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『腟トリコモナス症が致死的な前立腺癌のリスクを高める』
日経メディカルの癌Expertsニュース(2009年9月15日付け)に興味あるニュース記事がありましたのでご紹介いたします。
日経メディカル
癌Expertsニュース
『腟トリコモナス症が致死的な前立腺癌のリスクを高める』
2009/9/15
清野 仁輿=エディター・ライター
一般的な性感染症である膣トリコモナス症が、悪性度が高く致死的な前立腺癌のリスクをかなり高めるようだ。
米ハーバード大学パブリックヘルス校のLorelei Mucci氏らの研究結果が、9月9日付けの Journal of the National Cancer Institute誌電子版に掲載された。
最近の研究では、腟トリコモナス抗体の存在が、その後の前立腺癌の発症に関連することが分かってきている。
また、この研究チームも以前、同抗体の存在が前立腺癌の発症と死亡に関連することを確認している。
今回の研究では、673人の前立腺癌患者について、診断の平均10年前に採取された血液サンプルと、前立腺癌ではない 673人の男性の血液サンプルについて、血清中の腟トリコモナス抗体の有無を調べた。
腟トリコモナス抗体が陽性の場合、前立腺癌のリスクは1.23倍になったが、統計的に有意ではなかった。
ところが、同抗体が陽性の場合、前立腺外に広がった前立腺癌の発症リスクは2.17 倍、最終的に骨転移へと進行する前立腺癌の発症あるいは前立腺癌による死亡リスクが2.69倍になった。
腟トリコモナス症は、抗生物質で容易に治療可能だが、男性の場合ほとんど症状がないうえに、女性と比べて検出が困難だ。
「今回の研究結果が大規模な前向き研究で確認されれば、腟トリコモナス症の予防と治療が、悪性度の高い前立腺癌の、数少ない修正可能なリスク要因といえるかもしれない」と、Mucci氏は語っている。
図: 腟トリコモナス原虫
鞭毛と波動膜で活発に運動する。
主に腟に中に存在する。
男性では前立腺で生息する場合もある。
一般的に検出は難しい。
インタビュー取材.Web連載記事「専門医に聞く!STIのそこが知りたい!」
平成27年10月15日15時30分から17時45分
東京ドームホテルにて性感染症についての取材を受けましたので報告いたします。
性感染症啓発Webサイト「おしえて!STI」
Web連載記事「専門医に聞く!STIのそこが知りたい!」
インタビュー取材と講演をいたしました!
エディターライターとのインタビュー取材は約1時間でした。
取材時同席した方々はロシュ•ダイアグノスティクス担当者1名、博報堂担当者4名、
エディターライター1名、カメラウーマン1名でした。
インタビュー取材終了後、同席した方々に講演「性感染症」のプレゼンテーションを約1時間行いました。
皆さん「性感染症」のプレゼンテーションは初めてのご様子でその内容にビックリしておられました。
同席者と記念撮影をいたしました。
その後、お茶をして和やかなうちに終わりました。
取材原稿が何時できるか、楽しみです。
取材時同席した方々に感謝申し上げます。
尾上泰彦
HIV検査、増える郵送検診
2015年(平成27年)10月5日(月) 読売新聞夕刊に掲載された記事を紹介いたします。
HIV増える郵送検診
顔合わさず「手軽」昨年7万7500件
エイズウイルス(HIV)感染の有無を調べる民間の郵送検査の利用件数が昨年、過去最多の7万7588件に上ったことが、慶應大医学部の加藤真吾専任講師(微生物学)らの調査で分かった。
数千円の負担で気軽に検査ができるのが人気だが、判定後のフォロー体制が不十分な業者あるなど、課題も多い。
「陽性」フォローない業者も郵送検査の件数は、調査を始めた2001年は約3600件だったが、年々増加している。
人気の背景には、時間的な制限がなく、他人と顔を合わせずに検査できるという手軽さがある。
利用者は2000~8000円程度で検査キットを購入。指先から少量採血して検査会社に返送すると、
数日から1週間程度で検査結果が出る。
結果は郵送やメール、インターネット上でパスワードを入力するなどして確認するという。
ただ、郵送検査で行われるのは、スクリーニング(ふるい分け)検査と呼ばれる1次検査。
「陽性」の結果が出ても、「疑陽性」で、実際は感染していない可能性があり、最終判断には、病院などで確認検査を受ける必要がある。
加藤専任講師によると、業者の中には、1次検査の結果を知らせるだけで、その後の対応は個人の判断に任せきりのところも多い。
動揺して自暴自棄になり、確認検査を受けないままの人が出てしまう可能性もあるという。
HIV検査は、保健所などの公的機関でも無料で匿名で受けられる。
医師が対面で結果を説明するため、説明内容が十分に伝わるメリットがあるが、曜日や時間帯が限定されているところが多い。
08年に年間17万7000件だった公的機関での検査件数はここ数年、13万~14万件台と伸び悩んでいる。
HIVの郵送検査は、00年ごろから扱う民間業者が出始めた。
今は10業者ほどあり、近年増えつつあるという。
加藤専任講師は、「郵送検査では検査結果の説明や相談が対面で行われず、十分な情報が検査を受けた人に伝わっていない可能性がある」と話し、必要な人がきちんと治療を受けられるよう、運用指針の整備の必要性を指摘する。
年間2万件弱の郵送検査を行っているアルバコーポレーション(大阪市)では、年30~40件ほどの「陽性」判定が出る。陽性だった人に確認検査を受けられる病院を紹介したり、相談に乗ったりして検査後のフォローに努めているという。
同社の萬田和志社長は「検査の安全性や信頼性を守るため、業界で基準をつくる必要がある」と話している。
HIV感染: 厚生労働省のエイズ動向委員会によると、昨年新たに報告されたHIVの感染者数は1091人、エイズを発症した患者は455人。
適切な治療を受ければ、エイズの発症を抑えることができるため、発症前に感染を早期発見するための検査が大切とされる。