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「尖圭コンジローマについて」
30代前半の男性から尖圭コンジローマについて相談を受けましたので、報告いたします。
【内容内容】
お世話になります。30代前半の男性です。
先日( 1ヶ月半前)尿道口横(尿道下裂)に白か褐色の1ミリ以下の半球形の出来物ができました。
場所が場所なので泌尿器科を受診し視診して頂きました。
結果、尖圭コンジローマか脂肪の塊か半々との結果を頂きました。
その日に冷凍する方法で処置をされ、2週間後傷口を見せ完治との結果でした。
今現在傷口は跡が残っている状態です。
他の部位に何か出来でいる様子もありません。
脂肪の塊なら治療後このままでも良いのでしょうが、 尖圭コンジローマだった場合どうしたら良いのかわからず相談させて頂きました。
出来物自体も先生のHPにある様な物でもないのですが...
先生のご意見を聞かせて頂けたら助かります。
ご教授の程宜しくお願い致します。
【回答】
1ヶ月半前、尿道口の横(尿道下裂)に白か褐色の1ミリ以下の半球形の腫瘤を認めた。
泌尿器科を受診し視診してもらい、尖圭コンジローマか脂肪の塊か、その半々との結果であった。
当日、液体窒素による凍結療法を施行し、小腫瘤は無くなり、2週間後の創面の診察で治癒とのこと。
現在傷口は治癒跡が残っている状態である。
以上、貴男の臨床経過をまとめてみました。
ご存知のように、尖圭コンジローマは非常に多彩な様相を呈します。
出来る部位、大きさ、色彩(白色~黒褐色)などさまざまです。
貴男は尿道下裂があるのですか!?
もし尿道下裂がありますと、外尿道口が開いているので性感染症に対しての感染防御機能が低下いたします。
つまり感染に対し無防備になるということです。
もちろん、尖圭コンジローマにも感染しやすくなります。
ただ貴男の外尿道口周辺にできた小腫瘤が尖圭コンジローマなのか、他の良性腫瘤なのかは手術時に組織生検で病理組織検査をなさっていれば、分かった可能性があります。
ただ、脂肪の塊ということはありません。
恐らくその先生は、良性腫瘤という意味合いで「脂肪の塊」と表現されたのでしょう。
尖圭コンジローマの診断は視診が中心ですから、それは良いとしても、かなりの経験が必要となります。
診断が難しい場合は組織を生検すべきです。
確定診断には組織学的検査が必要です。
でも、現在治癒されているわけですから、ご心配ないと考えます。
術後、3か月以上経過して何か腫瘤が生じてこなければ安心できると思います。
また貴男に特定のパートナーがいらっしゃるのでしたら、一度、婦人科で診ていただきましょう。
そして、心に平和を勝ち取りましょう。
お大事になさってください。
【相談者から返事・内容】
お忙しい中ご返信ありがとうございます。
私自身も尖圭コンジローマだった場合もっと大きくなったり増えたりするのではないかと頭では分かっていたつもりなのですが。なかなか信じきれずにいました。
先生のおっしゃる通り半々という結果を出すのであれば組織生検にだしてもらえれば結果は分かったはずですし、今後の生活の仕方も大分変わったと思います。
妻もおります。
今回このタイミングで子宮頸がん検診がありましたので受診した結果何も異常は 無かったそうです。
ご相談に乗って下さりありがとうございます。
①幸せを呼ぶ青い蜜蜂
②尖圭コンジローマ:亀頭冠に樹枝状の乳頭腫を認めます
「ギー・ド・モーパッサンとロートレックス」
アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864~1901)はフランスの画家です。
一般的に姓は「トゥルーズ=ロートレック」、または単に「ロートレック」と呼ばれることが多い。
ロートレックの生家は、フランスの名家であり、伯爵家です。
両親はいとこ同士で、父のアルフォンス伯は、奇妙な服装をするなど、変わり者で有名でした。
トゥールーズ=ロートレックは、幼少期には「小さな宝石(プティ・ビジュー、仏: Petit Bijou)」と呼ばれて家中から可愛がられて育ちました。
しかし弟が夭折すると両親が不仲となり、8歳のときには母親と共にパリに住まうようになりました。
そこで絵を描き始めました。すぐに母親は彼の才能を見出し、父親の友人の画家からレッスンを受けるようになりました。
一方、同時代を生きた、ギー・ド・モーパッサン(1850~1893)は、その冷酷な女性描写からアンチ・フェミニストとしてこれまで評論されてきました。
実生活でも、3人の私生児を決して認知せずあらゆる面で女性に対する拒絶をあらわにしていました。
確かに彼の作品に出てくるのは、愛や戦争に傷ついた哀れな男たちにさらに追い打ちをかけるように痛みを加え、不幸にする女たちが多いようです。
もっとも、「今のヨーロッパにおける道徳心は多様化し、デリケートであるのに対し、その研究は未熟である」というニーチェの言葉も表しているように、彼の過ごした時代が混沌てしていたのも事実であります。
モーパッサンの作品に登場するのは、娼婦や怪物のような子供を産む母親など、悪や死と結びついた女たちばかりです。
しかし、視点を変えてみると、文字の向こうに彼女たちの行為を免責するかのような生きざまが見えてこないでしょうか。
彼女たちは主観的な自由の城の中に生き、独自の意識と意図のままに行動しているだけなのです。
自ら選んで暴力と不倫の中に身を起き、道徳心によって感情を抑えることを拒んでいるのです。
さて、ロートレックとモーパッサンは同時代を生き抜いた者同士で、 新潮文庫「モーパッサン短編集3」にのっているように、多くの接点があったと思われます。
(参考文献:日経メディカル)
①「検診を待つ娼婦」 ロートレックス画 1894年:
フランス 『ムーラン通りの医療検査風景』
当時の娼婦は毎月、検診に通っていた。(ワシントン・ナショナル・ギャラリー)
②写真 「黒い襟巻をつけた婦人」 ロートレックス画 この絵は“性器を武器にして戦ったフランス女性”です。: 1870年代 フランス・プロシャ戦争
『…・私もやつらに、手あたり次第、梅毒をうつしてやりました・・・・』
『梅毒は彼女にとってプロシャ人と戦うための武器だった!』
新潮文庫「モーパッサン短編集3」より
③写真 ロートレック
④写真 モーパッサン
「真性包茎ですが包皮をむくと痛い」
18歳の男性から包茎の相談がありました。
【相談内容】
18歳の男性です。
完全な真性包茎だったのですが、2ヶ月前に少しだけ剥けるようになりました。
そして少しだけ皮を剥いて尿をすると痛みがあります。
皮を剥かないで尿をするとわずかですが、痛みがあります。
シャワーなども、時々しみるように痛いことがあります。
排尿してからもしばらく痛みが残る場合もあり、不快感もあります。
たぶん関係ないかと思いますが、この状態が生じる2週間前に吐き気を感じていました。
近所の病院で尿検査を受けましたが、特に異常はありませんでした。
どうすればいいのでしょうか…
市販薬でいいものとかはありませんか…
【回答】
18歳の男性。
真性包茎で包皮が少しむける状態になったということにお答えいたします。
包皮をむいて排尿すると、痛みがあるわけですから、包皮をむかないで排尿しましょう。
しばらくは不快感、違和感などがあるかもしれません。
感染などが生じなければ、次第に慣れてくると思います。
痛みもなくなってくるでしょう。
一つの対応方法としては、包皮をむいて、白色ワセリンを少し塗れば良いかもしれません。
炎症を起こす予防にもなります。
あるいは、泌尿器科医を受診して、非ステロイド系の外用薬(コンベック軟膏、アズノール軟膏など)を処方していただいたらいかがでしょうか!
これにこりずに、包皮をむくことは毎日やりましょう。
痛みがあれば止める。でも毎日、優しくむいてあげてください。
これを継続していれば、だんだんむける範囲は広くなり、だんだん楽に剥けるようになると思います。
でも無理はしないでください。
お風呂場でやさしくシャワーで洗ってあげましょう。
継続は力です。いいおちんちんになることをお祈りいたします。
お大事になさってください。
「アタマジラミ症」
Nikkdi Medical 日経メディカル 6 June 2013 に掲載された冨田隆史先生の記事をご紹介いたします。
夏のモンスター!
この夏、要注意!
節足動物による感染症 ・皮膚炎
今回は殺虫剤抵抗性を獲得し蔓延していると思われる「アタマジラミ症」について国立感染症研究所の冨田隆史先生の報告についてお話しします。
沖縄などで抵抗性株が流行しているアタマジラミ症についてお話しいたします。
アタマジラミはシラミの一種で、頭部に寄生します。
寄生初期には自覚症状は乏しいのですが、個体数が増えると激しい掻痒感を生じます。
現在国内で唯一、アタマジラミ駆除用に認められているのは、ピレステロイド系殺虫剤であるフェノトリン(商品名スミスリン)です。
シャンプー剤や粉剤として販売されています。
しかし、この駆除剤に抵抗性を示すアタマジラミが、沖縄などの一部地域で大きな問題となっています。
実は、世界的にもピレステロイド抵抗性のアタマジラミが流行しています。
90年代後半から、抵抗性を示すアタマジラミが報告されるようになり、2000年に入ってからは、米国などではほぼ全てのアタマジラミがピレステロイド抵抗性を有すると報告されるようになりました。
「沖縄の状況は他の先進国と同じです。今後、時間がたてば、全国的に駆除剤抵抗性のアタマジラミが広まる可能性が高くなると考えています」と、感染研の冨田氏は話しています。
冨田氏らは、06年から11年までの6年間、アタマジラミ駆除剤(スミスリン)抵抗性の全国調査を実施しました。
その結果、沖縄などの一部地域で高い駆除剤抵抗性を確認しました。
ただし、「調査を開始した当初は、駆除剤抵抗性アタマジラミの急激な拡大が危惧されていましたが、これまでの調査では、抵抗性の上昇は認められなかった」と冨田氏は言います。
アタマジラミの感染拡大を防ぐための啓発活動として、流行が生じやすい学校や保育所などでは、タオルやクシの共用を避け、親が子どもの頭髪を丁寧に調べて成虫や卵の早期発見に努めるべきなどの指導が定期的に行われています。
「このようなキャンペーンが功を奏して、駆除剤抵抗性の上昇を抑えている可能性がある」と冨田氏は分析しています。
ただし、沖縄県などでは、ほぼ100%のアタマジラミで駆除剤抵抗性が認められており、有効な駆除剤へのニーズは高くなっています。新たな駆除剤の導入が待たれます。
以上です。
尚、私と冨田隆史先生は長期間、ケジラミの共同研究をしてきました。
①夏のモンスター
②アタマジラミ
③冨田隆史先生
『梅毒の診断と検査法について』6.梅毒の届け出
少し専門的になりますが、6回にわたって梅毒の診断・検査法・検査の問題点・治癒判定・梅毒の届け出などについて勉強しています。
今回は梅毒シリーズ(全6回)最後の6回目になりました。
最後まで、しっかり勉強いたしましょう。
6.梅毒の届け出
最後に感染症の届け出に関して説明します。梅毒は感染症法五類の全数把握疾患であり、診断した場合は全例届け出の義務があります。
質の高いサ-ベイランスの実現の為、罰則がないとしても診断した場合には必ず届け出ていただきたいと思います。
無症状病原体保有者、潜伏梅毒に関しては、「カルジオリピンを抗原とするRPRカ-ドテスト、凝集法若しくはガラス板法での検査で16倍以上又は自動化法での検査で概ね16.0R.U.、16.0U若しくは16.0SU/ml以上のもの」を届け出の対象としています。
この自動化法の基準に関しては「概ね」とある通り、臨床的に無症状病原体保有者と判断すれば16.0未満の値でも届け出をして問題はないし、16.0という値が臨床での判断を
制限するものではないと考えるべきです。
以上、今回で梅毒シリーズ(全6回)は終了いたします。
梅毒に興味のある方には面白かったと思います。
他の方には、少し専門的だったかもしれません。
お許しください。
少しは勉強になりましたでしょうか!
ありがとうございました。
①コロンブス:恐るべし『悪魔のお土産』梅毒?
コロンブス一行が1492年、新大陸の発見とともに“原住民の風土病”をヨーロッパに持ち帰った「悪魔のお土産」
爆発的に全世界に拡がり、日本への伝来は永正9年(1512年)で、約20年足らずで日本にやってきました。
恐るべし! セックスのパワー! 梅毒のヨーロッパ伝播の通説!
②やまもも:第2期に見られる赤い丘疹が楊梅(ヤマモモ)の果実に似ているので楊梅瘡(ようばいそう)と呼ばれていましたが、いつの間にか「楊』の字が取れて、次第に梅瘡⇒黴毒⇒梅毒と変化したと言われています。
『梅毒の診断と検査法について』5.検査の問題点・治癒判定について
少し専門的になりますが、6回にわたって梅毒の診断・検査法・検査の問題点・治癒判定・梅毒の届け出などについて勉強しています。
今回は梅毒シリーズ(全6回)の5回目です。
5.検査の問題点・治癒判定について
さてこれら梅毒血清反応検査は従来、検査技師が用手的手技にて血清抗体を希釈し、目視で凝集反応の有無を確認する方法でした(以下「倍数希釈法」)。
前述したガラス板法およびRPRカ-ドテストなどはこの倍数希釈法の代表であり、
キット化されています。
倍数希釈法は本邦で広く用いられていましたが、用手操作による検査技師の感染の危険性や、結果の判定を目視で行うために客観性が乏しいといった問題点が指摘されていました。
こうした用手操作、目視判定が必要な検査に代わり自動分析器で自動測定が可能な新しい検査方法(以下「自動化法」)が本邦において普及しつつあります。
自動化法は主にラテックス凝集法を原理として凝集反応により生じる吸光度の変化から抗体価を測定します。
臨床において自動化法の普及を知らない医師が直面する問題はその結果の取り扱いです。
問題点の第一には倍数希釈法と自動化法では結果の表記方法が異なるという点があげられます。
前者は1倍をカットオフとして1倍未満、1倍、2倍、4倍、8倍、16倍、32倍、・・・と2n乗倍の非連続値で表記されるのに対して、
後者は 1.0をカットオフとして小数点第一位まで記載する0から始まる連続値で示されます。
第二に倍数希釈法と自動化法がどのように対応するのか明確に示されていません。
自動化法の試薬メ-カ-は両者ができるだけ一致するように設計したと言っていますが、では自動化法を倍数希釈法にどのように置き換えればいいのか定義されているわけではありません。
さらに実際に同じ検体で自動化法と倍数希釈法を測定するとばらつきが出てしまいます。
私見を述べれば両者は結果に相関性のあるものの、一定の法則性をもって置き換えるような検査ではないと考えた方が混乱しません。
第三にこの自動化法を用いた治療の評価測定方法が明らかにされていません。
倍数希釈法では希釈系列で2管以上の変化(前後比較して4倍以上の変化)を有意な変化として治癒判定や再燃、再感染の判定に想定していましたが、自動化法ではどの程度変化することが有意なのか明らかになっていません。
本邦では外科処置の前や産科での妊婦のスクリ-ニングとして梅毒血清抗体検査が行われています。
つまり検体数の非常に多い検査ということもあり、利便性簡便性に勝る自動化法が普及しつつあります。
残念ながら自動化法による治癒判定の基準は現時点では示せませんが、私見を述べればまず前述したとおり自動化法の結果を倍数希釈法に当てはめようと考えることはしない方がよいといえるでしょう。
次に自動化法は従来の倍数希釈法よりも治療で大きく低下し陰性化する(1.0未満になる)傾向が比較的高いことと、わずかな変化も検出できる傾向があることを知っておくとよいでしょう。
この点は基本的には従来の方法よりも定期的な採血さえ欠かさなければ病勢や治癒の判定において有利に働きます。
倍数希釈法を使用していた場合と同じく大切なのは治療後に定期的に採血を行い、その推移をみることです。
減少する傾向があれば治療が奏功している可能性を示し、高値のまま不変な場合や、増加する傾向があれば治療の失敗や再感染の可能性を示します。
判定が難しい場合や再燃の可能性を考慮する場合には採血の間隔を短くしたりするなどで対応します。
こうしたことは別に自動化法でも倍数希釈法でも変わらないし、自動化法を特別に考える必要はありません。
たしかに本邦のガイドラインでは治癒判定に関して倍数希釈法で8倍以下を目標とする記載がありますが、これも絶対ではありません。
8倍だから大丈夫というものではないし、ある程度の目安でしかないと考えるべきです。
ではその目安が自動化法ではどの値になるのかに関しては、今後の課題にはなりますが
その目安が示されたとしても、それはあくまでも目安であり、治癒確実とするものではありません。
カルジオリピンを抗体とした抗体価は病勢を示してはいますが、その病勢を把握するためには臨床症状や抗体価の推移の情報が必要であるし、数値の絶対値で明確に評価できるものではありません。
数値が高いから病原体を保有していると断じるものではありません。
今後梅毒血清反応より鋭敏な治癒や再感染の判定方法、検査が望まれますが、現状ではこの検査を用いるしかありません。
患者には治療初期から定期的な通院と採血による抗体価の推移の評価が必要である旨を十分説明することを勧めます。
次回は、この梅毒シリーズ(全6回)の最後になりますが、「6.梅毒の届け出」について勉強いたします。
お楽しみに!
この絵は“性器を武器にして戦ったフランス女性”です。
「黒い襟巻をつけた婦人」 ロートレックス画
1870年代 フランス・プロシャ戦争
『…・私もやつらに、手あたり次第、梅毒をうつしてやりました・・・・』
『梅毒は彼女にとってプロシャ人と戦うための武器だった!』
新潮文庫「モーパッサン短編集3」より
『梅毒の診断と検査法について』4.梅毒の診断
少し専門的になりますが、6回にわたって
梅毒の診断・検査法・検査の問題点・治癒判定・梅毒の届け出などについて勉強しています。
今回は梅毒シリーズ(全6回)の4回目です。
4.梅毒の診断
さて梅毒の診断に利用される検査には病変からのTPの検出と梅毒血清反応検査があげられます。
TPはin vitroでの分離培養はできないため、TPの検出方法には暗視野法、墨汁法、パ-カ-インク法、病理組織学的検査などがあげられます。
しかしTPの検出には検出可能な病変が必要であり、暗視野法や墨汁法などの視覚的に病原体を確認する方法は委託できる検査ではなく手技や病原体の視認に習熟を要し、
また病理組織学的検査は侵襲が大きくなります。
このため潜伏期でも利用可能であり、簡易な採血で済む梅毒血清反応検査が広く診断に用いられています。
梅毒血清反応は用いる抗原によって大きく二つに分けられます。
一つはカルジオリピン、非特異的脂質抗原を用いる方法で、RPRカ-ドテストやガラス板法など<の名称で知られています。もう一つはTP抗原を用いる方法で、TPHAやFTA-ABSなどがあります。
このうち非特異的脂質抗原を用いる方法は病勢をよく反映するので、診断のみならず治癒や再発の判定にも用いられますが、生物学的偽陽性(BFP:biological false positive)として知られている特異性の問題があります。
TP抗原を用いる方法は特異性が高いものの、通常治癒後も陰性化しないことと感染後陽性化するのに期間を要する点に注意が必要です。
臨床症状から梅毒を疑った場合にはカルジオリピンを抗原とする方法、TP抗原を用いる方法、それぞれの長所短所を補うべく、両者を測定して総合的に判断いたします。
次回は、「5.検査の問題点・治癒判定について」について勉強いたします。
お楽しみに!
②TPの検出方法の一つに暗視野法があります。
③マリ-・アントワネットは梅毒だった。当時、梅毒のことをフランスでは「イタリア病」と呼んでいた。イタリアでは「フランス病」と呼んでいた。
④シュ-ベルトは梅毒で死んだ?!
梅毒に感染してその絶望の境地から弦楽四重奏曲「死と乙女」を作曲したと言われています。
『梅毒の診断と検査法について』3.病期による梅毒症状
少し専門的になりますが、前々回から6回にわたって梅毒の診断・検査法・検査の問題点・治癒判定・梅毒の届け出などについて勉強しています。
今回は梅毒シリーズ(全6回)の3回目です。
3.病期による梅毒症状
第1期顕症梅毒による病変は数週間程度で自然に消褪していき、潜伏期を経て
感染から約3か月程度で梅毒性ばら疹、梅毒性乾癬、扁平コンジロ-マなどに
代表される第2期顕症梅毒を呈します。
第2期梅毒は梅毒血清反応が陽性の時期であり「疑うこと」さえできれば診断は
比較的容易ですが、疑わなければ梅毒血清反応はル-チンで行う検査では無い為、
診断は困難となり、皮疹を見逃さないことが必要です。
典型的な皮疹で特に特徴的なものは掌蹠の赤斑であり、梅毒を疑った場合には
掌蹠の診察は欠かせません。
また第2期顕症梅毒は感染から3か月程度経ってから生じるため、患者からの
自発的な性感染症に関する問診は望みにくいと言えます。
たとえ患者本人が第1期に生じていた性器の症状を自覚していたとしても、
自然に軽快してしまっている病変と現在の症状を結び付けて、
さらにその症状を自発的に話すことは恥ずかしさもあるため困難となります。
患者本人は性器の症状や性交渉歴に関して「恥ずかしい」「言いたくない」
「思い出せない」という心理が働くのに加え医師側も慣れていなければ「聞きにくい」。
プライベ-トパ-ツに関わる疾患ゆえの診察、診断の難しさがそこにあります。
次回は、「4.梅毒の診断」について勉強いたします。
お楽しみに!
①第二期 手(掌)の紅斑
②第二期 足裏(蹠)の紅斑
③第二期 口腔内に生じたバタフライ・アピアレンス
④第二期 肛囲に生じた扁平コンジローマ
⑤第二期に見られる赤い丘疹が、楊梅(ヤマモモ)の果実に似ているので楊梅瘡(ようばいそう)と呼ばれていました。
いつの間にか「楊」の字が取れて、次第に梅瘡⇒黴毒⇒梅毒と変化したと言われています
『梅毒の診断と検査法について』 2.梅毒とは
今回は梅毒シリーズ(全6回)の2回目です。
2.梅毒とは
梅毒は潜伏期と顕症期を繰り返し進行する、Treponema pallidum (TP)による慢性の全身性感染症です。
典型例では外性器あるいは口腔、肛門より性交渉により感染し、感染後3週間程度で初期硬結や硬性下疳といった病変とリンパ節腫脹を生じます(第1期顕症梅毒)。
これらの病変は二次感染を伴わない場合、見た目の派手さとは裏腹に概ね無痛性です。
女性は自身の外性器を観察する機会が乏しい場合も多く、この無痛性の病変の出現に気づかないこともあると考えられます。
また、男性では病変に気づいていても、痛くもない性器に生じた病変に関して、恥ずかしさから受診をためらうことも多々あると考えられます。
第1期顕症梅毒を疑う場合には、感染初期の梅毒血清反応陰性の期間があることに留意する必要があります。
つまり感染初期では血清反応陰性であっても感染は否定できるものではありません。
また、感染期間から比較的時間がたってから発症するために性交渉に関する問診に自発性が乏しいことも考えられる為、性交渉歴に関しては心理面に配慮しつつも積極的に聴取する必要があります。
次回は、「3.病期による梅毒症状」について勉強いたします。
お楽しみに!
①男性初期硬結(冠状溝):初期硬結を認めることは稀です。
②男性硬性下疳:二次感染を起こさなければ疼痛は認めません。
③女性のクリトリス包皮付近に生じた硬性下疳。疼痛が無いのが特徴。
④男性の下口唇に生じた硬性下疳(2か所)
『梅毒の診断と検査法について』1.はじめに
少し専門的になりますが、今回から6回にわたって
梅毒の診断・検査法・検査の問題点・治癒判定・梅毒の届け出などについて勉強いたしましょう。
先ず初回は「1.はじめに」で梅毒の概要について勉強いたします。
1.はじめに
梅毒はTreponema pallidum (TP)による慢性全身性の性感染症です。
梅毒は病変からのTPの検出(暗視野法、パ-カ-インク法)あるいは血清学的検査で通常診断します。
しかし直接TPを検出する方法は特殊な顕微鏡や技術を要するため、実際には梅毒は血清学的に診断される場合が多いいようです。
梅毒の血清学的診断方法には2種類あり、RPRカ-ドテストなど非特異的脂質抗原を用いる方法とFTA-ABSやTPHAといったTP抗原を用いる方法があります。
非特異的脂質抗原を用いた梅毒血清抗体価は、梅毒の病勢を示す傾向にあり、診断のみならず治療にも利用されます。
梅毒の血清学的検査は従来、煩雑な用手操作、目視判定が必要であり、客観性にも疑問がもたれていましたが、近年自動測定器で測定可能な検査方法が本邦で普及しつつあります。
次回は、「2.梅毒とは」について勉強いたします。
お楽しみに!
①梅毒トレポネ-マの特徴:
屈曲した螺旋状菌・直径0.1~0.2μm・活発に回転や屈曲運動を行う・温度変化に弱く39℃で5時間、4℃で24時間以内に死滅する病原体です。
②昔、この吉原の大門を多くの男達がくぐり、多くの男達が梅毒になったのでしょうか?!
③吉原病院 娼婦(花魁)検診風景 このころ黴毒(梅毒)をどのように診ていたのでしょうか?
五感を駆使して診ていたのでしょうか? 「目で診る花柳病!?」
「陰嚢に小さなしこり (男性)」
70歳の男性から相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
はじめまして。70歳の男性です。
半年ほど前から陰嚢に違和感(少し痒み)がありましたが、先日、陰嚢の右側睾丸の少し下あたりにピーナッツ状のしこりがあることがわかりました。
強く触ると少し痛みますが、通常痛みはありません。
これはどの様な病気が考えられるでしょうか。
また、その治療法など教えていただきたくお願い致します。
北海道東部に居住していますが、近隣に大きな病院もありませんので不安があります。
【回答】
北海道東部に居住。70歳、男性。
半年ほど前から陰嚢に違和感(少し痒み)がある。
陰嚢の右側睾丸の少し下あたりにピーナッツ状のしこりがある。
強く触ると少し痛みがある。通常痛みはない。以上まとめました。
これは診察しないと分かりません。
陰嚢の表面皮膚のことか、陰嚢の中の睾丸の付近のことなのか!?
貴方の文面から、推測しますと、恐らく、悪性でなく、良性の小腫瘤だと考えます。
ご心配でしょうから、距離的に大変でしょうが、一度札幌などの泌尿器科医を受診なさることを
お勧めいたします。お大事になさってください。
「亀頭包皮炎について (男性)」
【タイトル】
亀頭包皮炎について
【投稿者】
亀頭包皮炎について (男性)
【内容】
こんにちは。25歳の男性です。
初めまして。相談させてください。
かれこれ2年ほど、亀頭包皮炎(赤み、湿疹、かゆみ等)に悩まされています。
泌尿器科、皮膚科等のお医者様を転々として薬を試していますが、一向に良くなりません。
いまはコラージュフルフルで毎日洗う等しており、そこまで症状は重くありませんが、根本的に解決したいです。
尾上先生にも直接診て頂きたかったです。
先生がご存知の良いお医者様か、解決方法をご教示頂きたく存じます。
宜しくお願い致します。
【回答】
25歳、男性。
亀頭包皮炎(赤み、湿疹、かゆみ等)で2年間ほど悩まれている。
泌尿器科、皮膚科等のお医者様を転々として薬を試してきた。とまとめました。
非ステロイド系の軟膏白色ワセリン、コンベック軟膏、アズノール軟膏、スタデルム軟膏などをお試しになられた思います。
それぞれ、自分の亀頭包皮に合うかどうか、使い勝手が良いかなど、長所、短所があります。
副作用もある場合があります。
刺激性が無いのは白色ワセリンですが、ご自分の使い勝手の良し悪しがありますので、試してみないと分かりません。
亀頭包皮は皮膚粘膜移行部ですから、ステロイド軟膏の使用はあまりお勧めできません。
もしステロイド軟膏をご使用なさるのであれば、非ステロイド系の軟膏と混合され濃度を弱めて使用された方が良いと考えます。
現在使われているコラージュフルフルで落ち着いているのであれば、それでもよろしいかとも思います。
あと、お試ししたかもしれませんが、プロトピック軟膏0.03%小児用(免疫抑制薬)も選択肢にあります。
また亜鉛華軟膏もお勧めです、少し脂分が多いですが、試す価値はあります。
できれば根本的に解決したいですね。良くなってもしばらくすると、症状は出てくる可能性があります。
その時、その時の症状に応じて対応が必要になります。
もし診察なさるのであれば皮膚科医で女医さんですがこの先生をお勧めいたします。
JR鶴見駅前で最近開業された、「まりこの皮膚科」です。
グーグルで「まりこの皮膚科」で検索され、必ず予約をして受診されてください。
NHK、「ためしてがってん」などにも出演されている著名な女医さんです。
東京慈恵会医科大学皮膚科の前教授です。
お大事になさってください。
「黒子 (男性)22歳」
22歳の男性から相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
私は22歳の男性です。
性器の裏辺りに昔から黒子みたいなものがあった記憶があるのですが、最近それが少し大きくなり、膨れてきたのですが大丈夫でしょうか??
(黒子みたいに黒くはないです)
【回答】
22歳の男性。昔から、性器の裏側に黒子様の物を認めていた。
最近それが少し大きくなり、腫れてきた。
以上まとめました。
これは言い換えると黒褐色様の小腫瘤ですね。
悪性の物か、良性の物か!?
これは診察しないと分かりません。
泌尿器科あるいは皮膚科に受診なさってください。
そして安心いたしましょう。
お大事になさってください。
性病から脳の病気(女性)
40歳の女性から相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
18年ほど前に先生のところで診察受けました。病気はヘルペスでした。
当時の職場の人からヘルペスは脳の病気になる可能性があるから気をつけたほうが言われた事があります。
11年前に顔面麻痺になりました。
原因がわからないと病院から言われ、去年脳梗塞、脳動脈癌も見つかりました。
これらの病気はヘルペスの菌を持ってる事と関係あるんでしょうか?
【回答】
お元気でしたか!
18年前に私の診察を受けたと言われますと、何か懐かしい感じがいたします。
11年前に顔面麻痺になったのは恐らくヘルペスとは関係ないと思います。
幼少時には脳のヘルペス疾患で重症になる場合が多いと言われています。
貴方の場合は年齢的にご心配ないと思いますが、他の脳疾患との関連があるかもしれませんから、一度、専門医に診てもらったら如何でしょうか!
良いアドバイスができなくて申し訳ございませんが、私がお勧めする良い先生をご紹介しておきます。
JR鶴見駅前のコーリンビル5階に 「まりこの皮膚科」(院長:本田まりこ先生)がありますから、この先生に受診の上ご相談なさってください。
インターネットで探してください。
グーグルで「まりこの皮膚科」を検索して、必ず予約して受診なさってください。
この先生はヘルペスでは日本の大家です。
先日もNHKの「ためしてがってん」に出演しております。
お大事になさってください。
【相談者からの返事】
先生こんばんわ。先生がせっかく病院教えてくれたのはいいのですが、私は今神奈川にはいません。
昔は川崎に仕事でいて、こちらの事情で実家に戻りました。
脳の病気とヘルペスとの関係に問題がないとの事で安心しました。
脳の手術についても地元には信用できる先生がいないので県外も考えています。
ヘルペスの菌が関係してるようなら先生が教えてくれた病院行ってみます。
【2回目の挨拶】
お返事ありがとうございます。少しでも心の傷が癒されるといいですね。
お大事に!
ED改善薬と薬の飲み合わせ
男性からED改善薬と他の薬との飲み合わせについて
相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
現在、カンデサルタン錠8mg
ゼチーア錠10mg
メインテート錠5mg
を朝食後に服用しております。
ED治療薬、バイアグラ、シアリス等の服用は可能でしょうか?
【回答】
カンデサルタン錠8mg、ゼチーア錠10mg、メインテート錠5mg
を朝食後に服用なさっておられるそうですね。
これらの薬とED改善薬、バイアグラ、シアリス等の服用は可能です。
豊かな性の健康をお祈りいたします。
「性器にステロイド使用は如何でしょうか?」
男性から外陰部のステロイド使用の可否について相談がありましたので、報告いたします。
【相談内容】
私は男性ですが、陰茎付け根から陰嚢にかけて発疹と痒みがあり皮膚科を受診したところ、アンテベートローションというステロイド薬を処方されました。
陰部にステロイドは使わないほうが良いという話を聞いたことがあるため使用を躊躇しています。
指示通り使った方が良いのでしょうか?
先生のお考えを聞かせてください。
【回答】
貴方は男性。
陰茎の付け根から陰嚢にかけて発疹と痒みがあり皮膚科を受診した。
そしてアンテベートローションというステロイド薬を処方されたということですね。
確かに、外陰部(皮膚粘膜移行部)にステロイドは使用しない方がよいという考えもあります。
私も基本的にはステロイド薬は外陰部(皮膚粘膜移行部)に殆ど使用しません。
使用するのであれば非ステロイド系の外用薬と混合し、ステロイド薬の強さ(濃度)を落として使用いたします。
ただ、貴方の診断の内容が判りませんから、ステロイド使用の可否はコメントできません。
短期間の使用でしたら、大丈夫かもしれません。
使うか、使わないかは、貴方が決めていいと考えます。
まだ心配であれば他の皮膚科医の意見も参考にしてもよろしいかと思います。
お大事になさってください。
梅毒の届け出・治療・感染源の追跡は如何に!
ある産婦人科の先生から耳鼻咽喉科の先生を通して、私に「梅毒」について相談がありましたので報告いたします。
【1回目の相談内容】
ある産婦人科の先生から梅毒について質問がありました。
患者さんは女性で、無症候性梅毒の方です。
以下の2点について教えていただけませんか?
1.直ぐに保健所に届け出が必要でしょうか?
2.治療は.ペニシリンで良いのでしょうか?
治療のポイントありますか?
【1回目の回答】
1.何科の医師でも、梅毒と診断したら、診断がついてから、7日以内に所轄の保健所に届け出る義務があります。全数報告ですから、臨床が忙しいでしょうが届け出てください。
お忙しければ、所定の書類を事務系の方に保健所でもらってきていただき、書類が作成できましたら、また事務系の方(スタッフ)に提出していただきましょう。
2.無症候性梅毒の治療については、私のお勧めは、著効薬であるアモキシリン製剤(合成ペニシリン)1.5gを8週間投与することです。
副作用があれば日本性感染症学会の治療ガイドラインを参考にし、他の抗生剤に変更なさってください。
ただし、治療の開始にあたっては、Jarisch-Herxheimer反応(現象)の説明が必要です。
第1・2期の患者に高頻度にあらわれます。治療開始後、数時間で起こる生体反応です。
投与開始直後にT.p.菌体が急激に破壊されるため、大量の抗原が放出され、アレルギー反応が生じる可能性があります。
突然の発熱・悪寒・頭痛・感冒様症状などが生じます。
皮膚症状の増悪もありえます。この反応の多くは一過性に生じます。
患者に予め、このことを説明しておく必要があります。
説明しておかないと、患者は激しく、ビックリすることがあります。
念のため鎮痛解熱剤などの投与をしておくとよいでしょう。
さて、治療終了後、6か月~1年、毎月1回は梅毒血清反応(STS,TP抗体)を行い、抗体価を経過観察されると、患者さんも医師も安心されることでしょう。
STSの抗体価が下がるといいですね。
TP抗体は下がらなくても気にすることはありません。
梅毒の治療の目的はT,p.を死滅させることであって、梅毒血清反応を陰性化することではありません。
もし、あまり抗体価が下がってこない場合は、HIV検査をして安心いたしましょう。
通常は投薬され1か月以上経過されましたら、感染能力はなくなりますから、日常生活で感染することはないと考えます。セックスもOKです。
【2回目の相談内容】
再度の質問です。先日の梅毒の件ですが、感染経路を追跡すべきかどうか教えてください。
倫理的には、すべきと思いますが如何でしょうか?
ご意見をお聞かせくださいませんか?
【2回目の回答】
この患者さんは女性ですね! 自分がどの男性から梅毒を移されたのか、知りたいですよね!
この病気の感染経路を追跡することは、今迄のセックスパートナーを調査しばれればなりません。
つまり、この女性の男性遍歴を自ら追跡することになりますね。
無症候性梅毒ですから、かなり難しいと思われますが、彼女が思い当たる、元彼たちに連絡し、自分が梅毒に罹患したことを告知しなければなりません。
そして、パートナーに『貴方の将来が心配ですから、梅毒の血液検査を受けてください』とお願いできでば、その真意が伝わり梅毒の感染者が見つかるかもしれません。
しかし、そこまで努力して彼女が感染経路を探いだし、犯人を見つけて納得したいのかどうかですね!
かなり難しい問題と思います。彼女の心の傷をいやすために見つかることをお祈りいたします。
【耳鼻咽喉科の先生からのお返事】
早速の明快なる、お返事ありがとうございました。読めば読むほど、大変だと感じました。
産婦人科の先生は保健所に梅毒の届け出をしたそうです。
その際、HIVも調べるように指示されたそうです。
なかなか追跡は、厳しいと思われますが、促すようにすると、仰ってました。
今回の尾上先生のアドバイスを踏まえて、産婦人科の先生と小生との間での、今回の症例についてのみならず、今後のお互いの連携について、お話する事が、出来て非常に有益な関わりが出来ました。尾上先生のお陰と感謝しております。
ありがとうございました。
以上、報告いたします。
1.山
2.ヤマモモです。コケモモではありません。
第2期に見られる赤い丘疹が楊梅(ヤマモモ)の果実に似ているので楊梅瘡(ようばいそう)と呼ばれていましたが、いつの間にか「楊』の字が取れて、次第に梅瘡⇒黴毒⇒梅毒と変化したと言われています。
「陰茎折症でしょうか?」
ある男性から、陰茎折症について相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
お忙しい中、失礼いたします。陰茎折症についてご教授ください。
昨日、性行為を行ったのですが、その途中で陰茎が「ポキッ」っと鳴りました。
若干の痛みはあったものの、そのまま性行為を継続することができました。
しかし、その後陰茎を見てみると、少し内出血が起こっていました。
陰茎の曲がりや痛みはありません。
これは、陰茎折症なのでしょうか?
ご回答よろしくお願いします。
【回答】
大事な陰茎のことですから心配ですね!
性行為の最中に陰茎がポキッと鳴ったそうですね。
恐らく、陰茎海綿体を包んでいる海綿体白膜に極、わずかな傷(裂傷、破裂など)ができたのかもしれません。
陰茎に多少の内出血が認められているので、陰茎折症の可能性があります。
陰茎には海綿体が3本あります。
1本は亀頭と尿道周囲を包むようにある尿道海綿体です。
もう2本は陰茎の左右両側にある陰茎海綿体です。
この3本の海綿体は白膜で包まれています。
陰茎折症の典型例ではこの海綿体白膜が何らかの刺激で破裂し、見る見るうちにペニスが巨大に腫脹し、赤紫色に変色してきます。
貴方の場合は恐らく、陰茎海綿体白膜の一部に軽い傷ができ、わずかな出血が生じたものと推察いたします。
幸いなことに、陰茎の曲りや疼痛はないそうですが、早急に泌尿器科の専門医を受診いたしましょう。
そして安心いたしましょう。お大事になさってください。
陰茎折症の臨床写真
『生フェラでうつる性感染症が心配』
若年の男性から相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
性病に関しての相談です。
生フェラで感染するのは淋菌とクラミジアだそうですが、危険行為の前から風邪などでクラリスを服用している場合、危険行為から3日目に性病キットで尿の検査をしても正しい結果は出ませんか?
また、梅毒の感染の可能性はありますか?
HIVはないと聞きました。
一度だけそういうお店でなめられてしまい、後悔しています。
すでにクラミジアと淋菌のキットは購入しています。
【回答】
女性の口で男性性器に性的刺激をすることを フェラチオといいます。
さて、フェラチオで感染する可能性がある性感染症は、淋菌感染症、クラミジア感染症、性器ヘルペス、梅毒などが考えられます。
口腔内に出血があれば、HIV感染症のリスクもゼロではありません。
貴男は風邪などのためクラリスを服用していたので、検査する意味がありません。
検査をするのであれば、クラリス服用後、2週間以上経過してから行ってください。
今となっては、その時の感染していたかどうかはわかりませんが、2週間以上経過して検査をすれば検査した時点での感染の有無は分かると考えます。
キットでも構いませんが、一度専門医に受診なさることをお勧めいたします。
性の健康をお祈りいたします。
『女性用バイアグラが全米初の許可!』
メルマガの興味ある記事をみましたので報告いたします。(2015.9.1.)
メルマガのMAG2 NEWSによると
女性用バイアグラが全米初の許可!
女性がソノ気に?男性の出す「○○の臭い」に媚薬の効果と米研究
http://e.mag2.com/1N3WTS6
“女性には性欲があまりない”なんていいますが、男性の身体から出るアレのニオイには、女性を思わずメロメロにしてしまう効果があるのだとか……。
米・カリフォルニア大による研究結果の詳細が、無料メルマガ『Dr.ハセのクスリとサプリメントのお役立ち最新情報』で紹介されています。
副作用のない女性用バイアグラはないか?
女性用バイアグラが、米食品医薬品局(FDA)により認可され、一大ニュースとなっています。
この薬剤は商標名「Addyi」で、スプラウト・ファーマシューティカルズ社が性欲が減退した閉経前の女性のために開発したものです。
なお、この薬はアルコールとの併用は厳禁で、アルコールと一緒に服薬すると、失神や極度の低血圧など深刻な相互作用を起こす恐れがあるそうです。
薬というものはどうしてもこのような危険性が伴いますが、そのような危険性がなく、女性の性的興奮を起こさせるものはないかと調べてみました。
その中で、女性が男性の汗に含まれる化学物質の匂いをかぐと性的な興奮を覚え、心臓の鼓動が早くなるなどの変化が表れるという話題がありましたので、今日はそのお話を。
この報告を行ったのは、カリフォルニア大学バークレー校のClaire Wyart博士らで、神経学医学誌 The Journal of Neuroscience (Wyart, C. The Journal of Neuroscience)に発表されているものです。
今までの同大学の研究で、男性の汗に含まれるアンドロスタディエノン(androstadienone)と呼ばれる成分が、女性の性的な興奮を引き起こすらしいことがわかっていました。
現役女子大生48人に起こった生理的変化
そこで実験では、女子大生48人にアンドロスタディエノンの入ったビンから、その匂いをかいでもらい、その時に起こる生理的な変化を調べました。また同時に唾液を採取し、コーチゾルの量も測定しました。
ちなみにコーチゾルは、ストレスを受けたときに分泌されるホルモンで、気持ちのよい興奮状態を維持させたりするため、幸福ホルモンとも呼ばれているものです。
その結果、アンドロスタディエノンの匂いをかいだときには、女性の気分が高揚し、性的な興奮が起こり、血圧、心拍数、息づかいなど生理反応が増加することが確認されました。
そして、幸福ホルモンのコーチゾルのレベルは、アンドロスタディエノンをかいだ直後に上昇し始め、ピークが1時間以上も続いたそうです。
以上の結果から、この研究者らは、男性の汗の中にあるアンドロスタディエノンには、女性の性的興奮を引き起こすフェロモン作用があるとしています。
ちなみに、アンドロスタディエノンは、男性ホルモンのテストテスロンの誘導体で、男性の汗以外に唾液や精液の中にも存在することが知られています。
また、媚薬として有名な漢方薬である麝香(ジャコウ)にも同様の物質が含まれているのだそうです。