泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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「性器ヘルペスの初感染」の皮膚・粘膜症状について

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 最近、ある泌尿器科医から質問がありました。
 
 【質問】
「性器ヘルペスの初感染」の際、皮膚・粘膜症状として、水疱、ビランが左右対称性にでるのは何故ですか?
 
 【回答】
このご質問に明快に回答することは難しいことです。
私なりの考えをいくつかお話しいたします。
 
  1. 「性器ヘルペスの初感染」は性感染症です。
    典型的な初感染では口腔内の唾液に存在するHSV-1が、性器の皮膚・粘膜の微細な傷から侵入します。
    口がパートナーの性器に来るわけですから、このオーラルセックスにより微細な傷が性器およびその周辺に沢山できます。
    HSV-1が含まれている粘液(唾液)が性器の左右に万遍なく濃厚に接触するわけですから、 水疱、ビランが左右対称性に発症しても何の不思議もありません。むしろ性器の偏った方にしか接触させないでオーラルセックスをすること自体、難しいことと思われます。
    ですから、水疱、ビランが左右対称性に発症することは当然と考えられます。
  2. また、初感染の際に性器周辺などでは、手や指などにより感染部位から両側(左右)への拡散もあるのかもしれません。
  3. さらに感染したウイルス量より水疱内で増殖したウイルス量の方が多いと思われるので、接触等により1日遅れで感染し感染部位が拡大することも考えられます。
  4. また、初感染時には免疫がありませんので、ウイルスは自由に広がることができます。
    そして免疫が立ち上がるまで、ウイルス増殖が続き、範囲も広く、病変は拡大すると考えられます。
 
以上、ご理解いただけましたでしょうか。




2012年08月27日

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