泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

Home > 【その他の病気】 > スキンシップでうつる疥癬(後編)

スキンシップでうつる疥癬(後編)

20120109a.jpg


前回は、疥癬という皮膚病には2種類あり、そのうちの一つが、角化型疥癬という 感染力の強い疥癬だということをお伝えしました。
今回は、感染した場合の 症状と治療についてお伝えしましょう。

ヒゼンダニは、感染してから1~2ヵ月経つと、胸や指の間などに赤い ブツブツができ始め、強い痒みを起こします。
よく手のひらに線状の『疥癬トンネル』を作って、約1ヵ月間、卵を産み続け、卵から約2週間で成虫になるサイクル(生活史)を繰り返すことで、症状を持続させているのです。
この虫が見つからないと確定診断ができず、診断が難しいといわれています。
痒みが強いため、診断がつかないままステロイド外用剤による治療を続け、症状が悪化し、家族内に感染が広がるケースもあります。

治療には、内服薬と塗り薬があります。
最も有効なのは、イベルメクチン という内服薬の駆虫薬です。よく効きます。
しかし、妊婦や体重15kg以下の子供には毒性が強く使用できません。
塗り薬にはクロタミロン(オイラックス)がありますが、やはり妊婦や小児には 広範囲に大量は使用できず、しかも効果が弱く、有効な塗り薬がないのが現状です。

海外では、より効果の高いペルメトリンという塗り薬があり、妊婦や乳幼児にも 使用されていますが、日本国内では未承認です。
日本でも、より安全性の高い薬の開発が望まれるところです。

最後に、長時間のスキンシップ(肌と肌が直接触れる)で感染しますから、性感染症としての側面もあり、お父さんが何処かから貰ってくると、家族中に 感染するかもしれませんよ。
まさに、“君子危うきに近寄らず”といったところでしょうか。

それでは、ご機嫌よう。




2012年01月10日

Entries

Archives