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肛門にできた巨大尖圭コンジローマ(その2)
前回は少し前に私の診療所を訪ねてきた、36歳のある男性会社員の話をご紹介しました。
詳しくはバックナンバーをご覧ください。
今回は、肛門の周りに巨大尖圭コンジローマができていた彼を、「ベセルナクリーム5%」を
使って治療した時の様子をご紹介しましょう。
「ベセルナクリーム5%」の使い方は、一般的には就寝前に患部を中心に、
クリームを手指で塗ります。
そして約8~10時間後に入浴し、そのクリームを石ケンで洗い流す作業をします。
この一連の作業を1週間に3回行います。
今回の彼にも、ベセルナクリーム5%を処方し、肛門周囲への塗布療法を開始しました。
開始から2週間後には全体的に尖圭コンジローマのボリュームが約10%減少。
さらに4週間後には肛門周囲皮膚が発赤し、一部ビラン面(タダレ)がでてきましたが、
尖圭コンジローマのボリュームは約40%減少しました。
長期間にわたるべセルナクリーム5%の治療は、患者さんが塗布を忘れてしまったり、
怠けてしまったりすると効果が表れにくいこともあるのですが、この彼の場合は治療意欲が
高く、そのまま順調にベセルナクリーム5%の塗布療法を継続することができました。
治療を開始してから8週間後には多少のタダレはあるものの、ボリュームは約90%減少と、
私の予想よりも早く進行。
12週間後にはボリュームは約98%減少し、尖圭コンジローマは3スポットのみに
認められる状態になりました。
ここまで来たところで、彼と相談し、レーザー治療に踏み切りました。
今月でレーザー治療後3ヶ月になりますが、術後経過は順調です。
心配していた再発も認められず、「良かった、良かった」という心境です。
ちなみに、彼の話によると、婚約中の彼女の尖圭コンジローマの方は、
他の婦人科でレーザー治療を受け、こちらも経過は順調とのことでした。
尖圭コンジローマの治療は再発との戦いでもあります。
完全に治癒するには、患者さんと医師の信頼関係に基づく、
長期間の「共同作業」が必要です。
一般的には、経過が長くなり患者さんの治療意欲が低下すると、治療成績も低下します。
そこで、患者さんの患部の状態だけでなく、精神状態をしっかり見極め、
適切なアドバイスをしたり、根気よく励ましたりする医師のサポートが
大変重要になってきます。
ですからこの治療は、ある意味、患者と医師の“愛の共同作業”とも言えるかもしれません。
この彼とフィアンセの治療努力が実り、結婚、そして新しい命の誕生となりますことを、
心より祈念しています。
2010年11月05日