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日本国内のHIV-2感染について
先週、「第4世代HIV抗原/抗体迅速検査」についてご紹介しましたが、今回はAIDSウィルスの中でも「HIV-2感染」について少し詳しくお話しいたしましょう。
AIDSウイルス(=HIV ヒト免疫不全ウイルス)は1型・2型と、タイプが2種類あります。
それをHIV-1、HIV-2と表現します。HIV-1は世界的に感染拡大しているタイプです。
一方でHIV-2はアフリカ型といわれ、特に西アフリカ地域に多いタイプです。
2型は1型と比べると感染力が弱く、発病するまでの期間も長いとされています。
今まで、日本国内ではHIV-2感染者の報告はほとんどありませんでした。
実状を詳しく見てみますと、日本国内では1993年に韓国国籍の2人の感染報告が最初とされています。続いて2002年にHIV検査目的で来日した韓国人男性の感染が確認されています。
さらに2004年には日本滞在中の西アフリカ男性の感染報告がありました。
そしてその後、初の日本人男性の感染者の報告が出てきます。
この日本人男性は西アフリカ滞在中に輸血を受け、その後しばらくして、日本に帰国しAIDSウイルス検査を実施。その結果、HIV-2の陽性が確認されました。2006年9月4日のことでした。
日本人初のHIV-2感染者として、結構マスコミで騒がれましたから、ご記憶されている方も多いかもしれません。
ここまで女性のHIV-2感染者の報告はありませんでした。
ところが2008年に愛知県で、日本女性2名のHIV-2感染者が確認されたのです。
この2人の日本女性(20~30歳)は、海外に行ったことはありません。
もちろんアフリカにも行っていません。
ではどうしてHIV-2が感染したのか。実はこの2人の女性のパートナーが、西アフリカ出身の男性だったんです。つまり、このアフリカ男性と性行為を行い感染したと考えられています。
この日本人女性2人のHIV-2の感染者は、性行為で感染していることから、この後日本国内でHIV-2の感染が性行為で拡大することが危惧されていました。
しかしながら2010年現在まで、HIV‐2の日本国内での感染者の報告は幸いなことにありません。
しかしその実態はわかりません。検査によって事実が明らかになっていないだけで、静かに感染が拡大しているかもしれません。つまり、今後も感染が広がっていく危険性は考えておくべきだということです。
HIV-2の感染力はHIV-1に比べて非常に弱いとされていますが、コンドームを使わないセックスやアナルセックスをすることによって、感染する可能性があります。ですからHIV-1と同じようにHIV-2の感染予防にも充分に配慮すべきです。
AIDSは他人事ではありません。セーフティーセックスを常に心がけておきましょう。
2010年09月12日