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ケジラミは痒いとは限らない!?(前編)
30代後半の男性が受診してきました。サラリーマンです。
「先生!下着に点々と黒い粉のような物が、付いているんですけど」
『痒く、ありませんか?』
「あまり痒みは感じませんけど・・・」
そこでピンときました。これはケジラミだ!
『それでは、診察いたしましょう。上向きで、横になりましょう。パンツを膝までさげて下さいね』
彼は白いパンツをはいており、その白いパンツには確かに黒褐色の粉様物質がびっしり付いていました。
あまり凝視できない、もしくはあまり凝視したくない状景です。
よくここまで放置していたものだと思うほどでした。
そして、目線を外陰部に移すと、これまた「御見事」というような状態であった。
何と、ケジラミがウジャウジャ見えるのです!
また、ケジラミの卵が陰毛に連珠状に連なって見られ、幼虫もしっかりと存在を主張しています。
さらに肛門周辺、毛脛また臍の周囲。毛の生えている部分に毛じらみの存在が認められました。
毛じらみをピンセットで採取し、虫卵が付いている陰毛を眼科用の小さなハサミでカットします。
幼虫も採取し、これを光学顕微鏡で低倍率に落として、観察いたしました。
そこには、虫の体内の様子がはっきりと映っていました。
その虫の腸管の中には、腸管の蠕動運動に合わせて、その男性の血液が移動している様子がはっきりとわかります。
その様子は、まるでケジラミの心臓が鼓動を打っているようにも感じられます。
彼にも顕微鏡を覗いてもらいました。さすがに彼も驚愕した様子!
「アーッ!」と驚きの声が上がります。
それでは次回は、ケジラミの治療についてお話いたしましょう。
2012年04月09日