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淋病でないので淋病にされた男(その1)
先月、24歳の真面目そうな男性が受診してきました。
さっそく来院理由を伺うと、「喉の淋病について相談したい」ということでした。
彼の話によると、約4カ月前にノドに違和感を感じ、感染のチャンスはなかったものの、一応クラミジアと淋病を調べてもらうために、都内某所の耳鼻咽喉科を受診したそうです。
そこで咽頭の検査を受け、その結果はクラミジアは陰性で、淋菌は陽性。
その結果を踏まえ、耳鼻咽喉科の医師からは
「貴方は淋菌性咽頭炎です。治療をしましょう」という診断が下ったそうです。
治療は抗生剤セフスパン(セフィキシム)を7日間内服することだったようです。
それでもノドの違和感は無くならないので、彼は内服7日後に再受診し、治癒判定(治っているかどうかをみる)を兼ねて咽頭検査を受けたそうです。
その結果は、なんと再び淋菌が陽性。
その際の医師からの説明は「淋菌性咽頭炎は生殖器(尿道)と違って治りにくいのです。
もう一週間、追加治療をしましょう。」という内容で、治療は同じ抗生剤セフスパンの7日間の内服だったそうです。
薬の服用をきちんと続け、ノドの違和感は少し良くなったので、その2週間後、彼は同じ耳鼻咽喉科を受診し、再び治癒判定検査を受けたそうです。
しかし、その結果は、なんとまたまた「淋菌が陽性」。
「一体どうなっているのだろうか?」とこの医師の診断を不審に思った彼は、今度は都内某大学病院の耳鼻咽喉科を訪ねたそうです。
大学病院で同じく咽頭の淋菌とクラミジアの検査を受けところ、何とまた、淋菌が陽性。
大学病院の医師は彼に「淋菌性咽頭炎です。
淋病の治療は現在、耐性菌の問題があり大変難しくなっています。
今まで飲んだ内服薬では治りません。淋病の治療は注射薬しかありません」と説明。
「なるほど、耐性菌の問題だったのか」と納得した彼は、そこでセフトリアキソン(ロセフィン)静脈注射1.0gの単回投与を受けました。
その医師からも、7日後に治癒判定検査を受けるように言われた彼は、1週間後、その大学病院に向かったそうです。「今度こそ大丈夫だろう!と楽しみにしていたんです」と彼は語っていましたが、結果は何とまた「淋菌が陽性」だったのです。
「どうして医師の指示どおりの治療を受けているのに治らないのか」「一体どうすればよいのだろう」「自分の病気はもう治らないのか?」「どの病院を信じればいのか?」彼は悩み、迷い迷った揚句、インターネットで自ら情報収集をし、私の診療所を見つけて相談に来たということでした。
「先生!私の喉は一体どうなっているんでしょう!?」と私に問いかけた彼は、すっかり絶望してしまっている様子でした。
彼の喉の病の実態は何なのか、なぜ大学病院でも完治させることができなかったのか?
それについては次回お話しすることにしましょう。
2010年04月21日