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性器伝染性軟属腫(ミズイボ)
ある秋の日の夕刻、27歳の主婦が私の診療所に受診してきました。受診理由を聞いてみると、「先生、実は“あそこ”にイボができました。
2日前にお風呂に入っているときに気が付いたんです」という訴え。
早速診察いたしますと、左右の大腿部の内側と恥丘部に、
灰白色の直径1.5~2mm大のイボがパラパラと10個近くできていました。
専門医が診れば一目でわかります。
これは「伝染性軟属腫」で、通常は良く幼稚園児にできる、いわゆる「ミズイボ」です。
ミズイボの病原微生物は伝染性軟属種ウイルスです。
大人では性行為(スキンシップ)を通じて外陰部やその周辺によくできますから、
「性器伝染性軟属腫」とも言われています。
潜伏期間は2週~6ヶ月。タオルやバススポンジなどから間接的に感染することもあります。
また子供から移ることもあります。
イボの大きさは粟粒大~大豆大。中心に臍のあるドーム状の腫瘍で、表面は滑らかで、
蝋様の光沢があり、専門のピンセットでつまむと乳白色の粥状の内容物が出てくることが特徴的です。
イボは外陰部、恥丘部、肛門周囲、大腿内側などに多くできます。
治療は専用のピンセットで一つ一つ摘んで取ります。
大きな場合はレーザーによる蒸散あるいは液体窒素による凍結療法などを行います。
このイボは、乾燥肌の人に多く見られ、白色ワセリンなどの保湿剤だけでも治癒することがあります。
従って、入浴後は保湿剤でスキンケアーをすることが治療には効果的です。
タオルは患者と別のものを使用し、感染を防ぐためにスキンシップはやめましょう。
患者の衣類などは熱湯消毒を推奨します。
また顔面にミズイボがたくさんできたら、AIDS(HIV感染)を疑わなければならないことも覚えておきたい知識です。
この主婦の方の場合は、ピンセットでの処置でイボの治療をいたしました。
幸い、お子さんにはミズイボが移っていないということで、私も安心いたしました。
2010年11月17日