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安全なセックスとは?(女性編)

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安全で健康なセックスとは、どんなセックスなのか。
男性側のことをお話した前回に続き、今回は女性側の話をしましょう。
キーワードは前回と同様、「ウェットなセックス」です。

健康な若い女性のおりもの(帯下と呼ばれる子宮頸管・腟分泌物)は、腟の粘膜を絶えず潤しています。、また、このおりものは老廃物を外に排除するほか、雑菌から腟を守る働きもあります。通常は無色透明、白色あるいは淡いクリーム色をしています。

さて、このおりものは、腟の粘膜を潤してはいますが、これだけではウェットなセックスをするには十分ではありません。

もう一つ、必要な粘液があるのです。健康な女性であれば性的な興奮により、ぬるぬるした透明な潤滑液 (無色透明な漿液性粘液)が何処からか、泉の如くあふれ出てきます。この潤滑液は腟の入り口部分を潤し、ペニスの挿入を容易にする働きがあるので、この潤滑液が出てくることによって、男性を受け入れる準備が始まったということになります。

この液が有名な、“女性の愛液”といわれているバルトリン腺液です。

それでは、バルトリン腺はどこにあるのでしょうか。それは小陰唇の外側下部(左右一対)にあります。表面からはまったく分かりません。

バルトリン腺の正式な名称は、大前庭球腺といいます。ここでバルトリン腺液が生産され、腟前庭部の腟口下部外側のピンホールからでてきます。このピンホールを開口部といいます。

あまり知られていませんが、女性にはもう一つ愛液が出る、スケネー腺という分泌腺があります。ただし、分泌量はバルトリン腺ほど多くはありません。

スケネー腺は外尿道口の直ぐ内側下部の左右に位置しています。

女性の愛液はバルトリン腺液だけではないのです。スケネー腺液も素晴らしい愛液です。

このように、男性も女性も濡れていることがセックスの必要条件なんです。ドライなセックスはお互いを傷つけてしまいますからね。セックスはあまりあわてないでください。スロー!スロー!スロー!が原則です。お互いにしっかりウエットな状態になっていることを確認してください。

そして何よりも、安全で健康なセックスで一番大事なことは、パートナーを愛することです。貴方はもしかしたら、目の前のパートナーではなく、セックスのみを愛してはいませんか!?

そうではなく、パートナーをしっかりと愛してくださいね!そのポイントを、ご理解いただければ幸いです。それでは性の健康を祈念しまして、今回のコラムを終わりたいと思います。


2011年05月17日

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