Home > 【学会報告】 > 『近年、川崎市において分離されたNeisseria gonorrhoeae の遺伝学的性質と細菌学的背景について』
『近年、川崎市において分離されたNeisseria gonorrhoeae の遺伝学的性質と細菌学的背景について』
今回は平成26年12月6日(土)に神戸国際会議場で開催されました日本性感染症学会 第27回学術大会で当院の研究生が一般演題で発表しましたのでそれを報告いたします。
研究生は 東邦大学大学院看護学科研究科 感染制御学 井村 幸恵 です。
以下に発表要旨を示します。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
O-38
『近年、川崎市において分離されたNeisseria gonorrhoeae の遺伝学的性質と細菌学的背景について』
○東邦大学大学院看護学科研究科 感染制御学 井村 幸恵、金山 明子、小林 寅喆
宮本町中央診療所 尾上 泰彦
【目的】
過去に我々は川崎市で淋菌感染症が疑われた患者の生殖器および咽頭より分離したN. gonorrhoeae の感染経路・背景および抗菌薬感受性について報告した。
今回はこれら菌株のSequence Type(ST) と細菌学的性状について検討を行った。
【対象と方法】
2012年3月~2014年3月に淋菌感染症の疑いで来院した患者生殖器および咽頭より分離した
N.gonorrhoeae 137株を対象とした。
分離したN.gonorrhoeaeについてNG-MAST法により遺伝学的解析を行い、患者背景および由来について調査し、CLSIが推奨する寒天平板希釈法に準じPCG、CTRX,AZM、SPCM,TC,CPFXのMICを測定した。
【結果と考察】
生殖器および咽頭より分離されたN.gonorrhoeae は男性由来93株(68%)、女性由来は44株(32%)であった。
このうち咽頭および生殖器同時検出例の割合は男性および女性それぞれ12%および10%と同程度であった。
分離株のうちST分類が可能であった株は110株で、最も多く分離されたSTIは6771で12株(11%)、次いで1407の9株(8%)であった。
ST6771に分類された株は1株を除き測定した抗菌薬に感受性を示した。
ST1407はCTRXおよびSPCMを除きほとんどの抗菌薬に耐性を示す多剤耐性株で、いずれも男性生殖器からの由来株であった。
CTRXに対する非感受性株は見られなかったが、0.25を示す株が7株認められそのうち6株は男性生殖器由来であった。
咽頭および生殖器同時検出例において両者のPFGEパターンはほとんどが一致したが、STは異なる株が存在した。
今回検討した地域において分離された N.gonorrhoeaeはST6771に分類される感受性株が多かったが、ST1407や他の多剤耐性型も分布し、多様な株が存在することが明らかとなった。
2015年01月05日
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.dr-onoe.com/mt/mt-tb.cgi/112