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Medical Tribune掲載 「若年者の性感染症患者を対象とした再発防止策」

Medical Tribune 2016年1月14日発行 Vol.49,No.2 p.10 に
 
日本性感染症学会第28回学術大会(2015年12月5~6日)、会場は都市センターホテル
学会会長は帝京科学大学看護学科 教授 東邦大学名誉教授の齊藤益子先生
 
シンポジウム: 性感染症、一次医療機関での実際 ―事件は現場で起こっている―
 
の記事がMedical Tribuneに掲載されましたので報告いたします。
 
「性行動が多様化、性感染症の蔓延防止策の複雑化が課題」
 
シンポジウムの司会は東京慈恵会医科大学葛飾医療センター泌尿器科 教授の清田 浩先生
 
シンポジスト3名で私はトップバッターで講演いたしました。
 
Medical Tribune掲載内容は写真を参考にしてください。
 
私の演題は「若年者の性感染症患者を対象とした再発防止策」です。
 
以下に講演抄録を示しました。
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若年者の性感染症患者を対象とした再発防止策
宮本町中央診療所 尾上泰彦
パートナーとの関係性:

性感染症の再発防止には患者だけでなく、そのパートナーとの関係性が重要になる。

淋菌やクラミジアなどの性感染症は症状に乏しく、知らないうちにパートナーに感染させている可能性がある。

一方、その性感染症がパートナーから感染させられている可能性もある。

治療を行い治癒確認したにも関わらず、再感染する患者が少なからず存在する。

この場合、パートナーがすでに感染しているという可能性が強く疑われ、パートナーの検査は重要となる。

実際に性感染症になった患者は、性行為を介する病気なのでパートナーには感染した事実を隠しがちとなる。

また、症状が乏しいとパートナーが積極的な受診をしない事が多くあり、パートナーの受診率は低いと考えられる。

性行動の多様化によりオーラルセックスによる感染もあり、咽頭のみ感染しているという症例も見受けられる。

当診療所での印象では、感染者のパートナーの受診率は約30%で、その中で感染している人の確率は約30%であった。

もし自分が感染してしまった場合、パートナーにきちんと告白し、一緒に検査を受け、再発が起きないように治療し、

その後は、しっかりと感染予防のための啓蒙指導を受けるべきである。

患者へのメッセージ:

もしも性感染症に感染してしまった場合、パートナーのことを考えると頭の中は真っ白、パニック状態になってしまう方が多くみられる。

病気は症状がでれば治療に結びつくが、症状が乏しいあるいは症状が全くない場合がある。

そのため患者のパートナーも検査を受ける必要がある。

そしてお互いに異常がないことを確認し、健康なセックスができることを目標にする。

もし自分と同時にパートナーが感染していたら、自分だけ治療してもまたパートナーから感染する(ピンポン感染)可能性がある。

言うまでもなくパートナーが感染していたら、ピンポン感染を防ぐ意味で自分と同時進行の治療をすべきである。

パートナーを本当に大切に思っているのであれば、感染したことを正直にパートナーに告げることが重要となる。

そうすれば精神的にも楽になるし、逆にパートナーが感染していてそのことを自分に伝えてもらえなかったとしたら、

「パートナーから大切に思われていない」と感じ、とても悲しい気持ちになるはずである。

自分がパートナーから告白されたならば、パートナーを責めることはせず、健康なセックスができることを目標とすべきである。

自分の悩みがパートナーの悩みにならないように、二人とも健康になり「愛のあるセックス」を心がけよう。

シンポジウムでは多くのことは語れませんでしたが、臨床の現場をお伝えした。

Medical Tribune タイトル

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シンポジウム: 性感染症、一次医療機関での実際 ―事件は現場で起こっている―

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学会会長:齊藤益子教授と共に

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2016年01月20日

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