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高齢者女性も淋病にはご用心(その1)
ある寒い朝、私の診療所に
「先生、おりものが変なんです。旦那が遊び人なんでちょっと心配で、診ていただきたいんですが・・・」
と言って65歳の女性が受診してきました。
早速、子宮頸管・腟分泌物の検査(顕微鏡検査・遺伝子増幅検査SDA法)を行ないました。
その腟鏡検査時に、子宮頸管から膿性の分泌物を認めました。
65歳という年齢から考えて、淋菌感染症は考えにくいと思っていたのですが、HE染色の顕微鏡検査では多核白血球を多数認め、その多核白血球の細胞内に貪食された双球菌を認めました。
これは男性の淋菌性尿道炎と同様の所見です。
つまり、この65歳の女性は立派な淋菌性子宮頸管炎ということになります。
若い女性の子宮腟部・頸管部の粘膜には円柱上皮細胞が存在します。
淋菌やクラミジアはこの円柱上皮細胞が好きで、この細胞のあるところに好んで住み着くと考えらています。
しかし閉経期を過ぎますと、この円柱細胞が子宮腟部・頸管部から消失していきますから、淋菌感染症やクラミジア感染症に罹りにくくなると考えられています。
ですからこの65歳の女性の淋菌感染症は比較的珍しいともいえます。
となるとその原因が問題です。そこで感染機会・性行為についての問診を進める事にしました。
この続きは次回にご紹介しましょう。
2011年02月06日