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性風俗嬢のアメーバー肝膿瘍(後編)
今回も引き続き、「赤痢アメーバー症」と「アメーバ―肝膿瘍」について勉強していきます。
この症状には、早期発見・早期治療が肝要なのですが、実際には、患者から性風俗店等での性行為歴を聞きだすことは難しいことをお話しました。
さらに重要な点は、感染源となった相手が特定できず、仮に特定できても患者のプライバシーが優先され、感染源となった相手にたどりつけないという問題が残ることです。
また、肝膿瘍が縮小しているとわかったら、患者は自らの判断で、外来通院を自己中断する傾向もあります。
患者側に、治療が重要なものであることへの認識がまだまだ低いことが想像されますので、この点に対する啓蒙も重要です。
このように、感染源である人物の治療が困難であり、また患者自身が今までの性嗜癖から円滑に脱却できることは難しく、治療後再発したという報告もあり,赤痢アメーバーがひそかに蔓延するのではないかと憂慮されるところです。
これらの問題を解決する組織だった体系、ならびに法を整備することは、大変困難と思われます。
医師と患者間の信頼関係を築き、アメーバ肝膿瘍の感染経路にたどりつけば、アメーバーを持っている者の蔓延を防ぐことができ、その集められた情報を、医療現場に役立つ情報として逐次発信していくことが可能となりますが、残念ながらその情報をコントロールする組織がありません。
まだまだ、日本における性感染症としての赤痢アメーバ症に対する医療従事者・患者の認識度は低く、現行の性感染症検査項目にさらに、赤痢アメーバを加えるなど、総合的な赤痢アメーバ感染拡大防止対策が望まれます。
2012年10月15日