泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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若い男性のクラミジア

30代前半の男性が受診してまいりました。
主訴は尿道がかゆいということでした。


問診:「何時から痒くなりましたか?」 『1週間ほど前からです」
感染の機会:「何時?何処で?誰と?どういうセックスをしましたか?」
『自分の彼女と2週間前に普通のセックスとオーラルセックスをしました』
「彼女だけですか? ほかに性風俗などはありませんか?」
『私は彼女だけです。風俗は行きません』 「わかりました」


症状:「どのくらい経ってから症状がでてきましたか?」
『その後、1週間ほどしてから尿道口から水様性の白濁した分泌物が出るようになりました』
「何かお薬は飲んでいませんか?抗生物質は飲んでいませんか?」
『何も飲んでいません』
性器の診察:「それでは診察いたしましょう」
性器の診察では確かに、外尿道口から水様性の白濁した分泌物が排出していました。
外尿道口の分泌物から塗抹標本を作成しました。
顕微鏡的所見では淋菌は否定できましたが、炎症所見をあらわす白血球を多数認めていました。
所謂、尿道炎の所見を示していました。
採尿検査:「それでは採尿いたします。最後に尿をしたのは、どのくらい前ですか?」
『3時間以上たっています』
ちなみに、尿道炎を疑う場合の採尿は、検体としては少なくとも2時間経ってから採尿した尿が適しています。
しかも排尿の最初から出る尿で、尿道内を通過してくる約20~30mlの尿を検体といたします。
尿量が多くなると病原微生物が希釈され(うすめられ)病原微生物の検出率が低下いたします。
また抗生物質を服用していると、その影響が2~3週間残るとされています。
そのため抗生物質を服用していると検査する意義がなくなります。ご注意ください。
また,咽頭検査も勧めましたが本人が拒否したため施行していません。
検査成績:塗抹標本の顕微鏡的所見では淋菌は否定できましたが、白血球を多数認めていました。
非淋菌性尿道炎の所見でありました。
治療:尿道炎症状がありますから、尿検査の成績は1週間後に出ますので、それまでは
とりあえず非淋菌性尿道炎に効果のある抗生物質の1つであるクラリスロマイシンを7日間投与いたしました。
1週間後に検査研究所から尿の検査成績が届き、クラミジア・トラコマティス陽性でした。
臨床診断はクラミジア性尿道炎ということになります。
1週間後に本人が来院した際には尿道症状は改善していましたが、念のためクラリスロマイシンを7日間追加投与いたしました。
さらに3週間後に来院していただきクラミジアの治癒判定検査を行い、陰性を得ました。
めでたしめでたしです。
また、パートナーの彼女は他の婦人科でクラミジア性子宮頸管炎の診断で治療をしたそうです。

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2015年04月22日

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