泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2014年04月14日

非特異的亀頭包皮炎

20代後半の未婚、男性がクリニックに受診してきました。クリニックにはスマホを見てきたそうです。主訴は「性器が腫れて、痛かったり、痒かったりします」です。

『何時からですか?』

 「昨日から痒みと痛みがでてきました。

今日からオチンチンが腫れてきました。心配です」

 先ず、診察する前に、彼の下着が分泌物でかなり汚れていることに驚きました。

 つづいて、性器を診察しようとすると、包皮輪が狭小(せまい状態)で、包皮が簡単にめくれません(飜転できない状態)でした。

 それでも優しく、ユックリ、ユックリ、包皮をめくっていきました。

かなり痛そうです。

『痛いですか?!』  「大丈夫です・・・ウ・・!」

 そういいながら、包皮がやっとめくることができ、亀頭が露出できました。

みると亀頭、包皮内板、冠状溝が赤くなっており、特に包皮内板、冠状溝周辺はウエットでジュクジュク、ズルズルしており、かつ黄色の固まったカス(恥垢)が、かなり溜まっていました。

 専門家と言えども、あまり見たくない所見(状態)でした。

これでは下着が汚れる訳です。

 しかし、尿道口からは膿などは出ていませんでした。

『女性との関係はありましたか?風俗とかに行きましたか?』 

「恥ずかしいのですが、3日前に、人生で始めてヘルスに行きました」

『それでは、オーラルサービスと素又(大腿の内側にペニスをはさみマッサージなどを受けること)をしたということですね!?』

「はい、その通りです」

この病気の臨床診断名は非特異的亀頭包皮炎です。

 これは比較的ポピュラーな病気です。

 病原微生物は、淋菌やクラミジアではなく連鎖状球菌、ブドウ状球菌、腸内細菌類、大腸菌などです。

ヘルスに行ったことが感染源・誘因で生じた、いわゆる雑菌(細菌)による亀頭包皮炎と考えられます。もちろん、尿の細菌学的検査・遺伝子検査を行いましたが、淋菌、クラミジア感染は認められませんでした。

 治療は抗生物質の内服と非ステロイド系消炎用軟膏を使用しました。

彼は、その5日後に再来院してきました。

性器を見ると、陰茎包皮内板の赤みはなくなり、炎症はかなり改善されていました。

 が、残念なことに、包皮内板には、まだ恥垢が溜まっていました。

『お風呂に入った時に包皮をめくって洗っていますか?』

「包皮をめくるのが、怖くて洗っていません」

『包皮をめくることは、怖くありません。心配ありませんよ。

これからは、毎日めくって、亀頭と包皮を優しく洗ってあげてください。

でなければ、貴方はセックスをする資格はありませんよ』

 「分かりました。今日からはチャンと洗うようにします」

なんと彼は、これまでの人生で、ペニスの包皮をめくったことがなかった訳ですね。

 そこで、包皮をめくるトレーニング(練習)を毎日行うように指導しました。

 毎日、包皮をめくること(包皮のストレッチ)です。

 このストレッチを努力して毎日行っていれば必ず、容易に包皮がめくれるようになります。

 さらに、話をよく聞いてみました。

『ところで、彼女はいるの?』

「彼女はいます。でもこれまでにセックスをしたことがありません」

『これからは、風俗に行かないで、彼女とセックスをしなさい。

 彼女はそれを待っていると思いますよ。それには包皮のストレッチをする事と包皮の清潔を保つことが必要ですね』

 「わかりました。がんばります」

 最後に、彼が彼女と健康なセックスができるようになることをお祈りいたします。ごきげんよう!

 

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投稿者 aids : 09:50 | トラックバック

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