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性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究
以下の研究事業に研究協力者として参加いたしましたので報告いたします。
平成25年度厚生労働科学研究費補助金(エイズ対策研究事業)
高リスク層のHIV感染監視と予防啓発及び内外のHIV関連疫学動向のモニタリングに関する研究
『性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究』
分担研究者/研究担当者:
荒川創一(神戸大学医学部附属病院感染制御部)、
木原正博(京都大学大学院医学研究科社会健康医学系専攻社会疫学分野)
研究協力者:尾上泰彦(宮本町中央診療所)その他。
研究要旨
全国主要都市の29のSTDクリニックを受診した患者(男女)及びセックスワーカー(CSW)を対象として、希望者に無料HIV抗体検査を提供し、HIV感染の浸透度を検討した。対象者は、STD感染不安もしくは定期健診のために受診した者とし、同意を得てHIV抗体検査およびHIV検査ニーズ及びHIV関連知識に関するアンケート調査を行った。
平成25年9月7日から12月末日(一部医療機関は平成26年末日まで)の間に連続サンプリングした。22医療機関から症例が集まり、集まった症例数は、男性患者322例、女性患者109例、CSW160例で合計591例であった。
HIV抗体陽性者は、男性患者5名(1.55%)に認められた。アンケート分析の結果、HIV検査目的以外で受診した例は、男性患者75.4%、女性患者84.7%、CSW32.3%であったが、無料検査希望者は、
90%以上と高率であり、無料検査希望者は、全国的傾向であることが示唆された。HIV受検経験者の割合は、男性患者15.3%、女性患者11.8%、CSW73.3%で、HIV受検経験者中の複数回経験者は、それぞれ、25.0%、
50.0%、73.7%であった。HIV感染リスク認知が「全くないor低いと思う」と回答した者は、男性患者73.1%、女性患者61.2%、CSW41.6%と、リスク認知が不十分な状況が示唆された。HIV関連知識(7項目)に関しては、正解率70%以上が多く、知識レベルは一般に低くはないが、3グループとも、「性感染症に罹っているとHIVに感染しやすい」、 「保健所では名前を言わず無料で検査できる」、 「HIV検査で感染が分かった場合、名前や住所が国に報告される」の正解率は低かった(それぞれ、47.63%、56.69%、21.36%) 。以上より以下の点が示唆された。
(1)男性患者のHIV抗体陽性率は依然1%前後で、これまで同様保健所等での検査よりかなり高率であった。
本調査では、男性のHIV感染者は関東方面に集積していた。
(2)無料HIV検査へのニーズが全国的に非常に大きく、無料HIV検査提供の意義が改めて示された。
(3)STDクリニック受診者の間には、「性感染症に罹っているとHIVに感染しやすい」という
予防上重要な知識の普及が不十分であり、今後の啓発の重要性が示唆された。
投稿者 aids : 02:39
梅毒 若い男に急増のナゾ
2013年11月28日(木)発行の「夕刊フジ」に掲載されましたので報告いたします。
梅毒 若い男に急増のナゾ
世界中で蔓延(まんえん)を繰り返した梅毒は、治療薬ペニシリンの開発で、“過去の病気”とみられてきたが、昨年まで3年連続で患者数が増加。現在の統計方法になった平成12年以降、初めて1000人を突破した。
ベートーベンやニーチェも苦しんだ
ベートーベンやニーチェが苦しんだころは、売春婦が病気を媒介し、男から女へ、女から男へと患者を広げていた。
しかし、最近は事情が違うという。日本性感染症学会評議員で、「宮本町中央診療所」の尾上泰彦院長が言う。
「梅毒は男性同性愛者に多く、患者は8割が男性で、特に30代くらいまでの比較的若い人に目立ちます。
男性同性愛者に多いのは、アナルセックスが原因。アナルセックスは、肛門の締め付けが膣より強く、 ペニスにキズがつきやすい。その傷口から梅毒の細菌が感染しやすいのです。また、30代くらいまでは、恋愛感情が盛んで、交際が終わっても新しいパートナーを求めたがる。晴れてパートナーができると、相手に梅毒を感染させたり、相手から梅毒を感されたりして、病気が広がっていくのです」
オチンチンやリンパ腺が腫れても痛みなし
梅毒は、陰茎やリンパ腺が腫れたりするのが初期症状。ところが、腫れても痛みがないから放置されやすい。
そういう症状の軽さも患者を増やすゆえんだ。
「感染を防ぐには、コンドームが効果的ですが、万全ではありません。フェラチオはじめオーラルセックスで、 梅毒を起こす細菌が口に感染するのです」(尾上氏)
もちろん異性間セックスで感染するケースもあるが、そのルートは日本に出稼ぎにきたアジア人女性とセックスした男性が感染するのがほとんどだという。感染ルートがなんであれ、梅毒の人が注意しなければいけないことがある。
「梅毒の人は、HIVにも感染している可能性がとても高い。梅毒の診断を受けたら、念のためHIV検査も受けるべきです」(尾上氏)
梅毒単独なら、最大8週間抗生物質を服用すれば治る。
しかし、HIVを合併していると、薬が効きにくく、治療が難しくなるという。
投稿者 aids : 00:15
日本大学医学部より 兼任講師を委嘱
投稿者 aids : 23:23
“無自覚性病”に注意
“無自覚性病”に注意
2014年(平成26年)6月18日(17日発行)の
日刊 ゲンダイ に私の記事が掲載されましたので報告いたします。
“無自覚性病”に注意
ED治療薬バイアグラのジェネリック医薬品が発売され、「いつまでも現役」でいることに、より抵抗感がなくなったのでは?
しかし、気をつけたいのは性感染症だ。「チャンス」が増えれば、「リスク」も増える。
性感染症を数多く診ている宮本町中央診療所(神奈川)・尾上泰彦院長は、「性感染症には無症状のものもある。感染に気づいていない人は珍しくない」と話す。
無症状の最たるものが、性感染症の原因となる細菌に、咽頭が感染しているケースだ。
100%症状が出ないものも
「オーラルセックスで、クラミジア、淋病、ヘルペス、梅毒などに感染します。その中には、ほぼ100%、症状が出ないものもあります。見た目も変化がないので、視診だけでは分かりません。性感染症を専門に診ている医師でないと、性感染症があっても喉まで調べない。そもそも性感染症を
専門に診ている医師は少ない。だから、治療へとつながりにくい」
どの性感染症にも共通することだが、セックスパートナーの片方が性感染症にかかれば、もう片方も発症するリスクが高い。2人とも治療をしなければ、原因細菌のキャッチボールをし続けることになるし、ほかの人とセックスをすれば、感染が拡大していくことになる。
咽頭の場合なら、「性風俗店で客から女性従業員に感染→その女性から自分に感染→自分から妻へ感染、あるいは別の性風俗店の女性従業員へ感染」ということも十分に起こり得る。
性感染症は、女性に症状が出にくいものが結構ある。その場合は、男性の症状が発見のカギになる。「妻以外の女性とセックスしたために感染したから、妻には内緒で治療しよう」なんてことは、NG。
検査はパートナーと二人で
一方に症状がなくても、「検査は2人で」が鉄則だ。
「世界的に最も多い性感染症クラミジアは、女性の7割が無症状といわれています。
ただ、症状が出ると、おりものが増えたり、不正出血、下腹部痛、排尿痛、性交痛を認める場合もある。
男性では、軽い排尿痛や尿道のかゆみを認め、尿道からは白っぽい水様性分泌物が出てきます。放置すると、菌の拡散に加え、女性は不妊症を、男性は前立腺炎や精巣上体炎を起こしやすくなります」
淋病も、女性は症状が出ないことが多い。男性は、尿道から黄色い膿が出て、排尿時に激しい痛みが生じる。
性器にはっきりとした病変がなくても、性器からウイルスを排出していて、セックスパートナーにうつす可能性があるのが性器ヘルペスだ。
「初めて感染すると、症状としては性器に小さな水疱が多数でき、それが破れるとただれや潰瘍になります。
女性は排尿時に激しい痛みが出ることも。性器ヘルペスの厄介な点は、一度感染すると、ウイルスが神経の奥に住み着き、免疫力が落ちた時などに何度も再発を繰り返すことです。
その都度、セックスパートナーに感染させる可能性が出てきます」
再発を繰り返す場合は、年単位で薬を服用する治療が必要になる。
感染から症状が出てくるまで時間がかかるのは、尖圭コンジローマや梅毒、HIVだ。
尖圭コンジローマは、性器や肛門の周りに、米粒大から指先ほどのイボができる。
「梅毒は、感染後2~3週間で小さな硬結ができて、それがただれて潰瘍になり、やがて約3カ月後には全身に皮膚症状が出てきます。HIV感染症は、エイズ発症前に薬さえ飲めば、HIV感染の段階で食い止められる時代になってきました」
感染しないことが大前提だが、もしもの時の必須知識として覚えておこう。
投稿者 aids : 13:43
『神奈川県保険医協会より感謝状』
『神奈川県保険医協会より感謝状』
2014年6月15日
神奈川県保険医協会 第59回定時総会にて表彰されましたので報告いたします。
これまで永年にわたり会の事業発展のための協会活動に貢献したということで表彰され感謝状をいただきました。
感謝状は写真をご覧ください。
私からも関係者各位に感謝を申し上げます。
投稿者 aids : 12:29
「民間クリニックへのHIV即日検査の導入支援および実施状況の解析」
「民間クリニックへのHIV即日検査の導入支援および実施状況の解析」
厚生労働科学研究費エイズ対策研究事業
『HIV検査相談の充実と利用機会の促進に関する研究』
平成25年度 研究報告書
発行:2014年3月31日
私が関与した研究を報告いたします。
「民間クリニックへのHIV即日検査の導入支援および実施状況の解析」
研究分担者 : 井戸田一朗(しらかば診療所)
研究協力者 : 尾上泰彦、他.
【研究要旨】
HIV検査希望者にとって利便性が高い検査相談体制の一つである「即日検査」について、民間クリニックへの導入支援を行うとともに、実践施設での検査数、陽性数等の動向を調査した。
本年度は新規導入が4箇所あり、研究協力クリニックの合計は36個所となった。
実践状況調査は34箇所について行った。本年度の検査数は25,936件と昨年と比較して13%の増加となり、2001年以降最高となった。
陽性数は87件と昨年より6%減少し、陽性率も0,34%と低い傾向にあった。
その他クリニック(主にSTIクリニック)のみの確認検査陽性例の結果受け取りや医療機関の受診状況については、陽性例87例中81例(93%)が確認検査の結果を受け取っており、そのうち89%は受診把握もされていた。
多くの陽性者を早期のHIV治療に結びつけたことは、検査提供者としての役割を十分に果たしていると思われる。
HIVの早期発見・早期治療に民間クリニックでの即日検査の実施は非常に効果的であり、今後も民間クリニックへの即日検査の導入を進めていきたいと考えている。
投稿者 aids : 02:28
中学生向け性教育の啓蒙用ポスター 「性器クラミジア感染症に注意」
少年写真新聞社は中学生向け性教育の啓蒙用ポスターを作成しています。
保健室指導用 「中学保健ニュース」 のポスターです。
今回のテーマは性感染症の中で「性器クラミジア感染症に注意」です。
発行は平成14年7月8日号です。
少年写真新聞社から性器クラミジア感染症の症例写真の提供を依頼されました。
そこで①男性のクラミジア性尿道炎症例②女性のクラミジア性子宮頸管炎 を提供いたしました。
ポスター内容は以下の如くです。
性器クラミジア感染症は、性行為により感染する病気の中で、若者に最も多い病気です。
男性は尿道に、女性は子宮や卵管に炎症を起こしますが、無症状のことが多く、知らないうちに悪化したり、人に感染させたりする傾向があります。
特に女性は放置しておくと、不妊のリスクが高まるので、正しい予防法を知っておき、性行為には、慎重になることが大切です。
指導 東京産婦人科医会監事/元東邦大学客員教授 木村好秀先生
(クラミジアトラコマチスの写真)国立感染症研究所感染症疫学センター
(性器クラミジア感染症の症例写真提供) 宮本町中央診療所院長 尾上泰彦先生
投稿者 aids : 20:22
日本発「スーパー淋病」の恐怖
日本発「スーパー淋病」の恐怖
薬が効かない! 一生治らない!?
世界保健機関(WHO)が「壊滅的被害も」と警告
[高齢者も要注意]
WHOがいま、世界的な蔓延を警戒する病気、それが「淋病」である。たかが性病と侮るなかれ、現在大流行している新種の淋病は、薬も効かず、一生治らない可能性すらある。
しかも、その「スーパー淋病」が発見されたのは、この日本だった。
京都のヘルス嬢から「発見」
世界保健機関(WHO)のケイジ・フクダ事務局長補は記者会見でこう述べた。
「終末論的な幻想ではないが、一般的な感染症や軽傷が致命的となるポスト抗生物質が21世紀に到来する可能性は非常に高い」
「抗生物質の開発や生産、処方の方法を変えなければ、世界は公衆衛生の実現手段を 失い、その影響は壊滅的になる」・・・・・
この4月30日に発表された「抗菌薬剤性:2014世界報告」は・・・・
従来の抗生物質では死滅しない「超強力な細菌(スーパーバグ)」に関する調査結果や医療の状況などについて報告した。
この報告書のなかでも世界中でもっとも注目を集めているのが、意外にも「淋病」に関する記述である。
淋病とは、淋菌の感染によって起きる性感染症の一つだ。性行為やオーラルセックスで感染し、淋菌は性器や咽の奥で繁殖し、淋菌性尿道炎を発症する。
男性の場合、尿道内に炎症が起きて、尿道から膿が流れ出て、排尿時には鋭い痛みを感じる。
女性の場合は、自覚症状がないことが多いが、放置すると菌が骨盤内の膜や卵巣、卵管に進み、内臓の炎症や不妊症、子宮外妊娠に発展することもある。
出産時に母子感染も起き、子供の目に淋菌がついて失明する危険もある。
報告書によれば、世界では100万人以上が淋菌に感染しているという。
淋病の治療には、セフィキシムという抗生物質が世界中で使われているが、耐性菌の 出現で使えなくなっている国として、オーストラリア、フランス、日本など10か国が挙げられている。
淋病研究の権威で、元・産業医科大副学長の松本哲朗氏(現・北九州市役所保健福祉局医務監)はいう。
「淋病に抗生物質が効かなくなりつつあります。最初はペニシリンが効かない耐性菌ができ、それ以降、さまざまな抗生物質が開発されては効かなくなった。日本においてセフィキシムは、決められている投与量では効く人と効かない人が半々という状況なので、現在は注射剤のセフトリアキソンという抗生剤が主に使われています。
しかし、このセフトリアキソンも、4年前に日本で完全に耐性をもつ菌が発見され、世界の医療関係者に衝撃が走ったのです」
“最後の切り札”ともいえるセフトリアキソンにも耐性をもつ「スーパー淋病」がすでに誕生しているのである。しかも、世界で初めてこのスーパー淋病が発見されたのは日本だった。
その耐性菌を発見したのが、保科医院(京都市)の保科眞二医師である。
「京都市内のファッションヘルスに勤める女性(当時31歳)の定期検診で、咽が淋菌に感染していることがわかり、セフトリアキソンを投与したところ、菌が消えなかったのです。
それで菌を採取したのち、もう一度、投与したところ、菌が消えた。ただ、咽頭淋菌は当医院の調査によると25%は自然になくなっていくので、抗生剤が効いたのか、自然になくなったのかは定かではありません」
採取した淋菌を解析したところ、セフトリアキソンに対する非常に強い耐性をもっていることが判明したのだ。世界にショックを与えた、スーパー淋病発見の瞬間である。
一生セックスできない
梅毒と並ぶ「性病」の代名詞ともいえる淋病だが、致死率は低く、直接死に至る病とはいえない。
ただ、体が弱っている人だと、性器や咽だけでなく、淋菌が全身に回って炎症を広げ、別の病気を発症して死に至ることもある。
もしスーパー淋病が蔓延し、根治(淋菌を完全に殺す)できなくなれば、炎症を抑えるなどの対症療法しかなくなり、膿が出て性器に痛みが走るといった症状と一生つきあうことになる。
隔離されることはないまでも、セックスはできなくなる。
日本で確認されているスーパー淋病の事例は、今のところ京都の1件のみだが、海外ではヨーロッパとオーストラリアで発見され、増加しつつある。もちろん、日本は1件だけだから安心だとはいえない。
「女性の場合、症状が出にくいので、他で耐性菌が生まれ、感染に気づかないままもっている人がいるという可能性は考えられます。それが広がらないかどうか、心配されるところです」 松本氏はそう警告する。
海外で性的な接触をした人が日本に持ち込んでしまったり、海外の保菌者が日本で持ち込んでしまったり、海外の保菌者が日本に旅行に来て持ち込む可能性も十分にあるのだ。
スーパー淋病に効く新たな抗生物質の開発 が望まれるが、「今のところ、セフトリアキソンにかわる有効で使いやすい抗生剤は存在しない。製薬会社や国の研究機関も含めて、新しい抗生物質の開発スピードが鈍っているというのが厳しい現実」(松本氏)だという。
耐性菌と新薬のイタチごっこはこれまでずっと続いてきたが、いよいよ限界。
そのためWHOも異例の警告に踏み切ったのだ。
素人女性が危ない
厚労省の性感染症報告数の調査によれば、淋病は02年の2万1921件をピークに減少してきたが、10年ごろに底を打ち、ここ数年は1万前後で横ばいが続いている。
「根絶できなかったのはさまざまな要因が考えられますが、不十分な治療や海外からの持ち込みで、耐性菌が増えたこともその一つといえます」(前出・松本氏)
現実にいま、淋病感染の温床になっているのは、性風俗産業よりも、素人女性だといわれている。
前出の保科医師は、実態をこう語る。
「風俗の女性は、店が定期検診を受けさせることが多いですが、素人の女性は検診を受ける機会が少ない。女性は自覚症状が出ないことが多いので、なかなか検診にまで至らないのです。
妊娠中絶を希望されてくる女性を検査すると、感染していることがあります。性的に活発な女の子たちは、概して無防備なので陽性と出ることが多い。実感としては風俗の女性より素人の方が
危ないように思います。高校生もいますよ」性に解放的な若年層の女性が感染源となるケースは多いのである。
65歳夫婦で感染
体の構造からしても、若い女性の方が淋菌に感染しやすいという。
性感染症に詳しい宮本町中央診療所の尾上泰彦医師が解説する。
「若い女性の子宮腟部・頸管部の粘膜には円柱上皮細胞が存在します。淋菌やクラミジアはこの円柱上皮細胞が好きで、この細胞のあるところに好んで住み着くと考えられています。
しかし閉経期を過ぎると、この円柱細胞が子宮腟部・頸管部から消失していきますから、淋菌感染症やクラミジア感染症に罹りにくくなると考えられています」
もちろん、これは程度の話であって、高齢の女性なら感染しないというわけではない。
「セックスパートナーがいてセックスをしていたら、60~70代の女性でも、淋病に罹るリスクが出てきます。(前出・尾上氏)
もちろん、若い女性とセックスをしたシニア男性にも、感染リスクはある。
実際に尾上医師の元へ訪れた65歳の女性で、淋菌に感染していたケースがあったという。
「先生、おりものが変なんです。旦那が遊び人なんでちょっと心配で、診ていただきたいんですが・・・・・・」と受診してきた女性に対し、子宮頸管・腟分泌物の検査を行ったところ、子宮頸管から膿性の分泌物が認められた。
「65歳という年齢から考えて、淋菌感染症は考えにくい」とは思ったものの、HE染色の顕微鏡検査で淋菌の痕跡が認められ、さらに淋菌の分離培養で、淋菌が検出されたので淋菌性子宮頸管炎と診断した。問診を進めると、この夫婦には週に1回程度の性交渉があった。女性によれば夫以外との性的交渉はないという。「旦那さんはどうしていますか?」と聞くと、2週間前から激しい腕の関節炎で、ある病院の整形外科の入院しているとのこと。
「私の推察では、この方の夫は『播種性淋菌性関節炎』(淋菌が血液に侵入して全身に回って関節炎を引き起こす淋菌感染症)の可能性だ大です」あくまで想像だが、夫がどこかで浮気して感染し、妻にうつしたものと考えられる。
成城松村クリニックの松村圭子院長はこう指摘する。
「高齢者が性感染症に感染するのは、女性が閉経して妊娠しないため、コンドームを着けずに性交したことが原因であることが多い。オーラルセックスのときも、コンドームをしっかり着けることが大事です」特定のパートナーとのセックスでは不要だが、それ以外の相手との性行為では、しっかりとコンドームを装着することが、エイズに限らず、淋病の感染を防ぐうえでも効果的だという。スーパー淋病に対しても、正しく怖がる姿勢が大事だ。
尾上泰彦
投稿者 aids : 12:09
「千葉県皮膚科医会学術講演会」が開催されました。
「千葉県皮膚科医会学術講演会」
私は今回、この講演会で性器ヘルペスのお話をいたしましたので報告いたします。
講演会の内容は下記の如くです。
「千葉県皮膚科医会学術講演会」
【日時】 2013年5月30日(木)
【会場】 京成ホテルミラマーレ 6F ローズルーム
千葉県中央区本千葉町15-1
【座長】 そが皮膚科院長 児島孝行先生
【演題1】 『ウイルスの最近の話題』
【演者】 富山大学医学薬学研究部ウイルス学
教授 白木公康 先生
【演題2】『性器ヘルペス臨床の最前線』
【演者】宮本町中央診療所
院長 尾上泰彦 先生
共催:千葉県皮膚科医会/マルホ株式会社
私のプレゼンテーションの内容は
■性器ヘルペスの特徴
■発症のメカニズム
■診断・検査
■臨床例の実際 初感染例 再発例
■治療
■鑑別診断
です。
臨床的特徴としては
■比較的多い性感染症です。
■HSV 1型または2型の感染によります。
■初感染時、約70%の症例で無症状に経過します。
■初感染は症状が激しく、再発では症状は軽くなります。
■初感染後1年までは、無症候性にウイルス排泄が多く認められます。
■初感染者のパートナーの約75%は罹患していることに気付いていません。
■受診してくる患者は再発例が約95%とかなり多く、初感染例は少ない。
以上です。
投稿者 aids : 02:08
厚生労働科学研究費エイズ対策研究事業
厚生労働科学研究費エイズ対策研究事業
「民間クリニックへのHIV即日検査の導入支援および実施状況の解析」
厚生労働科学研究費エイズ対策研究事業
『HIV検査相談の充実と利用機会の促進に関する研究』
平成25年度 研究報告書
発行:2014年3月31日
私が関与した研究を報告いたします。
「民間クリニックへのHIV即日検査の導入支援および実施状況の解析」
研究分担者 : 井戸 田一朗(しらかば診療所)
研究協力者 : 尾上泰彦、他.
【研究要旨】
HIV検査希望者にとって利便性が高い検査相談体制の一つである「即日検査」について、民間クリニックへの導入支援を行うとともに、実践施設での検査数、陽性数等の動向を調査した。
本年度は新規導入が4箇所あり、研究協力クリニックの合計は36個所となった。
実践状況調査は34箇所について行った。本年度の検査数は25,936件と昨年と比較して13%の増加となり、2001年以降最高となった。
陽性数は87件と昨年より6%減少し、陽性率も0,34%と低い傾向にあった。
その他クリニック(主にSTIクリニック)のみの確認検査陽性例の結果受け取りや医療機関の受診状況については、陽性例87例中81例(93%)が確認検査の結果を受け取っており、そのうち89%は受診把握もされていた。
多くの陽性者を早期のHIV治療に結びつけたことは、検査提供者としての役割を十分に果たしていると思われる。
HIVの早期発見・早期治療に民間クリニックでの即日検査の実施は非常に効果的であり、今後も民間クリニックへの即日検査の導入を進めていきたいと考えている。
投稿者 aids : 02:04
井村 幸恵さんがアメリカの微生物学会から「Outstanding Student Poster Award」という賞をいただきました。
『Outstanding Student Poster Award』受賞
当院の臨床研究生(東邦大学 大学院学生博士課程)井村幸恵さんがアメリカの微生物学会から『Outstanding Student Poster Award』という賞をいただきました。研究内容は淋菌の生殖器と咽頭感染についてです。大変名誉ある賞と喜んでおります。おめでとうございます。
●井村 幸恵Yukie Imura
American Society for Microbiology
Outstanding Student Poster Award
114thGeneral Meeting
May 17-20,2014
Boston,Massachusetts
1933Sequence Type and antimicrobial susceptibility profile of Neisseria gonorrhoeae isolates from urogenital and pharyngeal sites in Japan
●Y.Imura,A.Kanayama and I.Kobayashi
(Toho Univ.,Faculty of Nursing,Dept.of Infection Control and Prevention,Tokyo,Japan)
Y.Onoye(Miyamoto-cho Chuou Urologic Clinic ,Kanagawa,Japan)
投稿者 aids : 01:57
『アトラスでみる外陰部疾患 プライベートパーツの診かた』 増刷
『アトラスでみる外陰部疾患 プライベートパーツの診かた』増刷
私の著書 『アトラスでみる 外陰部疾患 プライベートパーツの診かた』 (単行本)
発行所:株式会社学研メディカル秀潤社
発行日:2010年10月1日
今回、私の著書である 『アトラスでみる外陰部疾患 プライベートパーツの診かた』 の増刷が決まりましたので報告いたします。
増刷の入庫: 2014年6月中旬となりました。
これまでの読者ならびに販売社、発行関係者に厚く感謝申し上げます。
また、ある読者のお一人から最高のおほめをいただいたので、恥ずかしながら、その文面をご紹介いたします。この本を手に取られた方は、まるで読者に語りかけてくるような、豊富で説得力のある写真の数々に圧倒されます。
そして、気取らない、平易な言葉による、時にウィットと含蓄に富む解説。膨大な臨床経験とエビデンスに基づいた本書は、(医療界でスポットが当たらない)性感染症の世界に読者を魅了させます。
写真のほとんどが筆者の尾上先生が日常診療で撮影されたとのこと。
驚くべきは、尾上先生は大学病院や総合病院で勤務される泌尿器科医ではなく、一介の(失礼!)
個人開業医であられること。
むしろ開業医として、性感染症に深刻に悩む患者さんたちに、同じ目線で親身に長年診療をされてきたからこそ、これだけの豊富な臨床例をご経験され、患者さんの協力も得られ素晴らしい写真が集まったのでしょう。
性感染症やセクシャリティは、大学の医学教育でフォーマルに取り扱われておらず、日本の性感染症の教育システムは、真の意味で確立されていません。
しかし、泌尿器科、皮膚科、産婦人科領域はもちろん、内科、精神科、外科であっても、診療現場においてセックスやそれにまつわる問題から目をそらすことはできません。
本書は、日本で希有な、性感染症に関するきわめて良質なガイダンスとイントロダクションであると同時に、性感染症に関する日本のエビデンスの集大成です
以上です。
この読者に真に感謝申し上げます。
投稿者 aids : 01:52