『ケジラミの疎開』
30代の男性が外陰の痒みを訴えて受診してきました。「先生! ケジラミかもしれませんから、あそこをそってしまいました」
外陰部を診ると確かに剃毛されていましたが、不完全です。
私は思わず『毛を剃らないで来ればよかったのに!』とつぶやきました。
外陰、肛門周辺、大腿部、臍部、腋窩部を丁寧に視診を行ったところ、いました、いました、ケジラミが。
肛門周辺に幼虫が1匹、大腿部の発毛部に成虫が1匹、発見。
この現象は、まさにケジラミの疎開行動です。
そもそも、疎開(そかい)とは、軍事作戦において、集団行動している兵を散らし、
攻撃目標となり難い状況を作りながら作戦行動を行なう事をいうのが元の意味だそうです。
日本においては第二次世界大戦末期に、攻撃目標となりやすい都市に住む学童、老人、女性、 又は直接攻撃目標となるような産業などを分散させ、 田舎に避難させるという政策を指す言葉として一般化しました。
私がいう、「ケジラミの疎開」とは、本来ケジラミの最も住みやすい陰毛である「毛の密林」が無くなった場合の緊急避難行動です。
ケジラミは恥丘、性器周辺の陰毛の臭いが好きで、ここに住み着きます。この部位がケジラミにとって、最も住みやすい環境と考えられます。
この部位でヒトの血液を吸い(吸血)、生活しています。そしてメスの多くは陰毛の基部に産卵します。
ヒトの血液を吸った状態のケジラミを見つけることは、成虫であれば比較的簡単ですが、 ヒトの血液を吸ってない状態のケジラミを見つけることは、難しくなります。
その理由は、ケジラミの体内にヒトの血液が貯留されていれば、虫体は赤色~茶褐色に見え、目視で確認できます。
しかし血液が貯留されていなければ、虫体の色はヒトの肌色に近く、あるいは透明感があり目視では確認できなくなります。
さて、陰毛を剃毛してしまうと、ケジラミは肛門周辺、臍部、乳輪周辺、腋窩、下肢の体毛などへ緊急避難行動を起こしてしまう可能性があります。 ですから、不完全な剃毛(毛を剃る)してしまうと、運よく、難を逃れたケジラミは、他の毛の生えている部位に移動してしまいます。 また完全な剃毛を自分自身で行うことは大変、難しいと考えます。
では、完全な剃毛をすれば良いのか?という事になりますが、完全な剃毛とは、肛門周辺、臍部、乳輪周辺、腋窩部、大腿部などの体毛など、 ケジラミが疎開できそうな場所すべてを処理することになります。 しかし、自分自身でそれを行うことは大変難しいと考えられます。
最も良い治療法は、剃毛をしないことです。ケジラミが最も好んで住みたいところに住まわせておき、そこを、ある武器で攻撃すれば最も効果的です。 ある武器とは「スミスリンLシャンプー」のことです。シャンプーですから、身体すべての毛に対応できます。
攻撃の翌日からあそこは快適になり、かつ平和になります。
現在ではスミスリンLシャンプーが最も良い治療法と考えます。
2013年06月27日
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