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『単純ヘルペスの鑑別診断について』
皮膚科領域の日常診療で遭遇する単純ヘルペスは、その多くが典型例であるため、 ウイルス学的検査を行わなくても、問診や臨床所見により診断は容易に行われます。しかし、他の疾患との鑑別を要する例や非典型例では、ウイルス学的検査が必要となることがあります。特に、免疫不全患者では深く大きい潰瘍を形成し、潰瘍周囲の炎症所見が乏しい非典型例があります。
しかしながら、日本では保健適用の検査が限られており、検査法によって感度(*1)・特異度(*2)が異なるため、これらを充分に把握した上で検査を実施することが重要となります。 単純ヘルペスと鑑別を要する疾患を次に示します。
◆ヘルペス性歯肉口内炎、口唇ヘルペスとの鑑別が必要な疾患 口腔カンジタ症、手足口病、ヘルパンギーナ、多形滲出性紅班、習慣性アフタ、 天疱瘡、帯状疱疹、伝染性膿痂疹、口唇炎、口角炎
◆性器ヘルペスとの鑑別が必要な疾患 帯状疱疹、ベーチェット病、梅毒、固定薬疹、鼡径(そけい)リンパ肉芽腫、 カンジタ症、急性HIV感染症、軟性下疳
◆カポジ水痘様発疹症との鑑別が必要な疾患 アトピー性皮膚炎の急性増悪(*3)、伝染性膿痂疹、自家感作性皮膚炎
次回から、この皮膚粘膜の単純ヘルペスウイルス感染症の検査法について、 専門的になりますが、順次お話しします。 それではご機嫌よう。
(*1)感度:陽性と判定されるべきものを正しく陽性と判定する確率
(*2)特異度:陰性のものを正しく陰性と判定する確率
(*3)急性増悪(ぞうあく):落ち着いていた病状が急激に悪化すること。
2013年07月29日
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