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「若い女性に梅毒が増えている!」
2015年(平成27年)11月24日(火)発行の讀賣新聞の朝刊に梅毒に関する記事が掲載されましたのでご報告いたします。
梅毒 若い女性に急増!
20~24歳の若い女性に今年は昨年の2.7倍も多い
性感染症「梅毒」の患者が急増し、今年は10月の時点で昨年1年間の患者数を超え、現在の調査方法になった1999年以降で最多となったことが、国立感染症研究所のまとめでわかった。
胎児感染で重い障害恐れ
特に若い女性の増加が目立ち、妊娠中に胎児に感染すると重い障害が残る恐れもあることから、専門家は予防と早期の受診を呼びかけている。
感染研によると、梅毒患者の報告数は、10年ほど前から増加傾向にあったが、2008年の831人をピークに10年には621人まで減った。
しかし11年から急増し、今年はすでに2037人(10月28日時点)と、昨年1年間の1671人を超えている。
女性の年齢別では20~24歳が177人で最も多く、昨年同時期に比べ2.7倍となった。
胎児に感染し、死産や障害につながる「先天梅毒」も10例報告された。
梅毒は、患者との性的接触が主な感染ルート。
3~6週間の潜伏期間を経て、感染部分にしこりができ、それがいったん消えた後に体に発疹が現れる。
抗菌薬の使用で治癒する。
感染研の大西真・細菌第一部長は「不特定多数との性的接触を避けることが予防につながる。
妊娠初期に治療すれば胎児の感染を防げるので、疑いがあればすぐ受診してくほしい」と話す。
新聞の写真は「梅毒患者数の推移」を表しています。参考にしてください。
以下は私のコメントです。
男性では、2014年には3年ぶりに梅毒の異性間接触患者数が同性間接触患者数を上回っています。
この事実は2011年以降、男女間の異性間接触で男性にも女性にも梅毒が爆発的に増加していることを物語っています。
世界的流行「パンデミック」の前兆でなければよいのですが。
どのような理由、原因でこのように急激に梅毒が増加したのか、早期に解明し対策を立てる必要があります。
また行政、厚生労働省、専門家、医療機関などは、予防と早期の検査受診を啓蒙すべきです。
2015年11月24日讀賣新聞「梅毒 若い女性に急増」
東京ドームのイルミネーション
梅毒病原菌: トレポネーマ 螺旋状をしている.
「ペニスのイボ!」
45歳の男性から 「ペニスのイボ!」の相談がありましたのでご報告いたします。
【相談内容】
宮本町中央診療所に通院していました。病名を思い出せずにいます。
亀頭の根元に小さなイボができて、先生はインベーダー? ウィルス?
うる覚えですがそんな感じでおっしゃってました。
ヨクイニンの錠剤とべセルナクリームを処方されて使っていました。
2年以上前のことです。完治しましたが またイボができたような気がします。
ただ前とは若干違うようです。
陰茎の根元付近に2つと、睾丸に1つあります。
ただ皮を伸ばすと中のしこり? は白いので毛穴のつまり??
ニキビ?なのかなとも思いますが分かりません。
見てもらうのがいいのでしょうが不安なので、そこで先生にお聞きしたいです。
それに性病科は信頼できる方がいいので、現在閉院している先生以外に尾上先生が信頼できるドクターを、川崎市近辺で教えていただけないでしょうか。
【回答】
尖圭コンジローマあるいは他のイボの可能性がありますね。
近所に素晴らしい先生がいらっしゃいます。
JR鶴見駅の前にある、コーリンビル5階の皮膚科です。
NHKなどによく出ていらっしゃる先生です。
「まりこの皮膚科」 院長は本田まりこ先生です。
ネットで 「まりこの皮膚科」を見ていらしてください。
お大事になさってください。
『アトラスで見る、これが性感染症だ』
日本性感染症学会 第28回学術大会
期日:2015年12月5日~6日
会場:都市センターホテル
千代田区平河町2丁目4番1号
私の講演がありますのでお知らせいたします。
12月5日(土) 12:10~13:00
「ランチョンセミナー1」です。
演題::『アトラスで見る、これが性感染症だ』
座長:感染症対策研究センター センター長
熊澤 淨一先生
講演会場は第1会場(3F コスモス)
共催:日本性感染症学会 第28回学術大会/ロシュ・ダイアグノスティックス(株)
「これが性感染症だ」
性感染症の臨床現場においては、教科書でみるような「これが性感染症だ」という
典型的な症例ばかりではない。
そのため、性感染症の診断には問診技術と視診技術が重要となるが、今回は特に
視診技術に関して述べる。
私が経験した性感染症症例を中心に臨床写真を提示しながら視診技術のポイントに
ついて述べる。
多くが私の臨床経験に基づいた(エビデンスに基づかない)内容であるが、
プライベートパーツに隠された、驚くような性感染症の情報をご覧いただきたい。
スライドタイトル
口は災いのもと
性器ヘルペス?梅毒の硬性下疳?
『日本の異なる2地域において分離された淋菌のazithromycin耐性とsequence typeに関する検討』
第64回 日本感染症学会東日本地方会学術集会
第62回 日本化学療法学会東日本支部総会の合同学会が
2015年10月21日(水)~23日(金)
札幌の「ロイトン札幌」で開催されました。
今回は私の診療所の淋菌に関する研究発表がありましたので報告いたします。
その演題は『日本の異なる2地域において分離された淋菌のazithromycin耐性とsequence typeに関する検討』
演者は東邦大学看護学部感染制御学教授の小林寅喆先生です。
私は共同演者です。
以下にその研究発表要旨を示します。
【背景】淋菌感染症において抗菌薬耐性淋菌が増加し世界的にも問題となっ
ている。特に第3世代セフェム系薬剤耐性株は治療において深刻な問題で、
azithromycinとの併用が推奨されている。今回、日本の異なる2地域において
分離された淋菌に対するAZM耐性とSequence Type(ST)について
検討した。
【方法】福岡および川崎の2地域において2012年および2013年の間に淋菌
感染症患者より分離された淋菌それぞれ234株、150株を対象とした。
抗菌薬感受性はCLSIに準じた寒天平板希釈法によりAZMおよび各種抗菌薬
のMICを測定した。
分離株のNG-MASTはMartinらの報告を参考にSequence Typingを行った。
【結果】各種抗菌薬感受性の比較では川崎分離株においてPCG,CTRX,TC
のMIC50および90の値が福岡分離株に比べ2倍高かった。一方、AZM耐性株は
福岡分離株の方が多く、17.5%に対し、川崎分離株は10.7%と差が見られた。
これらAZM耐性株のSTは福岡分離株に偏りが見られ41株中20株はST6798で
高い割合を占めていた。一方、川崎分離株のうち型別が可能であった11株中
4株はST1407であった。AZMを含む複数薬剤に耐性を示した株の割合は福岡
分離株に多かった。
【考察】日本の異なる地域において近年分離された淋菌の抗菌薬感受性全体と
して大きな差は見られなかったが、AZM耐性を含む多剤耐性株も福岡分離株に
多く、同じST型によるものと考えられた。
以上。
懇親会会場にて。川崎市立井田病院 感染症科 中島由紀子先生と共に。
『HIV感染症とその治療について最新の知見』
日本性感染症学会
第6回 関東甲信越支部総会・学術集会
が2015年9月27日(日)13:00~
東邦大学看護学部 第9講堂室で開催されました。
その中で私が興味を持ちました講演について報告いたします。
その演題は『HIV感染症とその治療について最新の知見』です。
講師は 味澤 篤先生(公益財団法人 東京都保健医療公社 豊島病院 副院長)です。
演題 『HIV感染症とその治療について最新の知見』
以下にその講演要旨を示します。
不治の病であったHIV感染症は、抗HIV療法(antiretroviral therapy、ART)の進歩により長期の予後が期待できる疾患になった。
国内で本格的にARTが導入された1977年時点では、
①抗HIV薬の認可に国内と海外ではギャップがあること、
②アドヒアランスの問題、
③高額な治療費、
④必要な検査が認可されていないなどの問題があった。
しかしこれもHIV診療関係者の努力と協力により乗り越えることができた。
ART自体も進歩し、HIV感染者の予後は劇的に改善し、またARTが2次感染予防にも有効
であることが判明した。
ではHIV感染者はARTを行えば、それで「OK」なのかと言われれば「No」と言わざるを得ない。
近年HIV感染者に起こる合併症では、脳血管障害、心筋梗塞、糖尿病、非AIDS指標悪性腫瘍および骨折などが注目されるようになった。
したがって、HIV感染症診療は早期のART導入と同時に、さまざまな長期合併症に対して、定期的にチェックを行い、早期に介入を行うことが必要である。
またARTは確かに進歩したが、まだ治癒の道は見えていない。
ARTにより血液中のHIVはほぼ検出されなくなっている。
しかしスパイク状のウイルス増殖が時々見られる。
HIVが潜伏している感染細胞のプールが存在し、そこで微小なHIV増殖が生じているためと考えられている。
HIVが潜伏している感染細胞の主体は、腸管粘膜下をはじめとするCD4陽性メモリーT細胞とされる。
メモリーT細胞に潜んでいるHIVにどのように対処していくかが、今後の治癒あるいは機能的治癒を考えるうえで重要ポイントである。
以下は私の講演中に聞いたメモ書きです。
1.HIVはCD4に乗っかって、3日で全身に拡がる、ずるがしこいウイルス。
2.2007年頃からはHIV感染者はAIDS以外の疾患で死亡するようになった。
例えば、癌、心筋梗塞、脳梗塞。
3.また糖尿病になりやすくなり、同時に合併症も生じる。
4.今は、HIVの感染すると直ぐに治療を開始する。CD4と関係なく!
5.インテグラーゼ阻害剤は効果が良く、副作用も少ない。
6.HIV感染者に起こる合併症で、女性は骨折しやすい。
尚、日本性感染症学会 関東甲信越支部長は帝京科学大学医療科学部看護学科教授の齋藤益子先生です。講演会は多くの専門家が出席されて盛況でした。
以上です。
「クラミジアの治療について (女性)」
30代の女性からクラミジアの治療について相談がありましたので、報告いたします。
【相談内容】
私は30代半ばの女性です。
今年8月12日に子宮外妊娠で手術しました。
そのときクラミジアDNA(PCR)では陰性。
その後9月19日に近所の婦人科で受けた検査では、
クラミジアIGA ELISA 1.35ということで、今日結果を聞き抗菌薬を処方されました。
8年前にクラミジアの治療歴があります。
3年前の出産の時には言われていません。
術後は避妊にも気をつけていたのですが、やはり現在感染しているのでしょうか?
抗菌薬の服用は必要でしょうか。
よろしくお願いします。
【回答】
貴女は、今年8月12日に子宮外妊娠で手術した。
その時のクラミジア遺伝子検査であるDNA(PCR)で陰性でした。
その後9月19日に近所の婦人科で受けた血液によるクラミジア抗体検査では、
クラミジアIgA(ELISA)1.35ということで、抗菌薬を処方された。
8年前にクラミジア感染症の治療歴がある。
3年前の出産の時には言われなかった。
以上貴女のいままでの経過をまとめてみました。
婦人科領域ではクラミジア感染を推定する場合に、抗原検査ができないケースで、
抗クラミジアIgA抗体、IgG抗体の血液検査をされることがあります。
私見で申し訳ないのですが、一般的にIgA抗体は感染の初期に上昇してくるものと考えています。
一方、IgG抗体は少し遅れて上昇してくるようです。
その後どのような経過で下降してくるのかはよく分かりません。
しかし、下腹痛や性交痛や内診痛が存在し、抗クラミジア抗体価が陽性であればクラミジア感染の存在が推定されます。
ただし、抗クラミジア抗体価は感染の治療により治癒した後も、長期間、陽性に出ることが多くの症例でみられます。
私見ですが、クラミジアの治療を行い抗体価が無くなるのは、早い人では2年位です。
しかし10年経っても陰性化(消失)しない人もいます。この点は臨床的に注意が必要です。
つまり、クラミジアの血清抗体検査は、女性の骨盤内感染症、肝周囲炎など感染部位から直接検体を採取するのが困難な疾患における補助的診断法としては有用であり、確かに使用されています。
もちろん、この検査は健康保険適用されていますから、婦人科領域では使用されることがあります。
しかしながら、私見ですが、このクラミジア感染症の補助的診断法としての抗体検査は、臨床的に診断的意義は少ないと考えています。
また抗菌薬で治療後の治癒判定検査にも使用すべきではないと考えられています。
貴女は8年前にクラミジア感染症になりその治療歴があるそうですね。
その時の過去の歴史が、クラミジアIgA(ELISA)1.35という成績として出てきたと考えられます。
ですから、貴女の現在の状況を表しているわけではないと考えます。
以上のことから、貴女の抗菌薬の服用は必要ないと考えます。
抗クラミジアIgA抗体、IgG抗体の血液検査は婦人科領域では使用する先生がいますが、私は臨床的意義が少ないと考えており、この検査は使用しておりません。
やはりクラミジアの検査は遺伝子検査【DNA(PCR)】などを受け、陽性であれば抗菌薬が必要になると考えます。
写真1.子宮頸部から漿液性の帯下を認める。
梅毒の感染力について (女性)
女性から梅毒についての相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
はじめまして。
お教えいただきたく、メールにて失礼いたします。
9月末に梅毒初期と診断され サワシリン250mg×2錠を1日3回 4週間服用しました。
11月2日 再検査をし 現在結果を待っている状況です。
先生のブログを拝見し、投薬から1か月以上たてば感染力はなくなるとのこと。
これについて質問です。
投薬開始から1か月
投薬完了から1か月
どちらでしょうか??
何を調べても感染力の有無のことは書かれてなく、通院している医院のお医者さんもわからないようで返事があいまいなのです。
お忙しいところ申し訳ありませんが、回答をよろしくお願いします。
【解答】
日本性感染症学会の治療ガイドラインにそった治療をしているのであれば、投薬開始から1ケ月で感染能力はなくなります。
一般的な日常生活はもちろん、キス、セックスも可能となります。
1.貴方は9月末に梅毒初期と診断された。
梅毒は臨床的に第1期から第4期まであります。
貴方の梅毒初期とは、普通に考えれば第1期となりますが、貴方の主治医はどういう意味で梅毒初期と説明したのでしょうか?
何か貴方の身体の局所に症状がありましたか?
局所に症状(初期硬結、硬性下疳など)が出たのであれば、顕症梅毒の第1期梅毒(感染後約3週)です。
症状がなければ無症候梅毒です。これは症状は認められないが、梅毒血清反応が陽性のものをいいます。
あるいは皮膚症状がありましたか?
皮膚症状があれば顕症梅毒の第2期梅毒で、皮膚・粘膜の発疹や臓器梅毒の症状がみられます。
丘疹性梅毒疹(感染後約12週であらわれる)、梅毒性乾癬(手掌・足底にあらわれる)となります。
梅毒性バラ疹は身体を中心に顔面、四肢などにみられます。
扁平コンジロームは肛門周囲にできます。
梅毒性アンギーナといってビランや潰瘍を伴い、扁桃を中心として軟口蓋に及ぶ発赤、腫脹などもあります。
時に口腔内粘膜にバタフライ・アピアレンスという特徴的な所見があらわれることもあります
舌には、乳白色という所見があらわれることもあります。
また梅毒性脱毛もみられます。
第3期梅毒では感染後3年以上経過すると顔面に結節性梅毒疹、鼻にゴム腫などがあらわれることもあります。
第4期になりますと、大動脈炎、大動脈瘤あるいは脊髄癆、進行麻痺などの症状が現れることがあります。
時に、脳神経症状があらわれ人格が崩壊する場合もあります。
ただ、現在では第3期、第4期の症状があらわれる人はほとんどありません。
しかし、HIVに感染していると梅毒の症状が増悪してくることもあります。
2.貴方は、サワシリン(アモキシリン製剤:合成ペニシリン製剤の一つです)250mg×2錠を1日3回 4週間服用しました。
できたら日本性感染症学会の治療ガイドラインにそった治療をなされば良かったのですが。
つまり、薬の投与期間は、第1期であればサワシリン250mg×6錠 1日3回 2~4週間服用なされば良かったのです。
第2期であれば4~8週間、第3期以降であれば8~12週間を必要とします。
貴方の場合は第1期とすれば、治療としては恐らく大丈夫でしょう。
今後、可能であればサワシリン250mg×6錠 1日3回をあと2週間追加して服用なさればよろしいかと考えます
3.貴方は、11月2日 再検査の血液検査をして、現在結果を待っている状態です。
検査成績が良い方向に行く場合と、悪い方向に行く場合があります。
検査の結果がどうであれ、正しい治療さえしていれば、心配いりません。
検査の結果で一喜一憂することはありません。
ただ定期的に毎月、通院され1年ほどは血液検査で抗体価の推移をみることは必要ですし、お勧めいたします。
抗体価がさがってくると貴方も医師も安心されることでしょう。
医師に言いたいことですが、一番大事なことは、梅毒の治療の目的は、梅毒の病原微生物であるトレパネーマパリドムを死滅させることであって、
梅毒血清反応の検査成績(Tp抗体価)を陰性化させることではありません。
我々、医師が注意することは、抗体価がさがらないからといって、患者にいつまでも薬を服用させてはいけないことです。
必要のない治療になります。肝に銘じましょう。
梅毒性アンギーナ
日本性感染症学会 第28回学術大会
2015年12月5日~6日 都市センターホールにて
日本性感染症学会 第28回学術大会が開催されますのでご案内いたします。
学会会長は帝京科学大学看護学科 教授 齋藤 益子先生です。
学会のメインテーマは
「生涯を通した性の健康 -性感染症の予防から治療までー」
となっております。
私の講演もプログラムに予定されております。
5日はランチョンセミナー 演題 『アトラスで見る これが性感染症だ』
6日は 「卒後・生涯教育プログラム シンポジウム」でシンポジストとしてお話しします。
シンポジウムのテーマは
「性感染症、一次医療機関での実際 ―事件は現場で起こっているー」
です。
私の演題は 「若年者の性感染症患者を対象とした再発防止策」 です。
宮本町中央診療所 尾上泰彦
また一般演題にもエントリーしております。
演題:「川崎市において分離されたNeisseria gonorrhoeaeに対する抗菌薬感受性の推移について」
これらの発表内容は改めてブログにて報告いたします。
学会会長 帝京科学大学看護学科 教授 齋藤 益子先生
日本性感染症学会誌 第26号 第2号 2015
「クラミジア感染症について」
ある泌尿器科医から「クラミジア感染症」について質問がありましたので報告いたします。
【質問1】
女性クラミジア頸管炎 感染して無治療の場合 何ヶ月まで 頸管粘液でクラミジアが陽性に出ますか?
【回答1】
大変難しい答えにくい質問です。
私は、女性のクラミジア頸管炎ははっきりと断定はできませんが、何年でも陽性になり得ると考えております。
【質問2】
男性のクラミジア尿道炎 放置して感染してからどの位の期間まで尿検査でクラミジアが陽性にでるものですか?
【回答2】
クラミジアは持続感染するかという質問ですが、最近は、クラミジアは持続感染するという見解が多いようです。
しかし、クラミジアの持続感染については今後の大きな研究課題でもあるようです。
男性のクラミジア尿道炎を放置して経過を見たという文献もないようです。
ただ私見で恐縮ですが、何年もクラミジア感染が持続していたと考えられるような症例は確かにあります。
私は、男性も女性と同様に何年でも陽性になり得ると考えています。
もちろん自然治癒を否定するつもりもありません。
【質問3】
血液検査によるクラミジア陽性反応は感染してからどのくらいの期間から陽性にでるのでしょうか?
【回答3】
ご質問の答えにならないかもしれませんが、お許しください。
婦人科領域では抗原検査ができないケースで、クラミジア感染を推定する場合に、抗クラミジアIgA抗体、IgG抗体が測定されることがあります。
私見で申し訳ないのですが、一般的にIgA抗体は感染の初期に上昇してくるものと考えています。
一方、IgG抗体は少し遅れて上昇してくるようです。その後どのような経過で下降してくるのかはよく分かりません。
文献を調査すれば分かるかと思いますが。
しかし、下腹痛や性交痛や内診痛が存在し、抗クラミジア抗体価が陽性であればクラミジア感染の存在が推定されます。
ただし、抗クラミジア抗体価は感染の治療により治癒した後も、長く陽性に出ることが多くの症例でみられます。
私見ですが、クラミジアの治療を行い抗体価が無くなるのは、早い人では2年位です。
しかし10年経っても陰性化(消失)しない人もいます。この点は臨床的に注意が必要です。
つまり、クラミジアの血清抗体検査は、女性の骨盤内感染症、肝周囲炎など感染部位から直接検体を採取するのが困難な疾患における補助診断法として有用であり、確かに使用されています。
もちろん、この検査は健康保険適用されていますから、婦人科領域では使用されることがあります。
また、男性尿道炎のクラミジアの血清抗体検査についてですが、診断法としての抗体検査は、有用性はなく診断的意義は少ないようです。
また抗菌薬治療後の治癒判定にも使用すべきではないと考えられています。
特に、クラミジア性尿道炎を疑うのであれば、抗体検査は行うべきではありません。
泌尿器科(男性)領域では臨床的意義がほとんどなく、健康保険適用は認められておりません。
最後に私は臨床的意義が少ないため使用しておりません。
以上
クラミジア性尿道炎
クラミジア性子宮頸管炎