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南アフリカ独特の性感染症!軟性下疳(その2)
前回、サッカーFIFAワールドカップの行われている南アフリカに、究極の性感染症「軟性下疳」があるとご紹介しました。詳しくはバックナンバーをご覧ください。
今回、この「軟性下疳」についてお話しする前に、「ワールドカップを見に行くんです」と言っていた、ある知人の話からいたしましょう。
知人の28歳J君が、ある日、ほおを緩めて私に言いました。
「先生、僕、実はサッカーワールドカップを見に、南アフリカに行く予定なんっすよ♪」
彼の顔を見てピンと来た私は、「ヨハネスブルグのセックスクラブにも行こうと思っているね」と指摘しました。
すると彼は、 「えーっ、なんでわかったんですか!?でも、そうなんっすよ。せっかくの機会ですから、夜も楽しまなくちゃって思って」と。
このJ君はクリニックの常連客でもあります。
セックスが大好きで、風俗店だけでなく一般女性にまで次から次へと手を出し、何回も性感染症になっています。つまり「予防」という意識が限りなく低いタイプ。
そこで私は彼にくぎを刺しておくことにしました。
「変なことはしない方がいいよ。もし“遊ぶ”にしても、コンドームを必ずつけるのですよ。
熱帯地方であるアフリカ南部には独特の性感染症もありますからね。」
このアフリカ南部独特の感染症が、「軟性下疳」で、日本では「幻の性感染症」
あるいは「輸入性感染症」といわれています。
日本では終戦直後の昭和20年代の前半に流行しましたが、
その後、ほとんど報告がなく、病名は知っていても病気を見たことがないという
医師が圧倒的多数です。
その症状は性器に刃物でえぐったような潰瘍ができ、激痛を伴います
軟性下疳は軟性下疳菌(ヘモフィルス・デュクレイ)による性感染症です。
性器に生じる、痛みの強い壊疽性潰瘍と鼠径リンパ節の化膿性炎症が特徴的です。
潜伏期間が2~3日と短いので、感染したらアフリカ滞在中に発症という場合も十分にあり得ます。
潰瘍ができるので、HIV感染のリスクも高まるため、症状が治まりある程度時間が経ったら、HIV検査も必要になります。
ここまでの私の説明を聞いたJ君はポツリ・・・
「サッカー観戦に専念しようかな」
J君同様、南アフリカでハメを外そうと思っている日本代表サポーターの方はいらっしゃらないとは思いますが、夜の“遊び”には、治安と性感染症にくれぐれもご注意を。
要らぬお土産を日本に持ち帰らないでくださいね!
2010年06月23日