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『梅毒の診断と検査法について』3.病期による梅毒症状
少し専門的になりますが、前々回から6回にわたって梅毒の診断・検査法・検査の問題点・治癒判定・梅毒の届け出などについて勉強しています。
今回は梅毒シリーズ(全6回)の3回目です。
3.病期による梅毒症状
第1期顕症梅毒による病変は数週間程度で自然に消褪していき、潜伏期を経て
感染から約3か月程度で梅毒性ばら疹、梅毒性乾癬、扁平コンジロ-マなどに
代表される第2期顕症梅毒を呈します。
第2期梅毒は梅毒血清反応が陽性の時期であり「疑うこと」さえできれば診断は
比較的容易ですが、疑わなければ梅毒血清反応はル-チンで行う検査では無い為、
診断は困難となり、皮疹を見逃さないことが必要です。
典型的な皮疹で特に特徴的なものは掌蹠の赤斑であり、梅毒を疑った場合には
掌蹠の診察は欠かせません。
また第2期顕症梅毒は感染から3か月程度経ってから生じるため、患者からの
自発的な性感染症に関する問診は望みにくいと言えます。
たとえ患者本人が第1期に生じていた性器の症状を自覚していたとしても、
自然に軽快してしまっている病変と現在の症状を結び付けて、
さらにその症状を自発的に話すことは恥ずかしさもあるため困難となります。
患者本人は性器の症状や性交渉歴に関して「恥ずかしい」「言いたくない」
「思い出せない」という心理が働くのに加え医師側も慣れていなければ「聞きにくい」。
プライベ-トパ-ツに関わる疾患ゆえの診察、診断の難しさがそこにあります。
次回は、「4.梅毒の診断」について勉強いたします。
お楽しみに!
①第二期 手(掌)の紅斑
②第二期 足裏(蹠)の紅斑
③第二期 口腔内に生じたバタフライ・アピアレンス
④第二期 肛囲に生じた扁平コンジローマ
⑤第二期に見られる赤い丘疹が、楊梅(ヤマモモ)の果実に似ているので楊梅瘡(ようばいそう)と呼ばれていました。
いつの間にか「楊」の字が取れて、次第に梅瘡⇒黴毒⇒梅毒と変化したと言われています
2015年09月16日
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