神奈川性感染症学会報告
2008年3月8日(土) ワークピア横浜で第8回神奈川性感染症学会が開催されました。その中で、イブニングセミナーが印象に残りましたので報告いたします。
講演演題 『淋菌感染症のUpdate』
講師 田中正利先生(福岡大学泌尿器科教授)
【講演要旨】
淋菌感染症は、淋菌を病原体とするSTDの代表的疾患である。
主に男性は尿道、女性は子宮頸管炎を発症する。
最近、男性の淋菌性尿道炎においては風俗女性との口腔性交を介した感染者が増加している。
風俗女性の実に約3割が咽頭に淋菌を保菌しているためと考えられる。
淋菌の検出は、分泌物のグラム染色標本の鏡検法と分離培養法が基本であるが、近年核酸増幅法(PCR法、TMA法、SDA法)が開発され、信頼性の高い迅速診断法として臨床応用されている。
淋菌感染症に対する治療においては、近年わが国ではキノロン耐性淋菌をはじめとする各種薬剤耐性淋菌の急増により経口抗菌薬の有効率が低下し、本感染症に対する治療薬の選択肢が非常に少なくなっている。
日本性感染症学会が作成した2006年度性感染症診断・治療ガイドラインでは淋菌性尿道炎と子宮頸管に対しては注射薬のセフトリアキソン、セフォジジムまたはスペクチノマイシンの単回投与療法のみが推奨されている。
2008年10月11日
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