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性器伝染性軟属腫(ミズイボ)
20代後半の男性が受診に来ました。「先生、性感染症になったかもしれません。性器に白いブツブツができました。尖圭コンジローマが心配です。」 診察すると陰茎に直径2~3mmの10数個の灰白色のイボが認められました。 そのうち数個には臍窩が認められ、直ぐに性器伝染性軟属腫(ミズイボ)と診断できました。 患者が心配していた尖圭コンジローマではありませんでした。
問診すると、感染機会は2カ月前で、感染源は性風俗嬢ではなく、ナンパして知り合った女性だそうです。 このミズイボをピンセットで摘まんで、一つ一つ取っていきました。
さて、性器伝染性軟属腫(ミズイボ)とはどんな病気なのか、少し勉強しましょう。 俗にミズイボと言われていますが、正式な名称は性器伝染性軟属腫です。 病原体は、ポックスウイルスの一種である伝染性軟属腫ウイルスです。つまり皮膚のウイルス感染症です。 多くは、幼児から小学生の低学年ぐらいまでの子供にみられる病気ですが、大人では性感染症(スキンシップ)として見られます。
症状は多くの場合、大きさが2~3mmぐらいまでの小さい丘疹(*)が、多発して見られます。 診断は、肉眼的所見によることが多いです。ミズイボは灰白色で少し光沢があり、半透明に見えます。 よく観察すると、真ん中がちょっとへこんで見えます。この窪みを専門用語で臍窩(さいか)と言います。
このイボを摘まみ取ってみると、中から半透明の粥状のものが出てくるので、一般的にはこの物質を確認し、伝染性軟属腫と診断します。 感染は経皮感染で、主に接触(スキンシップ)でうつりますから、掻いたりすると周りに拡がり増殖する場合があります。 潜伏期間はだいたい2~7週間ぐらい、長くても半年ぐらいまでではないかと考えられています。 伝染性軟属腫は数週間から数カ月で自然消退するものもあれば、逆に年単位で続くものもあります。 治療は、一つづつ、イボ取り専門ピンセットで摘まみ取るのが一般的です。
(*)丘疹:直径1cm以下の皮膚の隆起。発疹の分類の一つ。
2014年01月17日
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