泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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クラミジア・淋菌 咽頭検査の必要性とうがい液の有用性

アンプリコア・クラミジアシリーズキットの発売から20年が経過し、現在までに産婦人科、泌尿器科を中心にクラミジア、淋菌のPCR法(*1)等を用いた核酸増幅(*2)同定(*3)検査が広く用いられ、性感染症のコントロールに大きく貢献してきました。

しかし近年では病原体の多様化が進み、従来の検査キットでは検出できない事例も報告されています。また、性行為においてオーラルセックスが日常化し、性器のみならず口腔も感染源となり、咽頭検体を用いた性感染症の検査ニーズが高まってきています。

2012年6月よりアンプリコア・クラミジア/淋菌シリーズキットの後継品として、新しい検査キットが開発され、コバス4800システムCT/NG(*4)として発売されています。コバス4800CT/NG(*5)は従来の課題をすべて改善した製品で咽頭「うがい液」の測定も可能となりました。

今後、性感染症蔓延防止の観点から、咽頭からのクラミジア、淋菌検査の必要性が益々高まってくることが予想されます。今回、患者への侵襲(*6)性が低く採取者の技量に影響されにくい、「うがい液」を用いた検査の有用性が注目されています。

「うがい液」法は生理食塩水(0.9%)約15mlを口腔に含み、上を向いてガラガラうがいを15~20秒するだけです。このうがい液の一部が検体となります。しかも、この「うがい液」法が日本で初めて2012年7月1日より保険適用されました。

一方、従来のスワブ法(=拭い液法)は綿棒で咽頭を拭うので、咽頭反射がある場合があり患者に負担がかかり、検体採取後にも咽頭違和感を感じます。また咽が十分に開かないことがあり、検体採取が困難になる場合があります。この新しい「うがい液」法を用いれば、耳鼻咽喉科医でなくても検体採取が容易に行えます。これは患者に対し大きな恩恵につながると考えられます。

(*1)PCR法:ポリメラーゼ連鎖反応法。
(*2)PCR法、核酸増幅については2013年11月08日のコラム「ウイルス遺伝子検査●LAMP法」をご覧下さい。
http://www.dr-onoe.com/2013/11/
(*3)同定:あるものが既存の分類のどこに帰属するか、探すこと。
(*4)CT/NG:クラミジア・トラコマティス/ナイセリア・ゴノレア淋菌。
(*5)コバス4800システムCT/NG:ロシュ・ダイアグノスティックス(株)が開発したクラミジアと淋菌の検査法。
(*6)侵襲:生体内の恒常性を乱す事象全般。生体を傷つけること。


feb


2014年02月18日

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