017年3月

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<女性が自ら妊娠をコントロールする自由>

多くの生物で、性行動は生殖と同義である。

従って、雌は発情期以外、交尾をすることはない。

ヒトを含む霊長類の一部において性行動と生殖は分離した。

しかし、妊娠という負担を強いられるのは常に雌動物(女性)である。

コンドームを用いた避妊法は18世紀から存在したが、パートナーに
装着してもらわねばならず、女性が自ら妊娠をコントロールする方法は20世紀まで存在しなかった。

<サンガー女史とピンカス博士の出会い>

1950年代、米国において、社会運動家マーガレット・サンガー女史は中絶を減らすため、ペッサリーの普及に努めていたが、思うに任せなかった。

ニューヨークの晩餐会で出会った、生殖生理学者グレゴリー・ピンカス博士に、
「女性自ら行なえる確実な避妊法」を相談した。

ピンカスは、妊娠中に、排卵が起こらないのは、胎盤から大量に分泌される
黄体ホルモンの作用ではないかと考え、友人の産婦人科医ジョン・ロック博士に相談した。

ロックは既に不妊症患者に黄体・卵胞ホルモン剤の投与経験があり、
排卵が抑制されることに気づいていた。

<最初のピル>

1955年に、東京で開催された第5回国際家族計画会議で、ピンカス博士は、
プエルトリコの女性に、黄体ホルモン剤300mgを用いた臨床治験で避妊効果が得られたことを発表した。

日本でも日本医科大学の石川正臣を班長とし、「経口避妊薬に関する研究班」が発足し、1957年に、「ノアルテン錠」、1960年に、「エナビット錠」が、月経異常の治療薬として承認された。

②1960年第1世代のピルが出現した。

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<第一世代ピルと血栓症>

1960年、FDAは、ノルエチノドレル9.85mgとメストラノール0.15mgの
ホルモン配合剤「エナビット10」を経口避妊薬として承認した。

しかし、これら高容量ピルは悪心・嘔吐などの副作用が強く、黄体ホルモン量を
減らした「ノアルテンD」「エナビット5」「アノブラール」「リンデオール」などが開発され普及していった。

しかし、早くも1961年に血栓症の報告があり、続けて乳癌や子宮頸癌(今から思えばHIV感染のリスクを高めるものだった)、肝障害などの報告が相次いだ。

これらの副作用はエストロゲンの量に依存すると推定され、いかにその量を減らすかが問題となった。


<低容量ピルと虚血性心疾患>

その後、1日当たりのエストロゲン量を50μg未満にするべきというFDAの勧告を受けて、新たな低用量ピルが開発されたが、ノルエチステロン系の黄体ホルモン剤では、内膜維持作用が不十分で不正出血の頻度が高いという欠点があった。

そこで、ノルエチステロン18位のメチル基をエチル基に代えたノルゲストレル製剤が開発された。

低用量ピル「マイクロギノン」の登場である。これによりピルの服用率は急速に伸びていった。

しかし、35歳以上で喫煙者の女性では虚血性心疾患のリスクが増加することが判明し普及は頭打ちになった。

<新世代ピルの普及>

その後、血中のLDLコレステロールを増加させるのは、エストロゲンではなく
ブロゲストーゲンが有するアンドロゲン作用であることが判明し、
黄体ホルモン剤の量を減らす努力がなされた。

そして1980年代にはプロゲステロンレセプターに特異的に結合する。

デソゲストレルやゲストデンが開発された。これらは、アンドロゲン作用が抑えられ、
LDLを上げずにHDLを上昇させる作用がある。

今日使用される「低用量ピル」は、エチニルエストラジオールで20-40μg、
黄体ホルモン剤はノルエチステロン、レボノルゲストレル、デソゲストレル、
ゲストデンなどで副作用は極めて限定的である。

③新世代ピルの普及

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<ローマ 教皇庁の見解と今後の課題>

2017年2月18日、ローマ教皇フランチェスコは「避妊は絶対悪ではない」という見解を述べ、ジカ熱の脅威にさらされる女性の権利を容認する立場を明らかにした。

保守的なカトリック教会が2000年来初めて、妊娠をコントロールする自由を認めたことになる。

しかし、ピルの普及によるコンドーム使用の減少とSTIの増加は表裏一体の関係にあり、手放しに喜ぶことはできない。医療者としてはピルの利害損失を十分に啓蒙する必要があろう。


④ピルの普及によるコンドーム使用の減少とSTIの増加は表裏一体

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