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女性の硬性下疳について(前編)

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梅毒第1期にあらわれる顕症梅毒の初期症状に、初期硬結と硬性下疳(コウセイゲカン)があります。その中で、男性の硬性下疳はしばしば目にしますが、女性の硬性下疳は私の経験では非常に稀といえます。
今回は、その女性の硬性下疳の症例をご紹介いたします。

患者さんは、29歳、女性で、未婚です。
職業は性風俗従事者(commercial sex workers;CSW)の方です。
当院に来られたのは「外性器のただれ」を訴えてでした。来院の3日前に外性器のびらんに気付かれたようです。


初診時の性器を確認したところ、左クリトリス包皮と大陰唇を伸ばすと、クリトリス包皮の外側に直径約10㎜大の潰瘍があるのがはっきりとわかりました。
しかし、その潰瘍に疼痛はなかったようです。
ただし、CSWの仕事中は軽度の疼痛を感じたということでした。
また、左鼠径部リンパ節は腫れていましたが、疼痛はありませんでした。
体温は36.8で、特に発熱はありません。
彼女はCSWですが、特定のパートナーはいないとのことでした。

初診時の検査成績は次の通りでした。
梅毒血清反応の成績は、RPR(自動化法)330.0R.U.、RPRカードテスト256倍、TP抗体1290.0T.U.でした。
そして、臨床症状、問診および検査所見より第1期顕症梅毒と診断いたしました。

次回は、この女性の治療をどのように進めていったかについてお話し致します。


2012年04月18日

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