泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

Home > 【ヘルペス】 > ヘルペスの治療に包茎手術?!

ヘルペスの治療に包茎手術?!

120106b.jpg

再度、同じドクターから“性器ヘルペス”の治療についてのご質問がありましたのでそのお話をいたします。

【相談】
先日はご教授ありがとうございました。 でもわたしはバルトレックスを何時も1週間を始めに出して終わりにしていました。 何も問題がないようでした。追加はしていません。外用はゲンタシンかリンデロンVGクリームを使っています。 包茎内に出来る人は包茎を手術した方が出来る頻度が減って、 出来ても軽く終わるという経験と考えを持っていますが、先生も同じ考えでしょうか?
宜しくお願いいたします。

【回答】
保険診療において、初感染(あるいは初発)の場合は投与期間は10日間まで投与可能です。ですから7日間はOKです。しかし、再発の場合は5日間が限度ですから、7日間投与は不適切です。 前回お話いたしましたが、外用薬は必ずしも必要ではありませんが、 病変部位(ビラン面、潰瘍面など)を消炎、保護する意味ではよろしいかと考えます。ゲンタシン軟膏でも良いと思います。
特にゲンタシン軟膏は細菌の二次感染を伴う場合あるいは二次感染を予防する意味では有効と考えます。 私は、基本的には、粘膜部、皮膚粘膜移行部にはリンデロンVG(ストロングタイプ)は使用しないようにしております。短期間であれば良いかもしれませんが、性器ヘルペスには用いない方がよろしいかと存じます。
性器ヘルペスと包茎の関係ですが、これについてはエビデンスがないので私にはわかりません。
性器ヘルペスの初感染は性感染症ですが、再発は何らかのストレスで発症してきますから本人にとっては性感症ではありません。しかも、性器ヘルペスは未治療(放置)でも皮膚粘膜症状は良くなりますから、 包茎の手術をした方が、再発頻度が減るか否かということはわかりかねます。
ですが、性器ヘルペスの再発は、同じ神経線維を伝わって、同じ個所(部位)に再発する傾向がありますから、再発する箇所がわかっていれば、その個所を含めた包皮を切除すれば再発頻度が減少するかもしれません。先生が言われるように包皮は再発部位としては最も頻度が高いと考えられますから、この包皮の部位を切除すれば臨床的意義はあるとも考えられます。

先生、いいご質問をいただきありがとうございました。
お元気で!




2012年01月06日

Entries

Archives