泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2011年10月15日

子宮頚がん予防ワクチン(後編)

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前回は、子宮頚がん予防ワクチンの種類についてご説明いたしました。
サーバリックスとガーダシルという2種類のワクチンがあり、それぞれ予防できるHPVの型が若干違うというお話でした。
今回は、一つ大きな注意事項についてお話したいと思います。
それは、ワクチンは100%子宮頸がんを予防できるわけではないということです。
サーバリックスを接種してもHPV16、18型以外の感染およびこれらによる病変発症の予防は期待できません。 また、ガーダシルを接種してもHPV6、11、16、18型以外の感染およびこれらによる病変発症の予防は期待できません。 そして、ワクチンはあくまで予防のためですので、接種前にすでに感染しているHPVを排除したり、すでに生じた病変の進行予防効果は期待できないのです。

また、ワクチンの有効性が示されている期間は限定されています。
ワクチンの十分な予防効果を得るためには、必ず3回接種してください。
サーバリックスは初回接種(1回目)、1ヶ月後(2回目)、6か月(3回目)に、 腕の筋肉内に注射します。
ガーダシルは初回接種(1回目)、2ヶ月後(2回目)、6か月(3回目)に、 腕の筋肉内に注射します。 3回接種することで十分な予防効果が得られるため、3回目まできちんと接種しなければなりません。

この際に注意しなければならないのは、3回とも、同じ種類のワクチンを接種するということです。1回目にサーバリックを接種した場合には、そのまま続けてサーバリックスを、1回目にガーダシルを接種した場合には、そのままガーダシルを接種するということですね。
1回目以降、2、3回目で他のHPVワクチンを接種した場合の予防効果は確認されていませんので注意が必要です。

また、ガーダシル接種直後又は接種後に、注射による心因性反応を含む血管迷走神経反射として失神があらわれることが報告されています。 失神による転倒を避けるため、接種後30分程度は座って待つなど、 お医者さんから指示があると思いますので、それには従うようにしましょう。
(参考:MSDの資料)

投稿者 aids : 12:37

子宮頸癌予防ワクチン(前編)

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今回は、子宮頚がんの予防ワクチンについてお勉強いたしましょう。

現在、日本で接種できる子宮頸がんの予防ワクチンは2種類あります。
GSK社(グラクソスミスクライン社)製のサーバリックスとMSD社製のガーダシルというワクチ ンです。

サーバリックスは16、18型のヒトパピローマウイルス (以下HPV)による感染を防ぐワクチンです。それに対し、ガーダシルは6、11、16、18型のHPV による感染を防ぐワクチンです。ですから、サーバリックスを接種すると、体の中に16、 18型のHPVに対する抗体が作られます。

また、ガーダシルを接種すると、体の中に6、11、16、18型のHPVに対する抗体が作られます。 つまり、ガーダシルには、子宮頸がんの原因となるHPVの16型と18型以外に、HPV6型と11型に対する感染予防効果も含まれているため、これらのウイルスが関係している尖圭コンジローマの発症も予防できます。

このように特徴はそれぞれ異なりますから、接種する子宮頸がん予防ワクチンの種類、内容については、お医者さんにご相談いただくのがいいでしょう。

子宮頸がんの予防には、ワクチンの接種と定期的な検診が重要です。
ワクチンを接種してもすでにHPVに感染していたり、異なる 型のウイルスに感染したりして、子宮頸がんが発症する可能 性があります。 早期発見と、治療のために20歳を過ぎたら定期的に子宮頸 がんの検診を受けることをお勧めいたします。

次回は、ワクチンについての注意事項と接種回数についてお話いたしましょう。
(参考:MSDの資料)

投稿者 aids : 12:12

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