泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2016年04月30日

第12回思春期性教育・性感染症研究会にて講演

2016年4月23日(土)~25日(月)
仙台にて第104回 日本泌尿器科学会総会が開催されました。
開催会場:仙台国際センター・東北大学百年記念会館
 
その関連研究会の『第12回思春期性教育・性感染症研究会』で
講演をいたしましたので報告いたします。
 
会期:2016年4月24日(日)17:30~
対象者は主に性感染症教育の専門家、泌尿器科医です。
 
テーマ
『性感染症を巡る最新の話題』

 
 
講演は2題ありまして、初めに岐阜大学泌尿器科:安田 満先生の講演
「岐阜県における性感染症教育の取り組み
~岐阜県性感染症教育研究会の活動について~」
 
次に私の講演: 座長:札幌医科大学名誉教授 熊本悦明先生
演題 『アトラスで見る これが梅毒だ』
宮本町中央診療所 院長 尾上泰彦
 
日本性感染症学会理事長:荒川創一先生のご要望で
 
現在、社会問題になっている「梅毒」の演題にいたしました。
 
講演要旨は以下に示します。
 
1.「梅毒」という病名の由来
2.かつての吉原病院 花魁 検診風景
3.コロンブス一行が1492年にアメリカ大陸の“原住民の風土病”を
ヨーロッパにに持ち帰って『悪魔のお土産』といわれた。
日本への伝来は1512年で、約20年足らずでやってきた。(通説)
4.梅毒の発症届け出について(全数報告)
5.梅毒の疫学的調査報告 若い女性に急増している
6.泌尿器科医は診る臨床現場 :初期硬結、硬性下疳、無痛性横痃
7.皮膚科医が診る臨床像:梅毒性乾癬、脱毛、ばら疹、扁平コンジローマなど
8.耳鼻咽喉科医が診る臨床像:口腔咽頭粘膜斑
9.悪性腫瘍:HIV感染との関係性
10.幻の性病:軟性下疳+硬性下疳➡混合下疳
 
以上です。

①第104回日本泌尿器科学会総会

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②第12回思春期性教育・性感染症研究会ご案内

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③左から、日本性感染症学会理事長:荒川創一先生、岐阜大学泌尿器科:安田 満先生、
私そしてあいクリニック院長:伊藤晋先生

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④かつての「吉原病院 花魁 検診風景」

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2016年04月29日

東北新幹線はやぶさ グランクラス

4月24日から25日まで1泊で仙台に行ってきました。
 
第104回日本泌尿器科学会総会と第12回思春期性教育・性感染症研究会に出席してきました。
 
東北新幹線はやぶさに乗車し、グリーン車が取れなかったもので、その上のクラスのグランクラスに乗車いたしました。
 
飛行機でいうとまるで、ファーストクラスのような感じで快適な旅でした。
 
ワインをはじめ、色々なドリンクが楽しめ、アテンダントが丁寧に応対してくれました。
 
軽めの食事も楽しめました。
 
初めての経験でした。
 
ありがとう。

①東北新幹線 はやぶさ  

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②グランクラスのシート

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2016年04月23日

ウィリアム・シェイクスピア 生誕400年記念。 誕生日:4月23日

William Shakespeareは、4月23日誕生し4月23日(52歳)に亡くなったと言われています。

奇しくも、私も4月23日が誕生日なので、以前から不思議な縁を感じておりました。

1616年4月23日に生誕していますから、今年は生誕400年記念ということになります。

あまり世界をはじめ、日本でも報道されていません。

少し勉強しましたので報告いたします。

Wikipediaより転記。

●ウィリアム・シェイクスピア(英語: William Shakespeare, 1564年4月26日(洗礼日) -

1616年4月23日(グレゴリオ暦5月3日))は、イングランドの劇作家、詩人であり、
イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物でもある。

卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。

また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。

出生地はストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。

1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。

「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。

2002年BBCが行った「100名の最も偉大な英国人」投票で第5位となった。

「シェイクスピア」の日本における漢字表記(借字)は「沙吉比亜」だが、
これは中国での表記「莎士比亞」(繁体字での表記で、簡体字では「莎士比亚」)の「莎」を「沙」と、「亞」を「亜」と略し、「士」の代わりに「吉」を用いたもの。

「沙翁」と呼ばれることもある。

●死亡について

1616年4月23日にシェイクスピアは52歳で没した。

死因は腐りきったニシンから伝染した感染症であるらしいが、詳細は不明である。

誕生日が4月23日であるという伝承が正しいならば、シェイクスピアの命日は誕生日と同じ日ということになる。

① ウィリアム・シェイクスピア William Shakespeare

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② シェイクスピア家の家紋。

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尿道内の小腫瘤

20代の男性から相談がありましたので、ご報告いたします。
 
【相談内容】

はじめまして。地元の川崎市にて秘尿器科を探している時にこちらへたどり着きました。

10日ほど前に尿道口を軽くめくった場所に、何かできものが3~4つ出来ているのを発見し、もしかしてコンジローマでは?と思い、先週総合病院の泌尿器科へと診察に行きました。

診てもらった結果は「あるけどよくわからないなぁ。まぁ心配しなくてもそのままで大丈夫じゃない?」

といった感じでなんだか投げやりに終わってしまいました。

1週間たった今、特に大きくなったり増えたりということはまだありませんが、パートナーの事も含め正直かなり不安で悩み果てています....。

こういった場合病院を変えるべきか、再度その病院へ行き先生を代えてもらい診察をしてもらったほうが良いのでしょうか?

また、尿道の粘膜へのできものの場合皮膚科へ行くべきか泌尿器科へ行くべきかも悩んでおります。

この付近で性感染症に詳しいお医者様がいらっしゃいましたらお忙しい中申し訳ございませんが、ご教示いただけると幸いでございます。

【回答】

尿道内に小腫瘤ができている。ご心配ですね。心が病みますね。早く、心の平安を取り戻しましょう。

これは専門医が診察しないと分かりません。

尿道内に発症した良性腫瘍(尖圭コンジローマ、尿路乳頭腫症など)、悪性腫瘍などを考えなければなりません。

残念ながら、私は都合が悪く診察することができません。

川崎でしたら、隣のJR鶴見駅前にある≪まりこの皮膚科≫(コーリンビル5階)の本田まりこ先生に診てもらったら如何ですか。
安心して受診してください。

日本では有名な先生です。ネットで検索して予約して受診してください。

お大事になさってください。

①尿道内に発症した尖圭コンジローマ
この方は先天的に尿道下裂(尿道が裂けている)があり尿道が哆開しているためあらゆる感染に対し無防備状態である。そこに尖圭コンジローマが発症した。

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①ウイルス

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投稿者 aids : 10:17 | トラックバック

2016年04月15日

梅毒の安心基準?について 

37歳の男性から梅毒の治療について相談がありましたので報告いたします。

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37歳、男性。2016年1月末に、RPR(定性)にて陽性反応が出たため、再度定量検査を行いました。

2月18日に結果を聞いた所、RPR(64)TPHA(たしか1,280)と出た為、その日からアモリン250mgを1日3回内服し始めました。
約4週間飲み続け、3月11日に再検査をした結果、RPR(32) TPHA(320)、
約6週間のみ続け、3月25日に再検査をした所、RPR(32) TPHA(160)にまで下がっていました。
とりあえず、薬は4月16日迄(飲み始めてから8週間)飲むことにしています。

この、数値だけで見て、梅毒はまだ他人に感染する危険はありますでしょうか?
奥さんと不妊治療をするのに悩んでいます。

【回答】貴方は37歳の男性。相談内容をまとめますと以下のようです。

2016年1月末、RPR(定性)で陽性であったため、定量検査を行った。
2月18日の結果がRPR(64)TPHA(たしか1,280)であったため駆梅療法を開始した。
2月18日からアモリン(合成ペニシリンであるアモキシリン製剤)250mを1日3回(1日、750mg)服用した。
3月11日に再検査をした結果、RPR(32) TPHA(320)、
3月25日に再検査をした所、RPR(32) TPHA(160)と抗体価は順調に下降した。

駆梅療法の目標は8週間服用とされているようですね。
恐らく、この時点では梅毒の他人への感染力はないと考えます。セックスをしても心配ありません。子供を作っても大丈夫です。
奥様の検査はちゃんとしておいてください。

ただし、梅毒の治療は日本性感染症学会の治療ガイドラインにそった治療をお勧めします。

通常、アモキシリン製剤(合成ペニシリン製剤の一つ)1日、250mg×6cap(1日量1,500mg)を 3回に分けて服用します。
最近、修正されたガイドライン(2013年)では梅毒の治療には、殺菌的に働き、耐性の報告もないペニシリンを第一に選択すべきであると言われています。バイシリンG(ベンジルペニシリンベンザチン)投与が基本になります。

合成ペニシリンではなく、天然であり経験的に他のペニシリン(C‐tR)よりも有効であるといわれています。
バイシリンG:1日120万単位/分3またはアモキシリン、アミノベンジルペニシリン1日1,500mg/分3を内服させます。
ペニシリン・アレルギーの場合には、塩酸ミノサイクリンまたはドキシサイクリン1日100mg×2を内服させます。

ただし、妊婦の場合にはアセチルスピラマイシン1日200mg×6を、内服投与します。
投与期間は、 梅毒第1期(感染後3カ月まで)に2~4週間、第2期(感染後3カ月から3年まで)には4~8週間、第3期以降には8~12週間を必要とします。

投与期間は、感染時期を推定し、その期の梅毒に準じますが、感染後1年以上経過している場合や、感染時期の不明な場合には8~12週間投与します。貴男の場合、アモキシリン製剤(アモリン)を1日750mg投与されていますが、基本は1日1,500mgですから、少し足りないと考えます。副作用がないのでしたら、これからでも遅くはありませんから、主治医に追加投与していただいたらいかがでしょうか。

また、貴男の場合は今後、定期的に通院され血液検査で抗体価の推移をみていただきましょう。心の平安を得るためにも、お勧めいたします。
抗体価がさがってくると貴方も医師も安心されることでしょう。

医師に言いたいことですが、一番大事なことは、梅毒の治療の目的は、
梅毒の病原微生物であるトレパネーマパリドムを死滅させることであって、梅毒血清反応の検査成績(Tp抗体価)を陰性化させることではないということです。

一度梅毒になるとTPHAは陰性に転じることはないため不安に感じるかもしれませんが、日本性感染症学会の治療ガイドラインにそった治療をなされば心配ありません。

お大事になさってください。


①第2期に見られる赤い丘疹が楊梅(ヤマモモ)の果実に似ているので楊梅瘡(ようばいそう)と呼ばれていました。いつの間にか「楊」の字が取れて、次第に梅瘡→黴毒→梅毒と変化したと言われています。
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②青の洞窟
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2016年04月05日

女性の性器ヘルペス初感染について

今回は女性の性器ヘルペスの初感染について勉強いたしましょう。

性器ヘルペスの初感染時はウイルスに対する免疫がないため、臨床症状が激しく、発熱などの全身症状を伴うことがあり、疼痛、鼠径部リンパ節有痛性腫脹などを認めます。

特に女性では膀胱炎様症状、歩行障害をはじめ、排尿障害、便秘などの末梢神経麻痺を伴うこともあり、
時に強い頭痛、項部硬直などの髄膜刺激症状を伴います。男性では神経症状は女性に比して非常に少ないようです。

女性の性器ヘルペス初感染は男性に比して深刻な疾患であり、その罹患率は男性の2倍以上高いといわれており、20歳代前半では男性の7~8倍に達しています。

また男性と女性とどちらが性器ヘルペスに感染しやすいかを調査した米国の研究では、男女どちらかが性器ヘルペスに罹患しているカップル144組を対象として観察した結果、性器ヘルペスが、男性から女性へ感染する確率(16.9%)は、女性から男性に感染する確率(3.8%)の4倍以上高いことが示されている。

女性に多い理由は性器の構造上の差から、感染部位が大陰唇、小陰唇、腟前庭、腟壁、子宮腟部などで、性器の粘膜部分が広範囲であることが挙げられ、感染しやすく重症化しやすいと考えられています。

それに比して男性は、粘膜の部分が少ないため感染しにくいといえます。

また、女性は免疫能力を低下させる黄体ホルモンの影響で、妊婦や排卵後は感染しやすいと考えられています。

オーラルセックスの時代、初感染例はHSV-1が多く、臨床的にHSV-1の方が強い症状を生じます。
また、HSV-1による再発は少ないですが、HSV-2は再発を繰り返す場合が多いです。

少し難しかったですかね!


①小陰唇、腟前庭に多数のビランを認めています。
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②子宮腟部に多数のビランを認めています。
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2016年04月04日

「ジェネラリストのための 外来初療・処置ガイド」 

医学書院(東京都文京区本郷)が2016年2月15日発行した、「ジェネラリストのための 外来初療・処置ガイド」 (編集:田島知郎)に執筆者として分担執筆いたしましたので報告いたします。


分担執筆は荒川創一(神戸大学特命教授・腎泌尿器科学)と私(尾上泰彦:宮本町中央診療所・院長)の共著です。 担当したのは第11章(泌尿器・外性器・産婦人科領域)の「性感染症」(p.222~225)です。
内容は 1.梅毒 2.HIV感染症・エイズ 3.淋菌感染症 4.性器クラミジア感染症 5.性器ヘルペスの5種について臨床者写真を提示し、症状・診断、初療・処置ならびにコツとアドバイスを述べました。

本書の特徴について下記にお示しいたします。

『ジェネラリスト必携! 外来で困らないための初療・処置のガイドブック』

本書は、臨床医が最低限行うべき初療・外来処置を1冊にまとめたガイドブックです。

豊富な写真・イラストを用いて、診断において見逃してはならない重要症候や、外来でできる治療手技をわかりやすく解説しています。
小児から高齢者、頭のてっぺんから足の爪先まで-患者の年齢・部位を問わずジェネラリストに求められる初期対応を網羅してあります。

これさえ読めば、もうどんな患者が来ても困らない!

編集者の 田島知郎 先生(東海大学名誉教授)のお言葉。

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超高齢化の先頭を走っているわが国には,医療の望ましいあり方を世界に示す役割が課されています。しかしながら,臓器別診療のベースがいまだ強固であり,病院もオープンシステムで運営されていない状況にあります。
そのようななかで,特定領域の専門医でも開業すると病院診療にかかわらない,いわば“...いわば“半専門医”になるなど,医師の力をフルに活用しきれないことが隘路になっています。

理想の医療のあり方は,「いつ,どこで起こるかわからない急病や外傷に,できるだけ早く適切に対処してもらうことができ,そこ(あるいはその地域)で診療が完結すること」ですが、このイメージから遠いのがわが国の現実です。
また医師の臨床の守備範囲の狭さも大きな問題です。現に首都東京でさえ,例えば異所性妊娠の破裂で適切な診療を受けられず命を失う例が何年かに一度はあります。
数年前には女医すら犠牲となる例さえありました。若い女性の下腹部痛で命にかかわる疾患として,西欧先進国の医師であれば,診療科にかかわらず真っ先に脳裏に浮かぶのがこの病態です。
こうした弱点がわが国の医療にあることをふまえて,臨床力を広げるために本書を役立たせてほしいと願っています。本書タイトルの枕詞「ジェネラリストのための」には,外科医よりも優れた胆嚢摘出術が行える者さえいた米国のGP(general practitioner)のイメージが残る一方で,わが国では内科系中心に養成されつつある総合診療医の姿をみて,私自身禁じ得ない微妙な思いがあり,その反映でもあります。
総合診療医については,中核病院での医師不足を補うだけでなく,開業医の半数を入れ替える,あるいはTPPの延長線上で米国と同様の守備範囲を備えたナースプラクティショナー制度導入などの論議にもつながってほしいと願っています。
診療において,患者が診療室に入ってくる様子,あるいは医師が患者に近づきながら得られる情報は貴重です。それに基づいて最悪の事態,病態を想定して,最優先すべき行動が何であるのか。次に何が起こりうるかまで想像を広げ,そのうえで病態を絞り込むことになるでしょう。
各臓器の解剖学的配置・形態,それぞれの生理機能を考え合わせつつ,五感を駆使して全身状態を把握する,といった緊張感を伴う診療姿勢は基本であります。
具体的には胸部の打・聴診,腹部で行う触・聴診の幅を,頸動脈,あるいは四肢血流のチェックにも広げる,また直腸診によるDouglas窩,男性での前立腺の触知,女性での内診,さらに眼底鏡,耳鏡なども駆使できる心構えや技術があればなお望ましいと考えます。

余談ではあるが触診では,痛くないところから触り始めることがコツであろう。筆者諸氏が心を込めて執筆してくださったことに感謝しつつ,医療が患者目線のものになることを後押しするために,本書が広く活用され,役立ってほしいと願っています。

2016年1月  田島知郎

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最後になりますが、本書は日常外来から当直まで、臨床医が行うべき初期対応を一冊にまとめてあります。症例ごとに症状・診断、初療・処置、コツとアドバイスが掲載されています。
初療時の心構えと届出義務、基礎疾患のある患者の初療時の留意点なども解説されています。
是非、若い臨床医はお買い求めください。

①「ジェネラリストのための 外来初療・処置ガイド」
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②胎児
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エルスバーグ症候群(Elsberg syndrome)

女性の性器ヘルペスの初感染時に、しばしば併発するエルスバーグ症候群(Elsberg syndrome)について 勉強いたしましょう。

初感染時はウイルスに対する免疫がないため,臨床症状が激しく、発熱などの全身症状を伴うこともあり、疼痛、鼠径部リンパ節有痛性腫脹などを認めます。
特に女性では膀胱炎様症状、歩行障害をはじめ、排尿障害、便秘などの末梢神経麻痺を伴うこともあり、時に強い頭痛、項部硬直などの髄膜刺激症状を伴います。

男性では神経症状は女性に比して非常に少ないと言われています。

HSVにより髄膜脊髄炎が生じると、時にエルスバーグ症候群(Elsberg syndrome)という排尿障害があらわれることがあります。
性器ヘルペスの初感染例では、HSV が上行性に仙骨神経根に直接進展し、限局性の髄膜脊髄炎が起き排尿障害などを生じ、尿意を感じない神経因性膀胱となり、カテーテルの挿入が必要となるケースもあります。

また、初感染例に限らず、再発例でも稀に無菌性髄膜炎に伴い、一過性に排尿括約筋の障害が生じ排尿障害(尿閉)が起きることがあります。

Elsberg syndrome は狭義には性器ヘルペスに併発する脊髄神経根炎に伴った尿閉をさし、より広義には尿閉を伴う無菌性髄膜炎全般を指すと言われています。

少し難しいですね。


①尿道内にカテーテル挿入
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②美しい桜
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性器ヘルペス感染の発症メカニズム

今回は性器ヘルペスの発症メカニズムについて勉強いたしましょう。

性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス(HSV)による皮膚粘膜の感染症であるとともに神経のウイルス感染症です。

性交渉によりHSVは皮膚粘膜の小さな傷から侵入し、皮膚粘膜内でH SVは増殖し、感染が成立します。すると皮膚粘膜症状が発症いたします。この間の潜伏期は約2~10日です。
この時期にセックスをしますと、皮膚粘膜から排泄されたHSVがセックスパートナーに感染する危険性が出てきます。

同時にHSVは、知覚神経終末から取り込まれて、神経軸索を上行して脊髄後根神経節に入り込み、神経節(神経細胞体)内で増殖して、神経節内で遺伝子の形で潜伏感染いたします。

その後、何らかのストレスにより、潜伏していたHSVが再活性化し神経線維内を下行して、皮膚粘膜で、水疱やビランを形成し、皮膚粘膜症状があらわれます。これが再発です。

この時期にも、セックスをしますと、皮膚粘膜から排泄されたHSVがセックスパートナーに感染する危険性が出てきます。その後回復します。この再発現象は何らかのストレスによってが繰り返し 起きます。

もう一度、もうしあげますが、性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス(HSV)による皮膚粘膜の感染症であるとともに神経のウイルス感染症です。このことを忘れないでください。 治療の話を少ししますと、皮膚粘膜に外用剤を塗ることは臨床てきにはあまり意味がありません。必ず抗ウイルス剤を服用してください。

それでは、ごきげんよう!


①HSVの潜伏感染
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②HSVの回帰感染(再発)
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②陰部にきれいな水疱が多発している
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