泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。
2016年12月01日

真珠様陰茎小丘疹

高校3年生の男子から亀頭冠のブツブツについて相談がありましたので報告いたします。
 
【相談内容】

高校3年の男子です。性器まわりのブツブツ が気になり悩んでいます。
 
自分の性器の皮とカリの部分に白い膿のようなブツブツがたくさんできています。
 
親に相談できずかなり経ってしまったのですが、今になってとても不安になってきました。
教えてください。
 
①真珠様小丘疹
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②真珠様陰茎小丘疹(Pearly penile papules)
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 【回答】

この状態(ブツブツ)で悩んでいる若い男性が大勢いらっしゃいます。
 
人に相談できませんから、いつまでも心に傷を抱えていることになります。
 
この状態は真珠様陰茎小丘疹(Pearly penile papules)と言い
冠状溝、亀頭冠に生じる乳頭状の小結節です。
 
生理的変化で日本人男性の約40%に認められています。
 
性感染症とは何も関係ありません。ですから治療は必要ありません。
 
この存在を知らない医師が診察すると、時により尖圭コンジローマと間違えられて、過剰な手術されてしまうということも報告されています。
 
つまり、医師も誤診してしまう場合があるということです。
 
③真珠様陰茎小丘疹(Pearly penile papules)
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このブツブツが男性にあるとういうことは女性にもあるということです。
 
女性の場合、婦人科、皮膚科では、
 
腟前庭乳頭腫症Vestibular papillomatosis,
 
Hairy nymphae(ヘアリーニンファエ)と表現されることもあります。
 
④腟前庭乳頭腫症(Vestibular papillomatosis )
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女性の場合も生理的変化で小陰唇内側・腟前庭に乳頭がきれいに整っており絨毛状を呈することもあります。
 
通常は左右の小陰唇内側に対象的に乳頭を認めることが多いです。
 
⑤女性の真珠様丘疹 男性より目立ちますね。
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ただ男女共、尖圭コンジローマとの鑑別が難しいこともあります。
 
この場合は乳頭(ブツブツ)の一部を生検し病理組織診断を行います。
 
また貴方は陰茎の包皮内側にみられる黄白色のブツブツも気にしているようですが、これはフォアダイス(Fordyce’s spot)状態といい皮膚粘膜移行部によく見られる皮脂腺で、これも生理的現象です
 
だからご心配いりません。
 
性感染症とは無関係で治療の必要は全くありません。
 
身体のことは、わからないことがたくさんありますね。
 
これからの性の健康をお祈りいたします。

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2016年11月30日

性器ヘルペスの診断・治療

20代の男性から性器ヘルペスについて相談がありましたので報告いたします。

【相談内容】

性器ヘルペスについて話が少し長くなりますが、ご指導ください。

恥ずかしい話 風俗に行きました。
その3日後、違和感があり町のそこそこの総合病院へ行き、事情を説明したところ、皮膚科への受診を勧められました。

局所の痛みが少しあったので、フエナゾール軟骨をもらい、少し良くなりました。

その5日、亀頭から包皮にかけて、ひどい痛みと炎症がおこり、泌尿器へ医師に受診する前に、看護師が目視で皮膚科へ移動。
 
性器ヘルペスと診断されました。

潰瘍はなく赤く爛れ、ひどい傷みだけです。

バルトレックス500mg 朝夜 5日分、 アラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなりました。

その7日後、痛みと炎症が悪化し同じ皮膚科へ受診しました。

毎日1錠分のバルトレックス7日分とアラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなりました。
その7日後、少し良くなっただけで完治せず、再び皮膚科へ受診しました。

問診のみで、毎日1錠のバルトレックスを1ヶ月間飲み続けるように言われました。

今現在発症してから、2ヶ月半たちますが、これって性器ヘルペスですか?

発症から潰瘍やぶつぶつは無く、未だ、炎症、ただれ、多少の痛みがあります。

血液検査もお願いしましたが、検査してもよく分からないとの事でした。

病院を変えた方がよいでしょうか?


①参考症例:初感染初発:亀頭冠、冠状溝、包皮内板に左右対称性に多数のビランを認める.

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 【回答】

貴方は風俗に行き、その3日後に違和感、軽い痛みがあったそうですが、その時は恐らく亀頭包皮炎の状態と思われます。

そこでフエナゾール軟膏を投与されたそうですが、この軟膏は消炎鎮痛外用剤ですから良いと思います。

非ステロイド性抗炎症薬で皮膚の赤みや腫れ、痛みや痒みを和らげる効用があります。

その5日後に亀頭と包皮にタダレが生じ炎症による痛みが出てきたものと考えられます。

その時にバルトレックス500mg 朝夜 5日分、 アラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなった。

この経過から想像するに、私は診察しておりませんから、はっきりとは申せませんが、性器ヘルペスの可能性もあります。


②参考症例:初感染初発:冠状溝、包皮内板に左右対称性に水疱、ビランを認める.
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その7日後に再び、痛みと炎症が生じ同じ皮膚科へ受診した。

そこの皮膚科で、バルトレックス500mg、1日1錠、7日分とアラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなった。

その7日後、少し良くなったものの完治はせず、再び皮膚科へ受診したところ、問診を受けて毎日1錠、バルトレックス500mgを1ヶ月間飲み続けるように指導を受けた。

これが、性器ヘルペスかどうかは今となっては、ヘルペスの専門医が診察しても分からないと思います。

もし性器ヘルペスであれば、再発するのが特徴ですから、ある時期に再発してきます。

もし水疱に気がついたら、専門医を受診し、水疱の病巣基底部から検体を採取し、性器ヘルペスの原因がHSVの1型なのか2型なのか判定する検査法を受けましょう。

これは蛍光抗体法を用いて、型別判定を行う検査法です。

現在、性器ヘルペスの検査(単純ヘルペス特異抗原検査)の中で健康保険を適用でき、

かつ信頼できる検査法のひとつです。水疱を認める状態で受診すれば、この検査が可能です。

もちろんタダレ、ビランの状態でも検体採取は可能ですが、かなり検出率は低くなります。この検査でヘルペスウイルス(HSV)が見つかれば貴方の病気は性器ヘルペスだったと診断ができることになります。

③参考症例:再発例:陰茎体部に多数の水疱を認める.

この時期に水疱の病巣基底部から検体を採取し型別判定を行うと良い.
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血清を用いた抗HSV抗体価の測定は、日常診療において比較的施行しやすい検査の一つですが、病変のウイルスの存在を証明することは難しく、また、その判読には各々の手法の特徴をよく理解することが必要です。

性器ヘルペスに関する血液検査は色々ありますが、保険でできる血液検査は現在のところ良い検査はなく、あっても臨床的な意義が低いとされています。
 
でも新しい検査方法が開発されています。患者さんが恩恵を受ける日も近いでしょう。
 
さて治療薬のことですが、バルトレックス500mg、1日、2回、5日分投与されたことは標準的な処方です。

ただアラセナ-A軟膏3%は抗ウイルス薬の軟膏でヘルペスウイルスの増殖を抑える塗り薬です。
 
健康保険上では内服薬と軟膏の両方は処方できないことになっています。

アラセナ-A軟骨3%は抗ウイルス薬でヘルペスウイルスの増殖を抑える塗り薬です。

薬は良いのですが、内服薬と軟膏の両方の処方は、保険のルール上、違反となります。

バルトレックス500mg錠は、保険上、病名を性器ヘルペスの初感染にすれば
バルトレックスはトータル20錠まで処方可能です。

性器ヘルペスと診断され、年間、約6回以上の再発を繰り返す場合には再発抑制療法といって毎日、バルトレックスを1錠服用して再発を抑制する方法があります。

通常1年間は継続いたします。

④幻の青い鮑

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このことにより、患者さんのQOLが向上し、パートナーにも恩恵があると考えられています。

貴方の場合は、まだ経過観察をしなけばならない期間ですから、これもルール違反となります。

ただ性器ヘルペスをよく見ている医師は、その医師の裁量で再発抑制療法を開始できます。

専門的になりますが、貴方の病気が性器ヘルペスと仮定した場合、貴方が初めて性器ヘルペスに気づいたのであれば、初感染初発のヘルペスか初発型再発の性器ヘルペスです。

ただ、治療は同じですからご安心してください。

また、性器ヘルペスであれば抗ウイルス薬が投与されていますから、約10~14日間で寛解すると思いますが、亀頭や包皮に未だに、炎症やタダレ、多少の痛みがあるのであれば、他の炎症疾患があるのかもしれません。

一度、専門医の診察を受けることをお勧めいたします。

お大事になさってください。


⑤雲竜柳

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2016年11月19日

『性器ヘルペス患者に対するファムシクロビルの安全性と有効性の検討』

私が協力した研究論文(原著)が日本性感染症学会誌 Vol.27,No.1(135~146頁)に掲載されましたので報告いたします。

下記に要旨を示します。

【原著】

性器ヘルペス患者に対するファムシクロビルの安全性と有効性の検討(特定使用成績調査)
本田まりこ、他。

日本性感染症学会誌 Vol.27,No.1

ファムビル錠250mg(販売:マルホ株式会社、製造販売:旭化成ファーマ株式会社、一般名ファムシクロビルfamciclovir 以下、FCV)の性器ヘルペス(genital herpes 以下GH)に対する安全性および有効性を製造販売後の特定使用成績調査(以下、本調査)でProspectiveに検討した。

①(参考症例)女性 初感染初発型 腟前庭、小陰唇、に多数のビラン、浅い潰瘍を認める。
発熱、膀胱炎症状、両側鼠径部リンパ節有痛性腫脹、疼痛あり。

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②(参考症例)女性 再発型。 右小陰唇内側下部にビラン、浅い潰瘍を認める。
掻痒感、疼痛あり。

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2013年8月から2015年2月の期間、GH患者352例(初発型119例、再発型233例)が登録され、そのうち安全性解析対象症例が296例(初発型107例、再発型189例)、有効性解析対象症例が251例(初発型90例、再発型161例)となった。

安全性解析対象における副作用発現頻度は1.4%(初発型0.9%、再発型1.6%)であった。

有効性解析対象における観察期間終了時点の全般改善度を評価したところ、全般改善度が「改善以上」と判定された患者の割合は93.2%

(初発型93.3%、再発型93.2%)であり、皮膚・粘膜病変が治癒するまでの日数の50%点は9.0日(初発型9.0日、再発型9.0日)であった。

③40代前半女性 FCV投与開始前 会陰部左側
紅斑、水疱、疼痛あり。

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④40代前半女性(③と同一症例患者)
FCV投与 6日後 皮膚・粘膜病変治癒

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これらの結果から、GH患者に対するFCVの使用実態下での安全性および有効性が確認された。

尚、当院(宮本町中央診療所)はFCVの安全性および有効性の検討に患者登録医療機関として協力した。

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2016年11月12日

日本性感染症学会 第7回関東甲信越支部総会・学術講演会

①日本性感染症学会 第7回関東甲信越支部総会・学術講演会
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2016年10月29日(土)に東邦大学看護学部 第9講義室にて
 
日本性感染症学会 第7回関東甲信越支部総会・学術講演会が

開催されましたので報告いたします。
 

②日本性感染症学会 第7回関東甲信越支部総会・学術講演会案内ポスター
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本会の支部長は齊藤益子先生です。
 
テーマ:~性感染症のホットな話題を学ぶ~
 

③関東甲信越支部 支部長 齊藤益子教授
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講演1.STDとワクチン
講師:岡部信彦先生(川崎市健康安全研究所)
 
性感染症とワクチン、性感染症としてのジカウイルス感染症とワクチンについて
大変、興味あるお話で、勉強になりました。 


④講演講師:岡部信彦先生(川崎市健康安全研究所)

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ランチョンセミナー:『淋菌感染症 実臨床上のピットフォール』
講師:伊藤 晋先生(あいクリニック)
 
男性尿道炎の原因微生物には淋菌、クラミジア、マイコプラズマ、
ウレアプラズマだけではなくインフルエンザ菌、髄膜炎菌、
アデノウィルス、ヘルペスウイルスなど
10種類以上あることが判り興味深い講演でした。
 

⑤ランチョンセミナー:講師:伊藤 晋先生
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⑥ランチョンセミナー:座長
関東甲信越支部事務局長:
東邦大学感染制御学:小林寅喆教授

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ワークショップ 思春期からの性器疾患
●『男子の性器疾患』
講師:高波 真佐治先生(東邦大学泌尿器科)
●『女性の性器疾患』
講師:松峯 寿美先生(東峯夫人クリニック)
 
講演2.梅毒の動向と予防への提言
講師:石地 尚興(東京慈恵会医科大学皮膚科)
 
梅毒の診断・治療を経験したことのない若い医師が多く
これについて適切に指導をすることが急務である。
など、素晴らしい提言をいただきました。
 
17:00 より懇親会が和やかに行われました。
 
懇親会にて井村幸恵先生とお会いいたしました。
私の愛弟子です。  
平成28年度 日本性感染症学会学術奨励賞受賞が決定いたしました。
おめでとうございます。
 

⑦懇親会にて井村幸恵先生
平成28年度 日本性感染症学会学術奨励賞受賞決定

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一般演題で花岡 希先生から「尿道炎におけるアデノウィルス」について
興味深いお話をいただきました。
 
 
⑧懇親会にて 国立感染症研究所感染症疫学センター
花岡 希先生と共に

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一般演題で渡會睦子先生から
「児童養護施設における性感染症を含めた性・自虐・
加虐行為等の予防教育」についてお話があり、
現場での難しい問題があることを知りました。
 

⑨懇親会にて 東京医療保健大学
渡會睦子准教授と共に

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懇親会にて後輩:大川瑞穂先生と久しく再会いたしました。
 
 
⑩懇親会にて 私の後輩と再会
東邦大学泌尿器科 大川瑞穂先生と共に

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⑪懇親会にて支部長:齊藤益子教授と共に

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次年度より支部長が東京慈恵会医科大学泌尿器科の清田 浩先生に変わられるそうです。
 
以上ご報告いたします。

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2016年11月05日

糖尿病性亀頭包皮炎

20代の男性から亀頭部の包皮の損傷に関して相談がありましたので報告いたします。

【相談内容】

はじめまして お世話になります。

ペニスの包皮について御相談があります。(私は仮性包茎です)

ここ二週間ほどペニス先端部の包皮に柔軟性(伸張性)がなくなり、勃起が起こると周りの皮膚の表面伸びずに細かな裂傷が発生して、中々治りません。

小便等の際に傷に沁みますが大した事はありませんが、勃起すると裂傷が広がり
極少しの出血を伴って、治りそうで治らない状態が続いて困っています。
もちろん性交が出来なくなっています。

傷口はお湯で毎日綺麗に洗い、その後消毒液で消毒していますが、化膿等はありません。

何が原因か良く分からず困っていますので、治療法等でアドバイスがありましたらよろしくお願いいたします。
 
①包皮輪と包皮外板に縦の亀裂が多数認められる。この状態では包皮をめくることは困難になります。
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【回答】

貴男の身長と体重そして体型(肥満型など)が分かりませんからお答えしずらいのですが、貴男はすでに糖尿病になっているか、糖尿病の予備軍だと思われます。
 
糖尿病がありますと、包皮の皮膚粘膜移行部にダメージがくることが多いです。
 
内科の糖尿病の専門医はパンツの中をみませんから、このことはご存じありません。
 
毎日の運動、1~2時間の少し汗をかくくらいのウオーキングが良いと考えます。
 
貴男の体調が良くなれば、ペニスの状態もきっと良い方向にいくと思います。
 
大事なことは、第一に糖尿病の専門医に診ていただき、もし糖尿病と診断されたら食事と運動の指導を受けましょう。
 
②糖尿病性亀頭包皮炎の特徴は、包皮輪の亀裂が縦に生じることです。
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糖尿病性亀頭包皮炎の特徴は、包皮輪の亀裂が縦に生じることです。

糖尿病が持続すると包皮輪においては皮膚粘膜移行部の炎症が生じ弾力性が低下し、機械的刺激(無理にむくと)により容易に亀裂が生じるものと考えます。

今の状態では性的行為は不可能です。

また糖尿病性亀頭包皮炎がありますと、糖尿病により免疫能力が低下しカンジダに感染しやすくなり、カンジダ性亀頭包皮炎を合併することがあります。

何度も申し上げますが、糖尿病の専門医を受診し、貴男は元気になれば、貴男のジュニア(ペニス)もきっと元気になりますよ。

ご機嫌よう。

③ナポリのビッグなレモン 20161105_03.jpg

 

「糖尿病性亀頭包皮炎」の相談者から返事がありましたので追加報告いたします。

【相談者からの返事】

尾上先生、 御親切なご指導誠にありがとうございました。

ご指摘の通り別件で糖尿病と診断を受けておりましたので、その症例として認識を致しました。

早速糖尿病の専門医へ掛かり、治療を受けたいと思っております。

改めて本当にありがとうございました。
 
【回答】

早く良くなって健康なセックスができることを目標にいたしましょう。
 
もしも経過が思わしくなければご連絡ください。
 
お大事になさってください。

Posted by aids : 13:39 | トラックバック (0)

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