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小児の水いぼ治療(前編)
今回からしばらく、水いぼの治療について、勉強したいと思います。
当院には、しばしば、近所のお母さんが、小児の水いぼを取って下さいと言って、来院します。
先日も、あるお母さんが、5歳の女の子(姉)の水いぼを取った数日後に、3歳の弟を連れてきました。弟を診察すると、やはり水いぼが数個できており、ピンセットで摘まんで取りました。
水いぼの中からは、お粥状のものが出てきました。
さて、まず、水いぼとはどんなものなんでしょうか。そこから勉強を始めたいと思います。
俗に水いぼと言われていますが、正式な名称は伝染性軟属腫といいます。ポックスウイルスの一種の、伝染性軟属腫ウイルスによる、皮膚のウイルス感染症です。
幼児から小学生の低学年ぐらいまでのお子さんに多くみられる疾患です。まれに大人に性感染症として見られることもあります。
では、症状はどんな感じで表れ、どう診断するのでしょうか。
症状としては、だいたい大きさが2~3mmぐらいまでの小さい丘疹が、多発して見られます。一つ一つ、よく観察してみると、真ん中がちょっとへこんで見えます。この窪みを専門用語で臍窩といいます。
また、水いぼは光沢があって、少し透明に見えることがあります。ですから、ほとんどは肉眼所見で診断できます。
いわゆるあせも、水晶性汗疹、普通のいぼや尋常性疣贅であったり、炎症を伴っていれば虫さされ、また水疱様に見えると水痘などと、区別が必要になることがあります。(鑑別診断といいます)
水いぼの場合は、摘まみ取ってみると、中から透明でういろうのような粥状のものが出ますので、それを確認する事で、伝染性軟属腫と診断できます。
肉眼で見る以外の方法で診断をするには、ダーモスコピーという反射を抑えた拡大鏡のようなものを、皮膚科で使用する場合があります。そういうものを使って見ると、普通のいぼと水いぼの鑑別は、かなり正確にできると考えられます。
次回は、水いぼの感染経路についてお話したいと思います。
2012年10月29日