泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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股間がかゆい。これって性感染症!?(その2)

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人間にとって性の問題はとても大事なテーマです。
特に思春期の若い方々にとっては、関心が高い話題でしょう。


しかし同時に、この時期は性への関心に後ろめたさや恥ずかしさを感じたり、
あるいは周囲の人からそれを否定されたりしがちです。
自分の体やその変化についてきちんと知ることが必要なのに、
この時期に正しい知識や情報になかなか巡りあえないことは不幸なことです。


私が、この院長ブログに力を入れて取り組んでいるのは、
性や性感染症に対する正しい知識を、
少しでも多くの方に持っていただきたいと願っているからです。


前回は股間のかゆみ悩む15歳の男性の事例をご紹介しました。
原因として考えられるのはインキンタムシの可能性の他に、陰嚢の皮膚掻痒症があります。
今回はこちらについてお話をしましょう。


まず男性の陰嚢に痒みがおこると、それを解消するためにとにかく掻いてしまいます。
そうすると、陰嚢に掻破性湿疹が生じます。
続いて皮膚が硬くなって皮溝が深まり皮丘が高まってくると、
慢性単純性性苔癬という皮膚病を招いてしまい、
その結果、陰嚢の皮膚がゴアゴアと硬くなってしまいます。


ボリボリ掻いているいる時は気持ち良いのですが、その後が問題なのです。
自分の爪で男性器に目に見えない小さなキズをたくさん付けた状態、
いわゆる掻き壊した状態になってしまうと、それはそれはヒリヒリして痛かゆい。
どうにもならない。
またボリボリと爪で掻いてしまう。痒さが痒さを呼ぶ悪循環です。


そのように皮膚の炎症が長く続くと、
その後、炎症後の色素沈着が生じて皮膚が茶色になります。
相談者の股間の辺りが茶色に変色したのはこのためと思われます。


一部、赤みがあるところは、炎症が残っているところでしょう。
彼の場合、セックスの経験がないということですから、
性感染症ではなく、以上の二つが原因だと考えました。


また、彼は、これが他の人に感染すること、
特にセックスをした時に相手に感染することを心配していましたが、
彼の話を聞く限りでは他人に感染することはないと考えられるとアドバイスをしました。


彼はそれでも受診をためらっていましたので、
「こんな時にお医者さんに行かないでどうするの。
『股間』がお医者さんに会いたがっています。医者をうまく使ってください。
貴方のために医者がいるんですよ。」と最後に申し上げました。


男性器や女性器も他の体の部位と同じです。
病気になれば医者に見てもらわねばなりません。
無用な羞恥心は捨て、素直に病気を治す心をもつことです。


医師は病気を治すことが仕事ですから、どうぞみなさんも安心して受診してくださいね。


2009年06月02日

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