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勃起した時、曲がって痛い!(その3)

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前回、前々回とペニスが勃起した際に曲がってしまう
「陰茎形成性硬結症」、別名:パイロニー氏病についてご紹介しました。
 詳しくはバックナンバーをご覧ください。
今回はこの病気の治療法を中心にお話ししましょう。

治療は残念ながら、根本的な方法はありません。
原則的には保存的治療から始めるのがよいと思われます。
しかし、薬物療法 として、発症直後には炎症を抑える薬やステロイド剤、漢方薬(柴苓湯)を使用することもありますが、効果はさほど期待できません。

最も効果がある治療薬として、多くの専門家はユベラというビタミンE製剤を使用しています。
ただしユベラの効果に即効性はなく、数ヶ月かけて徐々に効果がでてきます。
 
その他、超音波治療、ステロイド薬の局所注入、コラーゲン分解酵素注入、プロスタグラディンE1の局所注射などの報告もありますが、あまり良 い成績ではないようです。
 
痛みがある時に放射線照射が有効という報告もあります。
 
あとは、性交渉ができなくなり障害が出るような場合、本人が希望すれば手術を行います。
手術は、陰茎の硬結(しこり)をていねいに取り除きます。
しかし、硬結が海綿体に及んでいる場合は、手術が難しくなります。
また手術により陰茎が短くなることもあり、いろいろなデメリットはあるのですが、陰茎のしこりを取る手術だけが唯一有効な根本的治療法です。
 
この病気は患者さんにとって、精神的、身体的に大変つらい疾患です。
貴方にもしもこの病気の心配があれば、まずは専門医の診断を受け、貴方に適切な治療法について相談されることをお勧めします。


2009年10月26日

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