「アタマジラミ症」
Nikkdi Medical 日経メディカル 6 June 2013 に掲載された冨田隆史先生の記事をご紹介いたします。
夏のモンスター!
この夏、要注意!
節足動物による感染症 ・皮膚炎
今回は殺虫剤抵抗性を獲得し蔓延していると思われる「アタマジラミ症」について国立感染症研究所の冨田隆史先生の報告についてお話しします。
沖縄などで抵抗性株が流行しているアタマジラミ症についてお話しいたします。
アタマジラミはシラミの一種で、頭部に寄生します。
寄生初期には自覚症状は乏しいのですが、個体数が増えると激しい掻痒感を生じます。
現在国内で唯一、アタマジラミ駆除用に認められているのは、ピレステロイド系殺虫剤であるフェノトリン(商品名スミスリン)です。
シャンプー剤や粉剤として販売されています。
しかし、この駆除剤に抵抗性を示すアタマジラミが、沖縄などの一部地域で大きな問題となっています。
実は、世界的にもピレステロイド抵抗性のアタマジラミが流行しています。
90年代後半から、抵抗性を示すアタマジラミが報告されるようになり、2000年に入ってからは、米国などではほぼ全てのアタマジラミがピレステロイド抵抗性を有すると報告されるようになりました。
「沖縄の状況は他の先進国と同じです。今後、時間がたてば、全国的に駆除剤抵抗性のアタマジラミが広まる可能性が高くなると考えています」と、感染研の冨田氏は話しています。
冨田氏らは、06年から11年までの6年間、アタマジラミ駆除剤(スミスリン)抵抗性の全国調査を実施しました。
その結果、沖縄などの一部地域で高い駆除剤抵抗性を確認しました。
ただし、「調査を開始した当初は、駆除剤抵抗性アタマジラミの急激な拡大が危惧されていましたが、これまでの調査では、抵抗性の上昇は認められなかった」と冨田氏は言います。
アタマジラミの感染拡大を防ぐための啓発活動として、流行が生じやすい学校や保育所などでは、タオルやクシの共用を避け、親が子どもの頭髪を丁寧に調べて成虫や卵の早期発見に努めるべきなどの指導が定期的に行われています。
「このようなキャンペーンが功を奏して、駆除剤抵抗性の上昇を抑えている可能性がある」と冨田氏は分析しています。
ただし、沖縄県などでは、ほぼ100%のアタマジラミで駆除剤抵抗性が認められており、有効な駆除剤へのニーズは高くなっています。新たな駆除剤の導入が待たれます。
以上です。
尚、私と冨田隆史先生は長期間、ケジラミの共同研究をしてきました。
①夏のモンスター
②アタマジラミ
③冨田隆史先生
2015年09月19日
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