泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2011年05月24日

日本大学医学部川崎総会 学術講演会

日本大学医学部川崎総会 学術講演会にて講演を行いました。
日時と場所:‎5月14日(土) 川崎日航ホテル
演題:「これが性器ヘルペスだ」


【講演要旨】
1.性感染症の特徴
2.性器ヘルペス
3.鑑別診断
 
性器ヘルペスの初感染は性感染症ですが、再発は性感染症ではありません。
 
再発はストレスが原因です。震災の被災地では地震や津波、あるいは心労によるストレスで

性器ヘルペス(性器単純性疱疹)の再発が増えていると考えられます。
 
治療法は確立されておりますから、身近なドクターに早めに相談なさってください。
 
決して恥ずかしい病気ではありません。
 
ただ、再発した時には性行為は約10日間は避けて下さい。
 
以上です。 ごきげんよう。


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投稿者 aids : 01:36

2011年05月17日

安全なセックスとは?(女性編)

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安全で健康なセックスとは、どんなセックスなのか。
男性側のことをお話した前回に続き、今回は女性側の話をしましょう。
キーワードは前回と同様、「ウェットなセックス」です。

健康な若い女性のおりもの(帯下と呼ばれる子宮頸管・腟分泌物)は、腟の粘膜を絶えず潤しています。、また、このおりものは老廃物を外に排除するほか、雑菌から腟を守る働きもあります。通常は無色透明、白色あるいは淡いクリーム色をしています。

さて、このおりものは、腟の粘膜を潤してはいますが、これだけではウェットなセックスをするには十分ではありません。

もう一つ、必要な粘液があるのです。健康な女性であれば性的な興奮により、ぬるぬるした透明な潤滑液 (無色透明な漿液性粘液)が何処からか、泉の如くあふれ出てきます。この潤滑液は腟の入り口部分を潤し、ペニスの挿入を容易にする働きがあるので、この潤滑液が出てくることによって、男性を受け入れる準備が始まったということになります。

この液が有名な、“女性の愛液”といわれているバルトリン腺液です。

それでは、バルトリン腺はどこにあるのでしょうか。それは小陰唇の外側下部(左右一対)にあります。表面からはまったく分かりません。

バルトリン腺の正式な名称は、大前庭球腺といいます。ここでバルトリン腺液が生産され、腟前庭部の腟口下部外側のピンホールからでてきます。このピンホールを開口部といいます。

あまり知られていませんが、女性にはもう一つ愛液が出る、スケネー腺という分泌腺があります。ただし、分泌量はバルトリン腺ほど多くはありません。

スケネー腺は外尿道口の直ぐ内側下部の左右に位置しています。

女性の愛液はバルトリン腺液だけではないのです。スケネー腺液も素晴らしい愛液です。

このように、男性も女性も濡れていることがセックスの必要条件なんです。ドライなセックスはお互いを傷つけてしまいますからね。セックスはあまりあわてないでください。スロー!スロー!スロー!が原則です。お互いにしっかりウエットな状態になっていることを確認してください。

そして何よりも、安全で健康なセックスで一番大事なことは、パートナーを愛することです。貴方はもしかしたら、目の前のパートナーではなく、セックスのみを愛してはいませんか!?

そうではなく、パートナーをしっかりと愛してくださいね!そのポイントを、ご理解いただければ幸いです。それでは性の健康を祈念しまして、今回のコラムを終わりたいと思います。

投稿者 aids : 07:45

2011年05月10日

『アトラスでみる外陰部疾患ピライベートパーツの診かた』

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amazon.co.jpのカスタマーレビューで
私の著書『アトラスでみる 外陰部疾患 ピライベートパーツの診かた』(2010年10月1日発行・学研メディカル秀潤社)が おすすめ度最高の「星5つ」がついているのをネット上で見つけました。
その中で読者のお一人から最高のおほめをいただいたので、恥ずかしながら、その文面をご紹介いたします。

★★★★★性感染症・泌尿器科の世界への最高のイントロダクション,2010/12/28
レビュー対象商品:アトラスでみる外陰部疾患プライベートパーツの診かた (単行本)

この本を手に取られた方は、まるで読者に語りかけてくるような、豊富で説得力のある写真の数々に圧倒されます。そして、気取らない、平易な言葉による、時にウィットと含蓄に富む解説。
膨大な臨床経験とエビデンスに基づいた本書は、(医療界でスポットが当たらない)性感染症の世界に読者を魅了させます。
写真のほとんどが筆者の尾上先生が日常診療で撮影されたとのこと。
驚くべきは、尾上先生は大学病院や総合病院で勤務される泌尿器科医ではなく、一介の(失礼!)個人開業医であられること。
むしろ開業医として、性感染症に深刻に悩む患者さんたちに、同じ目線で親身に長年診療をされてきたからこそ、これだけの豊富な臨床例をご経験され、患者さんの協力も得られ素晴らしい写真が集まったのでしょう。

性感染症やセクシャリティは、大学の医学教育でフォーマルに取り扱われておらず、日本の性感染症の教育システムは、真の意味で確立されていません。
しかし、泌尿器科、皮膚科、産婦人科領域はもちろん、内科、精神科、外科であっても、診療現場においてセックスやそれにまつわる問題から目をそらすことはできません。
本書は、日本で希有な、性感染症に関するきわめて良質なガイダンスとイントロダクションであると同時に、 性感染症に関する日本のエビデンスの集大成です。

以上です。
その読者に真に感謝申し上げます。

投稿者 aids : 00:07

2011年05月09日

安全なセックスとは?

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今回は、安全で健康なセックスとは、どんなセックスなのか考えてみたいと思います。
一言で言えば、「特定のパートナーとの愛のあるセックス」ということになるわけですが、
今回は、医学的な観点から、少し知見を加えて、深く考えてみたいと思います。
答えは、簡単ではありませんが、私なりに思うところをまとめてみました。

キーワードは、「ウェットなセックス」です。
安全なセックスを行うには、お互いの性器が濡れることが必要です。
ドライなセックスは危険です。お互いの性器が傷つくからです。
若くて健康な方は、自然と濡れてきますから、心配はいりません。

それではどうして濡れるのでしょうか?
男性側からみていきましょう。
若い男性であれば性的な刺激により、尿道口よりぬるぬるした透明な潤滑液が出てきます。
これが俗にいうガマン汁です。
ガマン汁の正式名称はカウパー腺(Cowper腺=尿道球腺)液といいます。
医学的に言うと、カウパー腺は尿生殖隔膜内に左右一対みられます。
カウパー腺は尿生殖隔膜(陰茎の尿道海綿体部と前立腺部の間の膜)を通り、尿道海綿体部の尿道部につながっています。
性的興奮により、アルカリ性の透明な粘稠性のある液を分泌され、それが尿道口から出てきます。

このカウパー腺からの分泌液は、精液の10%~20%を占めるとされています。
男性の尿道は普段、尿路として弱酸性の状態にあり、これが尿道の感染防御機能を果たしています。精子は酸性状態が苦手です。

一方、カウパー腺液は弱アルカリ性で尿路を中和します。
これにより精液・精子が通過するのに良い環境が整えられたことになります。
射精現象に備えるということです。
そういう理由でカウパー腺液は尿道を尿路から精液路に変えるリセットボタンとも言えます。
この潤滑液が安全なセックスを行う上で、大変重要なのです。
性的興奮により、アルカリ性の透明な粘稠性のある液を分泌され、それが尿道口から出てきます。

次回は女性側の話をしますね。
楽しみにお待ち下さい。

投稿者 aids : 21:08

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