> 急所攻撃は、なぜ痛いのか?(その3)
急所攻撃は、なぜ痛いのか?(その3)
先週より、ある格闘家からの質問、
「なぜ、あんなに痛い睾丸が外に出ているのか?」にお答えしています。
睾丸はもともと腹部の内臓ですが、腹部内ではなく、外に出ているほうが都合がいい理由があることをお伝えしました。今週もその続きをお話していきますね。
<理由 その2>
さらに感染症等の発熱で体温より影響を受けないためと放熱の意味合いで、腹腔外の陰嚢にあると考えられています。
<理由 その3>
睾丸が腹腔内にあると、悪性腫瘍の発生のリスクもあると考えられています。睾丸にとって腹腔内は温度が高く環境が良くないわけです。
<理由 その4>
精索も大事な役目を演じています。専門的になりますが、精索は、精管が筋・神経・血管とともに被膜で包まれた構造で、[精管+精管動脈+精巣動脈+蔓状静脈叢+陰部大腿神経陰部枝+内精筋膜+精巣挙筋+外精筋膜]によって構成されています。
この蔓状静脈叢は、精巣や精巣上体からの静脈によって形成された静脈叢で、精巣動脈を囲んでこれを冷却し、精巣における精子形成を高めるといわれています。
なお、蔓状静脈叢に静脈瘤を生じることがあります。
特に左側では、精巣静脈が腎静脈に注ぐことから、腎静脈の還流障害などで起こりやすいといわれています。この精索静脈瘤が精子形成に悪影響を与えることがあると言われています。
精子形成は、子孫繁栄のためにも、重要な機能であることは皆さんもご承知でしょう。
その機能を阻害しないために、睾丸が外に出ているのだと言えそうですね。
2012年08月14日