ヘルペスの相談
女性からヘルペスについて相談がありました。
【相談者】
40代後半の未婚の女性で、10代の男の子が一人います。
【相談内容】
ヘルペスと口唇ヘルペスは違いますか?
最近、インフルエンザにかかり、同時に口唇ヘルペスを発症してしまいました。
口唇ヘルペスはキス等で感染するのは知っていますが、陰部への感染はするのですか?
教えてください。
【回答】
ヘルペスと口唇ヘルペスは違いますよ。
ヘルペスは日本語では「単純性疱疹」と言って、身体のどこにでもできます。
その原因は単純性疱疹ウイルス(1型あるいは2型)です。
口唇ヘルペスは原因は同じウイルスですが、発症する部位が口唇とその周辺にできた場合を口唇ヘルペスといいます。
いずれも水疱ができる皮膚・粘膜の病気です。
口唇ヘルペスは「風邪の華」とか「熱の華」とかと言われおり、体調が悪いときに発症します。
多くは口の周囲に水疱ができ、痛みや痒みを訴える場合もあります。
貴方もその例にもれず、インフルエンザにかかり、体調不良となり、口唇ヘルペスが発症したと理解すべきでしょう。
では誰から単純性疱疹ウイルス(1型あるいは2型)をもらったかというと、おそらく貴方が赤ちゃんの時に、貴方のパパあるいはママからチュチュされてもらったものでしょう。
ですから、愛情表現の表れとしてもらったものと考えられ、私はこれを「愛情ヘルペス」と言っています。
口唇ヘルペスは放置しておいても、良くなってしまいます。
しかし、ヘルペスウイルスが増えたままの状態で、顔面の三叉神経に眠ってしまいます(遺伝子の形で潜伏)。
そうしますと、何らかのストレスがあるたびにウイルスが目を覚まし、再発を繰り返すことにもなりかねません。
ですから、抗ウイルス薬を飲んでヘルペスウイルスの量を減らしておいた方がよろしいでしょう。
抗ウイルス薬を飲まないでいると、ヘルペスウイルスの量が増加し、再発を繰り返すことになります。
貴方が言うように、口腔内の唾液にヘルペスウイルスがいますから、キスだけでも感染いたします。
そして大事なことですが、口唇ヘルペスが発症しているときにオーラルセックスをすると、唾液の中にヘルペスウイルスが沢山いますから、パートナーの性器に感染する可能性が大です。
そうしますと“性器ヘルペス初感染”と言って、かなり激しい症状(水疱、ビラン、発熱、局所の痛み、膀胱炎症状、鼠径部リンパ節の有痛性腫脹など)が出てくるかもしれません。
最後に大切なことを言っておきます。ヘルペスは皮膚・粘膜に症状がでますが、皮膚・粘膜疾患ではなく、本体は“神経のウイルス感染”症です。お忘れなく。
ヘルペスの病態を理解するのは、かなり難しいですね。
理解できましたか。それではごきげんよう。
2012年04月24日