性器ヘルペスの検査について
皮膚科の先生から性器ヘルペスの検査について、相談を受けました。 今回はその時の回答を基に、実際の性器ヘルペス鑑別診断について、お話しましょう。性器ヘルペス、口唇ヘルペス、ヘルペス性歯肉口内炎などの形態をとる皮膚および粘膜の単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus:HSV)感染症は、皮膚科領域の日常診療でよく遭遇する疾患です。
こうしたHSV感染症の診断には、典型的な症状に対する理解、適切な問診と視診を中心とする診察が不可欠です。
典型例においても確定診断には検査が望ましいのですが、日常診療においてしばしば遭遇する非典型的な症例の場合にも、適切な検査を選択する必要があります。
HSV感染症の診断法には、ウイルスを直接証明する抗原検査と、血清抗体の上昇によって診断する抗体検査とがあります。
血清を用いた抗HSV抗体価の測定は、日常診療において比較的施行しやすい検査の一つですが、病変のウイルスの存在を証明することは難しく、また、検査結果の判読には各検査手法の特徴をよく理解することが必要です。
一方、病変からの検体を用いた検査ではTzanck試験、蛍光抗体直接法によるウイルス抗原検査、ウイルス分離培養およびシェルバイアル法、核酸増幅法等があげられます。
核酸増幅法の中でもLAMP法は感度(*1)および特異度(*2)が高く、簡便かつ迅速に結果が得られる長所があります。
さらに、近年イムノクロマト法を用いた非常に簡便な迅速検査キットがHSV感染症でも使用可能になっています。
(*1)感度:陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率
(*2)特異度:陰性のものを正しく陰性と判定する確率
2013年07月19日
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