泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2014年12月26日

96 オーラルセックスで発症した亀頭粘膜下血腫

今回は日本性感染症学会 第27回学術大会の学会誌
(第25巻第2号2014 p.111~114)に掲載されました図説(著書)をご報告いたします。
 
学会は平成26年12月6日(土)・7日(日)に神戸国際会議場で開催されました。
論文は下記に示します。
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オーラルセックス中に発症した亀頭粘膜下血腫
 
亀頭粘膜下血腫は、オーラルセックスが日常的に行われている今日、想定できる事象である。
しかし調べ得た限りでは、その報告が見当たらず、亀頭粘膜下血腫は極めて稀な症例であると思われる。
今回、筆者の経験したことのない亀頭の外傷症例に遭遇し、その経過を臨床写真で時系列に撮影できたので、性感染症ではないが報告した。


症例

患 者:40歳、男性、未婚

職 業:サラリーマン

主 訴:ペニス先端の大きな「血豆」

既往歴、家族歴:特記すべきことはない

患者背景:特定のセックス・パートナーはいない。しばしば性風俗店には行くという。

現病歴:ソープランドでの性風俗従事者(CSW:commercial sex workers)に長時間に渡るかなり激しい

オーラルサービスを受け、その後の腟性交の最中に陰茎に疼痛を感じ、腟から陰茎を抜去したところ、亀頭部に大きな血腫の発症していることに気づいた。

CSWからコンドーム装着時に亀頭部が赤いと指摘されたが、そのままコンドームを装着し腟性交を行った。その最中に疼痛を感じたため、陰茎を抜去したが、その際に亀頭部の血腫に気づいた。

患者は気が動転し、性風俗店(ソープランド)の勧めもあり、当院に緊急来院してきた。ソープランドに行く前に何かドリンク剤を服用したが、ドリンク剤の内容は不明であった。

 
初診時現症:亀頭背側面のほぼ中央から、やや左側寄りに大きな粘膜下血腫を認めた(図1)。

鮮血色の緊満したドーム状隆起を認め、その大きさは約縦幅28mm、横幅22mm、高さ12mmであった。

この粘膜下血腫は破綻しておらず、血腫内の血液内容は極めて薄い粘膜に保持されていた。

鼠径部リンパ節の腫脹や圧痛は認めなかった。

血圧:130/80mmHg  脈拍:72/分 不整脈なし

体温:36.8℃   身長:169cm   体重:68kg

陰嚢、肛門及び口腔に異常所見を認めなかった。

初診時検査成績

尿検査:淋菌(SDA法);陰性   クラミジア(SDA法);陰性

治療と経過

以上、問診、臨床症状、視診所見よりCSWによるオーラルセックスによる外傷により生じた

亀頭粘膜下血腫と診断した。

薬剤は抗生物質セフジニル(セフゾン®カプセル)300mg/day及びロキソプロフェン(ロキソニン®錠)

180mg/dayを7日間経口投与した。局所には白色ワセリンを外用した。

 初診日(来院時)

図1 初診時の局所写真:

亀頭部の背側面中央に大きな粘膜下血腫を認める。

 初診日(処置中写真)

図2 初診時:処置終了前の局所写真:

亀頭をやや左側に傾け、注射用針(21G)を用い血腫の粘膜の一部を穿刺し、血腫内の血液内容を

用手的に丁寧に、ゆっくりと排出させた(図2)。血腫は消失し、血液内容の排出に要した時間は

約15分であった。

初診日(処置終了時)

 

図3 初診日:処置終了時写真 血腫が除去された状態。

亀頭冠のやや左側に約5mm×1.5mmの粘膜下出血を認めた。

オーラルセックス時に歯で咬まれたと考えられた。

局所処置として食品包装用ラップフィルムに白色ワセリンを塗布し、創傷面に貼付した。

2日目(翌日)

 

図4 2日目の局所写真:

亀頭粘膜下にあった血液内容は消失し、粘膜下血腫を保持していた粘膜が一部、輪状に残っており、
その粘膜辺縁が隆起していた。また亀頭冠に歯咬傷の粘膜下出血が残っていた。

4日目

図5 4日目の局所写真:

亀頭粘膜の背側面は軽い発赤を認めており、また一部に白色を呈する粘膜辺縁を輪状に認めているが、創傷面の面積はあきらかに縮小傾向にあり、治癒過程に入っていた。

しかし、亀頭冠には歯咬傷の出血斑が残っていた。

28日目

 

図6 28日目の局所写真:

受傷後、28日目の視診所見であるが、亀頭粘膜の一部に、わずかな発赤を認めるが、
粘膜上皮はきれいに再生し、正常となり完全治癒とした。

 
解説

亀頭粘膜下血腫について

今回報告した亀頭粘膜下血腫が発症する要因を考えると、亀頭粘膜上皮の脆弱性、
亀頭粘膜の湿潤状態、乾燥状態、浅い潰瘍、ビランさらに患者本人の包茎に伴う不潔な包皮環境、
その他の感染症などが関与すると思われる。

ただ治癒後の患者の陰茎は包皮の飜転が容易に可能な仮性包茎であり、亀頭粘膜の湿潤状態も良好で、脆弱性のある亀頭粘膜とも考え難い状態であった。

筆者はオーラルセックスが発症の第一要因と考えており、特にCSWの歯咬的刺激がその原因と憶測している。

通常の外傷症例であれば、粘膜上皮が破綻して出血していても何も不思議でない状況であるが、
本症例では粘膜上皮が破綻していないことに驚きを感じる所見であった。

処置内容としては注射用針(21G)を用い血腫の粘膜の一部を穿刺し、血腫内の血液内容を
用手的に丁寧に、ゆっくりと排出させた。結果的にこの処置は奏功し、鮮血色の緊満したドーム状
隆起を呈していた血腫は消失した。その後の処置内容は、食品包装用ラップフィルムに白色ワセリン
を塗布し、それを創傷面に貼付する治療のみで、創傷面は縮小し、かつ順調に回復し、

亀頭粘膜が再生いく過程を経時的に追うことができた。
オーラルセックスが日常的に行われている今日、これからも、亀頭の外傷症例に遭遇することは

想定できる事象である。心しておきたい。

 
宮本町中央診療所:Miyamotocho Chuou Clinic

(〒210-0004)神奈川県川崎市川崎区宮本町4-1 宮本町中央診療所 尾上泰彦

 日性感染症会誌 オーラルセックスで発症した亀頭粘膜下血腫

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2014年12月24日

モ-ニングセミナ- 「淋菌・クラミジア感染症 再感染防止のために」のDVD完成

日本性感染症学会 第27回学術大会

モ-ニングセミナ-の講演中DVDができあがりましたので報告いたします。

日本性感染症学会 第27回学術大会 モ-ニングセミナ-1


 日時:2014年12月7日(日)8:00~8:50

 会場:神戸国際会議場 3F国際会議室 第2会場

 演題:淋菌・クラミジア感染症 再感染防止のために

 座長:帝京科学大学 看護学科教授 齋藤益子先生

 演者:宮本町中央診療所  院長  尾上泰彦先生

 共催:日本性感染症学会第27回学術大会

ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社


 残念ながらこのDVDは非売品・配布厳禁です。

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モ-ニングセミナ- 「淋菌・クラミジア感染症 再感染防止のために」

日本性感染症学会 第27回学術大会でモ-ニングセミナ-の講演を行いましたので報告いたします。
以下がその概要です。

 

日本性感染症学会 第27回学術大会 モ-ニングセミナ-1

 日時:2014年12月7日(日)8:00~8:50

会場:神戸国際会議場 3F国際会議室 第2会場

演題:淋菌・クラミジア感染症 再感染防止のために

座長:帝京科学大学 看護学科教授 齋藤益子先生

演者:宮本町中央診療所  院長  尾上泰彦先生

共催:日本性感染症学会第27回学術大会

ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社

以下に講演要旨を述べます。


1.   感染症発生動向調査

2.   淋菌・クラミジア感染症について復習

3.   咽頭感染について復習

CSWの口腔・咽頭は性感染症の温床

淋菌の感染症部位別 検出率の比較

4.   再感染防止のために

5.   臨床で行われている咽頭の淋菌・クラミジア検査法

6.   新しい咽頭の淋菌・クラミジア検査法 TaqMan PCR

7.咽頭のスワブ法とうがい液法ついて

8.うがい液法の有用性

9.淋菌・クラミジアの治療

10.治癒確認の必要性

11.咽頭淋菌・クラミジア感染症の臨床症例 重複感染例を含めて

12.陽性患者とそのパートナーの受診について
パートナーの受診率とその陽性率
パートナーを受診させるためには

13.パートナーを積極的に受診させるためにの説明・指導
陽性患者に対する説明・指導

14.感染予防の基本
STI検診を勧める
人生の節目にSTI検診

15.咽頭感染の今後の課題

16.再感染防止のために治癒確認が重要

咽頭検査の必要性を今一度訴えたい

座長の齋藤益子先生

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 講演:『目で見る これが性感染症だ!』

私の講演会がありましたので報告いたします。
 
内容は以下の如くです。
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日本大学医学部泌尿器科同門会総会
 
日時:平成26年12月20日(土)16:00~
 
会場:御茶ノ水ソラシティーカンファレンス1FルームA
 
●特別講演 日本大学医学部兼任講師
宮本町中央診療所 院長 尾上泰彦先生
 
座長:同門会会長 熊谷振作先生
 
演題:『目で見る これが性感染症だ!』
 
STI(性感染症)の臨床写真を提示し、視診技術についてのべました。
 
講演終了後、活発な質疑応答が行われ大変、有意義な講演会となりました。
 
その後、忘年懇親会が「銀座アスタ お茶の水賓館」で和やかに行われました。
 
出席者は現役、OBを含めて100名近くと盛況でした。

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座長:同門会会長 熊谷振作先生

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2014年12月16日

包皮小帯の疼痛

30歳の男性から男性器から相談がありましたので報告いたします。

【相談】
ここ2~3日、亀頭のうらの筋の繋がってるところ中心に痛みがあります。
 
気持ち腫れている気もします。何もしなければ痛みはありませんが、触ると痛みます。
 
尿をする際は痛みはありません。
 
痛みの種類は、強いて言えば、ヒリヒリするという感じです。
 
薬局で非ステロイド系の軟膏を購入し塗っていますが、今後どうすればよいでしょうか?
 
ご指導ください。
 
【回答】
亀頭のうらの筋の繋がってるところは包皮小帯といいます。
 
この部位は炎症が生じやすく、また傷つきやすいところです。

この部位は皮膚粘膜移行部(デリケートゾーン)で、ステロイド系の薬剤は好ましくありません。
 
貴方の購入された非ステロイド系の軟膏(消炎鎮痛外用剤)がよろしいかと思われます。
 
軟膏を使用していても、腫れやヒリヒリ感などが改善されない場合または悪化する場合は、軟膏の使用を中止して、早めに泌尿器科の専門医に診ていただきましょう。  

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第198回ICD講習会

日本性感染症学会 第27回学術大会 第198回ICD講習会の報告をいたします。

ICDとはInfection control doctorのことです。

この講習会は感染症の専門医の資格を得るためのもので、予め申込みをし参加します。

参加者はおよそ500名の医師です。

私はこのICD講習会の司会をおおせつかりました。また私自身も講演いたしました。

以下がその概要です。

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日本性感染症学会 第27回学術大会

第198回ICD講習会

会期:平成26年12月7日(日)16:00~17:30

会場:神戸国際会議場 メインホール

テーマ:外来で見る性感染症の一般知識

(個人単位の感染制御という概念を含め)

司会:尾上 泰彦(宮本町中央診療所)

演題1.外来でみるSTIとは

尾上 泰彦(宮本町中央診療所)

演題2.クラミジア感染症・淋菌感染症

伊藤 晋(あいクリニック)

演題3.性器ヘルペス・尖圭コンジローマ

川名 尚(帝京大学産婦人科)

演題4.梅毒

尾上 智彦(東京慈恵会医科大学皮膚科)

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司会のことば   宮本町中央診療所  尾上泰彦

今回のICD講習会では、日本性感染症学会として「外来で見る性感染症の一般知識(個人単位の感染制御という概念を含め)」というテーマで、定点報告対象疾患の淋菌感染症、クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ。全数報告対象疾患の梅毒を取り上げた。
4人のエキスパートの先生方にそれぞれの疾患の最前線の解説をしていただく。
ICDであれば性感染症患者に、その疾患の診断、治療、予防についての教育をできる程度の見識を持っておくべきである。副題の“個人単位の感染制御という概念を含め”とは、ICDとして患者あるいは一般市民に性感染症から自分の身を守るための知識を与えることができるという意味を込めている。

1)  私は、先ずSTIの序論について触れ、開業医の立場から経験しえたSTIの臨床写真を提示しながら、問診、視診技術のポイントについて言及し「外来で見るSTI」の実態にせまる。
2)   淋菌、クラミジアは男性尿道炎や子宮頸管炎の主要な起炎微生物である。
尿道炎を中心に淋菌感染症、クラミジア感染症の問題点さらに咽頭感染について、この疾患に精力的に取り組んでおられる伊藤 晋先生(あいクリニック)にお話しをいただく。
3) 性器ヘルペスと尖圭コンジローマは、共にウイルス性の性感染症で、それぞれ独特な感染病理を有し根治が難しい疾患である。この疾患の診断、治療については日本を代表する川名 尚先生(帝京大学 産婦人科)にお話しをいただく。
4) 梅毒は決して過去の病気ではない。術前検査で発見されることもあり、ICDとして診断、治療に関わることもある感染症である。特に、男性同性愛者(MSM;men who have sex with men)では梅毒とHIV感染症の合併の頻度が、高いことがしられている。また最近、血清反応検査は、自動化検査法に変更され、その解釈はICDにとっても重要な知識である。この梅毒については尾上智彦先生(東京慈恵会医科大学 皮膚科)にお話しをいただく。
今回のICD講習会が、ICDの皆様の性感染症対策に最新の情報提供の機会となれば幸いであり、多くの方々のご参加を期待したい。

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以下が私の講演内容の要旨です。

1.外来でみるSTIとは

宮本町中央診療所  尾上泰彦

日本性感染症学会の診断・治療 ガイドライン 2011にはSTIとして17疾患が記載されている。

今回のICD講習会では外来で見るSTIとして頻度の高いクラミジア感染症、淋菌感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマそして梅毒を取り上げた。

外来で見るSTIは教科書で見るような典型的な症例ばかりではない。

むしろ非典型的な症例が多く診断に苦慮する場合も多い。そのため、STIの診断には問診、視診技術が重要となる。

問診は簡単な項目(主訴、来院理由など)の聴取にとどめ、詳細は性器の視診時に行うことを勧めたい。

これは視診の流れの中で問診を進める方が、より具体的な内容の聴取が可能なことを経験するからである。

プライベートパーツを見せている状態の方が、患者側も心が開きやすく、医師とのコミュニケーションが取りやすいと考える。性行動の内容としてオーラルセックス、アナルセックスなどの聴取、ことにオーラルセックスが日常的に行われている現在、これについての聴取は診断に重要である。パートナーの人物背景も参考となる。

特に、10代の後半~30代の男性患者では男性同性愛者(MSM;men who have sex with men)の可能性もある。

MSMの可能性のある患者に対しては、セックスパートナーが異性であるかのような問診をすべきではない。

MSMの患者はそうした問診をされると、医師に対して心を閉ざす傾向が多く、良好な信頼関係が望めなくなる可能性が高い。また、現在はインターネットが広く普及し、患者もそれなりの知識を持って来院するが、誤った情報にいわば洗脳されてしまっている場合も多く、それらを柔軟に修正する必要がある。

臨床医は、診察したその日、その瞬間の臨床所見を見逃すと、その後には二度と診られないという意識で、プライベートパーツに潜む多彩な情報を見逃さないようにすべきである。それが患者のプライベートパーツを見せることへの覚悟に応えることにもなる。また、一つのSTIを見つけた場合、他のSTIにも感染している可能性があることに留意すべきである。さらに“STIを疑うポイント?”とは本人が、何時、何処で、誰と、何をしたのか、どんな事象が起きたのかの検証ともいえる。

開業医の立場から、私が経験しえたSTIの臨床写真を提示しながら、

問診、視診技術のポイントについて言及し「外来で見るSTI」の実態にせまる。

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2014年12月15日

アムステルダムの飾り窓から届いたケジラミ

オランダのアムステルダムには世界的に有名な売春地帯がある。俗にいう「飾り窓」である。

通りから見える飾り窓の中で客を待つ売春婦たちがセクシーなスタイルで並んでいる。

眩しくて真面にみることができない男達もいるであろう。

しかし、男性だけでなく女性までも、この「飾り窓」を旅の土産話にしようとウインドウショッピングする。

男性であれば誰しも性的に興奮しても不思議ではない情況であろう。

今回、私のクリニックに訪れてきたのは、永年オランダで仕事をしている45歳の男性である。

時々、日本に帰ってくる商社マンである。カルテを見てみると2年前には性器ヘルペスで来院している。

現在はオランダのアムステルダムに住んでおり、この度は久しぶりに日本に帰ってきたという。

今回は、外陰部の痒みを主訴として受診してきた。

2カ月前にアムステルダムの「飾り窓」に行き娼婦と性交渉を持ったという。

すでに自分でケジラミを2匹見つけていた。

この男性の外陰部を診察するとやはり陰毛の付け根に5匹の成虫を見つけ、これを採取した。

正に「アムステルダムの飾り窓から届いたケジラミ」である。

もちろん他の性感染症の検査も同時に行った。検査結果は国際電話で行うこととした。

白い下着を着けるように指導し、現在の特効薬であるスミスリンLシャンプーの使用法を説明した。

来週にはまたオランダのアムステルダムに帰るという。

性の健康をお祈りします。

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2014年12月01日

梅毒の治療

梅毒の治療について相談をうけましたので、ご紹介いたします。

【相談】はじめまして 私は23歳の女性です。

現在、梅毒の治療中です。

私は約3年前、梅毒に感染しました。

そして1ヶ月間、サワシリンを飲みました。

症状がなくなった事で通院をかってにやめてしまいました。

その後、最近脱毛が気になってきました。

心配になり、再び某病院を受診し、検査したところ梅毒陽性の結果が出ました。

それから入院させられ、その病院でサワシリン3ヶ月間、その後ミノマイシン1ヶ月間投与されました。

現在ペニシリンG注射、2週間が終わりましたが、数値が基準値まで下がらないため

退院は延期になりペニシリンG注射の治療も追加されています。

今、現在、RPR18,8で陽性という説明を受けているのですが

この数値も関係ないのでしょうか?

ネットで検索してみても症例があまりないため、このまま入院していて完治するのかとても不安です。

お忙しい中、失礼いたしますが、ご指導ください。よろしくお願いいたします。

【回答】
貴方は約3年前に梅毒に感染し、1ヶ月間 サワシリン(合成ペニシリンであるアモキシリン製剤)を服用した。

症状がなくなり通院を辞めたと言う事ですが、どのような症状がでたのでしょうかね。

最近、脱毛が気になり、再び検査したところ梅毒陽性の結果が出たということですが、

梅毒の検査は、通常、RPR検査とTPHA(TP抗体)検査をおこないます。

一度、梅毒に感染すると、TPHA(TP抗体)は陽性のままとなり、陰性になりません。

つまり陰転しないということです。

これは梅毒は治療済みでも検査で過去の歴史が出るということです。

治療を継続しても、数値が基準値まで下がることはありません。

貴方はすでに十分過ぎるくらい、駆梅療法を行っています。

現在の治療は意味がないと言うことです。むしろ身体に弊害が生じるかもしれません。

現在、RPRが18.8だそうですが、貴女は十分(3カ月以上)に治療されていますから、

これは過去の歴史をあらわしているものと考えて下さい。

この数値もご心配ありません。

ですから、貴方は梅毒については治療する必要はありません。

早く退院されて普通の生活に戻りましょう。

貴方は梅毒の感染能力はなく、日常生活は普通にできます。

セックスしても他人に感染することもありません。

脱毛の原因は他にあるのではないでしょうか。

一度、梅毒の専門医(皮膚科医)に脱毛を含めてご相談なさっては如何でしょうか。

お大事になさってください。

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