泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2009年07月31日

膀胱異物

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7月のある猛暑日、29歳の未亡人が駆け込むようにして受診してきました。
開口一番、「先生、入れちゃったんです。」という訴え。
「えっ・・・? 一体何を何処に入れたんですか?状況を説明してください」
という私の問いかけに対する彼女の答えはびっくりするような内容でした。


「夜中の3時ごろ、婦人用体温計を尿道に挿入してオナニーしていたんです。
そうしたら、興奮のあまり、腰を動かしすぎて、体温計が、スルッと尿道の奥に入ってしまったんです。
潤滑液としてジェリーを付けておいたからだと思うのですが、あっと言う間に・・・。
どうしたらいいでしょうか?助けてください!」


そこで早速、検査に移りました。
内視鏡(膀胱鏡)で膀胱の中を観察してみますと、確かに婦人用体温計が確認できます。
しかし、なんと、今ではあまり使用されていない水銀体温計でした。
ちなみに体温計は破損等はしておらず、38.0度を示しているのも確認できました。


普通の異物であれば、異物用膀胱鏡で取り除くことができるのですが、
水銀体温計は破損すると危険ですからこれは使用できません。
そこで急きょ開腹手術に変更しました。
下腹部を3cmほど切開し、膀胱を開け、安全に婦人用体温計を取り出した。
めでたし、めでたし。


でもあまりにも人騒がせですね。
私は寝ることができないまま、朝9時に始まる外来の診察に向かいました。
こんなこともあるんですね。


さて今回の例でみられた膀胱異物とは、原因はいろいろありますが、
いたずらやオナニー(自慰)で尿道から膀胱に異物を入れて、それが取れなくなった状態です。
入れる物はたくさんあります。


たとえばローソク、マッチ棒、体温計、塗り箸、カテーテル、ビニールチューブ、マドラー、麦わら、紙、鉛筆、ボールペン、ストロー、針金、電線、ヘアピン、輪ゴム、靴紐など、何でもありです。
まさに『この世にある物で膀胱の中に、無い物はない!』といわれるぐらいバラエティーに富んでいます。

このような異物を入れたまま放置しておくと膀胱炎の原因となり、排尿痛、血尿、下腹部痛などの症状がでます。
さらに放置しておくと異物が核となり、その周囲に石が付き、膀胱結石となります。
最悪な場合、膀胱穿孔を生じたり、膀胱結石が巨大となり膀胱から直腸に穿孔してしまい、
肛門から尿が出てきてしまうことさえあります。


もし貴方が、誤って膀胱になにかを入れてしまった場合は、早急に緊急外来にかけ込みましょう。
でも、できればこのような医者泣かせなことがないように、くれぐれもご注意ください。


それでは、ごきげんよう!

投稿者 aids : 14:08

すっかり、コンジローマの被害者意識

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7月のある猛暑の日。
23歳のフリーターA子さんが私の診療所を受診してきました。


「先生、アソコにイボイボができました。痛くもかゆくもありませんが、気持ちが悪くて・・・」 という訴え。
さっそく診察をすると、A子さんの小陰唇と腟前庭に、形が乳頭状、鶏冠状で、
色調が灰白色から褐色、大きさが径1~5mm大のイボが、たくさんできていました。
幸いなことに、腟壁、子宮頸部、肛囲周囲にはイボはできていませんでした。


先生
「A子さん、この病気は尖圭コンジローマです。今、パートナーはいますか?」
A子さん
「え!?尖圭コンジローマ! 本当ですか・・・? 今の彼と付き合い始めて2ヵ月になります。
じゃあ、彼に病気をうつされたんですね。ひどいわぁ。頭にきちゃう!」と、急に怒りだしたA子さん。


「今の彼」という言い方が気になった私はさらに質問をしました。
先生
「つきあって2か月ですか・・・。では元カレとはいつ別れましたか?」
A子さん
「別れたのは、もう半年も前ですから関係ないですよね。移したのは今の彼に決まってます。」


ところが関係あるのです。
尖圭コンジローマは、病気がうつってから発病するまでの潜伏期間が、
約3週間~8ヵ月(平均3ヵ月)もあります。
潜伏期間が長いので、前のパートナーの状態も把握する必要があります。
A子さんの場合、もし前のパートナーに尖圭コンジローマが認められれば、
それが感染源として最も疑わしこととなります。
潜伏期間が長いため、このように誤解を招くケースもあります。


現在のパートナーが実は被害者であるのに、自分が加害者であることを知らずして、
あたかも自分が被害者であると思い込み、すっかり被害者意識で受診してくるA子さんのような場合もあるのです。

そこで、確認のため、A子さんから元カレに電話をしてもらいました。
やはり元カレは、A子さんと別れてから、尖圭コンジローマの治療を、某泌尿器科でやったことが判りました。感染源はモトカレだったのです。


その後、念のため、A子さんの現在の彼にも来てもらい、診察をしました。
幸いなことに、現在は発症していませんでした。
でもこれから約6ヵ月は経過観察することが重要になります。


A子さんは、今の彼の心に深い傷をつけたことを反省していることでしょう。

それではご機嫌よう。

投稿者 aids : 14:00

2009年07月16日

安田大サーカス」団長 緊急手術

安田大サーカスの団長・安田裕己さんが睾丸回転症で入院し緊急手術を受けました。(2009年7月8日)
この病気の件で、尾上泰彦・宮本町中央診療所院長が日刊ゲンダイから取材を受けましたので、取材内容をご紹介いたします。

2009年7月13日(月)10時0分配信 (日刊ゲンダイ)

「記事内容」
お笑いトリオ 安田大サーカス の団長・安田裕己(35=写真中央)が緊急入院した。
キンタマが袋の中で回転し、血管や精管がねじれる「精巣捻転」という病気だ。
安田は都内の病院で緊急手術を受けたというが、一体どんな病気なのか。

所属事務所などの発表によると、安田は8日、都内の自宅で突然、腹痛に見舞われ、
救急車で港区内の病院に搬送、「精巣捻転」と診断された。

『睾丸回転症』ともいい、通常は体に固定されている睾丸が何らかの原因でねじれる病気です。睾丸には血管や精子を運ぶ精管がつながっていて、ねじれると血液などが精巣に流れなくなり細胞が死んでしまう(壊死)。このため、ねじれを治す緊急手術が必要になるのです」
(尾上泰彦・宮本町中央診療所院長)

数時間放っておけば、キンタマの摘出は免れない。20~30代に見られ、不妊症の原因にもなる恐ろしい病気だ。安田は手術で摘出を免れたが、原因は何なのか。

事務所などの説明によると、安田は「睾丸を固定している靭帯が生まれつき細い」ため、回転したというが、キッカケは本人も心当たりがない――と強調するばかりだ。

安田が病院に駆け込んだ日はオフ。仕事中でなくてよかった。

(日刊ゲンダイ2009年7月10日掲載)

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投稿者 aids : 17:19

2009年07月07日

知らないとはずかしい皮膚疾患

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秀潤社 発行: 2009年6月
 
《Visual Dermatology 6 Vol.8 No.6》学術雑誌に掲載されました。
 
『特集 知らないとはずかしい皮膚疾患』の分担執筆者の一人です。
 
分担執筆【Question 13】陰茎冠状溝の多発性小結節

【回答】Pearly penile papules( 真珠様陰茎丘疹 )
 
診断・治療・ポイント(診断のコツ)について解説をいたしました。

投稿者 aids : 11:24

電子書籍 『ドクター尾上のすぐわかる性感染症』

皆さん、お元気ですか。
 
電子書籍 『ドクター尾上のすぐわかる性感染症』が、6月5日に発刊されました。
性感染症(STI)について、楽しく理解できる内容になっています。
よろしかったら、どうぞ、ご購入ください。立ち読みでもいいですよ。



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『ドクター尾上のすぐわかる性感染症』
 
著者   : 尾上泰彦
出版社 : マイカ
発売日 : 2009年6月5日
価格    : ¥300-(税込み¥315-)
電子書籍ですからご購入後、ダウンロードしてお読みください。
 
【内容】
あなたは、性感染症のことをわかっていますか?
自分はそうではないと、断言できますか?
彼や彼女と安心して愛し合うために必要なのは、セーフティセックスの知識。
本書では、自分や愛する人を傷つけないために最低限知っておきたいことを、
現役の医者である著者がわかりやすく解説しています。
実際の診療現場ではどんなことが起こっているのか、きちんと知っておきましょう。

投稿者 aids : 11:16

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