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ファンビルの性器ヘルペス患者に対する有効性と安全性
私の施設(宮本町中央診療所)がこの特定使用成績調査に登録参加したので報告いたします。
「ファンビルの性器ヘルペス患者に対する有効性と安全性」
特定使用成績調査 掲載:日本性感染症会誌.27(1):135,2016より
監修:まりこの皮フ科 院長/東京慈恵会医科大学 皮膚科 客員教授 本田まりこ先生
ファンビルは初発型および再発型性器ヘルペスに対して、1回1錠250mg,1日3回5日間投与での有効性と安全性が確認されました。
ファンビルは抗ヘルペスウイルス剤(Famvir Tab.:ファムシクロビル錠)です。
ファンビルの投与状況:安全性解析対象症例296例におけるファンビルの1日投与量はすべて「1回250mg 1日3回」であった。
投与期間が5日間を超えた症例は初発型が2例(1.9%)、再発型が1例(0.5%)であった。
①男性参考症例:初発型性器ヘルペス
②女性参考症例:初発型性器ヘルペス
◆全般改善度および改善率
有効性解析対象症例251例における改善率は93.2%(234例)であった。
◆治癒までの日数の50%点(50%の症例が治癒するのに要した日数)は初発型、再発型ともに9.0日であった。
男女別にみた治癒までの日数の50%点は初発型では女性が7.0日、男性が10.0日であり、女性がより短かった。
特に、女性で発熱を有する症例では5.5日と、他の群と比べより短かった。
なお、再発型では男女間に有意差はみられなかった。
③男性参考症例:再発型性器ヘルペス
④女性参考症例:再発型性器ヘルペス
◆安全性
安全性解析対象症例296例中4例(1.4%)に4件の副作用が認められ、その内訳は初発型で107例中1例(0.9%)、再発型で189例中3例(1.6%)であった。
発現した副作用は、外陰部腟カンジタ症、動悸、上腹部痛、湿疹で、本調査において死亡例を含む重篤な副作用はなかった。
◆監修コメント
本調査から、ファンビルの承認用法・用量でのGHに対する有効性および安全性が確認された。
男女別にみた治癒までの日数の50%点は再発型では有意差はみられなかったが、
初発型では女性7.0日、男性10.0日と女性で短く、さらに発熱の有無別にみると、発熱のある初発型の女性の治癒までの日数の50%点は5.5日とより短かった。
発熱がある場合、HSV-1の初感染の可能性が高いことを考えると、HSV-2よりもHSV-1に対して感受性が高いファンビルでの治療が奏効した可能性も可能性も考えられる。
GH(性器ヘルペス)はHSV-1またはHSV-2が感染することによって有痛性の小水疱や浅い潰瘍性病変を認める疾患であり、特にHSV-2によるGHは再発頻度が高い。
また、再発型GH患者はQOL(生活の質)が低下していることが報告されており、積極的に治療する必要のある疾患であると考える。
ファムビルは活性体のペンシクロビル3リン酸が長期間にわたりHSV感染細胞内に保持されるという特徴を有しておりマウスHSV-2皮膚感染モデルで、三叉神経節や頸部後根神経節の潜伏HSV-2の再活性化を抑制することが確認されています。
このような薬剤の特徴を確認した上で、患者にあわせたGHの治療薬を選択することが重要と考えます。
以上。
⑤青い薔薇
『性器ヘルペスのアシクロビル治療に伴うGuanosine-string変異の誘導の特徴』
岡山コンベンションセンターにて2016年12月3日~4日 日本性感染症学会 第29回学術大会が開催されました。一般演題で口頭発表を行いました。
演題(O-55)は、性器ヘルペスのアシクロビル治療に伴うGuanosine-string変異の誘導の特徴
発表者(演者)は北陸大学薬学部生命薬学講座の大黒 徹先生。
①北陸大学薬学部生命薬学講座の大黒 徹教授
共同演者は本田まりこ(まりこの皮膚科)、西澤美香(帝京大学医学部付属溝口病院)
川名尚(帝京大学医学部付属溝口病院)、尾上智彦(東京慈恵会医科大学皮膚科)
松尾光馬(東京慈恵会医科大学皮膚科)、尾上泰彦(宮本町中央診療所)
長谷川ともみ(富山大学医学部看護学科母性看護学)
白木公典(北陸大学薬学部 生命薬学講座)
私は共同演者の一人ですが、この研究に参加いたしました。
②第29回学術大会誌
この研究の目的は2006年に性器ヘルペス再発抑制療法が保険適応を受け、
本邦では約10000人がその治療を受けています。
長期に抗ウイルス薬を服用するため、耐性株の出現が懸念されます。
単純ヘルペスウイルス(HSV)のアシクロビル(ACV)感受性
と耐性株の頻度とその変異の特徴について検討しました。
発表要旨は下記に写真で示します。
③第29回学術大会誌 一般演題O-55 277頁
④共同演者:長谷川ともみ先生と共に
性器ヘルペスの診断・治療
20代の男性から性器ヘルペスについて相談がありましたので報告いたします。【相談内容】
性器ヘルペスについて話が少し長くなりますが、ご指導ください。
恥ずかしい話 風俗に行きました。
その3日後、違和感があり町のそこそこの総合病院へ行き、事情を説明したところ、皮膚科への受診を勧められました。
局所の痛みが少しあったので、フエナゾール軟骨をもらい、少し良くなりました。
その5日、亀頭から包皮にかけて、ひどい痛みと炎症がおこり、泌尿器へ医師に受診する前に、看護師が目視で皮膚科へ移動。
性器ヘルペスと診断されました。
潰瘍はなく赤く爛れ、ひどい傷みだけです。
バルトレックス500mg 朝夜 5日分、 アラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなりました。
その7日後、痛みと炎症が悪化し同じ皮膚科へ受診しました。
毎日1錠分のバルトレックス7日分とアラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなりました。
その7日後、少し良くなっただけで完治せず、再び皮膚科へ受診しました。
問診のみで、毎日1錠のバルトレックスを1ヶ月間飲み続けるように言われました。
今現在発症してから、2ヶ月半たちますが、これって性器ヘルペスですか?
発症から潰瘍やぶつぶつは無く、未だ、炎症、ただれ、多少の痛みがあります。
血液検査もお願いしましたが、検査してもよく分からないとの事でした。
病院を変えた方がよいでしょうか?
①参考症例:初感染初発:亀頭冠、冠状溝、包皮内板に左右対称性に多数のビランを認める.
【回答】
貴方は風俗に行き、その3日後に違和感、軽い痛みがあったそうですが、その時は恐らく亀頭包皮炎の状態と思われます。
そこでフエナゾール軟膏を投与されたそうですが、この軟膏は消炎鎮痛外用剤ですから良いと思います。
非ステロイド性抗炎症薬で皮膚の赤みや腫れ、痛みや痒みを和らげる効用があります。
その5日後に亀頭と包皮にタダレが生じ炎症による痛みが出てきたものと考えられます。
その時にバルトレックス500mg 朝夜 5日分、 アラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなった。
この経過から想像するに、私は診察しておりませんから、はっきりとは申せませんが、性器ヘルペスの可能性もあります。
②参考症例:初感染初発:冠状溝、包皮内板に左右対称性に水疱、ビランを認める.
その7日後に再び、痛みと炎症が生じ同じ皮膚科へ受診した。
そこの皮膚科で、バルトレックス500mg、1日1錠、7日分とアラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなった。
その7日後、少し良くなったものの完治はせず、再び皮膚科へ受診したところ、問診を受けて毎日1錠、バルトレックス500mgを1ヶ月間飲み続けるように指導を受けた。
これが、性器ヘルペスかどうかは今となっては、ヘルペスの専門医が診察しても分からないと思います。
もし性器ヘルペスであれば、再発するのが特徴ですから、ある時期に再発してきます。
もし水疱に気がついたら、専門医を受診し、水疱の病巣基底部から検体を採取し、性器ヘルペスの原因がHSVの1型なのか2型なのか判定する検査法を受けましょう。
これは蛍光抗体法を用いて、型別判定を行う検査法です。
現在、性器ヘルペスの検査(単純ヘルペス特異抗原検査)の中で健康保険を適用でき、
かつ信頼できる検査法のひとつです。水疱を認める状態で受診すれば、この検査が可能です。
もちろんタダレ、ビランの状態でも検体採取は可能ですが、かなり検出率は低くなります。この検査でヘルペスウイルス(HSV)が見つかれば貴方の病気は性器ヘルペスだったと診断ができることになります。
③参考症例:再発例:陰茎体部に多数の水疱を認める.
この時期に水疱の病巣基底部から検体を採取し型別判定を行うと良い.
血清を用いた抗HSV抗体価の測定は、日常診療において比較的施行しやすい検査の一つですが、病変のウイルスの存在を証明することは難しく、また、その判読には各々の手法の特徴をよく理解することが必要です。
性器ヘルペスに関する血液検査は色々ありますが、保険でできる血液検査は現在のところ良い検査はなく、あっても臨床的な意義が低いとされています。
でも新しい検査方法が開発されています。患者さんが恩恵を受ける日も近いでしょう。
さて治療薬のことですが、バルトレックス500mg、1日、2回、5日分投与されたことは標準的な処方です。
ただアラセナ-A軟膏3%は抗ウイルス薬の軟膏でヘルペスウイルスの増殖を抑える塗り薬です。
健康保険上では内服薬と軟膏の両方は処方できないことになっています。
アラセナ-A軟骨3%は抗ウイルス薬でヘルペスウイルスの増殖を抑える塗り薬です。
薬は良いのですが、内服薬と軟膏の両方の処方は、保険のルール上、違反となります。
バルトレックス500mg錠は、保険上、病名を性器ヘルペスの初感染にすれば
バルトレックスはトータル20錠まで処方可能です。
性器ヘルペスと診断され、年間、約6回以上の再発を繰り返す場合には再発抑制療法といって毎日、バルトレックスを1錠服用して再発を抑制する方法があります。
通常1年間は継続いたします。
④幻の青い鮑
このことにより、患者さんのQOLが向上し、パートナーにも恩恵があると考えられています。
貴方の場合は、まだ経過観察をしなけばならない期間ですから、これもルール違反となります。
ただ性器ヘルペスをよく見ている医師は、その医師の裁量で再発抑制療法を開始できます。
専門的になりますが、貴方の病気が性器ヘルペスと仮定した場合、貴方が初めて性器ヘルペスに気づいたのであれば、初感染初発のヘルペスか初発型再発の性器ヘルペスです。
ただ、治療は同じですからご安心してください。
また、性器ヘルペスであれば抗ウイルス薬が投与されていますから、約10~14日間で寛解すると思いますが、亀頭や包皮に未だに、炎症やタダレ、多少の痛みがあるのであれば、他の炎症疾患があるのかもしれません。
一度、専門医の診察を受けることをお勧めいたします。
お大事になさってください。
⑤雲竜柳
『性器ヘルペス患者に対するファムシクロビルの安全性と有効性の検討』
私が協力した研究論文(原著)が日本性感染症学会誌 Vol.27,No.1(135~146頁)に掲載されましたので報告いたします。下記に要旨を示します。
【原著】
性器ヘルペス患者に対するファムシクロビルの安全性と有効性の検討(特定使用成績調査)
本田まりこ、他。
日本性感染症学会誌 Vol.27,No.1
ファムビル錠250mg(販売:マルホ株式会社、製造販売:旭化成ファーマ株式会社、一般名ファムシクロビルfamciclovir 以下、FCV)の性器ヘルペス(genital herpes 以下GH)に対する安全性および有効性を製造販売後の特定使用成績調査(以下、本調査)でProspectiveに検討した。
①(参考症例)女性 初感染初発型 腟前庭、小陰唇、に多数のビラン、浅い潰瘍を認める。
発熱、膀胱炎症状、両側鼠径部リンパ節有痛性腫脹、疼痛あり。
②(参考症例)女性 再発型。 右小陰唇内側下部にビラン、浅い潰瘍を認める。
掻痒感、疼痛あり。
2013年8月から2015年2月の期間、GH患者352例(初発型119例、再発型233例)が登録され、そのうち安全性解析対象症例が296例(初発型107例、再発型189例)、有効性解析対象症例が251例(初発型90例、再発型161例)となった。
安全性解析対象における副作用発現頻度は1.4%(初発型0.9%、再発型1.6%)であった。
有効性解析対象における観察期間終了時点の全般改善度を評価したところ、全般改善度が「改善以上」と判定された患者の割合は93.2%
(初発型93.3%、再発型93.2%)であり、皮膚・粘膜病変が治癒するまでの日数の50%点は9.0日(初発型9.0日、再発型9.0日)であった。
③40代前半女性 FCV投与開始前 会陰部左側
紅斑、水疱、疼痛あり。
④40代前半女性(③と同一症例患者)
FCV投与 6日後 皮膚・粘膜病変治癒
これらの結果から、GH患者に対するFCVの使用実態下での安全性および有効性が確認された。
尚、当院(宮本町中央診療所)はFCVの安全性および有効性の検討に患者登録医療機関として協力した。
ブログ:【図説100】子宮腟部、腟壁にヘルペス所見を認めた性器ヘルペス初感染の3例
日本性感染症学会誌(Japanese Journal of Sexually Transmitted Infections)第27巻 第1号 2016年 の【図説100】に『子宮腟部、腟壁にヘルペス所見を認めた性器ヘルペス初感染の3例』が掲載されましたので報告いたします。
掲載頁(p.163~167)
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【図説100】
「子宮腟部・腟壁にヘルペス所見を 認めた性器ヘルペス初感染の3例 」
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女性の性器ヘルペス初感染患者の診察に際して、外陰部の診察は丁寧に行うものと思われるが、皮膚科、泌尿器科などでは子宮腟部あるいは腟壁の所見を見落としがちとなる。
性器ヘルペスの所見は外性器のみならず、他の皮膚・粘膜部に現れることを忘れてはならない。
特に女性の初感染時には子宮腟部、腟壁にヘルペス所見が現れることがしばしばある。
今回、初感染症例において子宮腟部および腟壁に水疱、潰瘍、ビランなどのヘルペス所見を呈する症例とエルスバーク症候群を併発した症例を経験し、比較的稀な子宮腟部と腟壁の臨床写真を撮影できたので報告する。
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症例:1
患者 : 20 歳 、 女性 、未婚
職業 : CSW
主訴:発熱、外陰部の水疱、疼痛、激しい膀胱炎様症状
既往歴 :特記すべきことなし
現病歴:来院4日前の夜、発熱(38℃)し、その2日後より外陰部の疼痛、水疱、タダレ、激しい膀胱炎様症状を認めたため、心配で来院した。
初診時現症:外陰部所見;大陰唇、小陰唇、腟前庭に水疱、潰瘍、ビランを認める(図1)。
子宮腟部所見;子宮腟部に水疱、ビランを多数認める(図2)。
両側鼠径部リンパ節有痛性腫脹あり。
体温:36.8 ℃ 排尿障害なし
患者背景:CSW、特定のセックス・パー トナーはいない
初診時検査成績
ウイルス同定:PCR;HSV-1、
直接蛍光抗体法:HSV-1
子宮頸管検査:クラミジア(SDA法);陰性
図1 大陰唇、小陰唇、腟前庭に水疱、潰瘍、ビランを認める。
図2 子宮腟部に水疱、ビランを多数認める。
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治療と経過
問診、臨床症状および検査所見より、性器ヘルペスの初感染と診断した。
直ちに抗ウイルス剤としてバラシクロビル(バルトレックス):1回500mg、1日2回、10日間経口投与し、鎮痛消炎剤としてジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)25mg 1 日3回、5日間経口投与した。
5日後には疼痛はなくなり、外陰部、子宮腟部の潰瘍、ビランは縮小し、鼠径部のリンパ節有痛性腫脹も改善された。
10日後には外陰部、子宮腟部のヘルペス所見は消失し治癒とした。
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症例:2
患者:23歳、女性、未婚
職業:CSW
主訴:発熱、外陰部の疼痛、鼠径部の痛み、膀胱炎様症状
既往歴:特記すべきことなし
現病歴:来院3日前に、外陰部の疼痛に気付いていたが 仕事(CSW)が
忙しいため受診が遅れた。発熱 、外陰部の疼痛、鼠径部の痛み、 胱炎様
症状を認め来院した。
初診時現症:外陰部所見;大陰唇、小陰唇、腟前庭に水疱、潰瘍、ビランを
認める(図3)。子宮腟部・腟壁所見;子宮腟部にビラン、浅い潰瘍を認め、
さらに腟壁には明らかなビランを多数認める(図4)。両側鼠径部リンパ節有
痛性腫脹あり。
体温:36.9℃ 排尿障害なし
患者背景:CSW、特定のセックス・パ ートナー はいない
初診時検査成績
ウイルス同定:PCR;HSV-1 、
直接蛍光抗体法:HSV-1
子宮頸管検査:クラミジア(SDA法);陰性
図3 大陰唇、小陰唇、腟前庭に水疱、潰瘍、ビランを認める 。
図4 腟壁にビランを多数認め、子宮腟部にビラン、浅い潰瘍を認める 。
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治療と経過
問診、臨床症状および検査所見より、性器ヘルペスの初感染と診断した。
バラシクロビル(バルトレックス):1回 500mg、1日2回、10日間経口投与し、鎮痛消炎剤としてジクロフェナクナトリウム(ボルタレン)25mg、1 日3回、 5日間経口投与した。3日後には外陰部のビランは縮小し、疼痛も軽減し、腟壁のビランも縮小し、子宮腟部のビランも改善傾向となった。
7日後には外陰部の疼痛、ビランは消失し、腟壁、子宮腟部のビランも軽快し治癒とした。
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症例:3
患者:16歳、女性、未婚、未婚
職 職業 業: :菓子職人
主訴:外陰部の激痛があり尿が出ない
既往歴:特記すべきことなし
現病歴:来院2日前にパートナーと性交渉あり 、オーラルセックスも行ったという。
翌日、発熱(37.5℃ ) 、外陰部の痛みがあり、某産婦人科を受診し解熱鎮痛消炎剤ロキソプロフェンナトリウムを投与された。
夜間、体温(38.5℃ )がさらに上昇し、排尿痛と外陰部の激しい疼痛のため排尿ができなくなり、その翌朝に当院に受診となる。
初診時現症: 下腹部が膨隆し排尿困難の状態のため、直ちに尿道に14Frのカテーテルを挿入し尿道カテーテル留置とした。約800ml の黄褐色尿を採した。
カテーテル挿入時に外尿道口周囲の腫脹を認めたが、挿入は容易であった。
外陰部所見:大陰唇、小陰唇、腟前庭に水疱、潰瘍、ビランを認める(図5)。
肛囲にも複数の水疱を認める(図6)。
子宮腟部・腟壁所見:子宮腟部にビラン、浅い潰瘍を多数認め、子宮腟部粘膜より少量の出血を
認める(図7)。両側鼠径部リンパ節有痛性腫脹あり。
体温:36.8℃、血圧120/70mmHg
全身状態:良好
患者背景:特定のセックス・パートナーは彼のみ
初診時検査成績
肛囲の水疱よりウイルス型判定用の検体を採取した。
ウイルス同定:PCR ;HSV-1
直接蛍光抗体法:HSV-1
子宮頸管検査:クラミジア(SDA法);陰性
血液一般検査:異常なし
生化学:TP 7 .8g/ dl TTT 2 2.3U ZTT 13.3U
AST 17 IU/l ALT 13 IU/l
TBL L 0.8mg/dl ALP 403 IU/l
γ-GTP 47 IU/l TCH 342mg /dl
図5 大陰唇、小陰唇、腟前庭に左右対称性に潰瘍、ビランを多数認め、尿道にカテーテル挿入中。
図6 肛囲の左側に複数の水疱を認める。
図7 子宮腟部にビランを多数認め、子宮頸管、子宮腟部より少量の出血を認める。
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治療と経過
問診、臨床症状から性器ヘルペス初感染時に生じた排尿困難で神経因性
膀胱と診断した。治療はバラシクロビル(バルトレックス):1回 500mg、1日
2回、10日間経口投与。鎮痛消炎剤としてロキソプロフェンナトリウム(ロキ
ソニン)60mg、1日3回、5日間経口投与した。尿道留置カテーテルは挿入
のまま帰宅とした。翌朝、来院しカテーテルを抜去した。その後の自然排尿
は可能となった。
7日後、来院時の所見では外陰部、肛囲、子宮腟部の水疱、潰瘍、ビランと
も消失し、治癒とした。 自然排尿は良好であった。
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解説
3症例はいずれも性ヘルペスの初感染例であるが、症例1は子宮腟部にヘルペス所見をきれいに認め、症例2は腟壁に明らかなヘルペス所見を認める臨床写真を撮影できた症例である。
症例3は子宮腟部にヘルペス所見を認め、エルスバーグ症候群を併発した症例である。
性器ヘルペス感染の発症メカニズムについて
性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス(HSV)による皮膚粘膜感染症である。
性交渉によりHSVは皮膚粘膜の小さな傷から侵入し、皮膚粘膜内でHSVは増殖し、感染が成立し皮膚粘膜症状が発症する。
この間の潜伏期間は約2~10 日である。同時にHSVは、知覚神経終末から取り込まれて、神
経軸索を上行して脊髄後根神経節に入り込み、神経節(神経細胞体)内で増殖して、神経節内で遺伝子の形で潜伏感染する。
その後、何らかのストレスにより潜伏していたHSVが再活性化し神経線維内を下行して、皮膚粘膜で、水疱やビランを形成し、その後回復する。
女性の性器ヘルペス初感染について
初感染時はウイルスに対する免疫がないため,臨床症状が激しく、発熱などの全身症状を伴うことがあり、疼痛、鼠径部リンパ節有痛性腫脹などを認める1)。
特に女性では膀胱炎様症状、歩行障害をはじめ、排尿障害、便秘などの末梢神経麻痺を伴うこともあり、時に強い頭痛、項部硬直などの髄膜刺激症状を伴う2)。男性では神経症状は女性に比して非常に少ない。
女性の性器ヘルペス初感染は男性に比して深刻な疾患であり、その罹患率は男性の2倍以上高いといわれており、20歳代前半では男性の7~8倍に達している。
また男性と女性とどちらが性器ヘルペスに感染しやすいかを調査した米国の研究では、男女どちらかが性器ヘルペスに罹患しているカップル144組を対象として観察した結果、性器ヘルペスが、男性から女性へ感染する確率(16.9%)は、女性から男性に感染する確率(3.8%)の4倍以上高いことが示されている3)。
女性に多い理由は性器の構造上の差から、感染部位が大陰唇、小陰唇、腟前庭、腟壁、子宮腟部などで、性器の粘膜部分が広範囲であることが挙げられ、感染しやすく重症化しやすい。それに
比して男性は、粘膜の部分が少ないため感染しにくいといえる。
また、女性は免疫能力を低下させる黄体ホルモンの影響で、妊婦や排卵後は感染しや
すいと考えられている4)。
オーラルセックスの時代、初感染例はHSV-1が多く臨床的にHSV-1の方が強い症状を生じる。HSV-1による再発は少ないが、HSV-2は再発を繰り返す場合が多い。
エルスバーグ症候群(Elsberg syndrome)について 5)
初感染例では、HSVが上行性に仙骨神経根に直接進展し、限局性の髄膜脊髄炎が起き排尿障害などを生じ、尿意を感じない神経因性膀胱となり、カテーテルの挿入が必要となるケースもある。
また、初感染例に限らず、再発例でも稀に無菌性髄膜炎に伴い、一過性に排尿平滑筋の障害が生じ排尿障害(尿閉)が起きることがある。
Elsberg syndrome は狭義には性器ヘルペスに併発する脊髄神経根炎に伴った尿閉を指し、より広義には尿閉を伴う無菌性髄膜炎全般を指すと言われている。
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謝辞
本稿の作成にあたり、貴重なご意見、ご指導を頂いた神戸大学大学院医学研究科 特命教授 荒川創一先生に深謝申し上げます。
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文献
1)尾上泰彦:日常診療で盲点となる皮膚科疾患 毛・爪・粘膜を中心とするQ&A 3 粘膜 5 外陰部・肛囲
Q38 性感染症を疑うポイントは?,皮膚臨床,2011;53:1671-9.
2)性器ヘルペス,性感染症 診断・治療ガイドライン 2011,日性感染症会誌,2011;22(supp):65‐9.
3)Mertz GJ,Benedetti J, Ashley R,Selke SA,Corey L:Ann Intern MED. 1992;116:197-202.
4)早川謙一:女性の性器ヘルペス(GH).1 冊でわかる性感染症,本田まりこ編,文光堂, 東京,2009;p106-9.
5)尾上智彦,伊東秀記,松尾光馬,尾上泰彦:8 単純ヘルペス初感染.宮地良樹編,皮膚科治療最前線シ リーズ外来皮膚科ER,メディカルレビュー社,2011;p154-8.
ヘルペス 外用薬の使用 について
30代の男性からヘルペス 外用薬の使用 について相談がありましたので報告いたします。
【投稿者】
ブログ;ヘルペス 外用薬の使用 (男性)について
【相談内容】
私は30代の男性です。ヘルペスの 外用薬について教えてください。
ヘルペスに外用薬を使用すると耐性が出来る可能性がある為、米国のFDAから使用しない方が良いと忠告があったとお聞きしました。
口唇ヘルペスの場合でも同じですか?
もしアラセナを使いビダラビンに耐性が出来たとしたら、アシクロビルなど違う成分の薬の効果に影響は出ますか?
それとも成分が違うので影響はでないのでしょうか?
【回答】
貴方の言う通り、ヘルペスに外用薬を使用すると耐性が出来る可能性がある為、米国のFDAから使用しない方が良いと忠告がありました。
外用薬にはメリットとデメリットがあります。
外用薬は、大変、簡便に使用できます。
しかも、外用薬を持っていれば、病院に再診することなく使用できます。
しかし外用薬は表皮基底層の有効成分濃度が十分な薬用量に達しません。
しかも、耐性ウイルスの発生の可能性があります。
そこで、2006年6月FDAから次のような警告がありました.
“外用薬は性器ヘルペス、口唇ヘルペスに使うな!”
性器ヘルペスは病変部以外にもウイルス排泄があり、他への蔓延の可能性があります。
実験的に、ヒト皮膚モデル系を用いて異なる経路で投与したアシクロビルの皮膚および血液における吸収と分布を評価した成績があります(1992年USA)。
表皮基底層のアシクロビル濃度を見てみますと、内服薬は表皮基底層の有効成分濃度が高く保たれていました。
一方、外用薬では1時間後にピークを認めましたが、3時間後には濃度は低下していました。
このことから外用薬使用は臨床的意義が低く、しかも耐性ウイルスの発生の可能性も考慮すると中止した方が、よろしいのではないかという考え方もあります。
抗ヘルペス外用薬は、何種類かありますが、基本的には同じだと思います。
ただ、ヘルペスの 外用薬は、OTC商品などとして、非常に簡便に手に入り使用できますから、日本の市場からは今のところなくならないでしょう。
お大事になさってください。
性器ヘルペスについて
10代後半の女性から性器ヘルペスについて相談がありましたので報告いたします。【相談内容】
昨日の明け方から発熱し、熱が40度近くまで上がりました。
今は落ち着いているのですが、それでも微熱が続いてキツイです。
ふと股の痛みに気づき、気になって鏡で見てみると、赤く腫れていて、膣口全体が真っ赤にただれていました。
それからは、歩くのも座るのもトイレをするのもとても痛くて辛いです。
1週間前くらいに、お尻に汗疹のようなものができたために、チューブ型ではなく、100g?の容器に入ったオロナインを、お尻全体に塗っていました。
しかし、家族の中に口の周りににヘルペスをもってるひとがいて、最近また発症し、同じオロナインを使っていることがわかりました。
私はこれを聞いて、ヘルペスの菌がオロナインを通じて私の性器にうつったのではないかと思いました。
ネットなどで色々と調べたり、画像を見たりしましたが、いまいち判断がつかず、困ってます。
私は性交渉もしたことありません。
気になるおりものなども今の所見当たりません。
17歳で性器のことをひとに話すのは恥ずかしいです。
なにかアドバイス等ありましたら、よろしくお願いいたします。
① 参考症例: 性器ヘルペスの初感染 小陰唇内側に多数のビランを認める。
【回答】
性器ヘルペスの初感染の典型的症状は、発熱(39~37℃)し鼠径部のリンパ節が腫脹し、痛みがあるのが一つの特徴です。
また外陰部の左右(両側)に水疱、ビラン(ただれ)、発赤が皮膚粘膜症状として出てきます。
となりますと、歩き方が、前かがみになり、ひどくなると歩行困難(歩行障害)になります。
同時に排尿初期痛や排尿痛が出てきます。いわゆる膀胱炎様症状です。
かなり日常生活が辛くなります。
性器ヘルペスの初感染は通常、オーラルセックスをして、2~10日後に、発症してきます。
貴女は性交渉の経験がないそうですから、性器ヘルペスは考えにくいですね。
口唇ヘルペスの方が使用したオロナインをお尻に塗ったそうですが、これも性器ヘルペスと関係あるとは思いません。
診察しないと分からないことがあります。
やはり、一度性器ヘルペスの専門医に診察、相談なさることをお勧めいたします。
お大事になさってください。
②ヒョウ
性器ヘルペスの再発
30代の女性から繰り返す陰部のデキモノについて相談がありましたので報告いたします。【相談内容】
私は、30代の女性です。 陰部にできものが定期的にできます。
出来てすぐの時は痛みがあり、治りかけになると痒くなります。
これは性感染症でしょうか?
① 性器ヘルペスの再発(小陰唇)水疱が複数。
【回答】
貴女のお話しから推測いたしますと、先ず考えられるのは、性器ヘルペスの再発です。
生理の前後、何らかのストレス、免疫力が低下した時などに再発します。
生理の前後は、免疫能力を低下させる黄体ホルモンの影響で再発しやすいともいえます。
性器ヘルペスが発症すると典型的であれば外陰部に水疱ができ痛みを感じます。
その後、水疱が破けビラン(ただれ)になり治癒過程に入り痒みを感じてきます。
性器ヘルペスはウイルス感染症(単純ヘルペスウイルス=HSV)です。
原因のウイルスはHSV-1あるいはHSV-2です。
再発を繰り返していますので、貴女の場合、原因のウイルスは恐らくHSV-2だと考えます。
次回、再発した際には直ちに、ヘルペス診療の専門医を受診し、原因のウイルスがHSV-2であることを確認してもらいましょう。
今後の治療方針の役に立ちます。
また、性器ヘルペスが、年間6回以上再発するのであれば再発抑制療法ができます。
保険診療が適用になっています。
これは年間を通じて抗ウイルス剤を服用する治療法です。
再発抑制療法を行なえば、性器ヘルペスが殆ど発症しなくなります。
再発を繰り返していますと、QOL(生活の質)が低下します。
最後になりましたが、性器ヘルペスの再発は、貴女に取っては性感染症ではありません。
仙髄神経節で遺伝子(DNA)の形で潜伏(寝ている)しているウイルスが、色々なストレスで目を覚まし神経繊維を伝わって、外陰部の皮膚粘膜で花を咲かしたと言えます。
ただし、皮膚粘膜に症状(水疱・ビラン)がでますと、この部位からHSVが排泄されますので、性的行為があればパートナーに取っては感染源になりえます。
症状がでましたら2週間は性的行為を慎しみましょう。
② ピンクの薔薇
抗ウイルス薬のバルトレックスとファムビルの差について
20代前半の男性から、性器ヘルペスの治療薬である抗ウイルス薬についての相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
バルトレックスとファムビルの差としてファムビルの方が感染細胞内での効果がバルトレックスより10~20倍、長いと言う点があります。
動物実験でHSV感染後3日以内にファムビルを服用すれば、3ヶ月後の組織内感染率が0%です。
バルトレックスの場合94%となる海外論文があります。
つまり初感染後早期にファムビルで治療すれば、再発の頻度など今後の経過に差が出る可能性があると言う話を聞きたいのですが、どう思われますか?
ファムビルはバルトレックスより優れていますか?
上記の事が事実だとしたら、初回ではなく、2回目の発症時にはファムビルとバルトレックスでは差はないのでしょうか?
【回答】
貴男は、かなり勉強なさったのですね。
可能性としては貴方の言う通りだとも考えられます。
ただ、臨床的にファムビルとバルトレックスの治療成績に差があるかどうかのデータはありません。
臨床的には差はないと考えてよろしいかと思います。
それぞれ薬には特徴があり、長所、短所があると考えます。
ファムビルはバルトレックスより優れているところはあると思いますが、逆にバルトレックスがファンビルより優れているところもあるかと考えます。
私見で恐縮ですが、どちらを使用しても臨床的には差はないと考えます。
お大事になさってください。
①バルトレックス500mg錠・ファムビル250mg錠
②バルトレックス・ファムビル比較一覧表
③よもぎ餅
性器ヘルペスの後遺症 (男性)
20代前半の男性から性器ヘルペスの後遺症について相談がありましたので報告いたします。【相談内容】
性器ヘルペスの後遺症について教えてください。
性器ヘルペスの初感染発症後、4週間ほど経つのですが、毎日チクっとした軽い痛みが走ります。
帯状疱疹で起こる神経痛の後遺症がありますが、性器ヘルペスなどの単純疱疹でも同じような後遺症が残る事はありますか?
治療はバルトレックスを服用しました。
【回答】
貴男は性器ヘルペスの初感染で発症後、4週間ほど経過している。
通常であれば4週間ほど経過していますから、痛み、かゆみ、違和感などの症状は出てこないと考えます。
何らかのストレスがあり、ヘルペスの再発があれば症状として、骨盤周囲を含めて陰茎、尿道、陰嚢、肛門、大腿内側などに痛み、かゆみ、違和感などを感じとれるかもしれません。
貴男は性器ヘルペスの初感染であったので抗ウイルス薬である
バルトレックス500mgを1回1錠、1日2回、10日間服用(経口投与)したと思います。
どうしても神経がそこに行き、痛み、違和感などを感じるかもしれませんが、経過観察でよろしいかと考えます。
できれば専門医(泌尿器科など)に一度、診ていただくことを勧めます。
①性器ヘルペス初感染
冠状溝、包皮内板に多数のビランを認める
②ホワイトタイガー
性器ヘルペスの〔症例クイズ〕ケースレポートシリーズ第2弾
2015年6月にマルホ(株)が運営する医療従事者向けのウェブサイト『Famvir.jp』のPremiumContents プレミアムコンテンツ であるケースレポートコンテンツに出演いたしましたので報告いたします。〔症例クイズ〕ケースレポートシリーズ
性器ヘルペスの鑑別診断『第2弾』
実際の症例を元に、性器ヘルペスの鑑別について解説をいたします。
2症例を提示し、どの症例が性器ヘルペスの再発例であるか考えていただきます。
先ずヒントがでます。
その後、解答がでて、解説いたします。
1.女性の性器ヘルペスの皮膚・粘膜症状
2.女性の性器ヘルペスの皮膚・粘膜症状
3.特殊な部位に生じるHSV感染症について総合解説いたします。」
写真をご覧になってください。
このサイトは医療関係者であれば見れると思います。
抗ヘルペスウイルス薬「ファムビル」に関する情報が提供されています。
◆サイトアクセス方法
URL:http://www.famvir.jp/
トライアルしてみてください。
①性器ヘルペスの鑑別診断(第2弾)
②〔症例クイズ〕ケースレポートシリーズ 性器ヘルペスの鑑別診断
③診断のヒント
④正解はB) 症例2 再発型性器ヘルペス
⑤総合解説: 1.女性の性器ヘルペスの皮膚・粘膜症状
⑥総合解説: 2.女性の性器ヘルペスの皮膚・粘膜症状
⑦総合解説: 特殊な部位に生じるHSV感染症
性器ヘルペスの〔症例クイズ〕ケースレポートシリーズ第1弾
2015年6月にマルホ(株)が運営する医療従事者向けのウエブサイト『Famvir.jp』のPremiumContents プレミアムコンテンツ であるケースレポートコンテンツに出演いたしましたので報告いたします。〔症例クイズ〕ケースレポートシリーズ
性器ヘルペスの鑑別診断『第1弾』
実際の症例を元に、性器ヘルペスの鑑別について解説をいたします。
3症例を提示し、どの症例が性器ヘルペスの初感染例であるか考えていただきます。
先ずヒントがでます。
その後、解答がでて、それぞれの症例、治療、鑑別すべき疾患について解説いたします。
写真をご覧になってください。
このサイトは医療関係者であれば見れると思います。
◆サイトアクセス方法
URL:http://www.famvir.jp/
トライアルしてみてください。
①PremiumContents プレミアムコンテンツ
②性器ヘルペスの鑑別診断(第1弾)
③〔症例クイズ〕ケースレポートシリーズ 性器ヘルペスの鑑別診断
④診断のヒント
⑤正解は症例1.
⑥総合解説: 女性の性器ヘルペス
⑦総合解説: 性器ヘルペスの治療
⑧総合解説:鑑別すべき疾患
性器ヘルペス 初発症時の治療 (男性)
若い男性から性器ヘルペスの初発症時の治療について相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
性器ヘルペス 初発症時の治療について質問させて頂きます。
陰部のヘルペスの初発症時の治療が大切だとお聞きしましたが。
また、再発時は何日間飲めばいいのですか?
再発時には5日以上服用する事に効果はないですか?
バルトレックス服用期間はどの程度がよろしいでしょうか?
バルトレックスを10日以上服用する事に効果はありませんか?
10日以上(自費や個人輸入)した方が良いですか?
私が受診したところの先生は、ウイルスの型判定の検査はしてくれませんでした。
アラセナの塗り薬は併用しても良いでしょうか?
バルトレックスの服用量を増やす事に効果はありませんか?
その他やっておいた方が良い事はありますか?
よろしくお願い致します。
【回答】
初感染時は激しい症状がでますから、ご心配ですね。
性器ヘルペスの初感染は保険診療で良い治療ができますから、個人輸入などする必要はありません。
抗ウイルス薬であるバルトレックス(バラシクロビル)500mgを1回1錠1日2回、10日間を服用(経口投与)すれば良いのです。
ヘルペスの原因ウイルスHSVは1型と2型があります。
初感染症状がある時、特に水疱が発症している時に水疱底から検体を採取し
型判定の検査ができていると良かったのですが、仕方ありませんね。
この検査をして、ウイルスの型が分かれば、今後の治療方針(計画)を立てやすくなります。
一般に1型は再発頻度が低く、2型は再発頻度が高いです。
もし、次回再発した場合は直ぐに受診し、ウイルス型判定の検査をしていただきましょう。
再発の際はバルトレックス(バラシクロビル)500mgを1日2回、 5日間経口投与するのが保険診療の基本です。
発症してから1日以内に服用を開始しないと有効な効果が得られません。
外用薬はヘルペスの傷面保護のために非ステロイド系の消炎鎮痛外用薬の軟膏を処方してもらいましょう。
バルトレックスとアラセナA軟膏は健康保険では同時投与できません。
この場合、アラセナA軟膏は自費になります。
アラセナA軟膏を併用しても構いませんが、臨床的意義はあまりありません。
また、バルトレックスを10日以上服用してもかまいませんが、必要ないと考えてください。
増量も意味がありません。
再発時には5日間服用すれば良いでしょう。
その後、1日1錠連日服用は再発予防の意味はあります。
しかし保険適用はありません。
ただ、性器ヘルペスには再発抑制療法という治療法があります。
性器ヘルペスの専門医を受診し、年間、約6回以上再発することを確認してもらえば保健適用できます。
再発予防のためにバルトレックス500mg 1錠を年間通して毎日服用する方法です。
探すのが難しいかもしれませんが、診察はヘルペスの専門医に診ていただくことをお勧めいたします。
性的交渉は良くなってから7日以降にしましょう。
色々なストレスがありますと、再発する可能性がありますから注意いたしましょう。
最後になりましたが、パートナーを専門医に診ていただくことをお勧めいたします。
おだいじになさってください。
①性器ヘルペスの初感染例
②性器ヘルペスの再発例
③ヘルペスウイルスの模式図
女性の性器ヘルペス初感染について
今回は女性の性器ヘルペスの初感染について勉強いたしましょう。
性器ヘルペスの初感染時はウイルスに対する免疫がないため、臨床症状が激しく、発熱などの全身症状を伴うことがあり、疼痛、鼠径部リンパ節有痛性腫脹などを認めます。
特に女性では膀胱炎様症状、歩行障害をはじめ、排尿障害、便秘などの末梢神経麻痺を伴うこともあり、
時に強い頭痛、項部硬直などの髄膜刺激症状を伴います。男性では神経症状は女性に比して非常に少ないようです。
女性の性器ヘルペス初感染は男性に比して深刻な疾患であり、その罹患率は男性の2倍以上高いといわれており、20歳代前半では男性の7~8倍に達しています。
また男性と女性とどちらが性器ヘルペスに感染しやすいかを調査した米国の研究では、男女どちらかが性器ヘルペスに罹患しているカップル144組を対象として観察した結果、性器ヘルペスが、男性から女性へ感染する確率(16.9%)は、女性から男性に感染する確率(3.8%)の4倍以上高いことが示されている。
女性に多い理由は性器の構造上の差から、感染部位が大陰唇、小陰唇、腟前庭、腟壁、子宮腟部などで、性器の粘膜部分が広範囲であることが挙げられ、感染しやすく重症化しやすいと考えられています。
それに比して男性は、粘膜の部分が少ないため感染しにくいといえます。
また、女性は免疫能力を低下させる黄体ホルモンの影響で、妊婦や排卵後は感染しやすいと考えられています。
オーラルセックスの時代、初感染例はHSV-1が多く、臨床的にHSV-1の方が強い症状を生じます。
また、HSV-1による再発は少ないですが、HSV-2は再発を繰り返す場合が多いです。
少し難しかったですかね!
①小陰唇、腟前庭に多数のビランを認めています。
②子宮腟部に多数のビランを認めています。
エルスバーグ症候群(Elsberg syndrome)
女性の性器ヘルペスの初感染時に、しばしば併発するエルスバーグ症候群(Elsberg syndrome)について 勉強いたしましょう。
初感染時はウイルスに対する免疫がないため,臨床症状が激しく、発熱などの全身症状を伴うこともあり、疼痛、鼠径部リンパ節有痛性腫脹などを認めます。
特に女性では膀胱炎様症状、歩行障害をはじめ、排尿障害、便秘などの末梢神経麻痺を伴うこともあり、時に強い頭痛、項部硬直などの髄膜刺激症状を伴います。
男性では神経症状は女性に比して非常に少ないと言われています。
HSVにより髄膜脊髄炎が生じると、時にエルスバーグ症候群(Elsberg syndrome)という排尿障害があらわれることがあります。
性器ヘルペスの初感染例では、HSV が上行性に仙骨神経根に直接進展し、限局性の髄膜脊髄炎が起き排尿障害などを生じ、尿意を感じない神経因性膀胱となり、カテーテルの挿入が必要となるケースもあります。
また、初感染例に限らず、再発例でも稀に無菌性髄膜炎に伴い、一過性に排尿括約筋の障害が生じ排尿障害(尿閉)が起きることがあります。
Elsberg syndrome は狭義には性器ヘルペスに併発する脊髄神経根炎に伴った尿閉をさし、より広義には尿閉を伴う無菌性髄膜炎全般を指すと言われています。
少し難しいですね。
①尿道内にカテーテル挿入
②美しい桜
性器ヘルペス感染の発症メカニズム
今回は性器ヘルペスの発症メカニズムについて勉強いたしましょう。
性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス(HSV)による皮膚粘膜の感染症であるとともに神経のウイルス感染症です。
性交渉によりHSVは皮膚粘膜の小さな傷から侵入し、皮膚粘膜内でH SVは増殖し、感染が成立します。すると皮膚粘膜症状が発症いたします。この間の潜伏期は約2~10日です。
この時期にセックスをしますと、皮膚粘膜から排泄されたHSVがセックスパートナーに感染する危険性が出てきます。
同時にHSVは、知覚神経終末から取り込まれて、神経軸索を上行して脊髄後根神経節に入り込み、神経節(神経細胞体)内で増殖して、神経節内で遺伝子の形で潜伏感染いたします。
その後、何らかのストレスにより、潜伏していたHSVが再活性化し神経線維内を下行して、皮膚粘膜で、水疱やビランを形成し、皮膚粘膜症状があらわれます。これが再発です。
この時期にも、セックスをしますと、皮膚粘膜から排泄されたHSVがセックスパートナーに感染する危険性が出てきます。その後回復します。この再発現象は何らかのストレスによってが繰り返し 起きます。
もう一度、もうしあげますが、性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス(HSV)による皮膚粘膜の感染症であるとともに神経のウイルス感染症です。このことを忘れないでください。 治療の話を少ししますと、皮膚粘膜に外用剤を塗ることは臨床てきにはあまり意味がありません。必ず抗ウイルス剤を服用してください。
それでは、ごきげんよう!
①HSVの潜伏感染
②HSVの回帰感染(再発)
②陰部にきれいな水疱が多発している
性器ヘルペスの初感染
性器ヘルペスについて女性から相談がありましたので報告いたします。
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【相談内容】
産婦人科にて、はじめて性器ヘルペスといわれました!
病院ではバルトレックスを10日間だされ今日で2日服用していますが痛みが全然おさまらずつらいです。
「軟膏はでませんか?」と聞いたら
「とりあえず飲み薬だけで様子みてください」と言われました。
糖尿病もあるので治りにくいのでしょうか?
軟膏ぬったほうが早くなおりますか?
【回答】
性器ヘルペスの初感染であればかなりつらいですね。
典型的であれば発熱、膀胱炎様症状、歩行障害、外陰部所見としては水疱、ただれ(ビラン)、潰瘍などが認められ、鼠径部のリンバ節有痛性腫脹、圧痛などあらわれます。
性器ヘルペスは外性器(外陰部)の皮膚粘膜に症状がでますが、症状があらわれていない所にも感染しています。
性器ヘルペスは神経のウイルス感染症なんです。
ですから外用薬ではなく、抗ウイルス薬を服用する必要があります。
そのため、保健診療では、治療は初感染であればバルトレックス(抗ウイルス薬)を10日間服用するのが基本です。
保健診療では外用薬(抗ウイルス剤の軟膏)は臨床的意義が少ないため、投薬されないのが普通です。しかし、外陰部に皮膚・粘膜症状があり、疼痛があるのですから、鎮痛消炎作用のある軟膏は投与してもらいましょう。
この軟膏はヘルペスの傷の保護のためだと考えてください。また内服薬で鎮痛消炎剤であるロキソニンまたはボルタレンなどを投与してもらっては如何ですか。
担当医の考え方により治療が異なりますから、患者さんも迷ってしまいますね。
医師をうまく使ってください。 貴女の悩みをぶつけてください。それに答えるのが医師の仕事ですから。
お大事になさってください
①子宮腟部と腟壁にビラン、浅い潰瘍(ヘルペス所見)を認めている
②水槽の
「性器ヘルペス(GH)再発抑制療法講演会」DVD
だいぶ古くなりますが、2010年6月27日(日)9:00~12:50 グランドプリンスホテル赤坂で行われました性器ヘルペス(GH)再発抑制療法講演会のDVDができあがりましたので、報告いたします。
私も講師の一人として講演いたしました。
講師:宮本町中央診療所 院長 尾上泰彦先生
主催:グラクソスミスクライン(株)
性器ヘルペス(GH)再発抑制療法講演会 演題「性器ヘルペス(GH)再発抑制療法講演会」DVD
マルタ島
性病から脳の病気(女性)
40歳の女性から相談がありましたので報告いたします。
【相談内容】
18年ほど前に先生のところで診察受けました。病気はヘルペスでした。
当時の職場の人からヘルペスは脳の病気になる可能性があるから気をつけたほうが言われた事があります。
11年前に顔面麻痺になりました。
原因がわからないと病院から言われ、去年脳梗塞、脳動脈癌も見つかりました。
これらの病気はヘルペスの菌を持ってる事と関係あるんでしょうか?
【回答】
お元気でしたか!
18年前に私の診察を受けたと言われますと、何か懐かしい感じがいたします。
11年前に顔面麻痺になったのは恐らくヘルペスとは関係ないと思います。
幼少時には脳のヘルペス疾患で重症になる場合が多いと言われています。
貴方の場合は年齢的にご心配ないと思いますが、他の脳疾患との関連があるかもしれませんから、一度、専門医に診てもらったら如何でしょうか!
良いアドバイスができなくて申し訳ございませんが、私がお勧めする良い先生をご紹介しておきます。
JR鶴見駅前のコーリンビル5階に 「まりこの皮膚科」(院長:本田まりこ先生)がありますから、この先生に受診の上ご相談なさってください。
インターネットで探してください。
グーグルで「まりこの皮膚科」を検索して、必ず予約して受診なさってください。
この先生はヘルペスでは日本の大家です。
先日もNHKの「ためしてがってん」に出演しております。
お大事になさってください。
【相談者からの返事】
先生こんばんわ。先生がせっかく病院教えてくれたのはいいのですが、私は今神奈川にはいません。
昔は川崎に仕事でいて、こちらの事情で実家に戻りました。
脳の病気とヘルペスとの関係に問題がないとの事で安心しました。
脳の手術についても地元には信用できる先生がいないので県外も考えています。
ヘルペスの菌が関係してるようなら先生が教えてくれた病院行ってみます。
【2回目の挨拶】
お返事ありがとうございます。少しでも心の傷が癒されるといいですね。
お大事に!
口唇ヘルペスの治療
今回は「風邪の華」、「熱の花」とか言われ、臨床的によく見られる口唇ヘルペスの治療についてお話いたします。
口唇ヘルペスは神経のウイルス感染症です。
ウイルスは顔面の三叉神経に潜んで潜伏しています。
何らかのストレスがあると口唇周辺に皮膚粘膜症状として発症してきます。
皮膚粘膜症状として発赤、水疱、ビラン、痂疲などを認めます。
口唇ヘルペスの治療についてですが、抗ウイルス薬は内服約と外用薬があります。
それぞれ薬は作用範囲が異なります。
外用薬の作用範囲は皮膚粘膜の病変部のみです。
それに対して、内服薬の作用範囲は、皮膚粘膜の病変部に加えて、顔面の三叉神経にも作用します。
口唇ヘルペスは神経のウイルス感染症ですから、皮膚粘膜の病変部のみに対する外用薬の治療では不十分です。
体内の神経細胞内で増殖しているウイルスに対しても作用する内服薬(抗ウイルス薬)での治療が必要です。
口唇ヘルペスが発症した時に、抗ウイルス薬を服用して神経細胞内で増殖しているウイルスの量を減らすことが重要なポイントとなります。ウイルスの量を減らしておかないと、発症する頻度が増す傾向がでてきます。
内服薬は頻回に塗布する必要がなく、塗布時のテカリなどもないため、コンプライアンスの面からも好ましいと考えられます。
なんども申し上げますが、口唇ヘルペスは内服薬による治療が望ましいと言えます。
再発性陰部ヘルペスについて (女性)」その2
女性から再発性陰部ヘルペスについて2回目の相談がありましたので、報告いたします。
【相談内容】
先生、ご回答ほんとうにどうもありがとうございました。助かりました。
発病の頻度が年6回に達すると抗ウイルス薬を毎日抑制のために服用するのですが、
その他に、頻度回数が高い場合に何か問題はでてくるのでしょうか?
質問の途中で投稿されてしまいまして、検査結果などのデーター記入がもれてしまいました。
今回は、腟近辺から採取した細胞?を調べるとドクターから話がありました。
以前の検査では、(採血)でしたが、単純ヘルペスIgG型+89.9 単純ヘルペスIgM型-0.60でした、先生この数値は何をしめすのでしょうか?
お忙しくまたお疲れの時間にもうしわけありませんがご教授いただけないでしょうか?
また、彼氏が発病しないようにきを付けるにはどうしたらよいでしょうか?
ご教授下さいませ。
先生のご回答本当にわかりやすくて安心しました。
しかしながら、私は、3年前に胃癌になり内視鏡でOPEしております。
初期でしたが、グループ4でたちの悪い癌でした、
それから3ヶ月に1回の全身の癌検査をクリアして現在は6ヶ月に1回の検査になり
5月13日にガンセンターでやってきました。
結果は26日でまだわかりません
やはりその時もドクターがストレスから来てるから免疫が下がってるな!と話ておりました。
ので今回も免疫力の低下で発病したとしたら、また繰り返すのではないか?と思いました
不安です。今生きていることが先生どうかご教授お願いいたします。
【回答】
≪頻度回数が高い場合に何か問題はでてくるのでしょうか?≫
再発頻度が高いとその都度、不愉快な思いをしますね。
再発した場合は、抗ウイルス薬を是非、服用してください。
薬を飲まないで放置しておいても10~14日間もすれば、皮膚粘膜症状は落ち着いてきます。
ただし、抗ウイルス薬を飲まないで放置しますと、神経節に潜伏しているウイルスが増殖し、さらに再発頻度が増してくる可能性があります。
性器ヘルペスは、皮膚粘膜症状の病気ではなく、神経のウイルス感染症なんです。
ですから再発した場合、あるいはその前兆があれば抗ウイルス薬を服用しましょう。
≪単純ヘルペスIgG型+89.9 単純ヘルペスIgM型-0.60でした、
先生この数値は何をしめすのでしょうか?≫
IgG,IgMは性器ヘルペスになったことがあるという、過去の歴史を物語っていると考えてください。
臨床的意義は低いので、あまりこの数値は気にしなくて良いと思ってください。
≪彼氏が発病しないようにきを付けるにはどうしたらよいでしょうか?ご教授下さいませ。≫
彼は生きているわけですから、ストレスは必ずあります。 何時、発症してくるかわかりません。
もし発症したら専門医に診ていただきましょう。
日常生活としては、規則正しい生活を心がけましょう。7時間程度の睡眠をしっかりとりましょう。
貴女も何時発症してくるか、わかりません。もし発症したら専門医に診ていただきましょう。
以上が私の考えです。お役に立てればよいのですが。お大事になさってください。
「再発性陰部ヘルペスについて (女性)」その1.
女性から再発性陰部ヘルペスについてのご相談がありましたのでご報告いたします。
【相談内容】
はじめての相談です、先生お忙しいなかすみませんが、宜しくお願いします。
わたしは、12年前ぐらいから、陰部ヘルペスの抗体検査が、陽性でした。
原因は、自分にあり、わかっております。
毎年、性病検査をしていますが、全てクリアです。陰部ヘルペス以外はです。
愛してる男性と付き合って6年になります。
彼にはヘルペスは、発病しません。
私だけ、今回で、2回目の発病です。
今回は、婦人科にいき、ガン検診と一緒に診察をうけました、ヘルペスだから、
【回答】
貴女は、12年前ぐらいから、陰部ヘルペスの抗体検査が、陽性にでている。
今のところ、彼にはヘルペスは、発病したことがない。
貴女は、今回で2回目の発病ということですね。
彼に性器ヘルペスが発症しないということは、たまたま骨盤内の腰部仙髄神経節に
ヘルペスウイルスが潜伏がしていても
免疫力が低下しなかったため発症しなかったということも考えられます。
あるいは感染していないことも考えられます。
貴女は2回目の発病ということですが、何らかのストレスがあり発症したと思われます。
高頻度に発症しているわけではありませんから、発症した場合には専門医に診ていただいてください。
お大事になさってください。
性器ヘルペスを妻に移さずに子作りするには
【相談】性器ヘルペスを妻に移さずに子作りするには、どうすればよろしいのでしょうか?
再発抑制療法をおこなうことになるのでしょうか?
【回答】
単純ヘルペスウイルスは、一度感染すると生涯にわたって神経に潜伏します。現在、体内に潜伏中のウイルスを死滅させる薬はないので、再発の可能性を完全になくすことはできません。しかし、再発抑制療法などで再発しにくくすることもできますので、再発を頻繁に繰り返す場合は専門医に相談してみましょう。
さて、妊娠期間中に初めて感染したり、再発したりしても赤ちゃんに感染することは、ほとんどありません。ただし、分娩時に症状が出ている場合や、分娩の1カ月前に初めて感染し症状が出た場合などは、自然分娩で出産すると赤ちゃんに感染することがあります。赤ちゃんが感染すると重い症状を起こす恐れがありますので、詳しくは産婦人科の医師に相談しましょう。
パートナーの感染を避けるため、妊娠後期のセックスは避けましょう。
口唇ヘルペスに感染している場合はキス、オーラルセックスも避けましょう。
しかし、性器ヘルペスになっても妊娠・出産はできます。
妊娠に関しては、症状が出ている時にセックスをするとパートナーが感染するリスクが高いため、症状の出ていない時にセックスをしましょう。ただし、症状が出ていなくても体液にウイルスが含まれていることがあるため、パートナーの感染を完全に防ぐことはできません。
ただ、現在、障害をもった赤ちゃんが産まれることは、ほとんどありません。
以上を参考にしてください。ごきげんよう。
ウイルス遺伝子検査 ●PURE-LAMP法
前回お話をしたLAMP法は、遺伝子増幅法のひとつです。LAMP法を用いて単純ヘルペスウイルス1型(HSV‐1)
および2型(HSV‐2)の遺伝子を検出・型判別するキットが市販されており、
このキットを用いれば40分で結果が得られます。
従来LAMP法を使用するためには、前処理として検体中の核酸を抽出・精製するという、煩雑な過程が必要でした。
今日ご紹介する簡易迅速前処理技術(PURE=procedure for ultra rapid extraction)法は、 ピペット操作が要らず、簡易前処理機器を用いて短時間で完了します。
以上2つの技術を用いたPURE‐LAMP法は、日常診療における核酸検出法として応用が期待される遺伝子増幅法です。
LAMP法では、40分以上の時間を要していた前処理過程をPURE‐LAMP法では、20分程度に短縮できます。
従来のLAMP法やPCR法と比較しても感度・特異度共に遜色なく、HSV-2に対しては感度がやや上昇しました。
PURE-LAMP法と蛍光抗体直接法(2013年8月23日のコラム参照)を比較すると、検体を採取した病変が水疱の場合には、検出率に遜色はありませんでした。
(PURE-LAMP法:79%/蛍光抗体直接法:86%)
しかし、びらん(それぞれ57%/29%、)、膿疱(82%/18%、)、痂皮(かさぶた)(80%/33%、)となり、いずれもPURE-LAMP法の方が検出率が高く出ました。
以上のことからPURE‐LAMP法はHSV‐1およびHSV‐2の検出および型判定に関して、 従来のLAMP法やPCR(ポリミラーゼ連鎖反応)法と同等以上の感度、特異度が期待しえると考えられます。
この検査が保険適用されれば、患者に大きな恩恵をもたらすことでしょう。
ウイルス抗体検査(HSV抗体価) gG ELISA(エライサ)法
前回まで≪ウイルス抗体検査(HSV抗体価)≫であるCF法(補体結合反応)、NT(中和反応)法、EIA(酵素抗体)法についてお話いたしました。
ウイルス抗体検査は、ウイルスに対して血液中に生じた抗体の有無や量を調べる検査です。 血液検査であるため、簡便に施行できますが、病変部位のウイルス感染を証明できませんし、 HSV-1、HSV-2の型別判定もできません。
今回は保険が適用されていない“HSV‐gG ELISA(エライサ)法”についてお話いたします。 この血液検査では、HSV(単純ヘルペスウイルス)のエンベロープ(*1)に存在する、 gulycoproteinG(糖タンパクG、略してgG)を抗原として用います。
現在では、HSⅤ-1とHSⅤ-2で共通部分がほとんどないgGを用いた
識別方法が開発され、利用可能となりました。
今までお話した抗体価検査とは違い、血清診断でありながらHSV-1、
HSV-2の型別判定が可能なのです。
これが最大のメリットです。欧米では広く用いられています。
他の抗体価検査では型別判定は不可能です。
感染後、上昇するまでには比較的日数を要するため、
初感染の診断に用いる場合には注意が必要となります。
定期的に測定し続けて変化を調べ、陽転した場合は感染を推測できます。
注意点としては、gG欠損株(*2)の存在が報告されていることと、
HSV-1の初感染では、HSV‐1のgG-1抗体の陽転率が低く、
感染していても陰性となる可能性があることがあげられます。
次回はウイルス遺伝子検査についてお話する予定です。
(*1)エンベロープ:ウイルス粒子のもっとも外側にある膜構造。
(*2)gG欠損株:株(ウイルス株)は、検体から採取したウイルスを人工的に培養したもの。 gG欠損株は、そのうち糖タンパクGのないもの。
ウイルス抗体検査(HSV抗体価)NT(中和反応)法、EIA(酵素抗体)法
前回は、≪ウイルス抗体検査(HSV抗体価)≫の一つであるCF法(補体結合反応)をご紹介いたしました。ウイルス抗体検査は、ウイルスに対して血液中に生じた抗体の有無や量を調べる検査です。 血液検査であるため、簡便に施行できますが、病変部位のウイルス感染を証明できませんし、 HSV-1、HSV-2の型別判定もできません。
今回はNT(中和反応)法、EIA(酵素抗体)法についてお話いたします。
NT(中和反応)法は感度(*1)、特異度(*2)はともに高いのですが、組織培養が必要なため測定に時間がかかります。保険は適用されます。
感染初期血清と回復期血清のペア血清を比較すると、初感染では抗体価の上昇がみられますが、 再発時には抗体価の変化がとらえられないことが多い点に注意すべきです。
実際、臨床的にはあまり使用されていないと考えられます。
他方、EIA(酵素抗体)法は、感度、特異度はともに高く、
Ig(免疫グロブリン=抗体)M(*3)とIgG(*4)を区別して測定できます。
この方法も保険が適用されます。 初感染ではIgM陽性化がみられますが、再発時には抗体価の変化がとらえられないことが多いようです。
また、健康人でもHSV(単純ヘルペスウイルス)‐IgMが陽性になることがあるため、
IgM陽性のみでは初感染の証明ができず、誤診のもとにもなりかねません。
次回は保険適用外のHSV‐gG ELISA法についてお話する予定です。
(*1)感度:陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率
(*2)特異度:陰性のものを正しく陰性と判定する確率
(*3)IgM:細菌やウイルスに感染した時、最初に作られる抗体
(*4)IgG:免疫グロブリンの大半を占めており、感染時にはIgMの後に作られ、治癒後も一定の値をとるので、感染既往の有無判定材料になる。
ウイルス抗体検査(HSV抗体価)
前回まで<ウイルス抗原検査>の中で1.ウイルス分離培養
2.Tzanck test(ツァンク・テスト)
3.HSV(単純ヘルペスウイルス)特異抗原(蛍光抗体直接法)
4.イムノクロマト法
のお話をしてきました。
今回からは ウイルス抗体検査(HSV抗体価)についてお話をいたします。
ウイルス抗体検査は、ウイルスに対して血液中に生じた抗体の有無や量を調べる検査です。
血液検査であるため、病変の有無にかかわらず簡便に施行できます。
血清中の抗HSV抗体価を測定する方法として、
CF法(補体結合反応)、NT法(中和反応)、EIA法(酵素免疫測定法)などがあります。
ただし、感染の既往は証明できますが、病変部位のウイルス感染を直接証明する方法ではありません。 あくまでも、抗体価は診断の参考にとどめ、臨床症状による診断が必要です。 また、現在日本で行われている保険適用となっている検査法(CF法、NT法、EIA法)では、 HSV-1,HSV-2の型別判定はできません。
複数の検査がありますが、保険適用検査の場合、 「ウイルス抗体価を調べるために、同一検査について同ウイルスに対する複数の測定方法を 行った場合であっても、所定点数しか算定できない」 という制約があることに注意が必要です。
次回からはCF法、NT法、EIA法、gG ELISA法についてお話する予定です。
ウイルス抗原検査 4.イムノクロマト法
前回まで、<ウイルス抗原検査>の中で1.ウイルス分離培養
2.Tzanck test(ツァンク・テスト)
3.HSV(単純ヘルペスウイルス)特異抗原(蛍光抗体直接法)
について話をしてきましたが、
今回は4.イムノクロマト法 ついてお話をいたします。
この検査法はイムノクロマト法を測定原理とする検査法です。
イムノクロマト法は、妊娠診断やインフルエンザなどでも応用されています。
HSV迅速検出キットがあれば良く、検査に際し特殊な機器を必要としません。
病変部位を擦過した綿棒から容易な操作で、
10~15分程度と短時間で目視判定可能です。
HSV-1,HSV-2の型別判定はできませんが、ウイルス分離培養と同等の優れた検出感度であるとされています。陽性であれば臨床的にHSV感染症であると迅速に診断できます。
HSVを迅速に検出できる手段として、今後、臨床現場において十分使用可能であります。 本検査法は、今まで、性器ヘルペスなどの皮膚粘膜HSV感染症に対して保険適用ではありませんでしたが、今年の7月1日から保険が適用されるようになりました。
これからは臨床現場で大いに使用して、患者に恩恵を与えてほしいものです。
ウイルス抗原検査 3 HSV(単純ヘルペスウイルス)特異抗原(蛍光抗体直接法)
前回まで、<ウイルス抗原検査>の中で1.ウイルス分離培養
2.Tzanck Test(ツァンク・テスト)
について話をしてきましたが、今回は
3.HSV(単純ヘルペスウイルス)特異抗原(蛍光抗体直接法)についてお話をいたします。
この検査では、Tzanck test(ツァンク・テスト)と同じ方法で細胞をスライドグラスに固定し、抗HSV-1およびHSV-2モノクローナル抗体を反応させ、ウイルス抗原を検出します。
この検査は保険適用であり、患者への侵襲も小さく、病変のHSV感染を証明できる有用な検査法です。病変部位から採取した検体中のウイルス特異抗原を検出するためHSV-1、HSV-2およびVZV(帯状疱疹のウイルス)との鑑別も可能です。
日常診療ではモノクローナル抗体を用いて発色させ、蛍光顕微鏡で観察する蛍光抗体直接法が用いられています。低コストであり、医療機関内で施行できれば1時間以内で判定可能です。
ただし、手技には熟練を要し、水疱やビランがあれば陽性率が高くなりますが、
膿疱や痂皮の状態では検体の採取が難しく、陽性率が低くなります。
蛍光顕微鏡のない施設(医療機関)では検査研究所・会社に依頼することになり、時間がかかります。この場合も保険は適用されます。
現在のところ、保険適用で皮疹病変部位からウイルスの存在を証明でき、型判別までできるのはこの検査のみです。 型判別しておくことは、患者の経過観察には大切なことです。
1型であれば再発は少なく、2型であれば再発の頻度が多くなるからです。
水疱があれば是非、施行してほしい検査です。
抗原検査 <2.Tzanck test>
ウイルス抗原検査 【2.Tzanck test 】今回は何種類かあるウイルス抗原検査のなかでも
『2.Tzanck test(ツァンク・テスト)』についてお話いたします。
この検査は、病変部の水疱内容物をギムザ染色し、ウイルス性巨細胞を検出する検査法です。
眼科剪刃、スライドグラス、アセトンとギムザ染色液があれば簡単に実施でき、
5~10分程度で結果が得られます。
ただし、HSVとVZV(*1)では同様の細胞変性効果を示すため、両者の鑑別はできません。
また、水疱や新鮮なビラン(ただれ)から検体が採取できないと陽性率は低くなります。
(*1)VZV:帯状疱疹のウイルス
皮膚粘膜HSV感染症の診断法
皮膚粘膜HSV(単純ヘルペスウイルス)感染症の診断法には、様々なものがあります。臨床医は、各検査法の特徴についてよく理解し、これらの結果のみから診断するのではなく、 その結果を診断の一助として利用することが必要と考えます。
患者にとって「ヘルペス」という診断は、医師の想像を遥かに超える精神的負担や混乱を 招くものであり、検査の結果から容易に「ヘルペス」と診断し、ヘルペスで悩む患者を増やしてはなりません。
反対に、検査結果を過小評価し、不本意な感染を拡大させないよう留意することも忘れてはいけません。
ウイルス学的検査には抗原検査、抗体検査、遺伝子検査があります。 次回から、ウイルスの存在を直接証明できる抗原検査について、ご説明していきたいと思います。
『単純ヘルペスの鑑別診断について』
皮膚科領域の日常診療で遭遇する単純ヘルペスは、その多くが典型例であるため、 ウイルス学的検査を行わなくても、問診や臨床所見により診断は容易に行われます。しかし、他の疾患との鑑別を要する例や非典型例では、ウイルス学的検査が必要となることがあります。特に、免疫不全患者では深く大きい潰瘍を形成し、潰瘍周囲の炎症所見が乏しい非典型例があります。
しかしながら、日本では保健適用の検査が限られており、検査法によって感度(*1)・特異度(*2)が異なるため、これらを充分に把握した上で検査を実施することが重要となります。 単純ヘルペスと鑑別を要する疾患を次に示します。
◆ヘルペス性歯肉口内炎、口唇ヘルペスとの鑑別が必要な疾患 口腔カンジタ症、手足口病、ヘルパンギーナ、多形滲出性紅班、習慣性アフタ、 天疱瘡、帯状疱疹、伝染性膿痂疹、口唇炎、口角炎
◆性器ヘルペスとの鑑別が必要な疾患 帯状疱疹、ベーチェット病、梅毒、固定薬疹、鼡径(そけい)リンパ肉芽腫、 カンジタ症、急性HIV感染症、軟性下疳
◆カポジ水痘様発疹症との鑑別が必要な疾患 アトピー性皮膚炎の急性増悪(*3)、伝染性膿痂疹、自家感作性皮膚炎
次回から、この皮膚粘膜の単純ヘルペスウイルス感染症の検査法について、 専門的になりますが、順次お話しします。 それではご機嫌よう。
(*1)感度:陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率
(*2)特異度:陰性のものを正しく陰性と判定する確率
(*3)急性増悪(ぞうあく):落ち着いていた病状が急激に悪化すること。
性器ヘルペスの検査について
皮膚科の先生から性器ヘルペスの検査について、相談を受けました。 今回はその時の回答を基に、実際の性器ヘルペス鑑別診断について、お話しましょう。性器ヘルペス、口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎などの形態をとる皮膚および粘膜の単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)感染症は、皮膚科領域の日常診療でよく遭遇する疾患です。
こうしたHSV感染症の診断には、典型的な症状に対する理解、適切な問診と視診を中心とする診察が不可欠です。
典型例においても確定診断には検査が望ましいのですが、日常診療においてしばしば遭遇する非典型的な症例の場合にも、適切な検査を選択する必要があります。
HSV感染症の診断法には、ウイルスを直接証明する抗原検査と、血清抗体の上昇によって診断する抗体検査とがあります。
血清を用いた抗HSV抗体価の測定は、日常診療において比較的施行しやすい検査の一つですが、病変のウイルスの存在を証明することは難しく、また、検査結果の判読には各検査手法の特徴をよく理解することが必要です。
一方、病変からの検体を用いた検査ではTzanck試験、蛍光抗体直接法によるウイルス抗原検査、ウイルス分離培養およびシェルバイアル法、核酸増幅法等があげられます。
核酸増幅法の中でもLAMP法は感度(*1)および特異度(*2)が高く、簡便かつ迅速に結果が得られる長所があります。
さらに、近年イムノクロマト法を用いた非常に簡便な迅速検査キットがHSV感染症でも使用可能になっています。
(*1)感度:陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率
(*2)特異度:陰性のものを正しく陰性と判定する確率
「性器ヘルペス 日常診療における鑑別診断の実際」
「性器ヘルペス 日常診療における鑑別診断の実際」皮膚科の先生から性器ヘルペスの検査について相談を受けました。 以下がその内容です。
性器ヘルペス、口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎などの形態をとる皮膚および 粘膜の単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)感染症は皮膚科領域の日常診療でよく遭遇疾患です。
こうしたHSV感染症の診断には典型的な症状に対する理解、適切な問診と視診を中心とする診察が不可欠です。
典型例においても確定診断には検査が望ましいが、日常診療においても非典型的な症例に遭遇することがしばしばあり、この場合にも適切な検査を選択する必要があります。
血清を用いた抗HSV抗体価の測定は、日常診療において比較的施行しやすい検査の一つですが、病変のウイルスの存在を証明することは難しく、また、その判読には各々の手法の特徴をよく理解することが必要です。
一方、病変からの検体を用いた検査ではTzanck試験、蛍光抗体直接法によるウイルス抗原検査、ウイルス分離培養 およびシェルバイアル法、核酸増幅法等があげられます。
核酸増幅法の中でもLAMP法は感度および特異度が高く、簡便かつ迅速に結果が得られる長所があります。さらに、近年イムノクロマト法を用いた非常に簡便な迅速検査キットがHSV感染症でも使用可能になっています。
女性性器ヘルペスで尿失禁 お漏らし
女性性器ヘルペスで尿失禁お漏らし
最近、30代前半の女性が性器ヘルペスの初感染で受診してきました。
来院時、37.8℃の発熱、鼠径リンパ節有痛性腫脹、歩行障害、膀胱炎症状を認めました。
さらに外性器の局所症状として、両側の大・小陰唇、腟前庭に多数の水疱、びらんを認めました。
そこで抗ウイルス剤の内服薬としてバルトレックスを投与し、外陰部の粘膜を保護する意味で消炎用軟膏を投与しました。
その帰り道、彼女に、あるアクシデントが起きました。彼女は自分のマンションのエレベーターに乗り、7階に向かいました。
その途中、履いていたジーパンが何か濡れていることに気づきました。
さらにショックなことにエレベーターの床も濡れていました。
直ぐに自分の尿で濡れたことが、分かったのです。
幸いなことにエレベーターには、他に誰もいなかったので、急いで、エレベーターの床の清掃を行い、恥をかかずに事なきを得ました。
この現象は尿失禁です。患者本人が気づかない内に生じた尿のお漏らしです。
性器ヘルペスでの、この現象は私が知る限り、文献や資料などには記載されていません。
私は単純ヘルペスウィルスが上行性に仙骨神経根に直接進展し、限局性の髄膜脊髄炎が起き尿失禁を呈したと考えました。
一般には、女性の性器ヘルペスの初感染時にあらわれるElsberg syndromeでは排尿障害を起こします。
この病気は、馬尾症候群を呈する進行性炎症性多発神経根炎です。
尿意を感じない神経因性膀胱となり、カテーテルの挿入が必要となる場合もあります。
単純ヘルペスウィルスが上行性に仙骨神経根に直接進展し、限局性の髄膜脊髄炎が起き排尿障害などを生じます。
この女性の場合、原因(病態生理)は分かりませんが、尿失禁としてあらわれたものと考えられます。
少し難しいですね。
こんなこともあるんですね。
*馬尾症候群
脊髄の一番下から下に向かって、神経の束が伸びています。この束は、下方のいくつかの椎骨を通って、仙骨(脊椎の根元にある骨)の上まで達しています。この神経の束は、馬の尾に似た形をしているため、馬尾と呼ばれています。馬尾神経が、椎間板の破裂やヘルニア、腫瘍、膿瘍、外傷による損傷、炎症(強直性脊椎炎など)による腫れなどによって圧迫されることがあり、それによって現れる症状を、馬尾症候群といいます。
性器ヘルペスを家族やパートナーにうつさないための注意点
「性器ヘルペスを家族やパートナーにうつさないための注意点」尾上泰彦20代後半の女性から相談を受けました。
「先生、性器ヘルペスを家族やパートナーにうつさないための注意点を教えて下さい」
ということで、今回は「うつさないための注意点」についてお話します。
1.患部に触った後は石鹸で手をきれいに洗いましょう。
2.バスタオルは共用しないようにしましょう。なお、洗濯・乾燥により単純ヘルペスウイルスは除去できます。
性器ヘルペスの方が入ったお風呂に浸かっても、ウイルスに感染することはまずありません。
3.お尻に症状が出ている時は、ウイルスが便座に付くことがあるので、お尻が直接便座に触れないようにするか、使用後はエタノールで消毒するとよいでしょう。
4.GHの症状が出ている間は、セックスは控えましょう。
口唇ヘルペスの症状が出ている間は、キス・オーラルセックスは控えましょう。
症状が出ていない時に、セックスをする際はコンドームを使用しましょう。
感染のリスクを下げることができます。
以上です。
ご機嫌よう!
マルホ株式会社のMR教育の所内講演会が開催され「性器ヘスペス」についてお話しをしました。
マルホ株式会社のMR教育の所内講演会が開催され、私が「性器ヘスペス」についてお話しをしました。 ≪マルホ株式会社 所内講演会≫ 日程 平成25年5月23日(木) 場所 スポーツ医科学センター(日産スタジアム内) 講演 宮本町中央診療所 院長 尾上 泰彦先生 演題 「性器ヘルペス 臨床の最前線」 主催 マルホ株式会社 MR対象の講演会です。 講演終了後、MRの方から講演内容の専門用語で「MSM」、「CSW」とは何の略かという質問が出ました。 MSM:男性同性愛者( Men who have sex with men ) CSW:性風俗産業従事者 (Commercial sex workers) 今回はここでMRについて勉強いたしましょう。 Wikipedia:ウィキペディアによりますと以下のようです。 医薬情報担当者(medical representative:MR)とは、医薬品の適正使用のため医療従事者を訪問すること等により、医薬品の品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達を主な業務として行う者のことを指します。 多くのMRは製薬会社に所属し、自社の医療用医薬品情報を医師をはじめとする医療従事者に提供し、副作用情報を収集することを主な業務としています。かつてはプロパー(宣伝者という意味)と呼ばれていました。 MRは、医師・薬剤師に対して、薬の適正使用情報や副作用情報、海外での処方例や新薬の宣伝活動などを行う製薬業界での営業職にあたります。 ただし、他業界の営業職とは異なり、営業活動の中心は製品の販売促進ではなく、薬の情報提供・情報収集活動にあります。 MRには、高い倫理観に基づき、患者の立場から「薬物治療のパートナー」として、医療従事者と共に医療の一端を担い、 社会に貢献することにあることが求められています。性器ヘルペスと口唇ヘルペスの関係は?
30代の男性からヘルペスについて質問がありました。
「先生、性器ヘルペスと口唇ヘルペスの関係について教えてください」
それでは、今回は性器ヘルペスと口唇ヘルペスの関係について勉強しましょう。 単純疱疹(単純ヘルペスともいいます)の原因は単純ヘルペスウイルスです。 単純ヘルペスウイルスには1型と2型があり、どちらの型でも性器ヘルペスになりえます。 しかし、性器ヘルペの再発は主に2型が原因となります。 なぜなら、これらのウイルスは感染後、潜伏する場所が異なり、 1型は主に頭部にある神経(三叉神経節)、2型は主にお尻のあたりにある 神経(腰仙髄神経節)に潜伏します。 症状は潜伏した神経の近くに出やすいため、1型は口唇ヘルペス(くちびるやその周りに、 痛みを伴う水ぶくれができる病気)、2型は性器ヘルペスとして再発しやすくなります。 性器ヘルペスの症状が出ている時にセックスをすると、 パートナーが性器ヘルペスになる可能性があります。 また、口唇ヘルペスの症状が出ている時にオーラルセックスをしても、 パートナーが性器ヘルペスになる可能性があります。 さらに、口唇ヘルペスの症状が出ている時にキスやほおずりをすると、パートナー が口唇ヘルペスになる可能性があります。 その理由は口唇ヘルペスの症状が出ている時は、 口腔内の唾液の中に単純ヘルペスウイルスが多量に排泄されているからです。 少しむつかしかったですか! 「ありがとうございました」
抗ヘルペスウイルス薬を服用しているときに授乳してもよいですか?
産後、3ヵ月になる30代の女性から相談がありました。
「先生、性器ヘルペスが再発してしまい、抗ヘルペスウイルス薬を服用していますが、授乳してもよいでしょうか?」
『『そうですね、母乳のメリットを考える、母乳を与えたいという気持ちや考え方は、よく分かります。 でも、抗ヘルペスウイルス薬は母乳中に移行することが報告されていますから、 抗ヘルペスウイルス薬を服用中の授乳は避けましょう』 「わかりました。ありがとうございます」 『早く、性器ヘルペスを治しましょう』
性器ヘルペスに感染していますが、母乳を与えてもよいですか?
産後の30代前半の女性から相談がありました。
「先生、性器ヘルペスに感染していますが、母乳を与えてもかまいませんか?」
『そうですね、この質問は大変難しい問題ですね。母乳により単純ヘルペスウイルスに感染したという報告はあることはありますが、 母乳感染の可能性はきわめて低く、授乳しても問題ないと考えられています。 また母乳のメリットを考える、母乳を与えた方がよいとも考えられます。 ただし、乳頭や乳房にヘルペスの皮膚症状がある場合には 新生児への感染の可能性が高くなるので、授乳は避けましょうね』 「ありがとうございます」 『赤ちゃんが健やかに育つことをお祈りいたします』
妊娠中のセックスについて
30代の女性から相談がありました。
「先生、もう一つ教えてください。妊娠中にセックスをしてもかまいませんか?」
『セックスをしてもかまいませんが、もし性器ヘルペスの症状が出ている時にセックスをすると パートナーに感染するリスクが高いため、症状の出ていない時にセックスをしましょう。 ただし、症状が出ていなくても体液にウイルスが含まれていることがあるため、 パートナーの感染を完全に防ぐことはできません。 できたら、コンドームを使用しましょう。 貴女の彼にも伝えてください。 貴女への感染を避けるため、妊娠後期のセックスは避けるようにしましょう。 また、口唇ヘルペスに感染している場合はキスやオーラル・セックスも避けましょう。 心配や不安がある場合は、専門医を受診して相談いたしましょう』 「先生! ありがとうございます。良くわかりました」 『それではご機嫌よう!』
妊娠中に再発した場合、どのような治療が行われますか?
30代の妊娠3カ月の女性から相談がありました。
「先生、妊娠中に性器ヘルペスが再発した場合、どんな治療をするのですか?」
『そうですね、基本的に妊娠中は、抗ヘルペスウイルス薬の塗り薬(外用薬)で経過観察いたします。 しかし、臨床症状が激しい場合、妊娠の時期、安全性などを総合的に判断し、飲み薬(内服薬)を使用することもあります。 また、妊娠中は規則正しい生活を心がけましょう』 「わかりました」 『健康な赤ちゃんに恵まれますようにお祈りいたします。それでは!』
性器ヘルペスになっても妊娠・出産はできますか?
20代後半の女性から相談がありました。
「先生教えてください。性器ヘルペスになっても妊娠・出産はできますか?」
『大丈夫ですよ。妊娠や出産はできますよ。
妊娠期間中に性器ヘルペスに初めて感染したり、再発したりしても赤ちゃんに感染することは、ほとんどありません。
ただし分娩時に性器ヘルペスの症状が出ている場合や、分娩の1か月前に初めて感染し、症状が出た場合などは、
自然分娩で出産すると赤ちゃんに感染することがあります。
そのような場合は帝王切開で赤ちゃんを取り出すことになるかもしれません。
運悪く、赤ちゃんに感染するとウイルス性脳炎などの重い症状を起こす恐れがあります。
詳しいことは、産婦人科の医師に相談しましょう。
しかし出産に関しては、障害をもった赤ちゃんが生まれることは、ほとんどありません』』
「ありがとうございます」
次回は、妊娠中のセックスについてのご相談です。
飲み薬と塗り薬はどう違うのですか?
20代の女性から性器ヘルペスのことで相談がありました。
「飲み薬と塗り薬はどう違うのですか?教えてください」
『良い質問ですね。性器ヘルペスは皮膚・粘膜の病気であるのと同時に、神経の病気でもあります。少し難しく言うと、性器ヘルペスは神経のウイルス感染症です。抗ヘルペスウイルス薬の塗り薬では、神経にまでお薬を効かせることはできません。ですから、主に飲み薬や点滴が使用されます。
また、水ぶくれや潰瘍(タダレ)などの病変が尿道内、子宮腟部、子宮頸部、肛門周囲、お尻などに生じる場合や、病変の大きさが針の穴(ピンホール)くらいのこともあるので、塗り薬は治療に適していません。
そう言う訳で、飲み薬や注射薬でなければ性器ヘルペスの治療はできません。外陰部またはその周辺の皮膚・粘膜に症状が出た場合は、専門医を受診して相談いたしましょう』
「先生!良くわかりました」
それではご機嫌よう!
性器ヘルペスは完治しますか?
20代の女性から性器ヘルペスのことで相談がありました。
「先生、私は時々、性器ヘルペスになりますが、性器ヘルペスは完治しますか?」
『それは難しいお尋ねですね。単純ヘルペスウイルスは、一度感染すると生涯にわたって腰仙髄神経節に潜伏します。
現在のところ、体内に潜伏中の単純ヘルペスウイルスを死滅させるお薬はないので、再発の可能性を完全になくすことはできません。しかし、再発抑制療法などで再発しにくくすることはできますので、再発を頻繁に繰り返す方は専門医に相談してみましょう。再発抑制療法は、年間に6回以上再発する方に保険適用されています。再発を繰り返すと、パートナーに移す心配、結婚、出産などの悩みが出てきてQOLが著しく低下します。最後にプライバシーは守られますから、何も恥ずかしくありません。安心して診察を受けましょう。
そして心に平和を勝ち取りましょう』
それではご機嫌よう!
パートナーや私の家族もヘルペスの検査を受けた方が良いですか?
20代の女性から性器ヘルペスのことで相談がありました。
「先生、私は時々、性器ヘルペスになりますが、パートナーや私の家族もヘルペスの検査を受けた方がいいでしょうか?」
『そうですか。それはご心配ですね。もし、パートナーや家族の外陰部や口唇またはその周辺に皮膚・粘膜に症状が出た場合には、専門医を受診して検査を受け方がよろしいでしょう。症状が出ていないのでしたら、そのまま様子を見てもよろしいと考えます。また、パートナーや家族に感染したかどうか不安な場合は、専門医を受診して相談し安心いたしましょう。最後にプライバシーは守られますから、何も恥ずかしくありません。安心して診察を受けましょう。そして心に平和を勝ち取りましょう』
それではご機嫌よう!
性器ヘルペスはどのような診察を受けるのですか?
20代の女性から性器ヘルペスのことで相談がありました。
「先生!性器ヘルペスはどのような診察を受けるのですか?具体的に診察の流れ教えてください。」
『そうですね!性器ヘルペスの診察は先ず問診です。医師が患者さんに病気の原因や経過について聞き取りをします。自覚症状として発熱、鼠蹊部リンパ節の痛みのある腫れ、膀胱炎症状、があるかどうか。排尿状態(尿閉:尿がでなくなる。尿失禁:尿のお漏らし)、歩行障害などについても聞きます。
また、局所に痛み、痒み違和感、不快感があるかどうかも聞きます。
次に大事な診察です。体温を測定し、鼠蹊部のリンパ節を触診します。いよいよ性器の視診です。検診台に乗り視診を受けます。貴女の将来がこれで決まるかもしれません。
しっかりと診察を受けましょう。貴女が恥ずかしがっていると、医師も正しい診察ができず、正確な診断ができなくなります。
また、貴女の協力があれば診察は早く終わります。
性器やその周辺、あるいはお尻などに、皮膚・粘膜症状として特徴的な丘疹、紅斑、水疱、膿疱、痂疲があるかどうかを診察します。専門医であれば、これで大半は診断ができます。
もし病変が見つかれば、見せてもらうことも可能です。
積極的に自分の病気の患部を見せてもらい、納得して治療を受けることをお勧めいたします。
また症状のよく似た他の病気と鑑別するために、患部から検体を採取して詳しい検査をすることもあります。
場合によっては血液検査をすることもあります。
お分かりになりましたか?貴女のプライバシーは守られますから、何も恥ずかしくありません。
安心して診察を受けましょう』
この診察で彼女は幸せになれるかもしれませんね。
それではご機嫌よう!
性器ヘルペスかも?でも受診したくない!
20代の女性から性器ヘルペスのことである朝、電話相談がありました。
「先生!性器ヘルペスになったかもしれませんが、誰にも知られたくありません。ですから病院に行きたくありません。」
『そうですね!貴女の気持ちは良くわかります。でも医師には守秘義務がありますから、貴方の病気について無断で誰かに話すことは絶対にありませんよ。先ず、医師の診察を受け適切に治療することで、症状を軽くし、早く治すことができます。
性器ヘルペスは初期の段階で早く治療することが、とても大切です。治療が遅れてしまうと貴方の将来に影響してきますよ。
また、心配をずっと抱えていることは精神衛生上好ましいことではありません。ですから積極的に病院を受診いたしましょう』
「先生、わかりました。今日診てください。よろしくお願いいたします。」
『お待ちしています!』
これで彼女は幸せになれるかもしれませんね。
それではご機嫌よう!
性器ヘルペス 臨床の最前線(その6)
鑑別すべき疾患として a.帯状疱疹、b.薬疹、c.毛嚢炎、d.ベーチェット病、e.梅毒(硬性下疳)、f.軟性下疳、を紹介しました。
- 現在、臨床医が行っている、主に問診・視診のみでの性器ヘルペスの診断にはあきらかに限界があります。
- 適正な病原診断に基づく性器ヘルペスの臨床的管理という理想像にはほど遠い現状です。
- 現在、健康保険で使用可能なものは、蛍光抗体法と抗体測定法だけです。
- 正確・迅速で感度・特異性がよい診断法の早期保険適応が望まれます。
- 性器ヘルペスは再発との戦いです。それをサポートするのがドクターです。
患者と医師の共同作業です。
性器ヘルペス 臨床の最前線(その5)
- Episodic treatmennt:発症後に抗ウイルス薬を投与する
保険適応です。 - Patient-initiated treatment:前駆症状が出現した場合にすぐ抗ウイルス薬を投与する。保険適応なし。
- Suppressive treatment:再発抑制療法
抗ウイルス薬を継続的に内服します。ただしシバリがあります。
- 健常人においては、
バラシクロビル:1回 500mg、1日1回 約1年間内服します。 - 抑制療法中に再発が認められた場合
バラシクロビル:1回 500mg、1日2回投与・5日間に変更します。治癒後は必要に応じ バラシクロビル:1回 500mg、1日1回投与の再開を考慮します。
性器ヘルペス 臨床の最前線(その4)
念のため、外来で処方する外用薬のメリットとデメリットについて紹介いたします。
それに比して内服薬は表皮基底層の有効成分濃度が高く保たれます。
また性器ヘルペスは病変部以外にもウイルス排泄があり、他への蔓延の可能性があります。ピンホールの様な小さな病変もあります。ですから、性器ヘルペスの治療は内服薬が必要となります。
残念ながら日本では外用薬が多く使用されています。外用薬のみを処方する医師が約40%いるとされています。臨床医は性器ヘルペス=皮膚疾患という概念が一般的で、神経のウイルス感染症という概念が希薄です。
それでは、次回は『実際の治療』についてお話します。
性器ヘルペス 臨床の最前線(その3)
再発は性感染症ではありません。何らかのストレスで発症します。ただし発症すると、パートナーにとっては性感染症になり得ます。このことを、はっきりと認識してほしいと思います。
性器ヘルペス 臨床の最前線(その2)
今回は、性器ヘルペスの『3.診断・検査』についてお話します。
- ウイルス分離培養(ゴールドスタンダードといわれ特異性が高く、型判定が可能です)
- 核酸増幅法[PCR法](特異性が高く型判定が可能です)
- 抗原検査[蛍光抗体法](特異性高く型判定が可能です)
- Tzanck試験(外来で迅速簡便に検査が可能で、ウイルス巨細胞を認めればウイルス性疾患[HSVorVZV]として診断が可能です)
- 血清抗体検査(臨床的意義が低いとされ型判定もできません)
しかしながら保険適応されているのは抗原検査[蛍光抗体法]と血清抗体検査のみです。
また、性器ヘルペスの診断にはHSV(単純ヘルペスウイルス)の型判定が有用です。
その理由として下記のa.b.c.があります。
従って、HSVの型を調べておくことは、その後の治療戦略を大きく左右いたします。経過観察には非常に重要となります。
そこで、イムノクロマト法を測定原理とする新しい単純ヘルペスウイルス抗原検出キットの基礎的・臨床的性能を評価し、その有用性を検討しました。
またPURE/LAMP法は、HSV-1およびHSV-2の検出および型判定に関して、従来のLAMP法およびPCR法と同等以上の感度、特異度が期待されています。
この高い感度、特異度を有するPURE/LAMP法は,臨床的にHSVの迅速検査法として普及と保険適応が早期に望まれる検査方法です。
次回は『4.臨床例の実際』についてお話します。
性器ヘルペス 臨床の最前線(その1)
私は今回、この学会でアルフレッサ ファーマ株式会社によるランチョンセミナーの講演依頼をされました。ランチョンセミナーの要領は下記の如くです。
プレゼンテーションの内容は
- 性器ヘルペスの特徴
- 発症のメカニズム
- 診断・検査
- 臨床例の実際 初感染例 再発例
- 治療
- 鑑別診断
- 比較的多い性感染症です。
- HSV 1型または2型の感染によります。
- 初感染時、約70%の症例で無症状に経過します。
- 初感染は症状が激しく、再発では症状は軽くなります。
- 初感染後1年までは、無症候性にウイルス排泄が多く認められます。
- 初感染者のパートナーの約75%は罹患していることに気付いていません。
- 受診してくる患者は再発例が約95%とかなり多く、初感染例は少ない。
日本感染症学会 長良川国際会議場にて 国立感染研の山岸先生と共に
座長の早川謙一先生と共に
泌尿器科医からの性器ヘルペスの質問
ある泌尿器科医から性器ヘルペス(GH)についての質問・相談がありました。
<質問>
私は口唇ヘルペスと性器ヘルペス、HSV-1型とHSV-2型の両方に感染した人は診たことがありません。
もちろん、同時期の感染の経験も無いし、時期別での感染の経験もありません。
1型の人は2型に免疫、またその逆もありますか?
ただ私が知らないだけでしたら教えて下さい。
これまでの臨床経験では、口唇ヘルペスと性器ヘルペスの両方に感染したことのある患者をみたことがないのです。よろしくご教示ください。
<回答>
少し専門的になりますが、以下の4項目について、勉強していただけたらと思います。
- HSV-1およびHSV-2のウイルスに感染する例は稀ではありません。
- 同時期に感染するケースは稀ではあろうが理論的にはありえます。
- HSV-1に既感染の人が、HSV-2に感染することは十分あります。
ただし、多少は免疫の効果があるでしょう。その場合、症状は穏やかになりやすいと考えられます。 - HSV-2に既感染の個体はHSV-1に感染しにくいと考えられています。
但しありえないわけではありません。実際HSV gG-ELISAの採血をして、HSV-1,HSV-2ともに陽性の患者をよくみますので、 両方に感染している患者はいくらでもいると考えられます。
単純ヘルペスウイルス(HSV)迅速検査キットの開発(後編)
前回は、私たちの「ヘルペス研究グループ」で、開発した、迅速検査キットについてのお話を致しました。今週もその続きを説明致しますね。
現在、性器ヘルペスの診断に際しては、問診と視診に頼るところが大きいと思われます。
と言うことは、医師としての臨床経験に頼ることとなり、どうしても誤診が避けられません。
また単純ヘルペスウイルス(HSV)の抗原検査は、ウイルス分離と、唯一保険適応である蛍光抗体法(FA)がありますが、特異性はあるものの複雑な操作を必要とし、感度も約50%程度と低いことが知られています。
最近は感度が鋭敏な核酸診断法としてreal time PCR法やLAMP法もありますが、コスト面や特殊な機器を必要とするため一般的には普及していません。
臨床現場で効率よく診断するためには、複雑な操作や機器を必要としないこと、判定時間が短いことが条件となります。近年、迅速抗原検査としてイムノクロマト法を測定原理とする簡便なキット化された試薬が数多く発売され、臨床最前線で活用されています。
一般感染症領域ではインフルエンザウイルス、アデノウイルスなどに対する迅速検査があり、インフルエンザに関しては、年間1500万件以上の検査が実施されています。
性感染症領域でもHIV抗原・抗体やクラミジア抗原検出キットが一般的に普及してきています。このことからイムノクロマト法による迅速診断法は、臨床の現場において標準的病原診断法と位置づけられています。
性器ヘルペスは一般外来でかなり多く見られる疾患ですが、中には重症化する症例もあり、迅速な診断による早期治療開始が望ましいと考えられます。
また、非典型的症例も多く、正確な診断をすることで誤診による無駄な投薬治療を防いだり、HSVについての適切なカウンセリングを施行し、疾患に対する理解や他人への感染予防指導に努めることは非常に重要であります。
この新しいHSV迅速検出キットは、イムノクロマト法を原理として開発され、検査に際し、特殊な機器を必要とせず病変部を擦過した綿棒から、容易な操作で約10分程度と短時間で目視判定ができます。
また、ウイルス分離法と同等の優れた検出感度を有していることより、今後臨床現場において十分使用可能であることが示唆されました。
尚、この検査キットは2011年度に厚生労働省において体外診断薬として認可されており、現在保険申請中であります。申請が通りますと、保険適応が可能になります。多くの性器ヘルペス患者の診断に寄与できれば幸いです。
単純ヘルペスウイルス(HSV)迅速検査キットの開発(前編)
今回は、少し専門的になりますが、私たちの「ヘルペス研究グループ」で開発いたしました検査キットのお話しをしたいと思います。
『単純ヘルペスウイルス(HSV)迅速検査キットの開発』についてご報告いたします。
(2012年5月報告)
単純ヘルペスウイルス1型、2型(HSV-1、HSV‐2)を原因とする性器ヘルペス、口唇ヘルペスなどのHSV感染症は、よく見られる疾患です。
しかし、鑑別を必要とする疾患も多く、我々臨床医は診断に際し苦慮することもしばしばあります。性器ヘルペスの診断を確定させるには、HSV抗原があることを証明することですが、現在、迅速な方法がないため、そのほとんどは、問診と臨床所見(視診)で診断されており、臨床現場では、HSV抗原の証明による確定診断はあまり行われていないのが実状です。
一般外来では、症状が重く所見が明らかな初感染、初発例よりも症状が軽く、局所所見ではあまりわからないHSV2型を中心とした再発例が多く、臨床所見だけでは診断は不十分で、実際は多くの見逃し症例があることも問題視されています。
また、再発例には、異常はあるものの、その約60%は自分がヘルペス患者と認識していないと考えられています。
このような症例には、病変部位にウイルスが存在していることを証明し、正確な診断をすることにより、患者にヘルペスに関する情報を提供でき、今後の再発時の対処や他人への感染予防なども指導できます。このことは非常に重要と考えられます。
さて最近、感染症の臨床現場においては、インフルエンザ感染症やHIV感染症に代表されるように迅速抗原検査として、イムノクロマト法を測定原理とした簡便なキット化された試薬が数多く開発され、一般外来に普及してきています。
そこで、今回私達はイムノクロマト法を測定原理とした新しいHSV迅速検出キットを開発いたしました。
このキットの特徴は、特殊な機器を必要とせず、簡便な操作で、約10分程度でHSV抗原の有無を目視できることです。
このキットの基礎的また予備的臨床性能評価は、すでに専門学会にて発表し、また専門学会誌にも報告しています。
次回は、この検出キットのことをもう少し詳しくお話いたします。
ヘルペスの相談
女性からヘルペスについて相談がありました。
【相談者】
40代後半の未婚の女性で、10代の男の子が一人います。
【相談内容】
ヘルペスと口唇ヘルペスは違いますか?
最近、インフルエンザにかかり、同時に口唇ヘルペスを発症してしまいました。
口唇ヘルペスはキス等で感染するのは知っていますが、陰部への感染はするのですか?
教えてください。
【回答】
ヘルペスと口唇ヘルペスは違いますよ。
ヘルペスは日本語では「単純性疱疹」と言って、身体のどこにでもできます。
その原因は単純性疱疹ウイルス(1型あるいは2型)です。
口唇ヘルペスは原因は同じウイルスですが、発症する部位が口唇とその周辺にできた場合を口唇ヘルペスといいます。
いずれも水疱ができる皮膚・粘膜の病気です。
口唇ヘルペスは「風邪の華」とか「熱の華」とかと言われおり、体調が悪いときに発症します。
多くは口の周囲に水疱ができ、痛みや痒みを訴える場合もあります。
貴方もその例にもれず、インフルエンザにかかり、体調不良となり、口唇ヘルペスが発症したと理解すべきでしょう。
では誰から単純性疱疹ウイルス(1型あるいは2型)をもらったかというと、おそらく貴方が赤ちゃんの時に、貴方のパパあるいはママからチュチュされてもらったものでしょう。
ですから、愛情表現の表れとしてもらったものと考えられ、私はこれを「愛情ヘルペス」と言っています。
口唇ヘルペスは放置しておいても、良くなってしまいます。
しかし、ヘルペスウイルスが増えたままの状態で、顔面の三叉神経に眠ってしまいます(遺伝子の形で潜伏)。
そうしますと、何らかのストレスがあるたびにウイルスが目を覚まし、再発を繰り返すことにもなりかねません。
ですから、抗ウイルス薬を飲んでヘルペスウイルスの量を減らしておいた方がよろしいでしょう。
抗ウイルス薬を飲まないでいると、ヘルペスウイルスの量が増加し、再発を繰り返すことになります。
貴方が言うように、口腔内の唾液にヘルペスウイルスがいますから、キスだけでも感染いたします。
そして大事なことですが、口唇ヘルペスが発症しているときにオーラルセックスをすると、唾液の中にヘルペスウイルスが沢山いますから、パートナーの性器に感染する可能性が大です。
そうしますと“性器ヘルペス初感染”と言って、かなり激しい症状(水疱、ビラン、発熱、局所の痛み、膀胱炎症状、鼠径部リンパ節の有痛性腫脹など)が出てくるかもしれません。
最後に大切なことを言っておきます。ヘルペスは皮膚・粘膜に症状がでますが、皮膚・粘膜疾患ではなく、本体は“神経のウイルス感染”症です。お忘れなく。
ヘルペスの病態を理解するのは、かなり難しいですね。
理解できましたか。それではごきげんよう。
ヘルペスの治療に包茎手術?!
再度、同じドクターから“性器ヘルペス”の治療についてのご質問がありましたのでそのお話をいたします。
【相談】
先日はご教授ありがとうございました。 でもわたしはバルトレックスを何時も1週間を始めに出して終わりにしていました。 何も問題がないようでした。追加はしていません。外用はゲンタシンかリンデロンVGクリームを使っています。 包茎内に出来る人は包茎を手術した方が出来る頻度が減って、 出来ても軽く終わるという経験と考えを持っていますが、先生も同じ考えでしょうか?
宜しくお願いいたします。
【回答】
保険診療において、初感染(あるいは初発)の場合は投与期間は10日間まで投与可能です。ですから7日間はOKです。しかし、再発の場合は5日間が限度ですから、7日間投与は不適切です。 前回お話いたしましたが、外用薬は必ずしも必要ではありませんが、 病変部位(ビラン面、潰瘍面など)を消炎、保護する意味ではよろしいかと考えます。ゲンタシン軟膏でも良いと思います。
特にゲンタシン軟膏は細菌の二次感染を伴う場合あるいは二次感染を予防する意味では有効と考えます。 私は、基本的には、粘膜部、皮膚粘膜移行部にはリンデロンVG(ストロングタイプ)は使用しないようにしております。短期間であれば良いかもしれませんが、性器ヘルペスには用いない方がよろしいかと存じます。
性器ヘルペスと包茎の関係ですが、これについてはエビデンスがないので私にはわかりません。
性器ヘルペスの初感染は性感染症ですが、再発は何らかのストレスで発症してきますから本人にとっては性感症ではありません。しかも、性器ヘルペスは未治療(放置)でも皮膚粘膜症状は良くなりますから、 包茎の手術をした方が、再発頻度が減るか否かということはわかりかねます。
ですが、性器ヘルペスの再発は、同じ神経線維を伝わって、同じ個所(部位)に再発する傾向がありますから、再発する箇所がわかっていれば、その個所を含めた包皮を切除すれば再発頻度が減少するかもしれません。先生が言われるように包皮は再発部位としては最も頻度が高いと考えられますから、この包皮の部位を切除すれば臨床的意義はあるとも考えられます。
先生、いいご質問をいただきありがとうございました。
お元気で!
「性器ヘルペス」の治療は難しい
最近、あるドクターから“性器ヘルペス”の治療についてのご質問がありましたので、今回はそのお話をいたします。
【質問】
性器ヘルペスにバルトレックス内服薬1週間と外用、アラセナと出して大丈夫ですか?
外用薬はゲンタシンの方がよいですか? 保険チェックの話ですが、宜しく願います。
【回答】
性器ヘルペスの一般的治療(重症例を除く)についてお話しします。
<初感染の場合>
先ずバラシクロビル(バルトレックス):1回500㎎ 1日2回 5日間投与します。
その後、症状の改善がみられなければ、さらに5日間投与できます。
しかし保険上、総計10日間が限度です。
<再発の場合>
バラシクロビル(バルトレックス):1回500㎎ 1日2回 5日間投与できます。
しかし再発例の場合、保険のシバリ上この5日間のみの投与になります。
<外用薬について>
先ず、抗ウイルス薬の内服薬(バルトレックス)を投与した場合は、 抗ウイルス薬の外用薬(アラセナA軟膏)の同時投与はできません。現在の保険診療では不適切な治療となります。
しかし抗ウイルス薬の内服薬を投与していなければ「抗ウイルス薬の外用薬」の投与が可能です。 また、抗ウイルス薬の内服薬(バルトレックス)を投与した場合の併用外用薬は下記のものをお勧めいたします。 非ステロイド外用薬(コンベックス軟膏、アズノール軟膏、スタデルム軟膏、白色ワセリンなど)、ゲンタシン軟膏などです。
この外用薬の使用の意義は、病変部(ビラン、潰瘍、発赤など)の消炎、保護作用などにあると考えています。 抗ウイルス作用ではありません。
<性器ヘルペス再発抑制療法>
年間に6回以上の再発を繰り返す場合、患者本人が希望すれば 再発抑制療法を積極的に導入すべきです。患者さんのQOLが向上し、パートナーにも恩恵があると考えます。
<最後に>
性器ヘルペスは外陰部だけに発症するものではありません。 尿道内、子宮腟部、肛門部、臀部などにも発症いたします。 目に見えないところにもウイルスの排泄があります。ですから、外用薬(抗ウイルス薬)の使用は患者さんにはあまりメリットがありません。
ここで外用薬(抗ウイルス薬)の実験データをご紹介いたします。
外用薬(抗ウイルス薬)を皮膚粘膜に塗布しますと、表皮基底層の抗ウイルス薬濃度は塗布して1時間後に ピークを認めましたが、その濃度も内服薬投与時の2分の1以下です。
しかも3時間後には濃度は低下していました。ですから、外用薬(抗ウイルス薬)は継続して何回も塗布すれば効果は多少ありますが、あまり患者さんにはメリットが望めません。
つまり抗ウイルス薬の内服薬(バルトレックス)の服用をお勧めいたします。
2006年にはFDA(USA)から以下のような勧告がありました。
『性器ヘルペスには外用薬を使うな!』
つまり、性器ヘルペスは皮膚・粘膜症状の病気が本体ではなく、 神経のウイルス感染症と理解すべきです。ウイルスは性器に感染すると神経を伝って腰仙髄神経節に遺伝子として潜伏感染(冬眠)します。 そして何らかのストレスがあると腰仙髄神経節に遺伝子として潜伏感染(冬眠)していたウイルスが 目を覚まし神経を伝わって、皮膚・粘膜まで上行しそこで性器ヘルペスとしての”花”を咲かせます。
先生、ご質問ありがとうございました。
性器ヘルペスですか?!
私の友人(50代)の亀頭部に発疹ができ、相談を求められました。
【相談内容】
数週間前にペニスのカリの部分に痛みがあり、気が付いたらその部分が赤く若干ただれた感じでしたので、最初は毛切れか何かと思い抗生剤軟膏で経過をみていましたが、あまり改善いたしません。
痛み等はほとんどありませんが、若干、すれた時に痛み(痒み?)を感じる程度です。
恥ずかしながら御相談した次第です。しかしながら、今朝ほど患部を確認しましたら、隆起性所見(水疱)のようなものが観察できましたので、
念のため本日の写真(デジカメ)をお送り致しますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。
セックスパートナーはいますが、性風俗には何年も行っていません。
ヘルペスのようにも見えますし…
どのような病気が考えられるのでしょうか?
必要な検査はありますか?
治療法については?
恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
【回答】
ありがとうございます。
早速、「今朝の亀頭部のデジカメ写真」を拝見いたしました。
確かに亀頭冠の左に小水疱が一つとその傍にビラン(ただれ)を認めます。
またその周囲の粘膜に炎症性発赤を認めます。
この写真と患部の症状(軽い痛み、かゆみ)から診断しますと、考えられるのは貴方のご指摘のように性器ヘルペス
(単純性疱疹)の再発です。
今まで、性器ヘルペスを経験したことが無ければ、現在まで不顕性感染として症状(皮膚粘膜症状)が現れないで経過して
きたものと思われます。
腰仙骨神経節に遺伝子という形で潜伏(眠っていた)していたものが、何らかのストレスで目を覚まし神経線維を伝わって
皮膚粘膜症状(亀頭冠の粘膜)として現れたものでしょう。
感染しても約70%の症例で無症状に経過いたします。
このようなケースを性器ヘルペスの初発
(現在まで不顕性感染として経過したもの)といいます。
初感染ではありません。
初感染は性感染症ですが、初発は貴方にとっては性感染症ではありません。
が、パートナーにとっては性感染症になりえます。
患者さんの多くは再発例の方です。初感染で受診してくる患者さんは少ないです。
治療としてはバラシクロビル(バルトレックス)1回500mg、1日2回5日間服用してください。
外用薬は必要ありませんが、粘膜面の保護をするために、亀頭冠のビラン部に
非ステロイド系の軟膏(例:コンベック軟膏)を塗布しては如何でしょう。
粘膜症状が消失して約1週間ほどすればセックスはOKです。
また最初の「数週間前にペニスのカリの部分に痛みがあり、気が付いたらその部分が赤く若干ただれた感じでした」
については何であったのか分りません。
お役に立てればよいのですが。
貴方の大切な息子さん(ジュニア)の幸せをお祈りいたします。
単純ヘルペス特異抗原検査法とは?(後編)
性器ヘルペスの特異抗原検査の検体採取方法について、お届けしています。前回に引き続いて今回は、採取した検体の塗抹方法について説明いたします。
塗抹というのは、塗りつけること、塗布することを意味します。
① スライドグラスの2つのウェル(くぼみのある受け皿・直径約5mm大)に内側から円を描くように、こすらず、軽く叩くように塗抹します。
その際、綿棒に付着している検体すべてが塗抹されるよう、綿棒を少しずつ回転させ、ウェルからはみ出ないように塗抹する必要があります。
② 風乾:操作中検体が剥がれ落ちる原因となりますので、完全に乾燥させます。 ドライヤーの冷風で乾燥させることも可能です。
③ アセトン固定:検体の塗布してあるウェルにアセトンを滴下して固定し、蒸発させます。
以上で検体採取の作業は終了です。
あとは、検体がうまく採取できていれば成績報告が約5~7日後に出てきます。
この報告により、HSVの1型なのか2型なのかが判定できます。
このようにして、医師は検査をしているんですね。
お分かりいただけましたでしょうか?
単純ヘルペス特異抗原検査法とは?(前編)
今回は少し専門的になりますが、性器ヘルペスの水疱の病巣基底部から検体を採取し、性器ヘルペスの原因がHSVの1型なのか2型なのか
判定する検査法について具体的に勉強いたしましょう。
これは蛍光抗体法を用いて、型別判定を行う検査法です。
現在、性器ヘルペスの検査(単純ヘルペス特異抗原検査)の中で健康保険を適用でき、
かつ信頼できるものは、この検査法だけです。
水疱を認める状態で受診してきた場合にこの検査が可能です。
もちろんタダレ、ビランの状態でも検体採取は可能ですが、かなり検出率は低くなると思われます。
今回は、この単純ヘルペス特異抗原検査の検体採取方法について具体的にご説明することにいたします。
≪性器ヘルペスに水疱が形成している場合≫
①水疱に針を挿入し、上部の皮あるいは痂皮を剥がします。
②小ピンセットで、剥がした皮を除去します。
③ポリエステル綿棒を生理食塩水や精製水で軽く湿らせ、病巣基底部前面を綿棒で強くぬぐいます。
また、検体採取の注意点としては4つあります。
①早期の水疱病巣が検体としては最適です。
②水疱内容液は検体としては不適です。
③ウイルス感染細胞は病巣基底部にありますので、患者が痛いというくらい強くぬぐい、基底部の細胞を採取します。
④膿が出ている場合は、病巣基底部をかき乱さないように注意し、綿棒でまず膿をぬぐい去り、別の綿棒で検体を採取します。
次回は、検体の塗抹方法について説明します。
(注:塗抹=塗りつけること、塗布すること)
東日本大震災と再発するヘルペス(その2)
前回は、大震災以降、当院に口唇ヘルペスや性器ヘルペスの再発の方があきらかに増えていること。
またそれが大震災やその余震によるストレスが原因であることをお話ししました。
詳しくはバックナンバーをご覧ください。
ヘルペスの再発はさまざまなストレスをきっかけとして、皮膚・粘膜症状として表れます。
神経節で眠っていたウイルスが、何らかのストレスで目を覚まし増殖し、神経線維を通って皮膚・粘膜に水疱として表れるのです。
それでは、このようなヘルペスの再発にどのように対処したらよいのでしょうか。
再発型のヘルペスの治療法は、既に確立されています。
バルトレックスという抗ウイルス薬を服用すれば、早く症状が落ちついてきます。
この病気は神経のウイルス感染症ですから、外用薬(塗りくすり)では良くなりません。
もちろん、放置しておいても、そのうちに皮膚粘膜症状は落ちついてきますが、神経節にウイルスは残存しており、小さなストレスでも再発する傾向になります。
完全に治療するには、是非、内服薬を服用しヘルペスウイルスの量を減らしましょう。
内服薬のバルトレックスが有効であることを、ぜひ覚えておいてください。
専門医でなくても処方してもらえます。
被災された皆さんを、日本中、世界中が応援しています。
被災地の一刻も早い復興を心よりお祈りいたします。
東日本大震災と再発するヘルペス(その1)
去る2011年3月11日午後2時46分18秒の三陸沖を震源とした東北地方太平洋沖地震とともに東日本大震災は始まりました。
東北・関東は1000年に1度あるかないかの未曾有の地震と津波に襲われ、東北地方の沿岸の各地は瓦礫の地と化し甚大な被害をもたらしたことは、皆さんもご存知のことと思います。
加えて、それに伴う福島原発事故の発生、放射能や汚染水の被害等、今まで想像できなかった悪夢がまだ続いています。被災地の方々のことを考えると毎日、胸が痛みます。
この震災以降、気になっている現象があります。
それは、私の診療所に訪れる方の中に口唇ヘルペスや性器ヘルペスの再発の方があきらかに増えていることです。おそらく、他の医療機関でも同様な現象が見られていると思われます。
実はこの現象は、今回の大震災の影響の一つと考えられます。
たとえば、被災地ではいまだに、避難所等の劣悪な環境の中で生活をせざるを得ません。
また住みなれた地を離れ、関東地方などに移られた方も多いと思います。
慣れない地に疎開、避難されている皆さんも、さぞかしつらい日々を送られてことでしょう。
また、東北地方はもちろん、関東地方に住んでいる我々も、たび重なる大きな地震・余震を毎日のように経験しています。
私自身も“地震酔い症候群”のような症状に悩まされています。
これらは大変、大きなストレスです。
このストレスがヘルペス再発の原因であると考えられます。
当院のある都会でも増えているわけですから、東北の被災地ではヘルペスの再発が確実に増加していると考えられます。
ではストレスとヘルペス再発にはどんな関係があるのか、また、ヘルペスの治療法とはどんなものなのか?
これについては次回お話しすることにしましょう。
これって帯状疱疹?性器ヘルペス?その2
前回は20代後半の元保母さんの女性が、帯状疱疹の症状を訴えて受診してきたという
お話をしました。詳しくはバックナンバーをご覧ください。
前回書きましたように、帯状疱疹は体の中に眠っていた水痘・帯状疱疹ウイルスが、
疲れたり、他の病気で身体が弱ったりした時に活性化しておこるものです。
ただ、体の状態だけでなく、発症しやすい年齢というのもあります。
初めて“水ぼうそう”にかかった時に作られる「免疫記憶細胞」は、
一般にその効力は20年位で弱まります。
しかし、子育てなどで子供の“水ぼうそう”に接すると
「免疫記憶細胞」の働きが戻ってきます。
ですから、一般的には「免疫記憶細胞」の効力が弱まり、まわりにも水ぼうそう患者が
少なくなる、20歳代、または子育てを終えてしばらくたった50歳代のころが
帯状疱疹にかかりやすくなります。
この女性は4年前に保母さんをやめたので、子供に接する機会がなくなり、
「免疫記憶細胞」の効力が弱まって発症したのかもしれません。
普通は一生涯に一度しかかかりません。比較的高齢者に多い病気ですから、
これからさらに高齢化が進めばますます帯状疱疹が増加することが考えられます。
また、あとに痛みが残る「帯状疱疹後神経痛」は約3%の発生率ですが、
無理をすると重症化して、若い人でも神経痛が残る場合もあります。
さらに、帯状疱疹は身体のどこにでもできますから、
外陰部周辺にできると「性器ヘルペス」に感染したと間違えることもあります。
症状があったら、早めにかかりつけの医師に相談しましょう。
それではごきげんよう!
これって帯状疱疹?性器ヘルペス?その1
まだ寒さの残る先月、28歳の未婚女性が受診してきました。
4年前まで保母さんをしていたとのことですが、現在はフリーター。
受診理由を聞くと、2日前から右の胸がピリピリ、チクチクするということでした。
早速診察をしてみると、確かに右の胸に帯状に腫れた赤い斑点ができ、
一部は水疱(水ぶくれ)になっています。
専門医が診れば直ぐに臨床診断がつく、「帯状疱疹」の症状です。
このブログをお読みの方の中でも帯状疱疹を発症された方がいらっしゃるかもしれません。
帯状疱疹の症状が表れる原因は、患者さんの子供の頃に遡ります。
多くの方は、子供の時に“水ぼうそう”にかかった事があると思います。
水ぼうそうになると、治ったあとも水ぼうそうウイルス
(水痘・帯状疱疹ウイルス=varicella-zoster virus:VZV)が神経の中で眠っています。
そして、年をとったり、疲れたり、他の病気で身体が弱ったりすると、
ウイルスが目を覚まし、活性化して帯状疱疹を引き起こします。
つまり、帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスによる感染症なのです。
知覚神経の分布領域に沿って、片側性そして帯状に皮疹を生じ、
神経痛様の疼痛を伴うことが特徴です。
では、帯状疱疹は、どんな人がかかりやすいのでしょうか?
これについては次回お話ししましょう。
性器ヘルペスは皮膚病ではない?!(その3)
過去2回にわたって、性器ヘルペスの特徴とその治療法についてお話ししてきました。
皮膚・粘膜だけの病気ではなく、ウイルスが神経細胞内でも増殖する“神経の感染症”である性器ヘルペスには外用薬を用いるだけでは不十分だと、みなさんにもお分かり頂けたかと思います。
詳しくはバックナンバーをご覧ください。
しかし、現在、日本では性器ヘルペスの治療における内服薬の重要性については、臨床医の認識が足りず、外用薬が多く使用されています。
実際、外用薬のみを処方する医師が約40%いるとされています。
残念ながら性器ヘルペス イコール 皮膚疾患という概念が一般的になっており、性器ヘルペスは“ウイルス感染症”である概念が希薄です。
性器ヘルペスの再発時に抗ウイルス薬を服用し、ウイルス量を減らしておかないと、ウイルス量が増えたまま神経節で眠ってしまいます。
そうすると、何らかのわずかなストレスで再発を繰り返す傾向になります。
ウイルス量を減らし、再活性化を抑えることが治療には必要です。
この治療により、HSVに感染していないパートナーへの伝播を減少させることにつながります。
ですから、性器ヘルペスの再発時には是非、内服薬を、お飲みになってください。
性器ヘルペスは皮膚病ではない?!(その2)
前回、性器ヘルペスは皮膚・粘膜だけの病気ではなく、ウイルスが神経細胞内でも増殖する“神経の感染症”なので、皮膚・粘膜にある病変を抑えるだけでは、治療効果は十分ではないというお話をしました。
性器ヘルペスの治療には内服薬の使用が効果的です。
内服薬は外用薬に比べて、表皮基底層の有効成分が高く保たれます。
ヒトの皮膚モデルを用いた抗ウイルス薬の試験測定値では、表皮基底層の抗ウイルス薬(アシクロビル)濃度は、外用薬よりも内服薬のほうが高く推移します。
抗ウイルス薬(アシクロビル)の外用薬では外用してから1時間後にピークを認めましたが、外用3時間後には表皮基底層の抗ウイルス薬(アシクロビル)濃度がかなり低下してしまいます。
それに反して、内服薬では内服3時間後の表皮基底層の抗ウイルス薬(アシクロビル)濃度は外用薬に比べて約5~8倍を示し、十分に治療効果が期待できるものでした。
しかも内服薬でなければ治療できない部分にも病変は生じます。
病変は外陰部だけでなく、子宮頸部、肛門、臀部、尿道など、肉眼では確認し難 い場所にも生じます。病変の大きさも肉眼ではほとんど見えないピンホールのようなものもあれば、外陰部全体に多発性に生じることもあります。
ですから、内服薬でなければ治療できない部分にもウイルスが排泄されているという考え方が必要です。
次回は現在の性器ヘルペス治療の問題点についてお話ししましょう
性器ヘルペスは皮膚病ではない?!(その1)
ある日、新患として、23歳の未婚女性が私の診療所にやってきました。
と、開口一番、ろくに問診もしないうちから外用薬の請求です。
この様な患者さんがしばしば受診してまいります。
外用薬を塗れば確かに皮膚・粘膜症状は落ち着いてきます。
というのは、外用薬には皮膚・粘膜に生じた病変部の抗ウイルス作用や保護作用があるからです。
しかし、実は塗らないで放置していても症状は落ち着いてきます。
もちろん、塗らないよりは塗った方が1~2日早く落ち着いてきますので、外用薬の効果はゼロではありませんが、それほど劇的な効果は期待できません。
これは、どうしてか、少し勉強しましょう。
一度、感染したウイルスは神経節に潜伏し眠っています。
何らかのストレスなどがきっかけとなり、そのウイルスが目を覚まし、再活性化しウイルスが増殖します。
その増殖したウイルスが、再び神経線維を伝わって皮膚組織(または粘膜組織)まで移動し、再発病変(発赤・水疱・タダレなど)をつくります。
ですから性器ヘルペスは皮膚・粘膜だけの病気ではなく、ウイルスが神経細胞内でも増殖する“神経の感染症”なのです。
そのため皮膚・粘膜にある病変を抑えるだけでは、治療効果は十分ではありません。
では、どういった治療が効果的なのか、次回にご紹介しましょう。
口唇ヘルペスは性病なの?!
先日、26歳の既婚女性から、ヘルペスに関する電話相談がありました。ご相談者の方と同様の疑問や悩みを持つ方も多そうなテーマなので、今回はこれについてお話いたします。
ご相談者は現在妊娠中。一週間ほど前から、急に唇がかゆくなり、しだいに腫れてきて、水っぽいものがでてきたとのこと。
口唇炎用のリップクリームをつけても治らず、下唇がピリピリし、かゆみと痛みも続いているということでした。
ネットで症状を調べた彼女は、これは「ヘルペスでは?」と思い、ヘルペスなら性病で、そうであれば医師の診察が必要なのかと迷い、私の診療所に電話をかけてきた、というのが電話相談に至ったいきさつでした。
このご相談を受けて、私がお答えした内容は以下のようなものです。
「ご相談の内容を伺いました。ご心配ですね。あなたの唇に出ている症状が口唇ヘルペスであれば、専門医が診れば、直ぐに診断ができます。
口唇ヘルペスは、普通は“熱の華“あるいは“風邪の華”と言われます。
幼少期に両親からのキスや頬ずりなどの接触でウィルスが感染する場合が多く、
あなたが子供の時に父親や母親から愛されてもらったものだともいえるでしょう。
そして、今回の症状は、おそらく何らかのストレスにより、ヘルペスが再発してきたものでしょう。
もし成人した後にだんな様からもらったものであれば、症状はもっともっと激しくでてくるはずです。
口唇ヘルペスであれば、放っておいても時間はかかりますが、一応はよくなります。
しかし治療しないで放置しておくと、顔面神経(三叉神経)にヘルペスウイルスが増殖したままの
状態で潜伏しますので、何らかのストレスにより簡単に再発するようになります。
ですから口唇に症状が出ている時に抗ウイルス剤を服用し、ヘルペスの量を減らしておく必要があります。
今回のあなたのお話からは“口唇ヘルペスの再発”が考えられますが、お電話による相談のみで、実際に「診察」してはおりませんので、断定はできません。
現在妊娠中とのことですから、お子さんのためにも、ぜひ専門医の診察を受けて、適切な処置を施してもらってください。
また、あなたの心配しておられた、口唇ヘルペスが性感染症(性病)であるか否かについては、口唇ヘルペスは性感染症(性病)ではありません。
しかし症状が出ている時に、キスやセックスをするとパートナーに迷惑をかける危険性が高くなります。
例えば、貴女の口唇にヘルペスが出ている時に、彼とオーラルセックスをすれば、彼の男性器に性器ヘルペスが移る可能性があります。
これは、立派な性感染症です。
口唇に症状が出ている時には、唾液の中にヘルペスのウイルスが多量に排泄されていますので、
注意してくださいね。」
ご参考になりましたでしょうか?
口唇ヘルペスを恐れることはありませんが、甘く見ることなく適切な対処をしてください。
顔にヘルペスが出て心配!彼の口唇ヘルペスがうつったの!?(その2)
前回、彼から口唇ヘルペスをうつされたという女性の相談をご紹介しながら、
ヘルペスの感染原因についてお話ししました。
今回はヘルペスの治療や再発と初感染の違いについてお話ししましょう。
ご相談者の彼は「放置しても治ってしまうので心配ない」と言っていたそうですが、
実はそうではありません。放置していて、そのうちに見かけ上では治っても、顔面の神経節にはウイルスが増えたままになっています。
そうすると何度も、何度も再発する傾向になります。
ヘルペスができた時には、是非、抗ウイルス剤を飲んでウイルスの量を減らしておきましょう。それが自分のためにもパートナーのためにもなるのです。
そして口唇ヘルペスの治療で大事なことは、バルトレックスという抗ウイルス剤を内服することです。
塗り薬では傷の保護にはなりますが、良くはなりません。
また、性行動のマナー、エチケットとして口唇にヘルペスが出ている時にはキスやセックスはやめましょう。
口腔内の唾液の中に多量のヘルペスウイルスが排泄されていますから、キスやセックスをすると、パートナーにヘルペスがうつる危険性が高くなります。
また、症状がでていない時にも、極少量のヘルペスウイルスが口腔内に排泄されていますから、キスやセックスをするとうつる可能性はゼロではありません。
しかし症状がでていない時に、キスやセックスをしないと、一生、キスもできないし、セックスもできなくなってしまいますからね・・・!
我々人類は、長い間、このウイルスとうまく付き合ってきたんです。
必要以上に恐れることはありません。
さて、次に、相談者の女性について考えてみましょう。
セックスをして、その5日後から、唇とあごに小さな水ぶくれができ、しかもその時、風邪をひいていた。
ということは、彼と同じでこの女性も、ご幼少の頃にご両親からたくさん愛されて、ヘルペスウイルスをもらっていたものが、今回初めて口唇にでてきた可能性もあります。つまり、いわゆる『風邪の華』=ヘルペスの再発で、いままではたまたま症状がでなかっただけかもしれません。
しかし、日に日に悪化してきたという状態を考えると、「再発」ではなく口唇ヘルペスの「初感染」かもしれません。
また普通は小児に多いのですが「成人の急性ヘルペス性歯肉口内炎」「カポジ水痘様発疹症」といって顔面全体や口腔内に水疱が拡大するものもあります。
もし、今回初めて彼からヘルペスウイルスをもらったのだとすれば、口唇、口腔内、口の周囲、そして顔などに激しく症状が出る場合もあります。
さらに高熱、首のリンパ節腫脹など全身症状を伴うこともあります。
ヒトの身体は、初めて感染したウイルスには、その増殖を抑える能力がないため、激しい症状をしばしば引き起こすことが知られています。
普通、キスやセックスをしてから3~7日で感染部位が赤く腫れあがり、その後、水ぶくれが多数でて きます。激しい症状がでてきた所を見ると、初感染の可能性も高そうです。
このような場合は、さらに悪化しないうちに、もう一度、皮膚科を受診してみることが大切です。
場合によっては早急に抗ウイルス剤の点滴が必要かもしれません。
「たかがヘルペス」と甘く見ないで、パートナーのためにも、適切な治療をすることが大切ですね。
顔にヘルペスが出て心配!彼の口唇ヘルペスがうつったの!?(その1)
最近、30歳の女性から電話相談がありました。相談内容は次のようなものでした。
先日のデートのとき、彼が『唇が荒れて少し腫れてるんだ』と言っていました。 が、特に気にせず、濃厚なキスとコンドームなしでのセックスをしたんです。 そうしたら、その5日後から、私の唇とあごにブツブツした小さな水ぶくれができました。 ちょうど風邪をひいていたこともあったので、体調が悪いだけかと軽く思っていましたが、 日に日に悪化していくので、皮膚科を受診したところ口唇ヘルペスだと言われました。 皮膚科でもらった資料を見ると、唾液や精液からもうつるのだとか・・・! ということは『彼からうつされた!?』と思い、彼に確認してみると、 彼は年に数回、口唇にヘルペスができると言っていました。 『俺はいつもそのままにしているけど、そのうち治るから心配ないよ』と、 彼は気にもしていない様子ですが、私のヘルペスは、病院の薬を塗ったり飲んだりしているのにますます悪化してきているような感じです。 顔のことなのでとても心配です。本当に大丈夫でしょうか? |
電話口の彼女の声は、とても心配そうでした。
顔のことですから、女性なら特にご心配なさるお気持ちは良くわかります。
口唇ヘルペスは比較的良くみられる感染症で、お悩みの方も多いかと思いますので、
今回と次回にわたって、この彼女の例を題材に、ヘルペスについてお話ししましょう。
先ず、この彼女の「彼」について、考えてみましょう。
「彼の唇が荒れて少し腫れていた」ということの原因は、おそらく口唇ヘルペスだったのでしょう。
口唇ヘルペスだとすれば、彼が赤ちゃんの時、お父さんやお母さんから、たくさんキスをされていたのかもしれません。愛されてもらったウィルスですから、私は『愛情ヘルペス』と呼んでいます。
ある意味、両親の愛情につつまれて、育った証拠であるとも言えます。
彼の唇の症状は、今回、何らかのストレスがあって、そのストレスで顔面神経に眠っていたヘルペスウイルスが目を覚ましでてきたと考えられます。
これが再発で、いわゆる「風邪の華」「熱の華」と言われるものです。
そして、最近の研究では、口唇ヘルペスを持っていますと、口腔内の唾液の中に少量ながら絶えずヘルペスウイルスが排泄されていることがわかっています。
ですからキスやセックスをすると、パートナーにヘルペスがうつる可能性があるわけです。
また、彼は「放置しても治ってしまうので心配ない」と言っていますが、本当にそうでしょうか?
次回はヘルペスの治療についてお話ししましょう。
ヘルペスってセックスでうつるの?
先日、私が院長を務めているクリニックに、
近所にあるソープランドで働く20歳の風俗嬢が来院してきました。
話を聞いてみると、昨日、お店のお客さんに、
「君、ヘルペスかもしれないよ。それ、セックスでうつるから、別の女の子と代わってくれない」
と断られたとのこと。
彼女は以前から風邪を引いたり、体調が悪くなると唇に水ぶくれができるらしく、
今回も2~3日前からできていたそうです。
「先生、これってセックスでうつるなんて知らなかったんですけど。マジーですか?」
と心配そうな彼女。
さっそく、彼女の顔を見てみると、
確かに口唇に3個の小水疱ができており、口唇ヘルペスと診断しました。
彼女の話ではソープランドで働く以前は、年1回程度の頻度で同じような水疱ができていたそうですが、
最近は月1回程度にまで頻度が増えてきたとのことでした。
本人の希望により性器も診察しましたが、水疱や潰瘍は見られませんでした。
このような臨床所見から、私は、彼女の症状は
単純ヘルペスウイルス(HSV)による口唇ヘルペスの再発と診断しました。
HSV感染症は、過去に感染したHSVが神経節に潜伏しており、
ストレスや風邪などの何らかの刺激によって再活性化し皮膚や粘膜に現れ病変を起こし「再発」します。
ヘルペス患者の60~70%程度が再発例であるといわれており、何度も繰り返す患者さんが大勢います。
彼女には認められませんでしたが、水疱や潰瘍は口唇だけでなく性器や大腿部にも現れます。これらの病変部位には多量のHSVが含まれているため、キスやセックスにより他人へ感染します。
おそらく今回の彼女のお客さんは感染の危険性を知っていたために、彼女のサービスを断ったのでしょう。
彼女はソープランドでの勤務歴も3ヶ月と浅く、慣れない環境のため、
近頃かなりの疲労感を感じていたそうです。
彼女には一旦十分に休養を取ることを勧め、口唇については抗ウイルス薬を投与し
経過をみることにいたしました。
現在の医療では、ウイルス自体を完全に体内から除去することは困難です。
しかし、抗ウイルス薬を投与することにより再発を抑制することはできます。
頻回に症が現れる方は、先ず専門医に相談いたしましょう。
それではごきげんよう。
性器ヘルペスは感染しても症状が出ない!?
先日、35歳の男性会社員が
「ペニスに小さな水疱ができ、痛みと痒みがあります。」と言って来院してきました。
早速診てみますと、確かにペニスの冠状溝付近直径1~2mm大の小さな水疱が3つできています。
詳しく聞いてみると、2年から1年間に10回以上も性器ヘルペスが再発し、
日常生活に支障をきたしているとのこと。
そこで「初めて感染したのは何年前ですか?」と聞くと
「いや、いきなりの再発みたいです」との返事が返って来ました。
感染したときは症状がなく、「いきなり再発」とはどういうことなのか・・・?
今回はこのことについて少し勉強しましょう。
確かに性器ヘルペスは、初めて感染した人の約70%に症状が出ないといわれています。
そしてその後もはっきりとした皮膚症状が出ないため、自分がウイルスを泄していることを知らずに他人に感染させている例が多くみられます。
症状がないままウイルスを排泄する時期は、初めて感染してから3か月以内に
最も高率に起こることが分かっており、経過とともに減少していきます。
再発を1年間で10回以上繰り返す人と再発のない人を比べると、
明らかに再発多い人はウイルスの排泄が多く、時期は再発前後の1週間に
集中していると言われています。
HSV(単純ヘルペスウイルス)に感染した場合、
ヘルペスが口にできれば口唇ヘルペス、性器にできれば性器ヘルペスと呼ばれます。
また、HSVには1型と2型2種類があり、口唇ヘルペスは1型、性器ヘルペスは2型が
多いといわれています。
1型が初めて性器に感染すると、激しい症状(水疱、痛み、発熱、足の付け根のンパ腺の
腫れ、膀胱炎様症状、歩行障害など)がでますが、再発はそれほど多はありません。
2型はそれに比べて症状はおとなしくなりますが、頻回に再発繰り返すと言われています。
また、HSV-2・1抗体がともに陽性の人において、性器ヘルペスの症状が出にくことが指摘されています。これが冒頭にあげた、「症状が出ないのでヘルペ・ウイルスの排泄に気づかず、他人を感染させている」という事例の原因と考えられます。
日本では性風俗嬢でのHSV-2抗体の保有率が高く、1・2型を持つ人も多いため
注意が必要です。
またHSV-2感染者のわずか10~25%の人しか感染に気づいていないという報告もあります。ですから私たちは知らないで感染し、知らないで他にうつしているかもしれません。
今後、医療者は性器ヘルペス感染症の正しい診断、治療、予防を認識し、
そして患者さんへの正しい知識の啓蒙・教育を心がけていく必要があるでしょう。
日本人の再発型性器ヘルペスのQOLについて
『日本人の再発型性器ヘルペスのQOLについて』 パリの国際学会で発表するこになりました。9月のパリの学会の抄録締め切りが3月20日のため、ひとまず申し込みをしました。
東京女子医大皮膚科教授の檜垣祐子先生が発表いたします。わたしは共同演者です。
再発型性器ヘルペスのQOLについてのアンケートはすべて宮本町中央診療所の患者さんにご協力をいただきました。
再発型性器ヘルペスの患者さんは、今度は何時再発するのかという不安、パートナーにうつしはしないかなどと、絶えずストレスと戦っています。今回はその患者さんのQOLについて検討をいたしました。
下記はパリの学会の抄録です。
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IMPACT OF RECURRENT GENITAL HERPES ON JAPANESE PATIENTS’ QUALITY OF LIFE
Y. Higaki1, Y. Onoye2, K. Yoda3, T. Kamo4
1Institute of Women' Health, Tokyo Women's Medical University, Tokyo, 2Urology, Miyamotocho Central Clinic, Kawasaki, 3Department of Otolaryngology, Tokyo Women's Medical University,Medical Center East, 4Institute of Women's Health, Tokyo Women's Medical University, Tokyo, Japan
Recurrent genital herpes (RGH) is a common sexually transmitted disease caused by infection with the herpes simplex virus. In many patients, this disease, with its unpredictable nature of recurrences, causes fear of transmission and leads to impaired social and sexual activity.
To quantify the impact of RGH on quality of life in Japanese patients, a cross-sectional questionnaire study was carried out using a battery of instruments: the Japanese version of Skindex-16, WHO-QOL26, and General Health Questionnaire 30 as well as a questionnaire on patients’ history of RGH and their satisfaction with the care they currently receive.
As a result, 54 patients completed the questionnaires. The frequency of recurrences per year was 1 occurrence or less: 13.3%; 2-3 times: 47.2%; 4-5 times: 18.9%; 6 times or more: 20.8%. The current treatment included patient-initiated antiviral therapy: 68.5%; suppressive antiviral therapy:29.6%. The mean scores of the instruments were as follows, Skindex-16-Symptom:36±34; Emotions:45±34; Functioning:22±26, QOL-26-Physical:3.36±0.46; Psychological: 3.25±0.56; Social relationships:3.25±0.68;
Environment:3.32±0.51;General:2.69±0.60,GHQ30:8.6±5.9. Patients with frequent recurrences showed higher scores (lower quality of life) in the Emotion and Functioning sections of Skindex-16 than those with lower frequencies. Patients stated to be satisfied with the current care was 50.0%, while 18.6% were unsatisfied. Patients receiving suppressive antiviral therapy showed better quality of life than those on other treatments.
The present study revealed that RGH affects patients’ health related quality of life especially in aspects of emotional and social functioning. The impact of the disease showed itself more significantly in patients with a higher rate of recurrences.
In conclusion, it can be said that Japanese RGH-patients’ quality of life is highly impaired and effective strategies for its improvement are necessary. The suppressive antiviral therapy, introduced to Japan in 2007, is expected to contribute considerably to an improvement of the quality of life in patients with recurrent genital herpes.
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女性における性器ヘルペスの特徴
平成20年2月21日 ブリーズベイホテルで行われました、横浜市産婦人科医会・泌尿器科医会研究会に出席してきました。早川クリニック(大阪)の早川謙一先生の講演でした。演題は『最近の性感染症と性器ヘルペスの再発抑制療法について』でした。その中で、女性の性感染症で2番目に頻度が高い性器ヘルペスの特徴についての話が印象的でしたので、今回はその報告をいたします。
《女性の性器ヘルペスの特徴》
1.性器ヘルペスの罹患率は圧倒的に男性より女性が多い。
2.健康人における単純性ヘルペスウイルス2型(HSV-2)の抗体保有率は男性より女性の方が高い。
3.性器ヘルペスは女性から男性への感染率より、男性から女性への感染率の方が高い。
4.初感染、初発症状は一般に女性の方が重症である。性器ヘルペスから髄膜炎への伸展へもありえる。
5.女性の性器ヘルペスは次世代にも影響する、母子感染の恐れがある。
6.女性の性器ヘルペスの感染、発症には、性ホルモンを介した免疫機構の影響が強く関与しているらしい。
《性器ヘルペスに対しての取り組み》
1.性器ヘルペスは女性にとって深刻な性感染症であり、男性と較べてハンディキャップが大きい。
2.これまでのことを踏まえての性器ヘルペスの知識の普及、教育が必要。
3.性器ヘルペスに対してコンドームは有効な予防法である。
4.抗ウイルス剤による再発抑制療法は一つの有効な手段。
5.女性においては、性ホルモンを介しての免疫機構が性器ヘルペスの感染、発症に深くかかわっている可能性がある。今後の基礎的、臨床的研究が必要と思われる。
以上報告いたしました。少し難しかったかもしれません。
そうなんです。難しんです。それではごきげんよう!
ヘルペス!またできちゃった!
24歳の男性フリーターが来院してきた。『先生!またできちゃった!』
診察するとペニスの包皮に直径2mm大の小さな赤いタダレが1ヵ所できていた。
『3日前に久しぶりに会ったモトカノとエッチしたんだ!あのモトカノから移されたんだ!』
『それは違うんですよ!君の骨盤の中の神経に潜んでいるヘルペスウイルスが、セックスというストレスで 目を覚まし出てきたんですよ!モトカノからもらったのではありません。再発なんですよ・・・』
『まじっ!?そうなんだ?!』
そうなんです。性器ヘルペス は初めてできると、「初感染 」といって症状が激しく出ます。
エッチしてから1週間以内に熱が出たり、足の付け根のリンパ腺が腫れたりします。 また、あそこに小さな水泡、ただれが左右対称性にたくさんできて、痛みやかゆみがでてきます。
さらに女性では膀胱炎症状・歩行困難がでて大変辛くなることもあります。
性器ヘルペスの再発では症状は軽くはなりますが、痛みやかゆみはでてきます。
水泡やタダレは1~3個程度が多いようです。
性器ヘルペス全体で見ますと 再発例が約80%で初感染例は約20%です。
初感染は性感染症ですが、再発例は性感染症ではありません。
何らかのストレスにより骨盤内の神経節で眠っていたウイルスが目を覚まし皮膚の表面に でてきたものです。しかしながら感染力はありますので、再発した時にはエッチできません。
性器ヘルペスのウイルスは絶えず精液や腟分泌物に排出されていますが、 皮膚症状が出ている時はウイルスの量が多く排出されています。 皮膚症状がない場合は、ウイルスの量は減ってはいますが、わずかながら排出されています。
でも症状がないときにエッチしないと、一生エッチできなくなりますし、また子供もできません。
でもセックスする時のエチケット!
セックスするときは忘れずにコンドーム!
最初から最後までまでコンドーム!必ずよっ♪
性器ヘルペス!再発!
「先生、また性器ヘルペスがまたできちゃった!不愉快!私一体いつからセックスできるの?!」21歳の女子大生が顔をしかめて来院してきました。
性器ヘルペスは再発を繰り返すのが特徴の一つです。
ヘルペスウイルスは性器に感染すると、性器周辺の神経を伝って骨盤の中の神経節に 潜伏感染(せんぷくかんせん)しています。
潜伏感染とは神経節にヘルペスウイルスが静かに眠っている状態を指します。
潜伏感染したヘルペスウイルスは、何らかの精神的・肉体的なストレスによって 目を覚まし再び神経を伝って性器ヘルペスとして症状がでてきます。これが再発です。
ストレスとしては過労、睡眠不足、日光浴、生理などがありますが、セックスそのものがストレスになる場合もあります。 症状は初めてできた時と比べて軽くなりますが、ヘルペスができるたびに患者さんの心に傷ができます。
「本当にヘルペスは治ったのかしら?いつからキスできるの?いつからセックスできるの?」
「彼にもに感染していないかしら?」
「産まれてくる子どもには移らないかしら??」
など このまま治らなかったらどうしよう!と漠然とした不安に苛まれます。
しかも一度ヘルペスになると、誰かに感染させるのではないかと悩み、セックスができなくなる人もいます。
また、普通の日常生活では移ることはありませんが、腟分泌物、精液、そして唾液の中に たえずにウイルスが少しづつ漏出(排泄)されていますから、キスとかセックス をすればい何時、パートナーに移るかわかりません。
しかしヘルペスができていない時にキスしたり、セックスしないと 一生、キスもセックスもできないことになります。今まで、私たち、人類はヘルペスとうまく付き合ってきたのです。
症状が出てない時にセックスをしましょう。
性器ヘルペスが再発した場合には専門医を受診して抗ウイルス薬を飲みましょう。
さらに再発を何度も繰り返す場合には「局所の違和感や神経痛様の痛み」を感じた時に あらかじめ抗ウイルス薬をもらっておいて、その薬を飲む方法をお勧めしています。
また1年間に6回以上再発を繰り返す方もいらっしゃいますが、そんな場合は抗ウイルス薬を毎日飲む 再発抑制療法を取っています。抗ウイルス薬を毎日続けて飲むことにより、ウイルスの 排泄を抑えることができ、パートナーへの感染も減らすことができます。
再発を繰り返す方は、ヘルペスと上手に付き合っていき、できるだけ安心で安全なセックスを心掛けましょう!
性器ヘルペス!初感染!
『先生!おしっこするとき痛いの!熱もあるしー!足の付け根が腫れて痛いしー! 歩くと痛いからつらいの!』22歳のフリーターの女の子が来院してきた。
この方は膀胱炎ではありません。おそらく性器ヘルペスの初感染だと思います!
性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルス1型または2型の感染により性器に痛みを伴う浅い 潰瘍(かいよう:皮膚・粘膜のただれ)または小水疱ができる病気です!
初めてこの病気になると、セックスをして2日~12日位してから性器に小さな水疱ができてきます。
水疱はすぐに破けてしまい、ただれた状態になり、激しい痛みがでてきて歩行がつらくなることもあります。 ソケイ部(股の付け根)のリンパ腺が腫れ、熱が出る場合もあります。
男性より女性のほうが症状が激しく出るようです。
ヘルペスウイルスは 性器に感染すると、 神経を伝って骨盤の中の神経節に潜伏感染します。
潜伏感染したヘルペスウイルスは、何らかのストレスによって再び神経を伝って性器ヘルペスとして再発します!
初めて性器ヘルペスになった場合は、専門医を受診してできるだけ早く抗ウイルス薬を飲むことが賢明です。 その後の再発の頻度や程度に大きく影響が出てきます!
早く治療を始めれば、たとえ再発しても程度が軽くてすむそうです。
少しでも異常を感じたら、我慢しないで診察を受けてくださいね。