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淋病のタオル感染 (女性)
女性から「淋病のタオル感染」について相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
お忙しいところ、すみません…。
淋病は、タオル感染しますでしょうか。
実際に、タオル感染したと思われる方はいらっしゃいますか…?
また、淋病は治れば性行為をしても相手にうつらないですか?
今私は先が不安でたまりません。
申し訳ありませんが、ご回答お願い致します。
【回答】貴女は淋菌感染症でお悩みですね。
淋菌は嫌気性菌と言って外気(空気)に触れると、死滅してしまいます。
タオルが乾燥してしまえば感染能力がなくなります。
結論から言うと淋病は性感染症ですから、性行為(オーラルセックス、
アナルセックスを含めた)がなければ感染いたしません。
貴女が使用したタオルが乾いていれば、淋菌感染することはありません。
パートナーに迷惑をかけることはありません。
ただし。淋病が治っているかどうかの治癒判定検査を行い、治癒を確認してください。
そして健康なセックスをいたしましょう。
お大事になさってください。
梅毒検査時期について (男性)
男性から梅毒検査時期についての相談がありましたので、ご報告いたします。
【相談内容】
お世話になっております。
6週間前に不安な行為がありました。
梅毒の検査を不安行為から6週間で受検した際、確かな結果はでますでしょうか。
クラミジア、淋菌は不安行為から2週間で受検、陰性でした。
ですが、陰茎が痛む事が有り梅毒検査を受検したく相談させて頂きました。
目視した限りでは変化は無いと思います。
お忙しい中恐れ入りますがご教授をお願い致します。
【回答】
梅毒検査時期についてのご質問ですね!
梅毒血清反応は、感染機会から早くて3週間、できたら6週間以上経過してから検査を受けましょう。
貴方の場合6週間を経過していますから、検査を受ける一番良いチャンスです。
検査を受けて安心いたしましょう。
陰茎が痛むことと梅毒とは関係ないと考えます。
それでも、ご心配であれば専門医に診ていただきましょう。
『陰茎のカリ首あたりにブツブツ』
10代後半の男性からペニスについて相談がありました。
【相談内容】
陰茎のカリ首にブツブツがあります。
これは何でしょうか?病気でしょうか?
性行為はしていません。
泌尿器科へいった方がいいでしょうか?
【回答】
診察をしないと分かりませんが、貴方は性行為をしてないのですから、おそらく性感染症とは関係のない亀頭冠に発症している真珠様陰茎小丘疹と思われます。
このブツブツは大きさがほぼ揃っており、円形あるいは楕円形で規則的に並んでいます。
これは生理的な変化・状態でご心配いりません。
日本人男性の40~50%に見られるものです。
ご心配であれば、泌尿器科の専門医に診ていただきましょう。
『梅毒の治療について (女性)』
女性から梅毒の治療について相談がありましたので、ご報告いたします。
【相談内容】
昨年(2014年1月)から梅毒の治療を始めて、今月(2015年4月)で1年と4ヶ月になるのですが、
治療に時間がかかっています。
先生がお手上げ状態なのですが、どうしたらいいのでしょうか?
検査結果数値・経過に関しては以下の通りです。
2014年1月 感染発覚。
同時に他の感染症から性病検査、がん検査までやりましたが、梅毒以外は全て白でした。
サワシリンカプセル250mg×朝昼晩一日3回服用開始(250mg×3回、一日量750mg)
2月4日 定量検査 RPR 16/TPHA 640
3月4日 定量検査 RPR 16/TPHA 640
4月2日 定量検査 RPR 16/TPHA 640
5月2日 定量検査 RPR 8/TPHA 640
6月10日 定量検査 RPR 8/TPHA 640
7月10日 定量検査 RPR 8/TPHA 640
外陰炎になる。
性器外部の左側一部分に1cm×3cm位ですが、見た目は乾燥肌みたいなものが生じ、痒いです。
きっかけは生理用品による擦れ、抗生物質の塗り薬で3日位で治りました。
ただ生理中・前後含め、生理用品でかぶれること自体始めてでした。
8月8日 定量検査 RPR 8/TPHA 640
9月8日 定量検査 RPR 8/TPHA 640
10月3日 定量検査 RPR 4/TPHA 320
クラリスロマイシンカプセル250mg×朝昼晩一日3回服用しました。
服用4日目に発疹が全身に出たこと、及び激しい下痢のため、
サワシリンカプセル250mg×朝昼晩一日3回に戻しました。
結局10日間だけクラリスロマイシンを服用しました。
尚、この月、数値が下がったのはあくまでサワシリン服用の結果で、クラリスロマイシンに変えた
タイミングとたまたま同じだっただけです。
検査を受けた日に新しい薬を貰って、1週間後に検査結果が出たら下がっていました。
11月15日 定量検査 RPR 8/TPHA 640
12月12日 定量検査 RPR 8/TPHA 640
2015年1月9日 定量検査 RPR 8/TPHA 640
例によって感染症から性病、がん検査、梅毒以外は全て白。
(但し、この回の梅毒の検査に関しては、PA法と呼ばれる簡易検査で、一度でも梅毒に感染したら、
例え完治していても抗体の関係で必ず引っ掛かります。)
外陰炎・カンジタになる。
外陰炎は前回と全く同じ場所でした。
抗生物質の塗り薬ですぐ治りましたが、以降、生理に関係なく、下着に擦れた程度でも、
ちょくちょくなるようになりました。
2月6日 定量検査 RPR 8/TPHA 640
薬を変える。セファクロルカプセル250mg×朝昼晩一日3回服用。
2月17日 子宮頚癌ワクチン3回目を打つ。 直後からじんましんが出始めました。
2月23日 じんましんのため、皮膚科に行く。
3月6日 定量検査 RPR 8/TPHA 640
4月7日 定量検査 RPR 8/TPHA 640
薬を変える。オフロキサシンカプセル100mg×朝昼晩一日3回服用。
ちなみに今まで、花粉症まで含め、アレルギーとかは出たことがなかったのですが。
実は歯医者さん(普通に虫歯の治療)にも通っているのですが(梅毒に関しては告げてあります)、
歯医者さんでも皮膚科でも、「梅毒の通常の治療で1年を越えることはあり得ないと思いますが…」
と言われました。
産婦人科の先生は「数値が下がらないのが不思議なのですが、可能性としては2つ?
実はすでに治っている?
リンパに梅毒が入り込んでいる
この場合、飲み薬では治らず、点滴・筋肉注射も同じく意味がありません。
わずかに可能性があるとしたら皮下注射ですが…
これは僕も聞いたことがある、というレベルで…
正直、僕ではお手上げ状態です。」だそうです。
この先生は性病などにかなり詳しいベテランの先生で、梅毒の治療経験も何十人もあるような方です。
ところが、その先生をして私みたいに数値が全く変わらない症例が初めてなので、
他の先生方にも聞いて回って下さったそうです。
私の場合、全く自覚症状がなく、いつ感染したのかも定かではないのですが、数値からみて、
また特に症状も出ておらず、あと2014年1月以前の検査では、
2013年1月、感染症・性病、がん検査全て白。
2013年8月、感染症・性病全で白でしたので、潜伏期間等で検査をすり抜けたとしても、
2013年1月以前の感染はまずあり得ないと思います。
(検査を2度すり抜けたとしても、現在までで最大2年4ヶ月)
産婦人科の先生にも、「紹介状・診断書はいくらでも書きますので、何か他の病院・先生でいい
アイデアがあれば、それを試してみるべきです」と言われました。
その場合、何科に行けばいいのでしょうか?
というか、誰に聞けばいいんでしょうか?
大学病院とかに行くべきなんでしょうか?
【回答】
貴女の場合、全く自覚症状がなく、いつ感染したのかも不明である。
貴女の治療はサワシリンカプセル250mg×一日3回服用(250mg×3回)
1日量750mgをかなり長期間服用なさった。
貴女の主治医はかなり熱心に検査、治療をなさっておられます。
日本性感染症学会の治療ガイドラインでは梅毒の治療には、
殺菌的に働き、耐性の報告もないペニシリンを第一にすべきで、
経口合成ペニシリン(AMPC,ABPC1日500mg×3=1日量1,500mgなど)を内服させる。
投与期間は、第1期は2~4週間、第2期では4~8週間、第3期以降では8~12週間を必要とする。
無症候梅毒ではカルジオリピンを抗原とする検査で、抗体価が16倍以上を示す症例は治療することが望ましい。
投与期間は、感染時期を推定し、その期の梅毒に準じるが、感染後1年以上経過している場合や、
感染時期の不明な場合には、8~12週間とするとされています。
また、治癒判定については、梅毒の治療効果は、カルジオリピンを抗原とする検査の抗体価と
よく相関するので、病期に応じた十分な治療を行った後は、一般に臨床症状の持続や再発がないこと、およびカルジオリピンを抗原とする検査を定期的に追跡して定量値が8倍以下に低下することを確認するとされています。
貴女の場合、1日の内服薬の量が少なかったようですが、かなり長期間服用なさっておられますから、治療は完結終了したと考えて良いと思います。治療効果もカルジオリピンを抗原とする検査でかなり前から8倍以下になっていますからご心配ないと考えます。
もちろんHIVの検査もされていると思いますからご安心ください。
もしまだ不安があるのでしたら、梅毒の専門医のいる皮膚科を受診なさってください。
お大事になさってください。
『後期研修医がおさえておきたい泌尿器疾患アトラス』
2015年4月発刊 (発行日2015年4月30日)
医学図書出版株式会社から 泌尿器外科 第28巻 特別号
Japanese Journal of Urological Surgerry Vol. 28 Supplement(April 2015)
「泌尿器外科」 28巻 特別号編集委員 高橋 悟 他。
『後期研修医がおさえておきたい泌尿器疾患アトラス』 (¥4900)
高橋悟先生監修 が発刊されました。
見てわかる!! これまでになかったアトラス本!
一度見たらわすれない!! とっておきの付録付き!
新しいスタイルで両開きで見やすくなっています。
これは高橋悟先生のアイデアだそうです。
私は高橋悟先生のご指示で
「9.性感染症(淋菌感染症・性器クラミジア感染症)」(p136~140)の臨床写真を提供いたしました。
図1 男性の淋菌性尿道炎、クラミジア性尿道炎 図2 尿道分泌物の単染色鏡検像
図3 性器ヘルペス・尖圭コンジローマ・硬性下疳(男性)・口唇ヘルペス
また 「その他の性感染症アトラス」(p266~274)を担当させていただきました。
1.梅毒 A.男性 図1 初期硬結(冠状溝) B.女性 図2 硬性下疳(クリトリス包皮)
尖圭コンジローマ A.男性 図3 包皮内板(鶏冠状疣贅)
B.女性 図4 小陰唇・大陰唇・腟前庭(乳頭腫)
2.性器伝染性軟属腫 A.男性 図5 包皮外板 B.女性 図6 大腿内側
3.淋菌・クラミジア A.女性 図7 a:淋菌(子宮頸管) b.クラミジア(子宮頸管)
4.淋菌感染症 A.女性 図8 a:淋菌性尿道炎、淋菌性スキーン腺炎 b.淋菌性バルトリン腺炎
図9 a:淋菌咽頭感染 b.クラミジア咽頭感染
5.性器ヘルペス(再発) A.男性 図10 亀頭に癒合したビラン
B.女性 図11 小陰唇に複数の水疱形成
6.口唇にできた硬性下疳 A.男性 図12 下口唇に潰瘍
7.ケジラミ症 図13 a.消化管にヒトの血液が取り込まれている
b. 爪で陰毛を保持
c.尾部に黒褐色の糞便の排出
8.亀頭粘膜下血腫 オーラルセックスで発症した
図14 a.初診日 b.翌日
以上です。
この専門書は大変好評で、この4月、金沢で開催された泌尿器科学会総会では
若い先生方が大勢購入されたそうです。
冠状溝の初期硬結
『ベセルナクリーム塗布による 尖圭コンジローマの臨床経過[女性]』のパンフレット
2013年4月に作成。
『ベセルナクリーム塗布による尖圭コンジローマの臨床経過<女性>』
のパンフレットを持田製薬(株)のご依頼により作成いたしましたので報告いたします。
持田製薬(株)
ベセルナクリーム5%の尖圭コンジローマに用いた臨床成績の写真です。
1.本邦初の尖圭コンジローマ治療薬です。
2.尖圭コンジローマ(外性器または肛門周囲に限る)に対し
優れた臨床効果を発揮する外用剤です。
3.サイトカイン産生促進によるウイルス増殖抑制作用および細胞性
免疫応答の賦活化によるウイルス感染細胞障害作用を有しています
(in vitoro,マウス、ラット、モルモット、サル)。
4.副作用は国内臨床試験で本剤を使用した64例中、53例(82.8%)に
認められています。(承認時)
使用成績調査における副作用は2,468例中552例(22,4%)に
認められています。(第6回安全性定期報告時)
承認時での主なものは紅斑(54.7%)、びらん(34.4%)、表皮剥離(32.8%)、浮腫(17.2%)等の
塗布部位の皮膚障害及び疼痛(28.1%)等の塗布部位反応でした。
使用成績調査での主なものは紅斑(9.2%)、ビラン(8.6%)、表皮剥離(0.8%)等の塗布部位の
皮膚障害及び疼痛(2.2%)、刺激感(1.3%)、?痒感(1.1%)等の塗布部位反応でした。
効果・効能
●尖圭コンジローマ(外性器または肛門周囲に限る)
●日光角化症(顔面または禿頭部に限る)
用法・用量(抜粋)
尖圭コンジローマ(外性器または肛門周囲に限る)
疣贅部位に適量を1日1回、週3回、就寝前に塗布する。
塗布後はそのままの状態を保ち、起床後に塗布した薬剤を石鹸を用い、水又は温水で洗い流す。
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●薬剤塗布により局所免疫が賦活されるため、皮膚に紅斑などが高頻度に
見られる場合があることをあらかじめ患者さんにご説明ください。
ベセルナクリーム塗布による症例経過は写真を参考にしてください。
セックスによる包皮小帯断裂 出血
春ですね!40代後半の男性が受診してきました。
主訴は「裏筋が裂けて出血して強い痛みがあります」ということでした。
お話を聞くとソープランドにてセックスの最中のアクシデントでした。
セックスの最中に突然、ペニスの裏筋が裂けて出血しコンドームの中は血だらけになったそうです。
また出血は2時間ほど止まらなかったと言っています。
この男性は以前から亀頭包皮炎を繰り返している方で、恐らく
慢性的な粘膜の炎症が継続していたため包皮小帯の弾力性が低下し、
そこにセックス時のピストン運動という外的刺激が加わり、突然、
この包皮小帯が断裂、裂傷が生じたというのが、今回のアクシデントの誘因と考えられます。
夜間であったため基幹病院の緊急外来にて形成外科医に圧迫止血してもらったそうです。
そして翌日、当院に来院してきました。
当クリニックでの性器の視診では包皮小帯は約5mm断裂しており、
断裂部の創面は直径5㎜大で出血は止まっており、創面は紅潮したビラン面を呈していました。
(写真1を参考にしてください)
また軽い慢性的亀頭包皮炎(皮膚粘膜症状)の所見を認めました。
治療は創面保護のため消炎用軟膏と感染予防のため抗生物質を投与し、創面が癒されるのを待つことにしました。
そして外傷8日後に再診した際には創面は縮小しビラン面は少しあるもののほぼ治癒状態でした。
経過は極めて順調、良好でした。(写真2を参考にしてください)
ここで包皮と包皮小帯について説明しておきます。
包皮は亀頭を包む皮膚です。亀頭冠の腹側端(裏側)と外尿道口が出会う亀頭の腹側面(裏側)正中線上、つまり身体の真ん中において包皮は小さなヒダとなっています。
このヒダを包皮小帯といいます。この包皮小帯と陰茎縫線とはつながっています。
言い換えると包皮小帯とは外尿道口と陰茎縫線を結ぶヒダなのです。