新婚旅行膀胱炎
先日、当診療所の近所に住んでいるという、23歳の可愛いお嬢さんが来院してきました。
話を聞くと、ハワイに行った新婚旅行を途中で止めて帰国してきたのだとか。
実は、彼女は今どき大変珍しく処女で結婚し、
新婚旅行先のハワイで、生れて初めてセックスをしたそうです。
いわゆる「初夜」ですね。
今どきは「初夜」 という言葉は既に“死語”であると思っていましたが、
久しぶりに聞いて、懐かしく感じました。
彼はベットでは、大変優しく迎えてくれたそうです。
しかし、その2日後の朝に彼女がトイレに行くと、激しい排尿痛があり真っ赤な血尿が!
しかも排尿の最後にタラタラと血が出てきたとのこと。
それを見た彼女は、
「これはセックスをしたから!?」
「私の体はどうかしちゃったの!?」
「もう、ダメ!セックスなんかできない!」とパニックになってしまいました。
優しい旦那様はそんな彼女の様子を見て、
「これではこのまま新婚旅行を続けられない」と判断し、二人はすぐに日本に帰国。
そのまま当診療所の門をたたいたということのようでした。
これが有名な『新婚旅行膀胱炎』です。
女性は一生のうちに、何回か膀胱炎にな るといわれていますが、
セックスが膀胱炎の引き金になることがあります。
一昔前では、 「お妾さん膀胱炎(!)」と言う膀胱炎もありました。
私の臨床経験では、パトロンの男性が来ると、
その2日後に必ずといっていいほど膀胱炎になるお妾さん(今で言う愛人ですね)もいました。
もちろん、膀胱炎の原因はセックスだけではありませんが、
それでも約25%はセックスが誘因となると考えられています。
なぜなら、女性の急性膀胱炎の原因菌(起炎菌)80%以上は大腸菌です。
肛門周囲に存在する大腸菌がセックスの刺激により、腟前庭の尿道口に入り込み膀胱炎になるわけです。この新婚彼女の場合も、たまたまセックスが誘因となり『出血性膀胱炎』になったと考えられます。
このような急性膀胱炎の治療は、大腸菌に感受性のある抗生物質を服用すれば必ずよくなります。
彼女の場合も、投薬ですぐに完治いたしました。
よかった!よかった!
この若いご夫婦の愛のある性生活を送られることを、お祈りしたいと思います。
2009年12月22日