泌尿器科専門医 ドクター尾上の医療ブログ:泌尿器科専門医 ドクター尾上に寄せられるさまざまな性感染症のトラブルについて専門家の立場からお答えします。

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性器ヘルペスの診断・治療

20代の男性から性器ヘルペスについて相談がありましたので報告いたします。

【相談内容】

性器ヘルペスについて話が少し長くなりますが、ご指導ください。

恥ずかしい話 風俗に行きました。
その3日後、違和感があり町のそこそこの総合病院へ行き、事情を説明したところ、皮膚科への受診を勧められました。

局所の痛みが少しあったので、フエナゾール軟骨をもらい、少し良くなりました。

その5日、亀頭から包皮にかけて、ひどい痛みと炎症がおこり、泌尿器へ医師に受診する前に、看護師が目視で皮膚科へ移動。
 
性器ヘルペスと診断されました。

潰瘍はなく赤く爛れ、ひどい傷みだけです。

バルトレックス500mg 朝夜 5日分、 アラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなりました。

その7日後、痛みと炎症が悪化し同じ皮膚科へ受診しました。

毎日1錠分のバルトレックス7日分とアラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなりました。
その7日後、少し良くなっただけで完治せず、再び皮膚科へ受診しました。

問診のみで、毎日1錠のバルトレックスを1ヶ月間飲み続けるように言われました。

今現在発症してから、2ヶ月半たちますが、これって性器ヘルペスですか?

発症から潰瘍やぶつぶつは無く、未だ、炎症、ただれ、多少の痛みがあります。

血液検査もお願いしましたが、検査してもよく分からないとの事でした。

病院を変えた方がよいでしょうか?


①参考症例:初感染初発:亀頭冠、冠状溝、包皮内板に左右対称性に多数のビランを認める.

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 【回答】

貴方は風俗に行き、その3日後に違和感、軽い痛みがあったそうですが、その時は恐らく亀頭包皮炎の状態と思われます。

そこでフエナゾール軟膏を投与されたそうですが、この軟膏は消炎鎮痛外用剤ですから良いと思います。

非ステロイド性抗炎症薬で皮膚の赤みや腫れ、痛みや痒みを和らげる効用があります。

その5日後に亀頭と包皮にタダレが生じ炎症による痛みが出てきたものと考えられます。

その時にバルトレックス500mg 朝夜 5日分、 アラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなった。

この経過から想像するに、私は診察しておりませんから、はっきりとは申せませんが、性器ヘルペスの可能性もあります。


②参考症例:初感染初発:冠状溝、包皮内板に左右対称性に水疱、ビランを認める.
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その7日後に再び、痛みと炎症が生じ同じ皮膚科へ受診した。

そこの皮膚科で、バルトレックス500mg、1日1錠、7日分とアラセナ-A軟膏3%を処方され、少し良くなった。

その7日後、少し良くなったものの完治はせず、再び皮膚科へ受診したところ、問診を受けて毎日1錠、バルトレックス500mgを1ヶ月間飲み続けるように指導を受けた。

これが、性器ヘルペスかどうかは今となっては、ヘルペスの専門医が診察しても分からないと思います。

もし性器ヘルペスであれば、再発するのが特徴ですから、ある時期に再発してきます。

もし水疱に気がついたら、専門医を受診し、水疱の病巣基底部から検体を採取し、性器ヘルペスの原因がHSVの1型なのか2型なのか判定する検査法を受けましょう。

これは蛍光抗体法を用いて、型別判定を行う検査法です。

現在、性器ヘルペスの検査(単純ヘルペス特異抗原検査)の中で健康保険を適用でき、

かつ信頼できる検査法のひとつです。水疱を認める状態で受診すれば、この検査が可能です。

もちろんタダレ、ビランの状態でも検体採取は可能ですが、かなり検出率は低くなります。この検査でヘルペスウイルス(HSV)が見つかれば貴方の病気は性器ヘルペスだったと診断ができることになります。

③参考症例:再発例:陰茎体部に多数の水疱を認める.

この時期に水疱の病巣基底部から検体を採取し型別判定を行うと良い.
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血清を用いた抗HSV抗体価の測定は、日常診療において比較的施行しやすい検査の一つですが、病変のウイルスの存在を証明することは難しく、また、その判読には各々の手法の特徴をよく理解することが必要です。

性器ヘルペスに関する血液検査は色々ありますが、保険でできる血液検査は現在のところ良い検査はなく、あっても臨床的な意義が低いとされています。
 
でも新しい検査方法が開発されています。患者さんが恩恵を受ける日も近いでしょう。
 
さて治療薬のことですが、バルトレックス500mg、1日、2回、5日分投与されたことは標準的な処方です。

ただアラセナ-A軟膏3%は抗ウイルス薬の軟膏でヘルペスウイルスの増殖を抑える塗り薬です。
 
健康保険上では内服薬と軟膏の両方は処方できないことになっています。

アラセナ-A軟骨3%は抗ウイルス薬でヘルペスウイルスの増殖を抑える塗り薬です。

薬は良いのですが、内服薬と軟膏の両方の処方は、保険のルール上、違反となります。

バルトレックス500mg錠は、保険上、病名を性器ヘルペスの初感染にすれば
バルトレックスはトータル20錠まで処方可能です。

性器ヘルペスと診断され、年間、約6回以上の再発を繰り返す場合には再発抑制療法といって毎日、バルトレックスを1錠服用して再発を抑制する方法があります。

通常1年間は継続いたします。

④幻の青い鮑

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このことにより、患者さんのQOLが向上し、パートナーにも恩恵があると考えられています。

貴方の場合は、まだ経過観察をしなけばならない期間ですから、これもルール違反となります。

ただ性器ヘルペスをよく見ている医師は、その医師の裁量で再発抑制療法を開始できます。

専門的になりますが、貴方の病気が性器ヘルペスと仮定した場合、貴方が初めて性器ヘルペスに気づいたのであれば、初感染初発のヘルペスか初発型再発の性器ヘルペスです。

ただ、治療は同じですからご安心してください。

また、性器ヘルペスであれば抗ウイルス薬が投与されていますから、約10~14日間で寛解すると思いますが、亀頭や包皮に未だに、炎症やタダレ、多少の痛みがあるのであれば、他の炎症疾患があるのかもしれません。

一度、専門医の診察を受けることをお勧めいたします。

お大事になさってください。


⑤雲竜柳

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2016年11月30日

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