泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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アソコがきれいな・・アナル・スペシャリスト嬢

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先日、私の診療所に
34歳のソープランド嬢が、一年ぶりの「性感染症の検診」に来院してきました。

「検診」では、問診から始まり、尿検査、血液検査、子宮頸管・
腟分泌物検査(遺伝子増幅検査を含む)、外陰部視診などをひと通り行ないます。

子宮頸管・腟分泌物検査の一部は顕微鏡検査も行いました。
これは直ぐに検査結果が判明するもので、分泌物を検査した結果は、
性風俗嬢とは思えないほどきれいな状態でした。
ほとんど健康な一般女性の「おりもの」と同じ状態であるといってもいいほどです。

私は感心して、彼女に
「おりものはきれいでしたよ。最近は、お仕事していないのですか?
それともしばらくお休みしていたのですか?」と尋ねました。

すると彼女はあっけらかんと
「先生!私、あそこ、ぜんぜん使ってないの。
3か月前から肛門専門にしたんです。今はアナルのスペシャリストなの。
肛門ならあまり病気にならないからいいでしょ♪」と答えるのです。

「いや、そんなことはありません。肛門も恐い病気になりますよ。」と応じると、
彼女は急に不安になったのか
「エッ!?本当ですか!?先生、 それなら今日は肛門も検査してください!」と、
急きょ、追加の検査を行うことになりました。

さっそく肛門の淋菌、クラミジア・トラコマティスの遺伝子増幅検査を追加し、
採取検体を研究所に送りました。

そして5日後に検査結果が研究所から到着。
子宮頸管は全て陰性でしたが、肛門(直腸)の遺伝子増幅検査で淋菌が陽性と出ました。

とういことは、淋菌性直腸炎を発症しているということです。
幸いなことにクラミジアは陰性でした。

その2日後に来院してきた彼女に、早速検査結果を告げ、淋病の治療を開始しました。
「先生に教えてもらって、検査してみて良かったわ。
おかげで病気を早く見つけられました。これからは、肛門の検査もいつもお願いしますね!」と、彼女もすっかり認識を改めてくれたようです。

淋菌が検出される身体の部位は、一番多いのは生殖器、次いで直腸、咽頭、そして結膜(眼)の順となっています。
これは淋菌の菌量が体の部位によって異なることが、この差になって表れていると考えられています。
しかし臨床の現場では、実際に肛門(直腸)の検査はあまり行なわれていません。
もちろんMSM(男性同性愛者)が訪れる専門の医療機関では行なわれているでしょう。

性行為のためにある性器と性器の結合によるセックスよりも、
本来、セックスのためではなく排便のためにある肛門(直腸)を使うセックスは、
出血しやすいことと、免疫力が低下し、恐い病気になりやすいことを忘れないでください。


2009年12月14日

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