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梅毒の感染力について (女性)

女性から梅毒についての相談がありましたので報告いたします。

【相談内容】
はじめまして。
お教えいただきたく、メールにて失礼いたします。
9月末に梅毒初期と診断され サワシリン250mg×2錠を1日3回 4週間服用しました。
11月2日 再検査をし 現在結果を待っている状況です。
先生のブログを拝見し、投薬から1か月以上たてば感染力はなくなるとのこと。
これについて質問です。
投薬開始から1か月
投薬完了から1か月
どちらでしょうか??
何を調べても感染力の有無のことは書かれてなく、通院している医院のお医者さんもわからないようで返事があいまいなのです。
お忙しいところ申し訳ありませんが、回答をよろしくお願いします。
 
【解答】
日本性感染症学会の治療ガイドラインにそった治療をしているのであれば、投薬開始から1ケ月で感染能力はなくなります。
一般的な日常生活はもちろん、キス、セックスも可能となります。

1.貴方は9月末に梅毒初期と診断された。
梅毒は臨床的に第1期から第4期まであります。
貴方の梅毒初期とは、普通に考えれば第1期となりますが、貴方の主治医はどういう意味で梅毒初期と説明したのでしょうか?

何か貴方の身体の局所に症状がありましたか?
局所に症状(初期硬結、硬性下疳など)が出たのであれば、顕症梅毒の第1期梅毒(感染後約3週)です。
症状がなければ無症候梅毒です。これは症状は認められないが、梅毒血清反応が陽性のものをいいます。

あるいは皮膚症状がありましたか?
皮膚症状があれば顕症梅毒の第2期梅毒で、皮膚・粘膜の発疹や臓器梅毒の症状がみられます。
丘疹性梅毒疹(感染後約12週であらわれる)、梅毒性乾癬(手掌・足底にあらわれる)となります。
梅毒性バラ疹は身体を中心に顔面、四肢などにみられます。
扁平コンジロームは肛門周囲にできます。
梅毒性アンギーナといってビランや潰瘍を伴い、扁桃を中心として軟口蓋に及ぶ発赤、腫脹などもあります。
時に口腔内粘膜にバタフライ・アピアレンスという特徴的な所見があらわれることもあります
舌には、乳白色という所見があらわれることもあります。
また梅毒性脱毛もみられます。

第3期梅毒では感染後3年以上経過すると顔面に結節性梅毒疹、鼻にゴム腫などがあらわれることもあります。

第4期になりますと、大動脈炎、大動脈瘤あるいは脊髄癆、進行麻痺などの症状が現れることがあります。
時に、脳神経症状があらわれ人格が崩壊する場合もあります。

ただ、現在では第3期、第4期の症状があらわれる人はほとんどありません。
しかし、HIVに感染していると梅毒の症状が増悪してくることもあります。

2.貴方は、サワシリン(アモキシリン製剤:合成ペニシリン製剤の一つです)250mg×2錠を1日3回 4週間服用しました。
できたら日本性感染症学会の治療ガイドラインにそった治療をなされば良かったのですが。
つまり、薬の投与期間は、第1期であればサワシリン250mg×6錠 1日3回 2~4週間服用なされば良かったのです。
第2期であれば4~8週間、第3期以降であれば8~12週間を必要とします。
貴方の場合は第1期とすれば、治療としては恐らく大丈夫でしょう。
今後、可能であればサワシリン250mg×6錠 1日3回をあと2週間追加して服用なさればよろしいかと考えます

3.貴方は、11月2日 再検査の血液検査をして、現在結果を待っている状態です。
検査成績が良い方向に行く場合と、悪い方向に行く場合があります。
検査の結果がどうであれ、正しい治療さえしていれば、心配いりません。
検査の結果で一喜一憂することはありません。
ただ定期的に毎月、通院され1年ほどは血液検査で抗体価の推移をみることは必要ですし、お勧めいたします。
抗体価がさがってくると貴方も医師も安心されることでしょう。
医師に言いたいことですが、一番大事なことは、梅毒の治療の目的は、梅毒の病原微生物であるトレパネーマパリドムを死滅させることであって、
梅毒血清反応の検査成績(Tp抗体価)を陰性化させることではありません。

我々、医師が注意することは、抗体価がさがらないからといって、患者にいつまでも薬を服用させてはいけないことです。
必要のない治療になります。肝に銘じましょう。

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梅毒性アンギーナ

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2015年11月05日

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