« 2012年02月 | メイン | 2012年04月 »
「彼の金玉が3個ある!?」「精液瘤」(後編)
前回は、カップルで受診してきた彼のほうに、精液瘤の疑いがあったことをお話いたしました。
今回は、この精液瘤についてもう少し詳しくお伝えします。
精液瘤の大きさは殆どが直径2cmから4cm大ですが、もちろん、もっと大きな場合もあります。
多くは20歳~50歳代にできますが、陰嚢の腫脹だけで痛みなどはありません。
癌とも関係ありませんし、子供もつくれます。
陰嚢に触れて偶然に発見されることが多いのですが、大きくなると陰嚢が腫れて、精巣嚢腫(陰嚢水腫)との区別が難しくなる場合もあります。
精液瘤かどうかを調べる臨床診断の一つに、透光性試験があります。
陰嚢の後面から懐中電灯をあてると、精液瘤は内容が液体なので光を通しますが、精巣(睾丸)は光を通しません。こうしておおよその診断ができます。
また精液瘤に針を刺して、その内容液を採取すると、比較的透明度の高い乳白色の液体が得られます。この穿刺液を顕微鏡検査して精子が発見されれば診断がつきます。
精液瘤は小さければ、穿刺して内容液だけ採取し様子をみますが、また内容液が溜まってしまい、何回も穿刺しなければならなくなる場合もあります。
再発を繰り返す場合や大きい場合は泌尿器科医の診察を受け、手術の判断をしてもらいましょう。
この彼の場合は、精液瘤に比較的太い針を刺して、その内容液を20ccほど採取いたしました。
比較的透明度の高い乳白色の液体が得られました。
診断結果は、典型的な精液瘤でした。
投稿者 aids : 19:22
「彼の金玉が3個ある!?」「精液瘤」(前編)
20代前半の女性が、彼を連れて受診してきました。
彼女は、開口一番こう言いました。
『先生、彼の金玉が3個あるんだけど、どうしてなんですか?3年前に付き合い始めた時には、確か左右に一つづつしか玉がなかったのに、いつの間にか右の袋の方に小さな玉が一つできて、それが段々大きくなってきて、今では金玉と同じくらいになってるんです。大丈夫かどうか、診てください。』
「それでは、診察いたしましょう」
彼は23歳のサラリーマンでした。
今までに陰嚢のトラブル等は無いと言います。
診察すると、確かに彼の右の陰嚢の中には2つの塊が触れました。
感触からすると、上に位置するのが精巣(睾丸)で、もう一つはピンポン玉大の大きさになっており、泌尿器科医の経験から直ぐに精液瘤を疑いました。
さて、この精液瘤とは何でしょうか?
その前に、精巣上体について簡単に説明したいと思います。
精巣上体は、精巣から精管まで精子を運ぶ細い1本の管が束なっている器官です。
この精巣上体の細い管腔壁の一部が弱くなって伸びてしまい、袋状に膨らみ、精子の混入した液が充満して次第に腫大して大きくなった嚢胞が、精液瘤です。
それでは、次回はこの精液瘤について、もう少し詳しくお話いたしましょう。
投稿者 aids : 19:03
月経と片頭痛(後編)
前回のコラムでは、月経のときに起こる片頭痛についてお伝えしました。
今回は、頭痛に効果のある薬についてお話いたします。
月経の時には、効果の作用時間が、24時間と最も長い「ナラトリプタン」(商品名:アマージ)が良いと言われています。
効果が出るまでには時間がかかるので、消炎鎮痛薬も一緒に飲むといいでしょう。
また、直ぐに治したい時は、効果の発現が早い「リザトリプタン」(商品名:マクサルト)をお勧めいたします。
この薬により、痛みはかなり抑えられ、患者のQOL(=生活の質)は向上し、普通の生活が送れるようになります。
患者にとっては大変嬉しいことでしょう。
一方、男性の患者数が女性の3~7倍多いのが「群発頭痛」です。
この頭痛は片目の奥を刺すような痛みが、数週間から数か月間持続し、ほぼ毎日1、2時間は起こります。
この頭痛には、トリプタンの自己注射薬が最も効果が高いようです。
患者によって、薬の効果は異なります。頭痛患者にとって、頭痛薬の種類が増え、薬の選択肢が増えたことは、大変喜ばしいことですね。
投稿者 aids : 22:17
月経と片頭痛(前編)
10年以上片頭痛に悩まされている30代の女性が受診してきました。
話を聞いてみると、その片頭痛は月に1~4回起こり、片頭痛が始まると3~4日以上続くと言います。さらに、その症状は、頭の片側がガンガン痛み、嘔吐してしまうこともしばしばあるようです。
その結果、仕事も休まなければならない場合もあるそうです。
しかし、日本国内での最も多い頭痛は、頭が締め付けられるように痛くなる「緊張型頭痛」で、片頭痛ほど痛みは強くないと言われています。
片頭痛は、脈打つように強く痛み、吐き気を伴い、動くと悪化することもあります。
片頭痛の患者は、国内では、800万人以上いると考えられ、何と、女性の患者数は、男性の2~4倍だそうです。
その女性患者の6割以上が、月経の前や最中に起こる片頭痛を経験している、とされています。大学病院教授は、「女性の片頭痛患者の割合は、初潮後に増える。片頭痛の発症には、女性ホルモンの変動が関係している」といいます。
さらに「月経時片頭痛」は①痛みが長く続く②痛みが強い③薬が効きにくく、一度治まっても再発しやすいといった特徴があると述べています。
では来週は、これらの痛みを抑える頭痛薬についてお伝えしましょう。
投稿者 aids : 16:44
『第8回 川崎STI研究会』
今回は毎年恒例の性感染症研究会の報告です。
今年は『第8回 川崎STI研究会』を2月25日(土)午後4時から川崎日航ホテルにて開催いたしました。
【講演】
総合司会 ヨシムラ医院 院長 吉邨泰弘先生
<演題1>
座長:宮本町中央診療所 院長 尾上泰彦
「MSM(Menwho have sex with men)と性感染症」
演者:しらかば診療所 院長 井戸田一朗先生
MSM(ゲイ)と性感染症に関するお話で、大変興味ある講演でした。
しらかば診療所がマニアックなクリニックであること、且つ、井戸田先生がMSMのSTI/AIDSの世界で活躍されていることが良く分かりました。
< 演題2>
座長:帝京大学医学部付属溝口病院 皮膚科教授 清 佳浩先生
「梅毒に関しての当院の動向」
演者:横浜市立市民病院 皮膚科科長 毛利忍先生
梅毒に関しては日本国内でがあまり講演がありません。興味ある講演で大変、勉強になりました。
研究会出席者 約70名
研究会終了後 情報交換会をいたしました。
代表世話人 尾上泰彦(宮本町中央診療所)
世話人 吉邨泰弘(ヨシムラ医院)
世話人 清 佳浩(帝京大学医学部付属溝口病院)
世話人 吉川琢磨(よしかわ耳鼻咽喉科)
投稿者 aids : 19:01