泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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2017年04月25日

梅毒血清反応の結果について

①梅毒の病原体名
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ある泌尿器科医より梅毒に関する質問がありましたので報告いたします。 
 
患者さんは31歳の男性です。
 
結婚していてパートナーの奥様も梅毒に罹患していたそうです。
 
お二人とも標準的な駆梅療法をすでに行っております。
 
今回は旦那さんの梅毒相談です。
 
梅毒血清反応の結果(成績)は時系列で以下の写真(図)にお示しいたします。

②梅毒血清反応の結果(成績)
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体重は約120kgで巨漢です。梅毒に関する臨床症状は特になく、
たまたま人間ドックで梅毒の罹患を知らされたそうです。

感染した時期がわからない無症候梅毒ということですね。

③梅毒の分類
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体重が120kgと巨体ですから、アモキシシリン製剤のパセトシンの投与量を増やし、2016年4月から駆梅療法としてパセトシン2.0gを 8週間投与し治療は終了いたしました。

④梅毒の治療
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2ヶ月後(6月)に梅毒血清反応検査を行い数値は順調に低下いたしました。

5カ月後(9月)には経過は良好で抗体価はさらに低下いたしました。

しばらく振りに来院され、梅毒罹患後、約1年になりますが、
梅毒血清反応検査をしましたらTP法がかなり高値になっていました。

とりあえず再検査を至急、行い抗体価の変動をみるように指示いたしました。

⑤梅毒血清反応
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また検査法は前回までと同じ方法なのでしょうか?

これは検査センターや試薬(検査キット)が変わると比較できなくなるからです。

⑥梅毒血清反応 定性検査の結果の解釈
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治療は副作用はないと思われますので、行った方が安心できると考えます。

再感染の機会はなかったのかの問診も必要です。

もし感染機会があればそれが原因で再び感染(再感染)したとも考えられます。

梅毒は終生免疫がなく再感染いたします。

以上、ご検討ください。

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2017年04月11日

講演「アトラスで見る梅毒の臨床現場」 

2017年3月9日(木) 19:30~21:00
 
都筑区医師会会議室 2階で私の「梅毒」に関する講演がありましたので
報告いたします。
 
主催:都筑区医師会泌尿器科医会
 
共催:都筑区医師会皮膚科医会、産婦人科医会、内科医会
 
司会:深澤 立先生
 
座長:木村 明先生(木村泌尿器科皮膚科 院長)
 
 
【講演】

『アトラスで見る梅毒の臨床現場』
宮本町中央診療所 院長 尾上泰彦
 
①第9回都筑区医師会泌尿器科医会学術集会 20170411_01.png
 
「梅毒」という病名の由来は第2期の赤い丘疹が楊梅(ヤマモモ)の
果実に似ているので楊梅瘡(ようばいそう)と呼ばれていました。

いつの間にか「楊」の字が取れて、
次第に梅瘡⇒黴毒⇒梅毒と変化したと言われています。

また、梅毒はクリストファー・コロンブス一行が1492年、新大陸の
発見と共に❝原住民の風土病❞をヨーロッパに持ち帰ったとされ、

「悪魔のお土産」といわれました。その後、爆発的に全世界に拡がり、
日本への伝来は永正九年(1512年)で、
約20年足らずで日本にやってきました。

恐るべし、セックスのパワー。

梅毒のヨーロッパ伝播の通説であります。

②恐るべし『悪魔のお土産』梅毒?
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 本講演では、私が経験した梅毒症例を中心に臨床写真を提示しながら
視診技術のポイントについて述べました。

ご存知の通り「今や、梅毒はパンデミック状態」であり、
大きな社会問題になっております。

忘れられていた梅毒。

昔の病気と思われていた梅毒。

若い医師が見たことがない梅毒。

そういう意味では再興感染症でもあります。

臨床医は忙しい。多くの医師は届けない。

届け出は氷山の一角。

梅毒は全数報告で、どんな医師でも「梅毒」と診断したら
都道府県知事に7日以内に届け出る義務があります。

それでも梅毒は2011年以降、大都市を中心に徐々に増加し、
現在、アウトブレイクしています。

③梅毒の発症届け出  診断後7日以内に!
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2016年(12月31日現在)の梅毒患者数は4518人と
激増しています。

それでは何故、梅毒が増加しているのか?

何故、この5年間で梅毒が急増したのか?

しかも、なぜ、若い女性に急増しているのか。

確かに、先天梅毒児も毎年増加傾向を示し、
胎児感染で重い障害の恐れもあり、社会的に危惧されています。

疫学調査によりますと、年齢群別報告数の男性のピークは20~40歳代です。

それに比して、何故か、女性のピークは20代前半の20~24歳にあります。

その原因、理由はわかりません。


④梅毒患者の報告数推移2007~2016年(12月31日現在)
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しかも、この謎に迫る疫学的調査は、
内容があまりにもプライベートでプライバシーにかかわるため
調査の仕様がありません。

日本人の性行動様式が急に変わることは考え難い。

しかし、若い20代前半の女性に急増しています。

⑤何故、ここまで急増したのか?
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急増の原因は、内的因子では考え難く、外的因子も考えなければなりません。

2017年1月6日の 讀賣新聞夕刊では
「梅毒患者5年で5倍」と報道されました。

この原因として一説に、2016年外国人旅行者が、初めて
2400万人を超えました。

中国などアジア地域の旅行者が大幅に増加しています。

これが原因の一因なのかもしれません。

日本政府観光局の報告によりますと来日する中国人は、
2008年に初めて100万人を突破し、徐々に増加し、
2016年には637万人以上と急伸しています。

この外的要因が原因とは、根拠がないためはっきりとは
言えませんが、 一因の可能性もあります。

確かに来日する中国人が急伸しています。

中国衛生部が発表した「全国法定伝染病疫情状況」によりますと、
2013年度の梅毒感染者数は406,772人で、
これは15年前の10倍以上とのことであります。

また、中国国家衛生・計画出産委員会HPによりますと、
2015年のみの中国の梅毒患者数は433,974人
(参考:2015年の日本の患者数は2,698人)です。

つまり、中国における梅毒患者数は日本をはるかに
上回る増加をみせています。

中国の総人口は日本の11倍以上ありますが、
梅毒患者数は日本の160倍超といいますから、
梅毒の急伸状態には驚きであります。

こうした経路で日本の若い女性に梅毒患者が増え、

日本での感染が増えたという可能性は考えられます。

⑥梅毒流行の原因?
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また、2014年の中国 江西省南昌におけるストリートガールの
梅毒血清反応検査の陽性率を見てみますと
40%以上とかなり高率で驚きを隠せません。

⑦江西省南昌における娼婦の梅毒血清反応陽性率
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まさに梅毒に国境はないともいえます。

梅毒の病因については写真を参考にしてください。

⑧梅毒 Syphilis
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梅毒の病原体である梅毒トレポネーマはスピロヘータ科のトレポネーマ属に属するグラム陰性菌です。

⑨梅毒の病原微生物 はSpirochaeta pallidum
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 梅毒トレポネーマの特徴は写真を参考にしてください。

⑩梅毒トレポネーマの特徴
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梅毒の分類は
 
1.先天梅毒、後天梅毒
 
2.顕症梅毒、無症候梅毒
 
3.早期梅毒、晩期梅毒
 
の3つに分類されています。
 
臨床症状としては第1期に生じる初期硬結はめったに遭遇しません。

硬性下疳は比較的多く経験できます。

硬性下疳は、周辺が隆起し、軟骨様の硬さがあり疼痛を伴わないのが特徴です。

女性の硬性下疳は比較的稀です。

鼠径部リンパ節無痛性腫脹は腫脹はありますが、
痛みがないので注意しなければなりません。
 
⑪硬性下疳は周辺が隆起し、軟骨様の硬さがあり疼痛がない。
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第2期(バラ疹、梅毒性乾癬、脱毛、扁平コンジローマ、
口腔咽頭粘膜斑など)になりますと、梅毒は非常に多彩な症状を呈します。

⑫症例:女性 第2期 梅毒性乾癬 手掌・足底
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⑬症例:男性 第2期梅毒 口腔咽頭粘膜斑
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第3期、第4期の臨床像、悪性梅毒。HIV感染症との関係。

⑭第3期 結節性梅毒疹 ペニシリンのない時代!
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眼にも梅毒は感染します。

梅毒性ぶどう膜炎、梅毒性網膜炎が代表的です。

眼科領域でもHIVとの併発症例も多く報告されています

⑮眼の梅毒感染
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梅毒の診断・検査、治療さらには
臨床医の落とし穴について解説しました。

梅毒の感染予防の基本ですが、
臨床現場での患者への説明と指導が最も大切です。

また、梅毒の感染予防の基本は

1.不特定多数の人とセックスをしない.

2.最初から最後までコンドーム.

3.オーラルセックスも安全ではない.

4.この人は大丈夫と思いこまない.

5.不安行為があれば時期をみて検査を受ける.

6.感染がわかれば徹底治療.

⑯梅毒の予防 感染予防の基本
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これらの臨床現場のアトラスを提示しながら紹介・概説しました。
 
⑰座長:木村 明先生と共に
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参加された先生方は非常に熱心に聴講されていました。
 
泌尿器科医、皮膚科医、産婦人科医、内科医と幅広く参加されていました。
 
司会の深澤 立先生(泌尿器科医会会長)には企画の段階から大変お世話になり、
深く感謝申し上げます。
 
以上、報告いたします。

投稿者 aids : 14:50 | トラックバック

2017年04月06日

梅毒血液検査「偽陽性か既感染の判断 」

30代後半の男性から梅毒の血液検査の判断について
相談がありましたので報告いたします。

①クリストファー・コロンブス1492年新大陸発見
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【相談内容】

30代後半の男性です。
 
お世話になります。
 
梅毒の検査で偽陽性か既感染の判断について教えてください。
 
梅毒の血液検査前の感染症検査でRPR陰性、TPHA陽性(80倍)と
いう結果を得ました。
 
皮疹や初期硬結を疑う梅毒の症状はありませんでした。
 
性風俗は年に数回、性交渉は数回程度です。

この血液検査の結果から、通常だと既感染ということになりますが、
私の成績は抗体価も低く、TPHAも稀に偽陽性があると言われていますが、
これを判別する方法はありますでしょうか。
 
ちなみに二ヶ月後に再検査して同じ結果を得ました。
 
またFTA-ABSは(2+)でした。
サワシリンは溶連菌感染で10日間内服したことはあります。
 
 また、この数年間、特に自覚症状はありませんが、それでも感染していることはよくあるのでしょうか?
 
なお、FTA-ABSは(2+)という結果は偽陽性ではなく既感染を意味するのでしょうか?
 
②梅毒 Syphilis 名称の由来
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③梅毒血清反応
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【回答】

貴男の血液検査の結果から推察するに、数年前の既感染ということで、
すでに感染力はほとんどなく
一般日常生活、性的行動を行なっても
先ずは問題はないと考えられます。
 
しかし、FTA-ABSは(2+)ということは、偽陽性ではなく既感染を意味します。
 
貴男の場合、症状がない無症候梅毒で感染時期が不明ですが、検査成績でRPR陰性、
TPHA
陽性(80倍)で
FTA-ABS(2+)
ですから既感染と判断いたします。
 
ただ、感染力があるか無いないかというと、はっきりとは分かりません。

④梅毒血清反応
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貴方が梅毒の治療をしたことがない(未治療)のであれば
サワシリン1日量、1500mg(250mg,6cap)を28日間、服用され、
安心されたら如何ですか。
 
なお、この治療は日本性感染症学会 治療ガイドラインの標準的な治療です。
 
その後は、定期的に検査されて経過観察されてください。
 
お大事になさってください。
 
⑤梅毒血清反応 定性検査の結果の解釈
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 さて、ここで、梅毒の血液検査についてお話しておきます。
 
梅毒血清反応には、カルジオリピン(リン脂質)を抗原とする脂質抗原試験と、
TP(Treponema pallidium)を抗原とするTP抗原試験があります。
 
脂質抗原試験には、STS法と呼ばれる緒方法、凝集法、ガラス板法、などがありますが
現在実施されていません。
 
RPRカード法(倍数希釈法)は用手操作で行い、結果判定は目視で行うために客観性に
乏しいという問題があり、代わりにRPR自動化法は自動分析器で自動測定が可能な
新しい検査方法であり普及しつつあります。
 
TP抗原試験には、TPHA法、FTA-ABS法があります。
 
脂質抗原試験(STS法)では、生物学的偽陽性(BFP)の出現することがあり、
その頻度は陽性の10~20%といわれています。
 
⑥梅毒の治療
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このBFPを除外するために、TP抗原試験が開発され広く用いられています。
 
FTA-ABS法は患者血清を非トレポネーマの吸収液で吸収することにより特異性を
高めた方法で、鋭敏性、特異性ともに優れた検査法として認められています。
 
なお、特異性が極めて高いので、梅毒の診断には有用ですが、
治療効果の判定などには不適当とされています。
 
その理由として、一度抗体価がある程度以上に上昇してしまうと、
治療が行われても抗体価の低下が安易にはみられずに、
また半永久的に陽性を持続するからです。
 
⑦桜咲く!
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一般的には、STS法のうちの二法をまず実施します。
 
その結果、一法もしくは二法とも陽性の場合はTPHA法で確認します。
 
TPHA法が陰性の場合はFTA-ABS法で最終確認をします。
 
多くの検査室ではSTS法と同時にTPHA法を実施しています。
 
初感染の場合は、TPに感染してから約1週間程でTPに対するIgM抗体が生産されて、
その後にIgG抗体が生産されます。
 
陽性になる順序は、STS法とFTA-ABS法がほぼ同時で、
TPHA法が最も遅くに陽性になります。
 
また、STS法が陽性で、TPHA法が陰性のときは、感染初期が考えられ、
3~4週間後に再度検査を実施し、
感染初期またはBFPかの判定をする必要があります。
 
⑧梅毒は相手が増えればリスクも増える! 2017040708.png

投稿者 aids : 10:56 | トラックバック

2017年04月02日

講演「泌尿器科医のためのアトラスで見る これが梅毒だ」

2017年2月25日(土) 18:15~19:15
 
京王プラザホテル 本館 4階『花』で私の特別講演がありましたので報告いたします。
 
【特別講演】
『泌尿器科医のためのアトラスで見る これが梅毒だ』
宮本町中央診療所 院長 尾上泰彦
 
①第44回東京泌尿器科医会学術集会
2017040201.png

  「梅毒」という病名の由来は第2期の赤い丘疹が楊梅(ヤマモモ)の果実に似ているので楊梅瘡(ようばいそう)と呼ばれていました。

 いつの間にか「楊」の字が取れて、次第に梅瘡⇒黴毒⇒梅毒と変化したと言われています。

 また、梅毒はクリストファー・コロンブス一行が1492年、新大陸の発見と共に❝原住民の風土病❞をヨーロッパに持ち帰ったとされ、「悪魔のお土産」といわれました。

その後、爆発的に全世界に拡がり、日本への伝来は永正九年(1512年)で、約20年足らずで日本にやってきました。

恐るべし、セックスのパワー。

梅毒のヨーロッパ伝播の通説であります。

本講演では、私が経験した梅毒症例を中心に臨床写真を提示しながら視診技術のポイントについて述べました。
 
②吉原病院 花魁 検診風景
2017040202.png
 
ご存知の通り「今や、梅毒はパンデミック状態」であり、大きな社会問題になっております。

忘れられていた梅毒。

昔の病気と思われていた梅毒。

若い医師が見たことがない梅毒。

そういう意味では再興感染症でもあります。

臨床医は忙しい。多くの医師は届けない。

届け出は氷山の一角。

梅毒は全数報告で、どんな医師でも「梅毒」と診断したら都道府県知事に7日以内に届け出る義務があります。

それでも梅毒は2011年以降、大都市を中心に徐々に増加し、現在、アウトブレイクしています。

③梅毒は全数報告
2017040203.png
 
それでは何故、梅毒が増加しているのか?

何故、この5年間で梅毒が急増したのか?

しかも、なぜ、若い女性に急増しているのか。

確かに、先天梅毒児も毎年増加傾向を示し、胎児感染で重い障害の恐れもあり、社会的に危惧されています。

疫学調査によると、年齢群別報告数の男性のピークは20~40歳代です。

それに比して、何故か、女性のピークは20代前半の20~24歳にあります。

その原因、理由はわかりません。

しかも、この謎に迫る疫学的調査は、内容があまりにもプライベートでプライバシーにかかわるため調査の仕様がありません。

日本人の性行動様式が急に変わることは考え難い。

しかし、若い20代前半の女性に急増しています。

急増の原因は、内的因子では考え難く、外的因子も考えなければなりません。

④ 2017.1.6 讀賣新聞夕刊「梅毒患者5年で5倍」
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一説に、2016年外国人旅行者が、初めて2400万人を超えました。

中国などアジア地域の旅行者が大幅に増加しています。

これが原因の一因なのかもしれません。

⑤外国人旅行者数が2400万人を超えた。
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日本政府観光局の報告によりますと来日する中国人は、2008年に初めて100万人を突破し、徐々に増加し、2016年には637万人以上と急伸しています。

この外的要因が原因とは、根拠がないためはっきりとは言えませんが、一因の可能性もあります。

⑥来日する中国人 急伸!

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中国衛生部が発表した「全国法定伝染病疫情状況」によりますと、2013年度の梅毒感染者数は406,772人で、これは15年前の10倍以上とのことであります。

また、中国国家衛生・計画出産委員会HPによると、2015年のみの中国の梅毒患者数は433,974人(参考:2015年の日本の患者数は2,698人)です。

つまり、中国における梅毒患者数は日本をはるかに上回る増加をみせています。

⑦2015年の中国の梅毒患者数
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中国の総人口は日本の11倍以上ありますが、梅毒患者数は日本の160倍超というから、梅毒の急伸状態には驚きであります。

こうした経路で日本の若い女性に梅毒患者が増え、日本での感染が増えたという可能性は考えられます。

⑧梅毒流行の原因?

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梅毒に国境はないともいえます。

⑨めったに遭遇しない初期硬結
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梅毒の病因、分類、臨床症状(第1期:初期硬結、

硬性下疳、鼠径部リンパ節無痛性腫脹)、

⑩硬性下疳は周辺が隆起し、軟骨様の硬さがあり疼痛がない。
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⑪女性の硬性下疳は比較的稀である。
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第2期(バラ疹、梅毒性乾癬、脱毛、扁平コンジローマ、
 
口腔咽頭粘膜斑など)、

⑫梅毒は非常に多彩な症状を呈する!
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⑬症例:女性 第2期 梅毒性乾癬 手掌・足底
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⑭症例:男性 第2期梅毒 口腔咽頭粘膜斑
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第3期、第4期の臨床像、悪性梅毒。HIV感染症との関係。

眼科領域の梅毒。輸入感染症である軟性下疳の臨床像。

⑮梅毒の治療 治療ガイドライン 2016
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梅毒の診断・検査、治療、臨床医の落とし穴。

そして梅毒の感染予防の基本。

⑯梅毒の予防 感染予防の基本
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これらの臨床現場のアトラスを提示しながら紹介・概説しました。

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