泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

Home > 【尖圭コンジローマ】 > 尖圭コンジローマの予防ワクチン(その3)

尖圭コンジローマの予防ワクチン(その3)

tree4.gif



前回は来年に承認がおりるとされている、4価HPVワクチン(MSD社:ガーダシル)について

お話ししました。くわしくはバックナンバーをご覧ください。

今回は、4価ワクチンに詳しいK先生と私で行った対談の模様をご紹介します。

******対談*********

尾上:「K先生、4価ワクチンは尖圭コンジローマに予防効果があるのでしょうか?」

K先生:「効果はあります。女性にも男性にも、4価ワクチンの尖圭コンジローマの
疾患予防効果は証明されています」

尾上:「ワクチンですからセックスデビューしてない若い人効果があるのは分かります。
しかしオーストラリアでは、26歳以下の女性の尖圭コンジローマも、この3年で明らかに
減少していると言われています。しかも、そのパトナーの若い男性の尖圭コンジローマも
減少傾向にあるそうですが、本当でしょうか?」

K先生:「さすがによくご存じですね。そうです。
つい最近、「Lancet Infectious Diseases」に4価ワクチンのデータが掲載されました。
それによると、オーストラリア在住の女性の間では尖圭コンジローマ減少し、
非在住の女性では減少していないそうです。」


尾上:「それはつまり、オーストラリアでは、26歳まで公費負担(無料)で4価ワクチンを接種できるので、
そのワクチン接種を受けた女性だけに、尖圭コンジローマの減少傾向が見られると言うことですね。」

K先生:「その通りです。その恩恵で、オーストラリアでは、26歳以下の女性をパートナーに持つ男性の
尖圭コンジローマも減少しています。
一方、27歳以上の女性をパートナーに持つ男性では減少していません。
なぜなら27歳以上の女性はワクチン接種されなかったからです。
このことからも、4価ワクチンの効果は明らかですね。」

尾上:「将来的に日本では4価ワクチンが尖圭コンジローマの予防として使用されるのでしょうか?」

K先生:「来年(2011年)には、承認・発売されるのではないかと期待しています」

尾上:「これによって尖圭コンジローマの予防・治療が一変しますね。」

来年の4価HPVワクチン(MSD社:ガーダシル)の承認が待たれますね。


2010年12月06日

Entries

Archives