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川崎市における淋菌の抗菌薬感受性と遺伝学的性状
当院の研究生が第88回日本感染症学会学術講演会で口頭発表いたしましたのでご報告いたします。
第88回日本感染症学会学術講演会
期日:平成26年(2014年)6月18日~20日
会場:ヒルトン福岡シーホーク
学会発表内容は下記の如くです。
【03-112】012年~2013年に川崎市において分離されたNeisseria gonorrhoeaeの抗菌薬感受性と遺伝学的性状について
1)東邦大学看護学研究科感染制御学、2)宮本町中央診療所
1)井村幸恵、金山明子、小林寅喆 、2)尾上泰彦
【目的】
川崎市で淋菌感染症が疑われた患者の生殖器および咽頭より分離した、
N.gonorrhoeaeに対する抗菌薬感受性を測定し、遺伝学的に背景について検討を行った。
【方法】
2012年3月~2013年4月に淋菌感染症の疑いで来院した115例(男性67例、女性48例)を対象とした。
採取された尿道・腟分泌物および咽頭ぬぐい液からN.gonorrhoeaeを目的に分離培養し、CLSIが推奨する寒天平板希釈法に準じ抗菌薬感受性を測定した。
分離したN.gonorrhoeaeについてNG-MAST法により遺伝学的解説を行った。
【結果】
115例中培養陽性は83例(70.4%)でありそのうち男性は52例(77.6%)、女性は29(60.4%)であった。
N.gonorrhoeaeの生殖器・咽頭同時検出は男女とも6例に認められた。生殖器陽性例における咽頭陽性例は男性15.4%、女性32.1%であり、女性の方が高かった。
NG-MAST法による解説を行った98株は57タイプに分類された。
そのうち、ST6771に分類された株が13株で最も多くを占めた。
ST6771の13株中12株はCTRX、SPCM、TC、CPFXいずれにも感受性であった。
咽頭と生殖器の両方からN.gonorrhoeaeが検出された12例のうち、2例において両部位からの分離株のSTが異なっていたが、1例はMICパターンが類似していた。
その他10例は咽頭および生殖器分離株に対するMIC値に大差はなかった。
ST2958に分類された6株、ST1407に分類された5株は、PCG、TC、CPFXいずれにも耐性を示した。
2014年07月06日